以前エブリスタにて同じものを書いていましたが色々トラブルが起こり此方に移住して来ました。
尚、この作品は処女作ですのでこれから読む方は過度な期待はしないほうがよいと思います。
これらの注意を得てし、更なる奥地へと踏み込むのならば、ゆっくりしていって下さいませ。
バカとスキマと幻想入り
夏に新緑を描き出した葉が真っ赤に染まり、別のアートへと変化するこの季節。
彼らが滞在するここ、文月学園では最新の科学システムによって構成されている。
そのシステムとは、テストの点が力となる〝試験召喚システム〟である。
ただし教師の許可が下りなければこのシステムは使えない。
無闇に悪用されても、学校の株が下がるだけのこと。
ちなみに文月学園はできて間もない試験校である。
なので評判とか風の噂とかには他の学校より気をつけなければならない。
もし悪い評判ばかりだったら文月学園はすぐにでも破綻してしまうだろう。
さて、試験召喚システムについてだがこれは悪用されなければ文月学園の二年生から使えることになっている。
ここの学園はそれを使い成績を始めとする様々な評価をしていく方針だ。
一般的には理解できないかも知れない方もいるかもしれないがここはそういう風に作られている。
なぜなら、この試験召喚システムは科学とオカルトと偶然によって出来たのだから。
試験召喚システムとは召喚獣を呼び出し、成績を競い合う物だ。
そして、それをさらに使ったものがクラス間での戦争である。
それは、通称“試験召喚戦争”と呼ばれる。
この試験召喚戦争とは、1年の終わりに行われる振り分け試験の結果の元に分けられるクラスを交換できるというものだ。
たとえば、ここ文月学園にはAクラスからFクラスまでありそこで優秀な成績を収めた者にはAクラスに、逆に問題児やテストの点数が赤点ばかりという者にはFクラスが待っている。
しかもクラスの設備も違い、Fクラスは机がボロボロのちゃぶ台、椅子は虫食い座布団とひどい有様だ。
まあそれが嫌なら勉強でもすることだなとでも言っているようである。
一方Aクラスはイスは超高級のソファ、机はロイヤルといった金持ちの集まるような設備が施されていた。
さらには冷暖房完備にドリンクバー・お菓子食べ放題・ノートパソコン支給というのだからもはや学校とはかけ離れたクラスである。
試験召喚戦争もそう甘くはない。
テストの点が力となるこの戦争ではそう簡単にクラス換えなど行われるはずがない。
それは簡単な理由で、たとえばAクラスは成績優秀、クラスも完璧である。
なのでAクラスは基本的には試験召喚戦争を仕掛けるはずがない。
逆にボロ臭い教室のFクラスの連中はいい設備を狙うべくEクラス以上のクラスを狙うはずだ。
しかし、Fクラスは先ほども言ったと思うがバカばかりだ。
そんな連中が自分よりも点数が上な奴らに勝てるはずがない。
点数=力
これはFクラスの連中にとっては不利なはず。
しかし、今年の文月学園のFクラスは一味違っていた。
「おっはよ~」
彼は吉井明久。
文月学園一のバカ。
観察処分者として扱われる。
見た目もバカっぽいし、もはや主人公のかけらなんてどこにも――
「ちょっと!!見た目は余計だよ! 僕だって頑張ったんだから!」
頑張った結果がバカなのである。
なお、バカとテストと召喚獣の主人公でもある。
なんでこんなバカが主人公n――
「こんなバカってひどいよ!!僕だって、やる時はやr――」
ドゴォ!(何者かが僕の頭を殴る音)
「なにすんのさ!!」
「教室の前で邪魔だ、明久」
主人公(笑)をボコったのは明久の悪友である坂本雄二。
彼もFクラスのクラスメイトであるが昔は神童とも言われていたらしい。
体つきが良く、僕と同じ男子であるのに身長はやつの方が少し上なくらいだ。
「あぁ、ごめん雄二。今朝から何だかバカにされてる気がして」
「そいつは事実だから仕方ねえな」
「ひどいよ!!少しは庇ってくれてもいいじゃない!」
「バカに構うとこっちもバカになっちまう」
「なにをぉ!!このバカ雄二!!」
「バカにバカと呼ばれたくねえ」
「やるかオラァ!!!」
「上等だボケェ!!!」
文月学園の旧校舎にあるFクラスに飛び交う二人の怒号。
そこに一人の少女がやってきた。
「やめなさい!!あんたたち!」
二人のバカを止めたのは島田美波。
このクラスの華の一人である。
彼女はドイツからの帰国子女で、日本語は昔は苦労したそうだが今は日常会話程度なら余裕という。
ちなみに明久の事を片思いしt――
「余計なことを言わないで!」
グボォ!(関節技を決められ、哀れな悲鳴)
わ、私の命が何個あっても足りない気がしてきた……。
「美波、誰と喋ってるの?」
「へ?」
(ダメだわ、ここで変人扱いされたりなんてしたら……というよりこんな奴に変人扱いされたくない!)
「今すご~く心のハートに傷がついた気がする」
「と、とにかく誰でもいいでしょ! それより、早く教室入りなさい。もうチャイムは鳴ってるのよ?」
「たしかにそうだな……俺たちはこんなところで争っている場合じゃねえ」
雄二は何かを思い出したかのようにそそくさと自分の席に着いた。
全く、こんな教室じゃあ勉強する気すら起きないよ。
あ、ちなみにナレーションさんは関節が外れて全治一年だってさ。
だからここからは僕サイドでいくからね。
「じゃあね、アキも早く座りなよ」
そう言うと美波も自分の席に着いた。
「………今日のHRは鉄人」
美波たちと別れた後、いつのまにか隣にいる人物。
彼こそ学年一のむっつりスケベ、通称ムッツリーニといって――
「………(カチャ)まともな名前で頼む」
ムッツリーニ!?いきなりカッターナイフをこっちに向けないで!
分かった、分かったから!!えっと――
「………土屋康太」
あ、自分でするならするって言ってよ……。
「………趣味はとうさt――写真撮影。得意な事はとうty――保健体育」
なんだかんだ出たけどツッコんだら負けなんだろうね……。
さて、そろそろ僕も席に座るとするかな。
僕が席を着くと同時に前方の教室の扉が開けられた。
「席についていないものは補習を受けさせるぞ!」
いきなりひどいことを言うもんだ。
てつじn――あの先生は西村先生といって僕らは鉄人と呼んでいる。
理由はいづれ分かるさ。
「全員席に着いているな」
鉄人が周りを見渡し確認する。
鉄人は冗談なんてめったに言わないから、もし僕が座っていなかったら……考えたくない。
「今日は持ち物検査を行う! 全員カバンの中身を全部出せ!」
「「「えぇ~~!!!」」」
Fクラスではブーイングの嵐だ。
って!他の人より自分の心配だ!!今日はゲームをカバンの中に入れてきてるんだった!!
こういうときは――
(雄二、どうする?)
こっそりと鉄人に聞こえないように雄二に話しかける。
(どうするもなにも、仕方ねえだろ)
(そんな、手がないの!?)
(誰もそんなこと言ってねえだろ?まあ、任せておけ)
雄二……やっぱお前は頼りになるやつだ!
そう思っていると鉄人がちょうど俺たちの作戦を知らずにのこのことこっちにやってきた。
「次は坂本だ、あーこれはいかんな」
「先生、これは集中力をあげる力を持つ再生プレーヤーですよ?」
「そんな嘘にだまされるか! 没収ぅ!!」
「ッチ」
くそ、雄二も持ってきてたようだ、しかもかなり残念そうだ。
「次は………吉井か」
「先生! なんでそんな最初から残念そうなんですか!!」
まだなにも僕はしていないのに、ひどい扱いだ。
僕のプライドというものが悲鳴をあげて転げまわるところだよ。
「お前……服を脱げ」
いきなり何を言ってるんだこの変態教師。
「先生……こんなところでわいせつ行為ですか?」
「お前の体に興味はない!!いいから脱げ!」
あー、なるほど……ってそいつは飲めない条件だ。
「やだ!」
前もって避難させておいたのに、ここで負けたら最新のゲームを失うことになる!
「ほほぉ……なら、無理やりにでも脱がせてやる!!」
え!?ちょ、暴力反対!!
「覚悟しろ!!」
「イヤァァァアアアアアーーー!!!」
――――☆――――☆――――☆
「災難だったな明久」
僕の上半身裸姿を笑いながら雄二がこっちに向かってきた。
「雄二こそ、あの再生プレーヤー盗られたけどいいの?」
「あぁ、あれはダミーだ。本物はこっちだ」
僕の上の服の首を通すと同時に視界には雄二の手の上に乗せている再生プレーヤーが見えた。
「あ、ひどいよ! 自分だけ助かるなんて!」
「服まで確認されるとは、お前の観察処分者は相当なもんだよな」
「うぅ……」
このままでは僕の全財産をつぎ込んだゲーム機を失ってしまう!
というかこれじゃあ一年の時の二の前だ。
観察処分者の称号をさらに磨くことになる!!
それは何としても避けなければ!!
「先程は大変でしたね、明久君」
いろいろ考え込んでいると僕の方をニコニコとさわやかな笑顔でやってきたのはわがクラスの華の中の華、姫路さんである。
成績優秀、八方美人(あれ?)と完璧なのだが、料理だけが姉さん並にダメなんだよね……彼女自信は味見をしないため、その料理がいかに危険な凶器だということが分かっていないから要注意だ。
どうやったらあんな味になるのか、正直気になるところだよ。ハハッ。
「ウチも携帯を取られたわ」
「え!?美波も? なんで?」
「それは分からないけど、やっぱり持ってきたウチたちが悪いと思うわ」
う~ん、まあたしかに正論ではあるが、やはり鉄人の悪道を易々と許すわけにはいかない!
「………俺もカメラを取られた」
ムッツリーニもか、おのれ鉄人め!
「となると被害に出ていないのは雄二と姫路さんと秀吉だけ?」
「ワシもまた劇の器具を取られてしまった」
秀吉もか……あ、秀吉って言うのは徳川家康とかじゃなくて、木下秀吉という名前なんだ。
これでこのクラスの華は全員だね、秀吉も立派な女子だから。
「明久! ワシは男じゃぞ!?」
な、なぜバレた!
「え? 悪い冗談はよしてよ、秀吉が男だなんて天地がひっくり返ってもならないよ?」
「むぅ……」
秀吉が機嫌を損ねたのか、頬をぷっくりと膨らませている。
そうそう、こういうしぐさが女の子っぽくて世の男性陣は虜になるんだよな~。
「……木下君、抜け駆けはダメですよ?」
「な、なんじゃ姫路! ワシがいつ、なんの抜け駆けをしたというのじゃ!?」
とまぁ、僕の友達は一応全員紹介したかな。
秀吉は女の子、ここ間違えたら駄目だからね?
「それで、どうするんだ?」
雄二が僕に質問をしてくるがそんなこと聞かれずとも答えは変わらない!
僕は威勢よく雄二に断言する。
「もちろん、奪い返す!」
「それでこそ明久だ」
「雄二も手伝ってくれるよね?」
雄二は元神童とも呼ばれ、これまでいくつもの試召戦争を勝利へと導いてくれた男だ。
もちろん、僕の力のお陰もあるけどね。
「あぁ? やっぱりお前はバカのようだな」
「どういうこと?」
「つまり……お前の幸せは俺の不幸、お前の不幸は俺の最高の幸せなんだよ!!」
「テメェ!!それでも人間か!?」
「しったことか、お前が不幸なら俺はそれを心から楽しみ、笑い、見ることにしてるんだ」
なんて外道なんだ!!
「第一、てめぇの物なんだからてめぇで何とかしろ。俺にはなんのメリットもねぇしな」
確かに正論ではある……がそれが友人に対する言葉?態度?
改めてコイツを憎たらしいと確認された。
「坂本の言葉も一理ありよ、ウチはもう諦めたから」
「えぇ!?それでいいの!?」
「まぁ……ね」
「でも大事な思い出とか入れてるでしょ? 美波も『一応』女子なんだから」
「………いちおう?」
へ?な、なんだか美波の機嫌が一気に悪くなってる!?
「待って美波、なにそんなに怒ってイタタタタタう、腕が普段曲がらない方向に曲がるぅ!!」
「あんたはほんとにバカね! ウチの胸は確かにないわよ! でも列記とした女だから!!」
美波の関節技は命と背骨やいろんなところに悪影響だ。
「………!?」
イタタタ………あ、あれ?
ムッツリーニ……そんなとこで何をしてるの?
「………み、見え、見え……る……!!」
ブシャ!!(ムッツリーニが鼻血を吹く音)
「ムッツリィィニ!!」
僕は美波の関節技から逃れ、ムッツリーニを助けに向かった。
「………(ピクピク)」
「大丈夫かムッツリーニ!!誰がこんな酷いことを!」
「………明久」
「ムッツリーニ!?ダメだ! これ以上喋るな!」
「………みずい……ろ(ガクッ)」
「ムッツリィィィィニ!!!」
こんな日常が僕らにとって平和で、毎日が楽しく、大切なのだ。
だから、僕たちはこの中で誰かいなくなってしまう、そんな状況になってしまっても僕は全員で助かりたい!!
「それじゃ、あとは頑張れよな」
プルルルルル………
ん、なんだ?
誰かの携帯が鳴ってるの?
プルルルルル………
「あ、俺の携帯だな」
なんだ雄二のか、雄二は携帯も没収されずまさに今回の件については傍観者だよね。
「ん? 翔子からか、えっと……」
翔子というと霧島さんのことだね。
ちなみに霧島さんっていうのはここのクラスなんかとは違ってAクラスの代表なんだ。
代表ってそのクラスの中で一番優秀な人がなれるんだよね……Fクラスの代表はというとあの雄二。
まあそこは僕も認めてるしね。
「…………」
あれ、さっきのはメールだったみたいだけど雄二の表情がだんだん青ざめていく。
ササッ!(雄二が慌てて逃げだす音)
ガラガラ(雄二が扉を開ける音)
ボキバキ(雄二の頭蓋骨にひびが入る音)
「ぬおォォォおぉォおお!!」
「……どこに行くの?」
バキボキン(更にひびが入る音)
「ぐ……が………ぬ……」
「……そう」
「待て!まだ俺は何も――」
バキバラバラ(完全に跡形もなく砕けた音)
「やぁ霧島さん」
「……吉井」
「ん、なにかな?」
「……雄二がいない」
さっき自分で潰したからね!?
「おい翔子! いきなりなにしやがる!!」
「……メール」
「あんなメール見たら誰でも逃げ出す」
「……じゃあここでする?」
「こんなとこで子供つくりてェのか!?」
「……じゃあ家で」
「誰もするなんて言って(グシャ)うおォォおおォおおお!!目が猛烈にいてェ!!」
「……吉井には渡さない」
ズルズル(霧島さんが雄二をお持ち帰りする音)
「よせ翔子俺をどこに引きずり回すつも(ドシュ)目があ゛ぁああああああああ!!」
「……できちゃった結婚するためにはこうするしか」
「意地でもやるつもりか……なら俺だって手加減し(ビリビリ)きÅ∧∈‡∀めり√!!!」
ズズズ(引きずる音)
バタン!!(戸を閉める音)
雄二………幸せそうだな。
こうして賑やかな午前は過ぎていき、昼休みになった。
僕たちは昼食は自然と集まって食べるようになっていた。
「アキ、一緒に食べよ」
「明久君、一緒にお弁当食べませんか?」
今日も美波と姫路さんがお弁当を持ってきた。
「明久、弁当食べようぜ」
「………ササッ」
続いてムッツリーニと雄二も弁当を持ってきた。
「ワシもお昼いいかの」
最後に秀吉も来てコレで全員が揃った。
「それじゃ、恒例のいっとくか」
僕たちの中では誰が何の飲み物をパシりに使うのはじゃんけんで基本決めることになっている。
じゃんけんっていうのに最近僕ばっかりパシられてる気がする。
「そんじゃ行くぞ、最初はグー!」
「「「じゃんけん――」」」
「グー」
「「「パー」」」
またかよ!!僕以外は皆パーでまた負けた。
「毎度すまねえな(笑)」
最後の(笑)が気に食わないけどまあじゃんけんだからね……仕方ない。
僕は皆の注文を聞き、小銭を手で握りしめ、自動販売機へと向かった。
「ところで土屋、カメラ取られたらしいけど……その……頼んでたやつは大丈夫?」
「………(ブンブン)」
「「えぇぇ~!!」」
「………バックアップはしてる、だが時間がかかる。前にも言ったはず」
「「そんなぁ……」」
ブルル!!な、なんか二人ほどの邪念が!!
気のせいかな。
えっと……自動販売機はっと……あった。
周りに誰もいないみたいだし、早く買って美味しいご飯を食べないと!
「こんばんは」
あれ、さっきまで誰もいなかったはずなのに声が……気のせいか。
「暖かいご飯が待ってるんだ~」
僕は陽気に歌いながら足をスキップで僕の胃の中を心待ちにしている命の源(弁当)の元へと向かった。
「逃がさないわ」
「ッ!?」
気のせいじゃなかったみたい……目の前には大きな日笠を持った……ババア?
「ババアこんなところで……コスプレかなにかで(ニョオオン)落ちるぅぅうううう?!!」
「いきなり失礼な子ね。あと何人……かしら」
僕は一体どうなっているんだぁぁぁぁぁ!!!
――――☆――――☆――――☆
俺は坂本だ。
バカに頼んだ飲み物がなかなか来ない。
いつものあいつならもう着いてもいい頃なんだが……。
「ねぇ、アキなんだかいつもより遅くない?」
「………逃げた」
「明久君はそんなことしないと思います。きっと何か原因があるんだと思います!」
「姫路の言う通りかもしれん。あいつはまだ命の源(弁当)を一口も食べてねえ。つまり、絶対帰ってくるはずだ」
俺がくっちまったとしても次の日にはいつも通りだがな。
「ちょっくら見てくる。先に食っててくれ」
「分かったわ」
全く、あのバカのせいで最悪だ。
さっさと見つけるとするか。
「ここから一番近い自動販売機は……あれか」
バカの行きそうなルートを考えてみて着いたが人が誰もいねぇ。
まあ昼休みももうすぐ終わるし、普通といったら普通か。
だが、なんで明久がいねえのか……俺の考えが外れたか?
「こんにちは、神童さん」
「ッ!!」
いきなりでつい驚いてしまった。
人として最低な行為をしちまったな……謝らないと。
「すまない、いきなり驚いてしまって――」
謝りついでに顔を見とかないとな。
聞いたこと無い声だったが……初対面か?
「気にしないで」
顔をゆっくりと確認する。
……ん?この感じ……ババア?
「そうか、ところでババアがこんなところでなにを(ニョオオン)ぬああああぁぁぁぁ!!!」
「二人連続で……やっぱりバカね」
俺が落ちる!!ハァ!?何でこんなとこに穴なんてあるんだぁぁぁあ!!!!
――――☆――――☆――――☆
………土屋康太。
明久と坂本が行ったっきり帰ってこない。
あの百円は売り物で稼いだのに。
「坂本も帰ってこないわね……」
「明久君を探しに行ったままですね……まだ見つからないのでしょうか」
「………遅い」
のんびりしてたら昼休みが無くなる。
「まさか……坂本君たち……あんなことやこんなことをしてるのでは」
「さすが瑞希!!ウチも思ったわ」
………チャンス。
ここは俺が現場を抑えに行く振りをする。
それで様子を見ることが可能。
「………次は俺がいく」
「土屋もやるつもりね!!アキはこれ以上汚させないわ!」
「そうです! 土屋君が行ったら逆効果です!」
………この二人本気か。
「………すまない(ササッ)」
「あぁ!!待ちなさい」
「待ってください!土屋君!!」
「……おぬしらまともではないの」
教室を去り際に一人残った秀吉がぼそりと呟く。
俺は普通の高校生なのに、なぜ俺も不遇な扱いなんだ……。
とりあえず、現場に辿り着いた。
「………誰もいない」
自動販売機の前に来てみたが、人の気配すらない。
「アキたちはどこかしら、早く救わないと」
「そうですね……明久君が汚れる前になんとか止めさせないと」
………まあ、ない。
「今日はよく来てくれるわねぇ」
「………!!」
「「ッ!!」」
………俺の後ろにいただと?
「そこにいるのはムッツリーニ君と島田さんと姫路さんね」
………俺たちは会ったこと無いがこいつは俺たちを知っている。
「あの~どちら様ですか?」
「私は八雲 紫、よろしくね」
「ウチは……って知ってるんですよね。何組の人かな」
「私は……そうね、PH組かしら。ウフフ……」
………こいつ、おかしい。
だが、この容姿……媚びてなおエロく、もしかしたら売れるかもしれない。
タイトルは……撮ってから考えよう。
「カメラは撮らせないわ」
ッ!?なぜバレた。
鉄人から守り切った唯一無二の俺のカメラが……なぜ。
………俺のカメラは二台用意してある。
だが、緊急用。
めったに使わないからフォルダも空。
説明が遅れてすまない。
「長話もなんですし、そろそろお別れの時間。また会いましょう」
「「「………?」」」
ニョオオン(紫がスキマを使う音)
「「「………へ?」」」
………ッ!
「「キャアアアアアア!!!」」
ニョオオン(スキマ閉ざす音)
「………貴様何をした」
何が起きたか分からない。
だがこの女、想像以上にヤバイのは確か。
一瞬で姫路と島田をどこかへ送ったようだ。
もしや明久たちもあいつに……。
「さすがにムッツリーニ君は素直に入ってくれないか……」
「………二人ともう二人はどこだ(シャキ)」
「あら、レディに刃物は向けちゃだめよ」
チラッ
「………ッ!」
「スキあり~」
ニョオオン
「……ッ!!しま――」
「行ってらっしゃ~い」
――――☆――――☆――――☆
ワシは木下秀吉じゃ。
結局、ワシ一人になってしまった。
あやつらはなにをしておるのやら……。
「入るわよ!」
戸を勢いよく開けると同時に威勢のいい声が聞こえた。
この声は……!
「姉上!?」
なんとそこにいたのはワシの姉上の木下優子だった。
姉上はワシとは違いAクラスなはずじゃが……何のようじゃろうか。
「秀吉、ここの代表はいる?」
「坂本なら今は留守じゃが?」
「ええ? 隠してないでしょうね!」
血のつながった姉弟というのにワシは信用されとらんのぉ。
まあ、慣れたの。
「ホントじゃ姉上」
「それじゃどこにいったか教えてくれる?」
「坂本なら自動販売機で明久を探しに出かけたが……」
「ならあんたも来なさい」
「承知した。ワシも探したいところだったからの」
「探しに……って、まさか行方不明?」
「まぁそんなところじゃ」
「なら尚更ついてこさせないとね」
「じゃからわしも行くと――」
「行くわよ、秀吉!」
全く……姉上は自分勝手というかなんというか……。
うまく見つかればよいのじゃが……なんだか、ここには当分戻ってこられない気がする。
ワシの考えすぎじゃろうか。
「ところで、なぜ姉上はワシを誘ったのじゃ?」
普段は「出来の悪い愚弟なんかと一緒にいたくない」とか言うのに。
「何だか、変なのよ」
「変……とな?」
「私が秀吉を訪ねる前にね――」
そういうと姉上はその理由を歩く足を止めずに、語り始めた。
――――☆――――☆――――☆
「代表遅いわね~」
いきなりだけど、私木下優子の回想に入るわよ。
「そうだね」
隣にいるのは工藤愛子といって、どこかのバカクラスのエロい人のライバルだそうよ。
ま、私は別に嫌いではないわ。
「僕が様子を見に行こうか?」
「お願いするわ」
ちなみに性格はスタイリッシュ、一人称は「僕」と少し変わった女子なのよね。
「それじゃ、先に食べちゃってていいからね」
「うん……」
そう言うと愛子は教室のドアを開け、廊下へ代表たちを探しに出かけた。
代表ったら、坂本のとこに行ったと思ったらそのまま帰ってこないままだなんて。
メールしても返事も返ってこないし……。
「一人で食べると、味が欠けるわね……」
パクッ
「なるほどのう」
「そして愛子も帰ってこないまま、というわけ」
回想が終わり、またワシサイドになるのじゃが……コロコロ替わりすぎではないかの。
そんなことを思っているとワシたちは目的の自動販売機にいた。
「代表たちはここに?」
「たぶんじゃがな」
「愛子もここにいればいいんだけど……」
今回の明久たちは心配かけすぎじゃ、悪ふざけもいい加減にやめてほしいものじゃ。
「木下姉妹ね」
小さな不満を思っておると後ろから誰かの声が聞こえた。
「ん、お主は誰かの?」
「見たことないわね……」
「私は八雲 紫よ、以後お見知り置きを」
「ちょうどよかった。ワシたちは明久たちを探しておるのじゃが……」
「それと、緑色の髪をした人が見かけませんでしたか?」
緑色の頭髪をしておるのは工藤愛子のことじゃな。
ワシもあまり見たことはないのじゃが……。
「ウフフ……えぇ知っていますわ」
「ホント!?」
「今から連れて行ってあげますわ」
「それはかたじけない」
「あなた、面白い喋り方をするのね」
「この喋り方ばかりは仕方ないのじゃ……」
「そう、ではあなたたちがたぶん最後の迷い人――」
「「ん?」」
「――いざゆかん、幻想の地へ!!」
ニョオオン
「んな……!」
「ええええ!?なにこれ……!!」
ワシはよく分からない状況の中、必死に姉上から離れないようにしたかった。
「姉上えェェ!!」
「秀吉ィ!!!」
もう少しで繋げそうなのじゃがワシも姉上も必死に腕を伸ばし互いの手をつかもうとする。
が、ワシたちはそのまま意識不明になってしまった。
「……これで準備終了ね」
「紫様」
「あら、藍」
「探しましたよ~紫様。何だかあちこちの幻想郷で何名か落ちてきたとの報告がありましたので紫様の仕業かと」
「何のことかしら?」
「とぼけても無駄です。すでに二名ほどスキマ送りにしたとこ見ましたよ」
「ウフフ……藍、帰りましょうか」
「分かりました」
果たして、八雲紫の狙いとは、そして幻想郷という謎の場所に連れて行かれた明久たちの運命は!?