アラクニド&パンツァー ~蜘蛛から戦車乗りになる話~ 作:φζΩ
次話以降はなるべく急ぎで頑張ります…
第5話 これで行けるかも
藤井アリス達が転校してから月日は流れ、季節は春を迎えていた。4月、それは多くの人間との出会いが生まれる月と言えるだろう。
アリスとめぐみは進級し、2年生として学生生活を過ごしている。今でもめぐみが誓った不干渉の約束は続いていた。今更後に引けないプライドとまだ堕とせる可能性があるかもと淡い希望を持ってるためいまだに継続中だった。アリスも約束を律儀に守っているので二人が会話出来るのはバイト先かどちらかの部屋のみとなっている。この事にお互い不満を抱いていたがお互い何も言わないまま数ヶ月が経っていた。果たしてこれから起こる新たな出会い、もしくは出来事によってこの固まった関係は改善出来るのだろうか……。
そして今、アリスは…
「アリスぅー!選択科目何にしたー?」
「私はですね…やっぱり戦車道にしようかと思います」
「あー…なるほど特典スゲーもんな」
「でもあれは怪しくない?単位3倍とか食堂の食券100枚なんて胡散臭すぎよ」
「だよなー、なんか隠してるって」
1年生の頃からつるんでる千瀬弥達と仲良く過ごしていた。四人は朝のホームルーム迄に提出する必修選択科目の履修届について話している。前日に生徒会の緊急集会が開かれ、その際に『戦車道』の説明があった。戦車道の派手さと履修する事で得られる特典の豪華さに惹かれる者は大勢いた。
「確かに裏は有りそうですが、私は単純に戦車道に興味があるので」
「まーそれならそれで実優はいいよー。あ、でも聞いた情報によるとさ、こないだ転校してきた西住さんが生徒会に強要されたらしいよ。戦車道」
「それホント?だとしたら謎すぎるわね、生徒会の異様な力の入れ具合に強要される転校生…」
『西住さん』とは3日前にこの大洗女子学園に転校してきた『西住みほ』のことである。彼女は『沖めぐみ』の前例があったため全校生徒から警戒されていた。だがまともな人物と分かりその心配もすぐに収まっていた。
「あー…前に戦車道やってたんじゃね?それで誘われたんだろ」
「それなら心強いですね、経験者がいるなら安心です。それにしてもウサミミさんは相変わらず情報網がすごいですね」
「まーね!どんどん誉めていーよ!」
「いつかこいつストーカーなるんじゃねえの?」
「間違いなく予備軍よね」
「失礼なーっ!絶対なんないもんっ!」
いつもと変わらない普段通りの会話をしていると担任が教室に入ってきた。同じタイミングでチャイムが鳴りホームルームの時間となった。朝の挨拶を交わし連絡事項をあらかた伝えた後は履修届の回収を行い、アリスは改めて戦車道の欄に丸を付けた事を確認して提出した。
(戦車道…どうして興味持ったかは自分でもよく分からないけど…楽しかったらいいな…)
「武部さん、五十鈴さん。朝はありがとうっ…」
「もーいいよそんなの気にしなくて」
「そうです、私達友達なんですから」
二時間目が終わり西住みほは武部沙織と五十鈴華に礼を述べていた。その訳は今日の朝に起きたちょっとした出来事にあった。みほは昨日、実優の言った通り生徒会に戦車道を履修するよう強要されていた。しかし今朝、みほの履修届は香道に丸が付けられていた。戦車道の家元であるみほだったが『ある事故』をきっかけに戦車道とは関わらない道を選んでいたせいだ。
沙織と華の二人は生徒会が開いた集会により興味を湧かせていたが、みほの意を汲み取り戦車道の履修を取り止めて同じ科目を選んだのだ。この出来事をみほは深く気にしていた。
「でも、私のわがままで…!」
「いーのいーの!それ言ったら私達が香道に変えたのもわがままだからね!」
「好きでやったことなので西住さんは気にする必要ありませんよ」
「…嬉しい、私二人と友達になれて良かった!」
「ふふふっ、私もだよ!」
「私もです…あら?あの方は…」
それぞれ感謝を伝えてると華は廊下を歩く少女に目が行く。その少女は学園の厄介者とされてる沖めぐみであった。鞄を持っておりどうやら遅刻して来たようである。
「今日は来られたんですね、もう二時間目終わってますが」
「あれ?…あの人って今来たの?鞄持ってるみたいだけど…」
「えーっと、そうなんだけど…。まず彼女、沖めぐみさんはねー…簡単に言えば不良なんだよね」
「不良…ってどんな?」
「遅刻に無断欠席に早退にサボり。あと生徒会、風紀委員、先生方との衝突を頻繁に起こしてるんです」
「噂だけど何人か手ぇ出されたらしいよ。そういえば新学期なってから初めて見たかも」
みほは昨日の横暴な生徒会の行動を越える存在が居ることに驚愕する。
「そんな人がいたなんて…!前の学校じゃそんな人いなかった…!」
「もー私達も同じ気分だよ、だって去年転校してきて好き勝手やってるんだもん」
「一緒に来た藤井さんは正反対とも言える方ですが」
「藤井さん…その人はどんな人ですか?」
「藤井さんはいい方ですよ。明るく真面目な性格をしてて」
「でもちょっと抜けてるところもあって面白いんだよ。それに才能って言うのかなー、暗記とか集中力が凄いらしいよ。生徒会の催しでも結構活躍してたし」
「そうなんだ…その人とは喋ってみたいかも」
「じゃあ昼休み行こーよ!C組だったっけ?」
「そうですね、昼食を食べたら行ってみますか」
「あはは…、ご飯食べてからなんだ…」
(…すっかり忘れてた。学校始まってたの)
めぐみは昨晩アリスと電話をするまで春休みがまだ続いてると思って生活していた。そのため今日まで始業式が始まっても学校には行かずバイトをして稼げるだけ稼いでいた。めぐみが『組織』で稼いだ額は高校生活を賄える程では無く、個人的に買いたい物もあるので学校よりもバイトを優先していた。
(…学校のことはとりあえず置いといて、今の一番の問題はやはりアリス様との関係を戻すべき…?正直会う時間が少なすぎてそろそろ限界ですわね…)
「…おはよーございますわー」
めぐみが教室のドアを開けると中に居た生徒に緊張が走る。楽しげにはしゃいでいた様子が、めぐみの出現により崩壊して教室は異様な緊張感で包まれた。
「ふーむ…」
「ちょっと、そこのあなた」
めぐみはそれを気にせず教室を見渡す。そして側にいた生徒に声をかける。
「え…私、ですか…?」
「そう言ったでしょう。一つ質問に答えてほしいんですの」
呼ばれた少女は明らかに怯えていた。その原因は自分であることをめぐみは理解しつつ話を続ける。
「私の席、どこですの?学年変わったから分からないんですのよ」
「えっと…確か…沖さんの席はあそこ…だったはずです…!」
「…はず?」
「あっ、間違いないです!あの席ですっ!」
震えた指が指した方向は廊下側の一番後ろの席だった。
(扱いが露骨ですわねー、まあ後ろの席なのは嬉しいので特に気にしませんが)
「よく教えてくれましたわ、もう下がっていいですの」
「は、はいっ!」
教えられた席に座り鞄を下ろす。2年生用の教科書は買ってはいたが、時間割を知らないため適当に教科書を鞄に詰めて学校へやって来ていた。
(さて…勘が当たってるといいですが…あー…)
教室に貼ってある時間割と持ってきた教材を確認すると、3教科合っていたものの既にその内2教科の授業は終わっていた。残りの合っている1教科も6時間目と遅い時間だ。
「しくじりましたわ…もっと早く来ていれば…」
「…6時間目までサボるか…」
そう言うと座ったばかりの席から立ち上がり教室から出る。廊下を歩いてるとチャイムが鳴り、教師が『教室に戻れ』と言ったが無視して歩く。何度もこういった経験をしてるせいかめぐみはいつしかサボるのに適した場所を何ヵ所か見つけていた。
(久しぶりの学校だし…『あそこ』行くか)
(…ん?)
2年A組を横切ると教室内からめぐみを見つめる視線があることにめぐみは気づく。大体の人間は見て見ぬふりをするためめぐみは視線の送り主に少し興味が湧いた。窓越しに教室を見ると茶髪の大人しげな少女がジーっと見ていた。
(わー…!さっきの話本当だったんだ…)
「み、みほ!見ちゃダメだってば!」
沙織は何か危険を感じ急いでみほに声をかける。しかしみほは物珍しそうにめぐみを見たままだ。
(あの女…平凡そうな顔してるくせにどこかおかしな気配を感じますわね…。『蟲』…とは違いますが…)
「『みほ』…か。念のため覚えておきましょう」
みほを一瞥しためぐみは小声でそう呟くとそのまま歩き去った。A組の生徒は何も起こらなかったことにホッとする。
その後、めぐみは目的の場所に到着する。めぐみが向かっていた場所はグラウンドであった。グラウンドには大きなガレージがありめぐみは何度かそこで暇を潰していた。
「失礼しますわ~。ま、誰もいないでしょうけど……」
「は…はあぁぁ!!?何ですのこれはっ!?」
倉庫内に侵入しためぐみの前には以前には無かった巨大なあるものが置かれていた。そして、めぐみの叫びはガレージ内にえらく響いていた。
「アリスさー毎回安いの頼んでない?」
「そうですね、食事は極力安く済ませたいので」
昼休みになりアリス達は昼食を取っていた。昼休みが始まって5分足らずだったが食堂の席が既に満席になるほどの大盛況であった。
「かーっ…花の女子高生が飯代をけちるなんて世知辛いねー」
「全くよ、アリスの保護者かなり冷たいわ」
「いえいえ、あの人にはとても大きな恩があるんです。こうして学校に通わせてもらえるだけで私は十分ですよ」
アリスは詳しい事情は説明しなかったが実の親はいなく、パンデミックが解決した後に知り合いが保護者になったと話した。多少疑問に思われたが普段からの付き合いが良かったおかげか全員信じ、それ以降アリスは少し優しく接された。
「ふーん…実優はもうちょっと欲張っていいと思うけどな~」
「そこは人それぞれってとこかしら、嫌なこと言って悪かったわね」
「私こそこんな話題にさせてすいません…」
「あー…もうこの話終わりな!折角の飯時なんだからもっと楽しく食おーや」
『普通一課、2年A組西住みほ。普通一課、2年A組西住みほ。至急生徒会室に来る事』
『以上』
千瀬弥が場を持ち直そうとした時、スピーカーからアナウンスが流れる。
「あら…?例の転校生随分とやんちゃなのね」
「生徒会から直々に呼び出しっちゃー結構なやらかし具合だな」
「一体何をやったんでしょーか…?」
「やっぱ戦車道関連じゃなーい?入らないとバツあたえるぞーっ!みたいな」
「ウサミミ流石にそれは…ありえそうだな…」
「否定できないのがここの生徒会の辛いところですね…」
「どうやらあそこに本人いるみたいよ」
王佳が視線を後ろに向けるとあからさまに動揺している少女がいる。何人か他の生徒も気付いているようだ。
「なんだか…あの様子見てると悪い人じゃなさそうですね」
「甘いよアリスっ、もしかしたらあれは演技で実はとんでもない性格悪かったり?」
「本性隠してるとかか?だとしたらおもしれーな!」
「あんた達、いくら話題変えるって言っても限度があるでしょ」
「ちぇーっ、女王マジメぶっててつまんなーいのー」
「何言ってんのよ、私は元々マジメよ」
「あー…いや、いつもと変わらんな」
「はい、皆さん変わってないですよ」
「分かってるじゃないチェシャ、アリス」
「いやそれ絶対皮肉だよ。アリスはともかく」
それから食事を済ませた四人は教室に戻り適当な話題を出して話していた。途中誰かに呼ばれることはなく昼休みは終わり、午後の授業を過ごし放課後になるとアリスは友達と一緒にお茶をして家に帰った。
(来週から戦車道…待ち遠しいな…!)
「あれ、意外と少ない…?」
翌週の月曜日、必修選択科目の時間となり集合場所であるグラウンドに到着したアリスは履修者の人数に驚いていた。自分を含めその場に居たのは22人しかいなかった。盛大にPRし、特典まで付けたのにも関わらず僅かな生徒しか集まらなかったのは生徒会も予想外だったのかどこか落ち着かない素振りをしている。
(やっぱり…女王さんやチェシャさんの言うとおり怪しいって思った人多いのかな)
「…17、18、19…会長、まだ来ていない生徒がいます」
「だれ~?」
「…やつです」
桃は持っている名簿を杏に見せる。指された名前を見て杏はその生徒がいないことに納得する。
「…なるほどね~。それはあとで放送かけとこっか。それより待たせちゃ悪いしさっさと始めよー」
「はいっ」
桃が一歩前へ出ると皆それぞれ桃の前に並ぶ。
「これより、戦車道の授業を開始する」
「あ、あの!戦車はティーガーですか?それとも……」
「えーと、何だったけな~?」
優花里の質問に杏はガレージの扉を開けて答えを見せる。倉庫内には戦車が置いてあった。しかし、置いてある戦車は寂れたⅣ号戦車1台しかその場にはない。
あまりにもボロボロな見た目に文句を垂れる者もいた。アリスもこれで動くのかと思っている。想像していた戦車と違い固まっている生徒が多かったが、みほは装甲に触れて戦車の状態をじっくりと見る。
「…装甲も転輪も大丈夫そう、これで行けるかも」
「「おぉー…!」」
みほの言葉を聞いて歓声が上がる。これから戦車道が始まることに皆高揚しているようだ。
(すごい…見て分かるんだ…!)
アリスがみほの観察眼に驚いてると、みほが皆の方へ振り向く。その顔は迷いを吹っ切った強い表情をしている。
しかし、
「……?」
「…あれ…?」
みほが何かを感じ、再度戦車に近づく。そして操縦席のハッチを開けて中を覗くと…
「ひっ!な、何でここにっ!?」
ハッチを覗いたみほは悲鳴をあげて後ろに倒れる。そこへ沙織と華の二人が飛び出しみほの体を支える。
「どーしたのみほ!?」
「大丈夫ですか!?やはり…!」
「うるせーですわ!人が寝てるのに起こすんじゃないですのっ!」
沙織と華がみほを心配してると戦車の中から怒号が聞こえてくる。その声に聞き覚えが有る者は様々な反応を見せる。
「ま、まさか…!?」
「…そんなとこに居たとはねー」
「この声は…!」
「もしかして…」
中に居る者がハッチから勢いよくジャンプして装甲の上へ着地する。一部の生徒には謎だった正体が戦車から出たことにより白日のもとに晒される。
「「沖めぐみっ!!?」」
(どうして沖さんが戦車の中にっ!?)
ほとんどの生徒がその見知った顔に驚く。1年生は初めて見る噂の人物の突然な出会いにざわめいている。
「…なーんでここにこんなに人がいるんですの?」
「おや?倒れてるあなたは確かー…『みほ』、とか呼ばれてましたわね」
「な、何故お前が戦車の中に居るんだっ!」
桃がめぐみに近寄って質問をする。
「こっちが先に質問してるんですのよ。今は授業中なのにどうして他の人がいるんですの」
「ここは秘密のサボり場のはずですが…」
「せ、生徒会長!戦車道履修者以外がここにいるのはどうかと思われるっ!即刻退去命令を!」
軍服を着た少女、エルヴィンが杏に言い寄る。だが杏は苦笑いで返答する。
「いやーそれがさ、彼女も履修してるんだよねー」
「戦車道」
「「え…ええぇぇぇーーっ!!?」」
杏の発言は生徒会を除いた全員の度肝を抜いた。当の本人のめぐみすら知らない衝撃の事実だったのだ。
「は、はあぁぁぁ!?聞いてないですわそんなことっ!?」
「それはお前が履修届を出さなかったからだっ!」
桃がめぐみに履修届を見せる。見せた履修届の下の要項に『提出期限を守れなかった生徒は「戦車道」の選択となる』と書いてあった。
「履修…届!?何ですのこれっ!私貰ってないし知らないですわ!!」
「だ、だって沖殿…集会も履修届配られたときも居ませんでしたからっ…」
怯えながらも優花里は桃の場所まで進み、説明する。
「あっ、お前確か…同じクラスのモジャじゃありませんの!」
「も、モジャって何ですかっ!?私は秋山優花里ですっ!」
「頭のことですのよ。それよりこんなのがあったとは…!」
「今からでも変えてやりますわ!一先ず降り…て……」
(あっ…こっち見た…!)
めぐみが文句を言いながら戦車から降りているとアリスと目が合った。地面に着地するとめぐみは真っ直ぐにアリスの元へ向かい出す。進む先には当然人がいるがめぐみは構わず押し退けて進んでいく。
(えっ、えっ?学校では関わらないんじゃ……)
「ア、アリス様ぁぁぁぁぁ!!!!」
「あ、その、お、沖さん待ってくだ……」
「きゃぁ!」
叫びながらめぐみはアリスに向かって跳んだ。アリスは慌ててめぐみを受け止めようとするが、支えきれず二人共倒れてしまう。倒れた拍子にめぐみが上となるマウント状態になった。
「アリス様どうしてここに!?いえ、そんなのどーでもいいですわ!もう我慢できませんわー!」
「お、沖さんっ!?落ち着いてください!他の人も見てますから!」
今にも襲い出しそうなめぐみをアリスはなんとか落ち着かせようと説得する。だが、めぐみには声は届いていないようだ。この、あまりの状況に周りには何が起こってるか付いていけてない者もいた。
「やっぱり回りくどいのは性に合いませんわ!ガンガン攻めてこそ私ですのよ!」
「う、うぅぅ…!」
(このままだと…まずいっ…!)
「落ち着きなってめぐみ!藤井さん困ってるよ!」
「うるさいですわ!…って、典子じゃないですの。あなたまで居たんですのね」
(え?)
暴走していためぐみだったが典子の仲裁であっという間に我に帰る。アリスはめぐみが治まったことに安堵するよりも簡単に止めた典子の存在に引っかかる。
「めぐみがこんなに暴れるなんて…ほら、藤井さんに謝りな」
「うぅ…そうですね。アリス様、つい興奮してしまいました。反省してますの…」
「…はい、分かってもらえて十分です。あと、その…今更ですが約束はもういいんですか…?」
「約束…?あ、ああ!あれはもう必要ありませんわ!これからは前のようにずっとご一緒ですのよ~!」
「あっ、だからダメだって!」
再びアリスに抱きつこうとするめぐみを典子が抑える。その隙にアリスはマウントから脱し、土埃を払い立ち上がる。場は少し収まり、徐々に全員冷静さを取り戻していく。
「…あの、だな。お前達がどんな関係なのかは知らないが…」
「沖、結局戦車道は受けるのか…?」
桃がめぐみに2回目の質問をする。めぐみはちらりと桃を見るとアリスに顔を戻す。
「アリス様は、戦車道を履修するんですか?」
「はい。そうですが」
「ふっ、なら答えは決まってますわ~!」
そう言ってめぐみは桃へと顔を向ける。そして拳を高々と挙げ宣言する。
「私も戦車道、やってやろうじゃないですのー!」
「っ!そ、そうか!よく分からんがこれからは頼むぞ沖!」
「あ、でも私生徒会の言いなりになる気は無いですわよ。そこんとこ忘れないでほしいですわね」
「なんだとっ!ふざけたこと言うなっ!」
「ああ…二人とも仲良くしてっ…」
「……」
めぐみと桃の口論を柚子が止めようとするが収まる気配は全く見えず、結局数人が協力をして力ずくで二人を引き剥がして騒動を静めた。この騒ぎを離れた位置で見ていたみほはふと思った。
(もしかしたら、大丈夫じゃないかも…)
沖の存在に頭を悩ませるみほであった。