バカと霊夢と幻想郷   作:こきゅー

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バカテスト 幻想郷

第11問 国語

問:次の幻想郷の住民の能力名を答えなさい。またどういった能力なのか簡単に説明しなさい。

蓬莱山 輝夜


輝夜「永遠と須臾を操る程度の能力」「永遠とは不滅、つまり何も変わらない時間。須臾とは幻、つまり誰も気付かない隙間のことよ」

教師のコメント:能力名は正解ですが、解説が少し偏ってますね……ですが内容としてはあっていますので正解にしましょう。


永琳「永遠に須臾に引き篭もる程度の能力」「親を泣かせる程度の効果を発揮させます」

教師のコメント:えっと、つまりどういう意味でしょうか。解答としましては不正解です……八意さんは私の中では真面目な方だと思っていましたが。


鈴仙「ニートを操る(自分に)程度の能力」「主に外に出ない引き篭もりです」

教師のコメント:あ……(察し)


てゐ「寝る程度の能力」「寝る」

教師のコメント:せめてもう少し捻ってくれませんか……教師としてもなるべくバツはつけたくありませんので。


妹紅「永遠にサンドバックとして操れる程度の能力」「一回殺すごとに殺意はどんどん増す不思議な能力」

教師のコメント:確かに彼女は不死身ですが、問題の趣旨とはズレていますので間違いということで。


優子「永遠と憎まれる程度の能力」「この能力は取得者自身の身を滅ぼす能力である。何故なら彼女は過去に大罪を犯したから」

教師のコメント:私はそんな人生歩みたくありませんね。


第三問

ここまで得た情報を順番に軽く思い出しましょう。

 

・小さな女の子が父親と仲良く過ごす日常

・その女の子がどこかの山で悲しそうに泣いていた

・その少女は荷物をあさるとどこか悲哀を漂わせ消えていった

 

ここで頭痛が治まったが、再び頭痛がアタシを襲う。

そこで浮かんだ景色は……。

 

・全身が傷だらけのまま一人孤独そうな女性

 

その容姿はまるで藤原妹紅、いえ、そのものだった。

 

「あれはただの夢なんかじゃなさそうね」

 

こんなどこのシチュエーションか分からないけど実際に起こるなんてね……アタシもとんでもないのに巻き込まれちゃったわ。

 

「………あれ?」

 

ずっとアタシを苦しめた原因は大体理解した。

でも、それじゃあ目の前にいたあの女の子は……?

 

「無関係なはずはない。本人に直接聞いて――!!?」

 

差し詰め私のような一般人が集中して思考を巡らせたところで詰っている。

そこで妹紅さんを探そうとふと床に不自然に転がっている皿を見つけた。

その周辺を見渡すと、そこには倒れている妹紅さんの姿があった。

 

「妹紅さん!!!」

 

アタシは慌てて妹紅さんの傍に駆け寄った。

すると彼女はわずかながら息をしている。

 

「しっかり! 妹紅さん!!」

 

彼女は自分の口で死なないと言っていた。

なら、まずは死人ではないはず。

とにかく意識をはっきりさせないと!

 

「大丈夫!? 妹紅さんッ!」

 

アタシは必死に声をかけた。

目を開かせるまで必死に声を出し続けた。

 

「……………ぅ」

 

「妹紅さん!!?」

 

あれから数十分ずっと妹紅さんの傍にいた。

願いが通じたのか妹紅さんはわずかに意識を回復する。

 

「良かった、無事で」

 

「あた……り………ま……え…………」

 

「ちょっと、どうしたのよ!」

 

………様子がおかしい。

瞼は僅かの隙間しか開かずにいた。

話す言葉もどこか拙くている。

 

「……舌が………痺れて…………多分、それが……………」

 

妹紅さんはゆっくりと自分の舌を動かし、アタシに伝える。

指を指す方向に、先ほど見た転げまわった後がある皿があった。

 

「あれがどうしたの!?」

 

「………すまないが、私を……ベッドに……運んでくれないか?」

 

「ええ、任せなさい!」

 

アタシは妹紅さんに言われた通り近くのベッドまで運んだ。

 

「ありがと……ゆっくり寝てればその内再生するから……心配するな」

 

「………能力ってやつ?」

 

妹紅さんは舌の痺れが治まったらしくいつも通りとはいかないけど、それなりに喋ることが出来た。

多分その舌も能力で回復させたものと思った。

 

「そうだな……私は不老不死だが、痛覚はあるんだ。だから無敵とは違う」

 

「だからそんなボロボロに……何があったのよ」

 

「あぁ……私は朝早く木下の弟を探しに出かけたんだ。その時お前はまだ寝てた」

 

「………そうね」

 

多分、悪夢を見始めた頃じゃないかしら。

 

「そして昼過ぎに一旦飯を食べに戻ったんだ」

 

「秀吉は?」

 

「すまない、まだ……」

 

「そう………」

 

「……話を続けるよ。そこで昼飯を作ろうとしたら来客が訪れたんだ。私はお腹が空いていた」

 

「その来客って?」

 

「私の知り合いの月兎と……確か姫路って名乗ってたな」

 

「姫路さん!?」

 

ちょっと待って! なんでそこで彼女の名前が挙がってくるのよ!

姫路さんもこっちに来てるってこと? そんな……秀吉と私だけじゃないの?

 

「……そういや同じ制服だな、すまない……気付かなかったよ」

 

「い、いえ……誰かと一緒ならいいわ。安全が保障されているならそれで」

 

「そっか……そして、彼女たちと別れたあと、私は姫路から余った飯を貰いそれを一気に食った」

 

「それで?」

 

「それからだ、私は急に眩暈、舌の痺れ、意識が遠のくのを感じた。」

 

「毒でも盛られた……?」

 

いや、でも姫路さんがそんなことをするわけがない。

となると、その一緒にいた奴が怪しいわ。

姫路さんが危ない!

 

「多分な、でも安心しろ。あの月兎――鈴仙はそんなことをするやつじゃない」

 

「じゃあ誰が? いっとくけど、姫路さんも同じだからね」

 

「アイツとはもう何百年と殺し合いを続けてる……アイツしかいない」

 

「ちょ、殺し合い!? 何物騒なことを言って――」

 

妹紅さんの口から出た「殺し合い」という言葉にアタシは聞いた瞬間、夢で会った少女の言葉を思い出した。

 

 

『隙だらけじゃない、あんた、真面目にコロシアイするつもりあるの?』

 

 

あの夢の中で会った着物が似合う今時の女の子ではない。

そしてアタシの目の前にいる不老不死の女。

もしあの夢の女性が今も生きているならその人は……。

 

「アイツの名前はか――

 

「輝夜……でしょ?」

 

「え?」

 

どんぴしゃだった。

アタシがあの時聞いた名前を口にすると妹紅さんは凄く驚いた表情をした。

 

「私は、お前に輝夜のことを教えていない、なぜ知ってる」

 

次に彼女は険しい表情でアタシを見つめる。

 

「夢で見たのよ……輝夜っていう人がアタシを殺す夢をね」

 

「…………夢か、そうか」

 

アタシの馬鹿馬鹿しい話を妹紅さんはまるっきり信じてしまった。

 

「あれ、疑わないの?」

 

「夢なんだろ? あのとき木下はうなされてたし、そうなんだなって思っただけだ」

 

「……信じてくれて、ありがと」

 

「信じるも何も、木下は私に嘘をついたことがないじゃないか」

 

「それは……そうだけど」

 

そんな根拠でこんな話を……?

 

「さて、話を戻すか。多分毒を盛ったのはその輝夜で間違いないだろう。あと数分すれば完治する。そうすれば私は輝夜を殺してくる」

 

「ちょ、待ってよ! 殺し合いって……しかも何百年も!?」

 

そんなのって……おかしいじゃない。

そんな人生って……あまりにも惨めで酷くて……悲しいじゃない。

 

「……どうやら、勘違いしてる木下にはその誤解を解くために話さないといけないようだな」

 

そういうと妹紅さんはベッドからむくりと起き上がり、アタシの方へと向けて座った。

 

 

「まず初めに言うぞ、私と輝夜は殺し合いをしてるが、私は死なないんだぜ?」

 

「それはそうだけど、ってあれ? じゃあ輝夜っていう方は?」

 

「輝夜も私と同じ、不老不死みたいなもんだよ」

 

この世界には二人も死なない人種がいるのね……頭痛くなってきた。

 

「だが私は元々は不老不死じゃなかった」

 

「なんですって?」

 

妹紅さんは幻想郷の話をしたときの中に、様々な能力を持つ神や妖、人などが住むと言った。

そのほとんどは生まれついての能力だと妹紅さんは話してくれた。

 

「つまり、妹紅さんはイレギュラーな存在なの?」

 

「どちらかっていうとそうなるな。まぁ、重要なのはそこじゃない」

 

「というと?」

 

「私がどうやってこの力を手に入れたか……そして、どんな人生だったのか」

 

「着目すべき点はそこということね……でも妹紅さんはあまり自分の過去を話したくないって」

 

「いや、さらっと私が口を滑らすだけさ。木下の耳に偶然入っちまったってことで」

 

「それで、妹紅さんがいいなら……アタシは構わないけど」

 

アタシは妹紅さんの気持ちを汲み取り、そのまま話を聞き続けることにした。

 

「私は、ごく普通の家庭で生まれた一人の少女だった。裕福ではなかったが、父は私をとても可愛がってくれた。だけど、私の父親は突然姿を消した。父は私の唯一の希望だった、そんな父がいなくなった原因を私は私なりに調べ上げた。父に関与していた人物を徹底的にね。そこに輝夜という女性が目に留まった。だが、そいつはもういないことを知った。私は悟ったよ、そいつが私の父をやったんだって」

 

「…………」

 

思わず目を閉じてしまいそうな、視線を逸らしてしまいそうな内容をアタシは真っ直ぐ聞いた。

 

「輝夜が姿を消す前に残したという大切なモノを私は復讐のために盗む計画を立てた。だが、それを輝夜の仲間が捨てると言い出した。慌てた私はそいつらの後を追いかけ、隙を見て奪ってやろうとした。だが、そこで誤算が起きた……そいつらはとある山の山頂までやってくると誰かと待ち合わせしていたらしく話していた。今なら油断もしているし、相手も数人だから行けると思った。そこで私は聞いたんだ、この大切なモノは人を不老不死にさせる薬だったと」

 

彼女の長話に真剣に耳を傾ける。

 

「そんな薬があったなんて……」

 

「その薬の名前は『蓬莱の薬』、私はその二人の尾行したが、妙な違和感に襲われた」

 

「違和感?」

 

「さっき話した二人以外誰もいなくなっていたんだ」

 

「どういうこと?」

 

「さぁ、私には関係なかったからな」

 

妹紅さんが若干声を尖らせ答えた。

そう返答するのも当たり前か、憎い相手がどうなろうと妹紅さんには寧ろ好都合だし。

 

「ごめんなさい、話を続けて」

 

「ああ。そこで臆病風にでも吹かれたか下山し始めたんだ。私はチャンスだと思って……」

 

そこで妹紅さんは苦い表情を浮かべた。

口もそこで固まったかのように閉じてしまう。

それから読み取れるように汗が一滴床に落ちる。

 

「………妹紅さん、もういいですよ」

 

「木下? いや、まだ私の独り言は終わってない」

 

私は罪悪感に包まれた。

ただの興味本位で聞くもんではなかった。

 

「そんな辛い過去だったなんて思いもしませんでした。後はアタシが見た夢で勝手に想像してるわ」

 

私には長く感じた。

その長時間とも思える間、ゆっくりと妹紅さんの口が動く。

 

「…………すまないな」

 

「いいのよ。妹紅さんは何も悪くない」

 

妹紅さんの話と夢で見た映像と妙に一致していることに感づいたアタシは話を止めさせる。

 

幼かったあの少女は今の妹紅さんの封印したい過去。

 

山で見た少女の服装が少し貧相な格好となっていたのは悲惨な人生を歩んでいたから。

 

「………体はもう平気?」

 

アタシはムードを変えるため、そして話を終わらせるために話題を変える。

 

「あ、あぁ……おかげさまでな」

 

「良かった、今日はそのまま横になってたら?」

 

「いや、心配いらないよ。ちょっと輝夜を殺してくる」

 

「いやいやいや! どうしてよ!」

 

アタシは妹紅さんは輝夜に人生を壊されたと認識してる。

輝夜は妹紅さんの親の仇……だからといってどうして……死なない相手を殺すなんて。

 

「木下の気遣いは嬉しい。だからこそもう一度話を続けさせてくれ」

 

思わぬ発言にアタシは動揺を隠せなかった。

おそらく顔にも思いっきり出ているだろう。

だけど、妹紅さんの顔を見てるときっとそこに何かあるのだろうと察することにした。

 

「……………えぇ、分かったわ」

 

「ありがとう」

 

妹紅さんは一言礼を述べると話を再開させた。

 

「私はそこで蓬莱の薬を飲んだ。すると村の皆は年をとることもない私を化け物扱いするようになった。もうここにはいられないと思った私は旅に出た」

 

「妹紅さん……」と思わず声をかけ、やめさせようとするがぐっと耐える。

 

「そこで色んなものを見たり、感じたりして来た。そしたら何百年も月日が流れてた……」

 

妹紅さんはどこか憂い顔をしながら窓の方へと向けた。

 

「……それで、気がついたらこの地にいたって訳だ」

 

「つまり、妹紅さんも昔は日本に住んでいた」

 

「そうだな……」

 

ゆっくりと息を吐きながら微笑む妹紅さんの様子を見ていると釣られて私もニコっとしてしまう。

 

「私は疲れ、この迷いの竹林で密かに暮らそうと思った。ここなら邪魔されずにすむから。同時に妖怪をよく退治する機会が増えた。これも旅の知恵だな」

 

「妖怪とまともにやれるなんて凄いじゃない」

 

「人間では私とここの巫女ぐらいだったからな……偶に人里の連中に依頼されることもあったよ」

 

ハハっと笑う妹紅さんを見てると、悪いことばかりじゃなかったんだなと考えを改め直しようと思えてくる。

 

「でもそれも飽きが来たんだ。毎日毎日同じことの繰り返しでな、つまらなかった」

 

なるほど、夢で見た全身傷だらけだったのは多分妖怪退治に疲れが見えてきたからなのかしらね。

でも、その時の妹紅さんの悲しげな感情は伝わってこなかった。

 

いや、あの頃の妹紅さんは無表情だったのかもしれない。

 

「それから私は何百年と時を無駄に過ごした。輝夜にはもう会えないとどこかで分かってたのかもな」

 

「でも、今アナタは輝夜と会っている」

 

「そう、私も驚いた……ふとここいらを散歩しているときだった」

 

話している途中で妹紅さんは急にベッドの上に立ち上がり大声で叫んだ。

 

「輝夜が! あのクソ輝夜が私の前に現れたんだよ!!」

 

思わずびくっとしてしまうアタシを無視し、妹紅さんはそのままのテンションで話を続けた。

 

「私も思わず二度見しちまったよ、輝夜があの頃から少ししか変わってなかったんだからなァ! 私は感極まって殺そうとしたんだ」

 

「容赦ないのね……無理もないけど」

 

「クソも一人だったからな! 絶好の機会だと思ったよ! 私はまずは頭蓋骨を割ってやった!」

 

「それって、即死――あ、死なないんだったわよね」

 

だとすると一体どんな姿になってるんだろ……

アタシはこれ以上は想像しないことにした、なんかグロそうだったし。

 

「輝夜は『あら、酷いことするじゃない。妹紅さん?』って呑気に言いやがったんだ。私は嬉しかった」

 

ここでふと冷静に疑問が浮かび上がる。

殺したい相手を殺そうとしてなぜ殺せないことに喜びを抱くのか。

 

「ねえ妹紅さん、なんで殺せないのに嬉しかったの?」

 

「そんなの決まってるさ――」

 

妹紅さんは上からアタシを見下すような体制で見ながら嬉しそうにこう言った。

 

 

「だって、ずっとアイツを殺せるんだよ? 何回でも何十回でも何百回でも!!」




バカテストも久しぶりな気がします(汗

今日は23日ですね……明日は平日かー(遠い目)

追伸:予約投稿していたのですが日付が24日に設定していて投稿が遅れたのは内緒。
すいませんでした(汗
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