バカと霊夢と幻想郷   作:こきゅー

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バカテスト国語

第一問:次の漢字の読みを答えなさい。

⑨:老婆



姫路「ろうば」


教師のコメント:正解です。
簡単すぎでしょうか?


土屋「興味がない」


教師のコメント:私もです。ですが耐えましょう。


霊夢「ノーコメント」


教師のコメント:彼女に何があったのですか。


吉井「ババァ」


教師のコメント:♯♯この解答はスキマ送りにされました♯♯


僕と人里と魔法使い

僕と霊夢はほんのちょっと前に博麗神社から出て、今はみんなと集合すべく人里という場所に歩いているところだ。

歩いている最中の道は木々が日光の邪魔をしているのか少し暗い。

それが原因なのかたまに僕たちを……多分いつもは襲うはずなんだけど霊夢がいると分かるとビビって出て来れないみたい。

 

「ねえ霊夢」

 

「なにかしら?」

 

「どうやって霊夢は妖怪退治とかしてるわけ? 肉体的だと不利なんじゃ……」

 

「なに言ってるのよ。私はそこらへんの雑魚なら一瞬で終わらせるわよ?」

 

信じられない……。

でも、鬼を一枚のカードで倒してたし……この人意外とすごい人物だったりするのかも。

 

「ちなみにただ殴るとかじゃないわよ? さっきあんたも見てたあれで退治するのよ」

 

「えっと……断末魔の滑るカードだっけ?」

 

「……弾幕のスペルカードね」

 

あれ、そうだっけ?

 

「あれは遊びに使ったり本格的な殺し合いにも使うし、まぁ、もし明久が一人の時誰か挑んできたら断っとけばいいのよ」

 

「当たり前だよ!」

 

萃香の二の舞にされるのはご免だよ。

こうやって喋りながら進んでいくと少しだけここのことが分かっていく。

この幻想郷はこっちの世界で忘れられた妖怪や物が来るらしい。

 

「……ッ!」

 

「……え?」

 

突然霊夢が何かを感じたかのように急に止まった。

 

「一応……警戒しとかないとね……」

 

気がつくと目の前の草むらが揺れている。

まさか……妖怪!?

 

「わはー」

 

「ッ!!!」

 

でたぁあ゛ああああ!!

……ってあれ? また……女の子だ。

 

「ルーミア……なにしてるの?」

 

霊夢がその娘に話しかける。

なるほど、この頭にリボンを付け、黒い服を着てる金髪の女の子はルーミアって言うのか。

 

「ただ通りかかっただけなのかー」

 

「そーなのかー」

 

「明久、移ってる」

 

「あなたは食べられる人間?」

 

殺気ッ!!

 

「ダメよ、明久は美味しくないわ」

 

「そーなのかー」

 

ていうかなんなのこの子、食べるって……まさかね。

 

「明久、ルーミアなら大丈夫だから私の後ろに隠れないで。動きづらい」

 

「あ、ごめん。へぇ~……僕は吉井 明久」

 

「ルーミアなのかー」

 

「いや、聞かれても分からない」

 

「ルーミアはこういう奴なのよ。じゃあね。無闇に私の客を襲わないようにね」

 

「分かったのかー」

 

私の客って……霊夢腹黒いよ。

 

途中でルーミアという子と遭遇したけど、僕たちは無事人里までたどり着けた。

 

「ここが人里よ。その名の通り此処には妖怪は入らせないよう、人間がのんびり暮らす場所よ」

 

人里をずらりと見渡すとまるで映画の撮影かなにかと思うような歴史風景が映った。

すごい……僕は今、本当に別世界にいるんだな……。

 

「おぉ、これはこれは博麗の巫女殿じゃないですか」

 

「あら、村長さん。こんにちは」

 

感動に浸っていると、一人の老人が僕らに手を挙げてゆっくりと歩いてやってきた。

 

「こんにちは。今日はどのようなご用件で?」

 

霊夢と村長さんの会話を聞くあたりかなり友好関係を保っているみたいだね。

 

「今日はお米券を換えるのとこの人を慧音のとこに頼もうかと思って」

 

「ほほぉ……ちょっと失礼」

 

村長さんも歳なんだな……まぁ、こんな村長さんでもこんなにも美しく、綺麗なとこなら大丈夫だよね。

 

「これでしたら三丁目の幸子婆さんのところで換えてくれるはずです」

 

「そう、ありがと。んじゃ行くわよ明久」

 

「え? あぁ、うん。それじゃあ失礼します、村長さん」

 

「はい、気をつけて」

 

僕は村長さんにお別れの挨拶をしてまずはお米券を換えに行った。

 

「はて、あの人……見たことないですな……巫女殿の彼氏でしょうか。グフフ」

 

「う~ん……」

 

周りを見渡すと子供達は元気に外で遊ぶ光景が見え、大人達も何だか楽しそうに働いている。

こっちといえば世間では経済がどうとか、外国との友好関係がどうとかで毎日が非常につまらない。

まるで、僕たちのなにか失った大事な事を思い出させてくれるようだ。

あ、だから幻想郷なんだね。

 

「こんにちは。幸子さんいるかしら?」

 

いつの間にか僕たちはお米券を換えてくれる店に着いていた。

 

「あ、巫女様。分かりました、すぐお呼びします」

 

店先にいたのは若い娘のようで真面目に働いていた。

バイトか何かだろうか……。

店の奥で「お婆ちゃーん!」と呼ぶ声がこっちにも漏れて聞こえる。

その声に応じるようにゆっくりと僕らの前に姿を現した。

 

「ハイハイ、おぉこれはこれは巫女様。今日はどのようなご用件で?」

 

「悪いわねわざわざ、実はこのお米券を――」

 

霊夢がお米券を1合のお米と換えてもらっていると近所では子供達がこちらを見たり遊んでいたりする。

 

『おぉあれが巫女ってやつか、オラ始めてみた』

 

『たまに来てくれて里を守ってくれるんだぞ』

 

『やきそばだよ! もっかい買ってこい!』

 

『まけ~てくやしいはないちもんめ~』

 

『\(◎)/<カッコヨイダロー』

 

霊夢を珍しがったり変なマスクをつけて遊んでいる子供たちとかいろいろだ。

 

『あなたを、犯人です』

 

『犯人はヤス!』

 

『そんなこと(刑事ごっこ)よりおうどん食べたい』

 

……ツッコんだら負けだ。

そう言い聞かせよう。

 

「あぁ巫女様、このお米券は去年までですたい」

 

「なん……だと?」

 

あ、そろそろ話しがつく頃かな。

 

「霊夢終わった?」

 

「えぇ……いろんな意味で」

 

「明久……行くわよ」

 

霊夢が僕を呼ぶ声が聞こえる。

だけどその表情はどこか沈んで見え、まるで死人のような形相だった。

そういえば霊夢が本来持っているはずのあれがない……聞いてみよう。

 

「あれ、霊夢、米は――」

 

「………」

 

殺気ッ!!

 

「うんわかった~」

 

――換えられなかったんだね。

 

「あとで紫しばく」

 

おおこわいこわい。

 

「ていうか今更なんだけど……明久って私んとこいる? それとも慧音のとこにいる?」

 

「え? そりゃ人里で集合なんだから人里で適当に暇をつぶしておくよ。それに霊夢も生活苦しいんでしょ? だったら無理せず慧音さんのとこに預けてくれれば僕はそっちで頑張るよ」

 

「決まりね。それじゃ寺子屋に行くわよ」

 

「え゛」

 

「ん、どうしたの?」

 

もしかしてその慧音さんって先生か何かなのかな?

……なぜだろう、僕の中で危険信号が。

 

「その……僕休養思い出したから――」

 

「焦りすぎて字が違うし逃がさないわよ」

 

寺子屋と言うと学校でしょ? 勉強やだなぁ……。

 

「なんで逃げたか分からないけど行くわ――」

 

――とその時。

 

 

『きゃあああああああああああああああ!!!』

 

「なに今の!?悲鳴!?」

 

「行くわよ!」

 

さっきまでしょんぼりしていた霊夢は真顔で異変の解決へと急ぐ。

霊夢は低空飛行で走るより速く、最も早く悲鳴が聞こえるところへ全速力で向かった。

 

僕と霊夢は謎の悲鳴の元へと急いだ。

……なんだろ、嫌な予感がする。

 

「着いたわ!」

 

霊夢は僕から小さく見えるほど先に行っていた。

 

「あれは……狼?」

 

少しして僕はへとへとの状態で霊夢に追いついた。

 

「ふぅ、霊夢、早すぎr――」

 

僕の目の前に凄く凶暴そうな狼がいるんですけど!?

 

「ただの狼じゃないわね……妖力を感じる」

 

コレが……妖怪?

 

「明久!?危ないわ! 私の前に出ないで!!」

 

しまった!!目の前の状況に気を取られていて霊夢に言われるまで気づけなかった。

 

「……どうやら迷い込んできたみたいね」

 

僕は霊夢の後ろへと避難した。

他の人は家の中に隠れたり僕らをこっそり見ていたりしていた。

 

「下手に刺激を与えない方がいいわね……さ、狼さん、アナタの帰り道はあっちよ」

 

霊夢は札やらカードを出していつ襲ってきても迎え撃つように構えている。

しかし、場所が場所だけにか霊夢はそれを使う気配はない。

目の前の妖怪をなるべく被害を出さずに済ませようとしているみたいだ。

 

「ガルルルルル」

 

しかし狼の方は完全に頭に血が上っているらしく霊夢の声が聞こえない。

 

「全く、面倒ねぇ……早く帰りなさい。慧音はいないのかしら……」

 

こんな状況でも余裕と言うところか他のことまで考えられるようだ。

 

「ガルルルルル!!」

 

「ハァ……帰るつもりがないのなら実力行使ね!」

 

霊夢が大きい声で妖怪に宣戦布告する。

それと同時に――

 

『キャアアアアアアア!!』

 

「ッ!?またひめ――」

 

「ガルゥ!!」

 

悲鳴を合図と思うかのように妖怪は霊夢を襲い始めた。

 

『だ、誰か助けてぇー!!』

 

まずい、妖怪はこれだけではなかったらしい。

霊夢のとこに三匹、そしてもう一匹が女の子を狙っている。

霊夢は不意の攻撃にも冷静に対処しているがこのままでは……!

 

「……うぉぉおおおおおおおお!!!!」

 

「「!!?」」

 

霊夢……せっかくの拾ってもらった命をここで捨ててしまうかもしれない……。

 

「明久!!……っく!」

 

「その子から離れろぉぉおおおお!!」

 

「ッ!?」

 

僕は必死に危険な状態の子供を守ろうとした。

霊夢が無理なら僕が行かなきゃあの子供は殺されてしまう!!

せめて時間稼ぎにしてくれ……!

 

「ガルルルルル……」

 

僕はその子の前にでて両手を広げ必死に庇った。

そんな僕を見て妖怪は低く唸っていて動く気配を見せない。

っふ、こんな僕相手に警戒してくれるとはなんてありがたいんだ。

しかしそんな呑気な事は言ってられない。

今はこの子の安全を第一に行動を起こすべきだ。

 

「この子に手を出すなら僕を殺せよ」

 

「ガルゥ……」

 

よし、挑発にのったみたいだ。

妖怪の表情が険しく変化する。

 

「ッチ、霊符『夢想封印』!!」

 

「「「キャウン!!」」」

 

「三匹退治完了! 明久今行――」

 

「ガルルルルル!!ガウ!!」

 

ヤバい……妖怪が僕に攻撃を入れようと突っ込んできた。

霊夢は……あ、こっちに助けに来てくれてるけど間に合わないね。

 

「ッ!!」

 

僕は思わず恐怖のあまり目を閉じてしまった。

コレでいつ来ても驚かないよね……。

 

「明久ァ!!」

 

霊夢の木霊が僕の脳に深く刻まれた同時に僕は最期を覚悟した。

 

 

 

「恋符『マスタースパーク』!!」

 

「………え?」

 

気づくと目の前には七色で綺麗な光線みたいなのが妖怪に向けて放たれていた。

 

「お前ら大丈夫か?」

 

「魔理沙!!」

 

遅れて霊夢がやってきた。

霊夢は魔法使いのような格好をした少女を見てすごく驚いているようだ。

 

「ん? よぉ霊夢!」

 

「よぉ、じゃないわよ……明久たち大丈夫?」

 

「う、うん……一応……あ! 君、大丈夫!?」

 

僕は慌てて後ろの子に話しかけたがかなり怖かったらしく顔を伏せている。

 

「もう大丈夫だよ」

 

「ッ! その声……バカなお兄ちゃん?」

 

バカな……お兄ちゃん?

その馴染みのある声に思わず反応する。

 

「その声……葉月ちゃん?」

 

「バカなお兄ちゃんだ!!やったー! やっぱりバカなお兄ちゃんだーッ!」

 

お互い顔を見合わせると、葉月ちゃんは僕だと分かった途端胸に飛び付いてきた。

それをしっかりと両手でしゃがんで受け止める。

そして、今まで我慢していたのか葉月ちゃんの目からは少量の涙がこぼれていた。

バカバカ言わないで……と葉月ちゃんに言っても仕方ないんだよね……。

 

「バカな人間怪我はないか?」

 

「バカバカ言わないで!」

 

「悪かったぜ。折角の再会の邪魔しちゃ悪かったが私は大魔法使いの霧雨 魔理沙だ。魔理沙と呼んでくれ」

 

「分かった、魔理沙お姉ちゃん!」

 

落ち着きを取り戻したのか、葉月ちゃんが魔理沙と呼ばれる魔法使いに笑顔で返事をした。

 

「こいつ……結構かわいいじゃないか」

 

「僕は吉井 明久。それより、美波はいないの?」

 

そう、助けてもらっておいてなんだけど僕は葉月ちゃんが一人でいることに無視することはできなかった。

本来葉月ちゃんには上のお姉ちゃんがいる。

僕も知ってる――美波の姿がどこにも見えないんだ。

 

「それが……お姉ちゃんは……まだ……グスン」

 

「あ、泣かないで!!きっとすぐに見つかるよ!」

 

「本当ですか?」

 

「うん、約束する」

 

僕は葉月ちゃんに小指を立てる。

それに応ずるように向こうも小指を出して、僕らは指きりげんまんをした。

 

「……うん! 約束です!」

 

葉月ちゃんも小指を出し指切りげんまんをした。

 

「よし、それじゃ頑張って探そっか」

 

「……」

 

ん?葉月ちゃん?

 

「……zzz」

 

あ、なんだ。

疲れて安心したのかな……スヤスヤ寝ちゃった。

 

「私たち空気よね」

 

「仕方ないさ」

 

とりあえず眠った葉月ちゃんをおんぶして運ぶとしよう。

よいしょっと、よし。

後は……あの魔法使いさんに話を聞かないと。

 

「さっきは魔理沙のおかげかな?」

 

「ん、あぁ気にしなくていいぜ。偶々賑やかだったもんで来てみたら人が妖怪に襲われてた、と言うわけ」

 

「そうだったのね……明久も明久よ! 無茶しちゃって……」

 

「ご、ごめん……」

 

「まぁ、少し見直したわ」

 

「アハハ……」

 

新しい人に出会って葉月ちゃんを無事に見つけられて良かった。

でもまだまだ先は見えそうにないな……まだ霧島さんが見つかっていないからね。

それにしても一体何人がこっちに連れてこられたのかな……。

 

「それじゃ私は用があるから帰るぜ」

 

そう言って魔理沙は浮いている箒にまたがり飛び去る準備をする。

 

「うん、分かった。助けてくれてほんとにありがとう」

 

「よせやいテレるじゃねえか///」

 

恥ずかしさのあまり帽子で目を隠す仕草を見せる。

 

「それじゃ寺子屋に向かいましょうか」

 

「あ、うん……じゃあね魔理沙!」

 

「おう! じゃあな!」

 

魔理沙は魔法使いらしく帰っていく。

僕は手を振ろうとしたけど葉月ちゃんを背負っているため手を離せない。

代わりにお礼を込めて頭を下げることにした。

 

「さて、一人増えちゃったけど寺子屋に向かいましょうか。多分留守だろうけど」

 

「そうだね、それにしてもどうして葉月ちゃんまでがこっちに連れてこられたのかな?」

 

「そうね……紫にしては少し危ないことするわね……多分誰かと一緒に来ていたんじゃないかしら。それではぐれて……」

 

「……霊夢って何でも知ってそうだよね」

 

「そりゃ巫女だもん」

 

霊夢は当然といったように威張りながら話してくれた。

 

「……そうだね」

 

僕は幻想郷に少しずつ慣れ始めたのを感じた。

 

 

 

――――☆――――☆――――☆

 

 

 

「あー……やっぱり……」

 

僕らはその後無事に目的地に着いたのだが目の前に看板が設置されておりこう書かれていた。

 

『寺子屋に用がある方へ。私、上白沢慧音は少し留守にします。御用のある方はしばらくお待ちください』

 

「いなかったわね……」

 

「そっか……」

 

僕と霊夢は顔を見合わせる。

正直あの妖怪との出来事で僕も早く休みたい。

 

「……いったん帰る? いつ帰ってるか分からないし……」

 

最初に口を開いたのは霊夢だった。

 

「そうだね……」

 

僕はその提案に乗っかることにした。

 

「明久疲れてるの?」

 

「べ、別に疲れているわけじゃないんだからね!」

 

「なにツンデレってるのよ。帰りは飛んで帰りましょうか」

 

あ、そういえば魔理沙や霊夢は浮いてた……というより飛べたっけ。

 

「うん、正直助かるけど……大丈夫?」

 

「なにが?」

 

「……重いかもよ?」

 

「なんだそんなこと。落っことすんじゃないかとか聞かれるかと思ったわ」

 

勿論それも不安の範疇にあります。

 

「私は巫女よ!!安心しなさい。ほらっ!」

 

そう言うと霊夢は僕に手を差し出してくれた。

 

「葉月ちゃんだっけ? 私が変わろうか?」

 

「あ、うん。ありがと」

 

僕は背負っていた葉月ちゃんを霊夢に預けた。

起きなちゃいいけど……。

 

「掴まったわね? それじゃ行くわよ!!」

 

「え! ちょっとま――」

 

「思いっっきり行くわよー!!」

 

……僕は今信じられないことが起きている。

今僕の視界には緑豊かなここ、幻想郷が一望できてしまっている。

まるで本当にどこまでも飛んでいってしまいそうで……このまま家に帰れるような気がして……。

 

「って!!高すぎるよ!!」

 

すぐ近くに空を感じるんですけど! え、なに? おじいちゃんのところに行くの僕!?

 

「ガミガミ言わないで、葉月ちゃんが起きるでしょ?」

 

「あ……うん……」

 

巫女って……人類の力を遙かに越えている気がするな。

 

 

 

「はい到着」

 

 

スタッ

 

 

ゴツン

 

 

「ヌグッ!」

 

イテテテテ……頭から着地なんてみっともない。

 

「萃香ーいるー?」

 

霊夢……少しは僕を助けて……。

 

「すい――」

 

「霊夢! 少しは僕にかまってよ! 頭からいったんですけど!」

 

「全く……静かにしなさいよね」

 

そう言うと霊夢は寝ている萃香に指を指して教えてくれた。

 

「あ……うん……」

 

何だか僕謝ってばっかりな気がするよ。

 

「しかしどうしようかな……あの狼食えたかな?」

 

それは色々と悪影響がでそう。

 

「まぁ二、三日なら持つから大丈夫よね。明久って料理作れる?」

 

「自慢じゃないけどできるよ」

 

「ならてきと~にあるもん使って作っといて。二人分」

 

「了解――ってちょっと待って! 葉月ちゃんの分も作るよ!」

 

「なにいってるのよ。材料が少ないから抜くのは明久の分に決まってるじゃない」

 

僕は三ツ星レストランのシェフじゃないからね!

仕方がない、無理やり三人分にしてやる! 僕の腕にかかればカップラーメン64分の1よりはマシなものが作れるはずだ!

霊夢はそう言うと背負っていた葉月ちゃんを布団のある部屋に連れて行き、戻ってくるとすぐさまコタツに入ってぬくぬくとしている。

今から晩御飯を作るとなると少し急がないと……。

 

「えっと……食材って何があるのかな?」

 

とりあえずタンスや冷蔵庫……なんてないよね。

昔はなんの道具にどうやって保存してたんだろ……まあ開けていけばそのうち見つかるかな。

 

「えっと……ここ……じゃない。こっちは……違う」

 

探しても探しても見つからない。

今から霊夢に聞くのもなんだし……もう少し探してみるか。

 

「あれは違う、これも違う……ん?」

 

これは……!

 

「明久ー私の煎餅食べようとしてるでしょー?」

 

なぜバレた!?この角度からじゃ見えないはずなのに!!

 

「巫女はナメたらばあかんのよ!」

 

な、なんか霊夢がおかしいんだけど……。

 

「……一枚くらい大丈夫だよね」

 

せんべいでも腹の足しには十分すぎるほどの栄養価を誇っている。

僕は四枚ある中の一枚だけ取って食べようとしよう。

 

「……頂きまーす」

 

 

パリッ……

 

 

「………………」

 

せんべいの音が沈黙の空気の中静かに神社で響かせる。

 

 

ざわ……ざわ……

 

 

「…………セーフか?」

 

 

「あァァきィィひィィさァァあああああああああ!!!!」

 

「ギャアアアアアア!!バレたァァあああああああ!!」

 

「またんかい! よくも私の煎餅を! ゴマ煎餅をォ!!」

 

僕は一目散にその場から離れた。

捕まったら殺される!

とにかく、やつの手の届かないところへ!

 

「私から逃げられると思うなよ……?」

 

ッげ!飛ぶとか卑怯だ!!

 

「落ち着け僕、この状況で逃げ切れる場所を探すんだ!」

 

「どこにいくんだァ!?」

 

僕は逃げるルートを確保しつつかろうじて外に逃げた。

 

「…………」

 

何とかあの危機から一時的に身の安全を確保出来た。

しかし夜の外はやっぱり寒い……。

 

「ミツケタ……ケタケタケタ……」

 

「霊夢……?」

 

霊夢らしきものが僕の目の前にいる。

目が正気じゃない!捕まったらほんとに殺されるなこれ。

 

「楽園ノ素敵ナ巫女カラ逃ゲラレルト思ウナヨ?」

 

後ろは妖怪がうようよいる道、前には殺人鬼が今日のディナーを捕まえようとしている。

 

「ここまでか……そうだ!」

 

「イマサラナニヲ……」

 

一か八か……試してみるしかない!!

 

 

「あ、あんなところに空飛ぶババァが――」

 

「「アイアムゲッチュ~!!」」

 

「ギィヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

二人に増えたぁぁあああああ!!!!

僕はそのまま意識を失ってしまった。

 

時は流れ、外は太陽が元気に顔を出し生き物が活気に活動し始める時間。

 

「おはよう明久」

 

僕を包み込んでくれるかのような明るく優しい声。

 

「おはよう霊夢」

 

あぁ、なんて爽やかな朝なんだ……。

 

「昨日は楽しかったわね」

 

「そうだね……ねぇ霊夢」

 

「なにかしら?」

 

「僕の服はどこかな?」

 

「昨日私が剥ぎ取ったじゃない」

 

「あ、そっか。ねえ霊夢、僕の手と足に鎖が繋がれているんだけど」

 

「明久の自由を奪う為よ」

 

「なるほどね。あと、体中が変な感じがするんだけど……」

 

「昨日は寒かったから体が冷えてるのよ」

 

「あぁなるほ――って納得できるかァッ!!」

 

ダメだ! もう限界!!

なんでこうなった!!昨日僕はどうなったんだ!?

落ち着け、確か僕は霊夢と突如やってきたババァにつかまって……そこから記憶がない。

なるほど、今の状況から大体察することが出来た、このまま思い出さない方がいいだろう。

 

「少し反省しなさい。昼になったら解いてあげるわ」

 

「…………寒いからせめて服だけでも」

 

「布団があるだけありがたいと思いなさい」

 

「…………あと冷たい視線を解いて」

 

「紫がラプラスの魔発動中だから不可能」

 

「…………そっか」

 

ほんと、僕は不幸なところに連れてこられたなぁ……。

 

 

 

観察処分者反省中...

 

 

 

「ふぅ……暖まる」

 

昨日は結局僕は霊夢に捕まり朝までみっちり縛られていたらしく僕は泣き叫んでいたらしい。

それで今は反省したことを認めてもらい風呂に入っているところで、丁度昼くらいだ。

風呂に入って生き返るってまさにこれのことだね。

そして風呂から上がってタオルで体の滴を拭き取る。

ふかふかしてて幸せだ……。

タオルで濡れた体を拭いているとあるものを発見した。

これは……代えの服かな……綺麗に畳まれているなぁ……どれどれ、着替えてみようかな。

 

「こ、この服は!」

 

どこからどうみても巫女服じゃないか、しかも霊夢と同じタイプのやつ。

 

「仕方がない……これも罰ゲームと思いますか」

 

とりあえず、この格好で霊夢のいる部屋に向かうとしよう。

 

――――☆――――☆――――☆

 

「お風呂上がったよ」

 

「わざわざ沸かせてあげたんだから感謝しなさいよ」

 

「う、うん……ありがと」

 

霊夢からは昨日の殺気は感じられない。

ほんとに許してくれたのかな……。

 

「バカなお兄ちゃ~ん!」

 

「あ、葉月ちゃん! おはよっ。今起きたの?」

 

ダッシュでやってきたのは葉月ちゃんだった。

昨日の夕方くらいからずっと寝てたのかな。

 

「はいっ! 葉月元気一杯ですっ!」

 

元気いっぱいに体を動かし、僕にアピールしてくる。

昨日のあれがトラウマとかになったらと思ったけど心配いらなそうだ。

 

「その子明久に凄く懐いてるわね。何かしたの?」

 

「僕が変なことした人みたいに言わないでください」

 

僕と葉月ちゃんが出会ったのは僕が高一の時なんだけどそれは今はいいかな。

 

「ねーねーバカなお兄ちゃん!」

 

「ん? なにかな?」

 

背の低い彼女は僕を見上げながら話す。

 

「昨日はご愁傷様でした」

 

僕の知ってる葉月ちゃんはもういない。

 

「霊夢なにしたの!?」

 

「私は何もしてないわよ?」

 

鬼巫女という単語があればその言葉を生み出した人に僕は尊敬します。

 

あれからさらに事情を聞き、葉月ちゃんの誤解(?)を解き、今に至るのであった。

 

「ご飯できたわよー」

 

「は~い!」

 

霊夢が昼御飯を持ってきたのを見て葉月ちゃんが霊夢の元へと駆け寄った。

よく寝たからお腹すいたのかな?

 

「葉月ちゃんはこっちね」

 

「分かったです~」

 

僕も御馳走になろうかな。

 

「霊夢、僕のは?」

 

「明久はコレ」

 

霊夢が指さした先には何にもなかった。

というか……上?

 

「……えっと、猫じゃないよ?」

 

「誰も天井裏のネズミを食えって言ってないわよ! それに猫なんて誰が思うかっ!」

 

そ、そうだったのか……。

思われたくもないけど。

 

「あんたは空気でも吸ってなさい」

 

「えぇーっ!!」

 

「私たちのご飯を匂うのは禁止ね」

 

まだ完全には許してくれなかったみたい……。

もう素直に謝ろうかな……。

 

「霊夢、あのね――」

 

「いただきます」

 

「いただきま~す!」

 

霊夢と葉月ちゃんは先に食べ始めてしまった。

今言うのは場の空気が悪くなって御飯もまずくなってしまう。

それは自分としても避けたいので後で謝ろうかな。

 

「バカなお兄ちゃんご飯無いですか?」

 

こっちを見て葉月ちゃんが心配そうに見ていた。

 

「うん、悪いことをしたからね……罪をもらっているんだよ」

 

「つみ……ですか?」

 

葉月ちゃんには少し難しかったかな?

 

「罪より罰と言った方が合ってるわよ」

 

「やっぱりバカなお兄ちゃんです」

 

目から涙が一滴零れそうになった。

その涙を飲んで、今はしのぐとしよう。

 

「御馳走様」

 

「ごちそうさまです」

 

結局霊夢と葉月ちゃんはご飯を食べて僕は涙と空気を食べた。

僅かに香る二酸化炭素が美味を感じさせる……。

 

「さてと……それじゃもっかい人里に行きましょうか?」

 

「そうだね……」

 

今度こそ霧島さんを見つけないと。

あと慧音さんと言う方もいるといいな。

 

「葉月は支度完璧なのです!」

 

「今度はまた飛ぶ? それとも歩く?」

 

「ええ!?霊夢お姉ちゃん飛べるのですか?」

 

そっか、葉月ちゃんは寝てたもんね。

子供の夢の一つであろう。

 

 

『空を飛んでみたい』

 

 

それが叶うっていいことだよね。

僕はメルヘンというよりフィアーだったけど。

 

「そうよ、私の能力は『空を飛ぶ程度の能力』なんだから!」

 

「能力?」

 

「あぁまだ言ってなかったっけ? 幻想郷に住む奴らは~程度の能力があるもんよ」

 

「「そーなのかー」」

 

「ちなみに明久にも能力が身に付く可能性があるわよ」

 

「ほんとに!?」

 

そうだとしたらかっこいいのがいいなあ。

 

「葉月にもつくですか?」

 

「えぇ、外来人もここに馴染みだしたら能力が付いたり元々一つの能力持ちなんているわ。私から見ると明久たちはまだ能力……というかただの人だから無理だけど」

 

「「そーなのかー」」

 

僕らがある程度能力について聞いていると突然空の向こうから声が聞こえた。

 

「号外! 号外だよ!!文々。新聞号外だよーっ!!」

 

空から大声で誰かの声が聞こえてくる。

あれは……文さんの声だ。

もう新聞出来たのか。

まあ今昼だからかなり遅刻してるけどね。

そんなことを思っていると此方に一束バサッと何か落ちてきた。

 

「ぶへッ!」

 

が、顔面直撃した……。

 

「だ、大丈夫ですか!?バカなお兄ちゃん!」

 

「た、多分……えっと……」

 

僕は直撃した一束の新聞を見てみることにした。

その記事内容は――

 

 

『文月学園の生徒は人里へ集合!!』

 

でっかく書いてるなあ……まあコレくらいしないとというジャーナリスト魂が名折れるんだろうね。

 

『私、記者を勤めさせていただいております射命丸 文は先日外来人が多数この幻想郷に迷い込まれたという情報を手がかりに捜して捜して捜しまくりました』

 

「随分と立派な記事じゃないか」

 

あの取材の意味は……もうちょっと読んでみよう。

 

『外来人の一人を私射・命・丸・文!!がインタビューに成功しました!!その時の内容が此方になっております』

 

凄く強調してるね……ライバル社でもいるのかな?

 

『文月学園二年F組吉井明久――』

 

あ、僕の名前が載ってる。

やっぱりテレるなぁ……どれどれ。

 

『――バカの代名詞。職業は直腸を毎日観察することでドジッ娘属性があると思われる』

 

「………………は?」

 

「……? 明久どうし――」

 

「あァの!!ボケ天狗ゥ!!!」

 

バカの代名詞とか誰が書けと言った!?

これは僕の明らかな侮辱だ!!

裁判だ!裁判長を呼べやーっ!

 

「あぁ文はまたデタラメに……まあ当たってるか……」

 

「こんな新聞いるかーっ!!」

 

「イタッ! ちょっと痛いじゃないのよ明久!!全く、どんなことがかかれて……フフ」

 

あ、笑われた……ぐすん。

 

「……ん? ……………」

 

ん?急に黙り込んでどうしたんだろ……。

 

「こんな新聞久々に読んじまったよ……いるかボケェっ!!」

 

ぐはっ!

 

「いてて……」

 

新聞に二度も顔面を傷つけられるとは……。

えっと……霊夢がキレた記事はどこだ?

あ、これかな?

 

『人里にて妖怪と鬼巫女襲来か!?』

 

鬼巫女って……あれか。

 

「明久!!この間の件はなしにしてあげる」

 

「奇遇だね、僕も霊夢とは仲直りしたかったんだよ」

 

「お互い同じ目的のようね……」

 

「そうだね」

 

僕らは目を互いに合わせる。

そう、今すべきこと、それは――

 

「「あのバカラス天狗をぶっ殺す」」

 

「バカなお兄ちゃんたち仲直りしたみたいで良かったです」

 

人里の前にヤることが出来た。

皆には悪いけどそいつを殺ってから霊夢と向かおう。

 

「どうでした? 私の新聞」

 

おっと、ちょうどいいタイミングで天狗が感想を聞きに来たみたいだ。

 

「うん、あれなら皆気付いてくれるんじゃないかな? ね、霊夢」

 

「えぇそうね。私も久々に読んだわ」

 

「あやや! 霊夢さんにも読んでもらえるなんて光栄ですよ!」

 

「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない。お茶でも如何? 明久の淹れるお茶が以外と美味しいのよ」

 

「ホントですか!?それじゃ上がらせていただきましょうかね」

 

「葉月ちゃんはここで待っててね」

 

「は~い!!」

 

今から行われる残酷な悲劇の目撃者にならないよう、僕は葉月ちゃんを境内に避難させた。

 

「あや? また一人増えたんですねー。あぁこたつがぬくいですね~」

 

とてちてと走っていく幼い子供を見たカラスはコタツでゆっくりとくつろいでいる。

 

「……………」

 

僕は霊夢に文には怪しまれないように小さく頷いた。

 

「……………ニヤリ」

 

霊夢はこれからすることに思い浮かべている。

 

「ん? どうしたんですか?」

 

それじゃ、早速始めますか。

飛んで火にはいる夏の天狗とはこのことだよね。

 

 

バタン!(霊夢がなにかしらの力を使い戸を全部閉めた音)

 

 

「あやっ!?」

 

「…………明久、今日のご飯は鴉鍋ね」

 

「やったー、調理の時は僕も手伝うよ」

 

「あやややややや!!」

 

あわてても、今更遅い。

 

「明久、包丁の準備」

 

「ばっちり研いでおいたよ」

 

「ふ、二人とも何するきですか!?」

 

「「晩御飯の準備だけど?」」

 

「あ……あはは……か、鴉なんて食べたらまずいですよ?」

 

「胃に入れば――」

 

「みな同じ」

 

僕と霊夢のコンビネーションは抜群だった。

 

「私もまだまだ記事を書く使命があるんです!!食べられてなるもんか!!」

 

「あらぁ? なにかしら? カーカー言ってて聞こえないわね」

 

「鶏肉って結構好きなんだよねー」

 

「っく、こうなったら逃げ――」

 

「そんな逃がすバカ何処にいるのかしら?」

 

強引に戸を突き破ろうとでも考えた射命丸の前を霊夢が先回りした。

 

「あやや!?私って幻想郷最速なはずが……」

 

「最速……ねぇ……ふふふ……ふひひひひ……その眼だけえぐり取って、あとは明久に全部あげる」

 

「カラスって調理したことないから腕が鳴るなぁ」

 

霊夢はいつでもやる準備を、僕はその後の準備をする。

文の顔はひきつっている、これから自分がどういう目にあわされるのか理解している証拠。

面白半分に懲らしめればそれでいいと思ってたけど、どうやら霊夢はそう考えてはいないらしい。

 

「あ、あやや……待って下さい霊夢さん!」

 

文が最後の悪あがきを見せる。

もう手がつけられないほど霊夢の怒りは沸騰寸前なのに。

あ、もう域を超えちゃってるかな。

 

「命乞いか? 痩せ犬の遠吠えかと聞き間違えた。さて、そろそろ幕を閉じるとするか」

 

若干キャラが変わってる気がするけど、そうだね。

 

「それじゃ、あんまり時間はかけてられないんだ」

 

僕たちは最後のひと時をプレゼントする。

まぁ、そんなのいまさらどうにもならないけどね!!

 

「ま、待って! そうだ、お前たちにお米券二枚やろう! それで手を打と――」

 

さようなら、文さん――。

 

「「Let's go eat!」」

 

「あやああぁあ゛あああああああああああああああああ!!!!」

 

「え、ちょ、れい――いやァァアアアアアアア!!」

 

今日も博麗神社は平和です。

 

「さ、行きましょうか葉月ちゃん」

 

「は、はいです……あの、バカなお兄ちゃんは?」

 

「あー……ついやりすぎて真っ黒になっちゃったのよ」

 

「まっくろくろすけですか?」

 

「うん、そうね」

 

「ちょっと霊夢どういうことだよ!!僕にも被害が来てるんですけど!!」

 

くそっ! どうなっているんだ!

僕と霊夢は同盟を組んだはずじゃなかったのか!!

どうして僕にまでダメージを負わなきゃいけないんだ! まるでこれだと雄二の盾にされてるみた――。

 

「あ、バカなお兄ちゃん!!真っ黒じゃないです……」

 

「なんで葉月ちゃんはそんなに残念がってるの!?」

 

僕は燃え尽きた方がよかったのだろうか。

 

「明久を信頼してたからよ、と言ったら?」

 

「…………ほえ?」

 

「バカね、冗談よ。ほら、さっさと行くわよ」

 

「あ、うん……」

 

なんだか一瞬、ほんの一瞬だけど霊夢の頬が赤くなっているのを見えた気がする……。

 

「ねえ霊夢」

 

「んえ!?な、何かしら?」

 

「熱とかあるんじゃないの? 昨日から忙しかったし」

 

僕らがやってきて霊夢は疲労してないか心配になっていたし、もし頬が赤いなら熱があるかもしれない。

 

「…………バカね~あんた。巫女は風邪引かないって知らないの?」

 

それバカは風邪引かない、じゃないのかな?

 

「ほら! 無駄口叩かないで! 早く手くらい繋ぎなさいよ!」

 

「そ、そうだったね」

 

僕は霊夢の手を落とされないようにがっしりと交差するように掴んだ。

 

「葉月ちゃんも落ちないでね?」

 

「大丈夫です!」

 

「落とさないよう頼むよ!?なに!?落ちないようにって――」

 

「あーもう五月蝿い!!」

 

 

ビュウーン(霊夢が僕と葉月ちゃんを掴んで飛ぶ音)

 

 

そのまま僕らを空の旅へとご招待された。

随分と乱暴な気がするが、身の安全が確保出来ればそれでいいや。

 

「どう? 葉月ちゃん?」

 

「うわー!!高いです!!綺麗です!!」

 

葉月ちゃんは歓喜一杯みたいでその様子を見て、なんだか釣られて笑みがこぼれる。

 

「明久、落ちないでね」

 

「飛んでからだと遅い気が……」

 

「じゃあ落ちてね」

 

「あははは……」

 

霊夢が満面の笑みで言う。

笑うって怖いね。

 

「人里に着いたわ」

 

霊夢の能力なのかこの幻想郷では当たり前なのか空を飛んで移動というのに若干慣れつつあった。

 

「私はこの間の妖獣騒ぎで気になることがあるからここで」

 

え!?な、なんか唐突な別れだな……。

 

「道分かるでしょ?」

 

「え、あ、うん……」

 

昨日連れてってもらったし、道ならなんとなくわかる気がするし大丈夫だろう。

 

「葉月ちゃんもまたね」

 

「はいっ! 霊夢お姉ちゃんまたねです!!」

 

「またね、霊夢」

 

いきなりでびっくりしたけど僕たちは霊夢との別れの挨拶をして寺子屋へと向かった。

 

「さて、と………さっさと直さないとね」

 

ぼそりと霊夢が何かつぶやいたが、聞き取れなかったので、足を止めることなくそのまま目的地に向かった。

 

 

 

観察処分者達移動中...

 

 

 

「ここだよ、葉月ちゃん」

 

「ほえぇ~お寺みたいです!」

 

僕らは霊夢と人里で別れ、慧音さんという人を訪ねて寺子屋の前にいる。

 

「今度は慧音さん居そうだね」

 

看板が片付けられており、玄関が開いていた。

まぁ寺子屋だからね、一般的家庭なら不用心だけど……。

 

「誰だ、寺子屋の前で騒いでいるのは!!」

 

ヤバい!!

寺子屋の中から誰か出て来たようだ。

僕は反射的に隠れる。

 

「おや、小さな……子供?」

 

「はい!!バカなお兄ちゃんも一緒です!!」

 

「バカなお兄ちゃん?」

 

ひぃぃ……!!

 

「…………何してる?」

 

あ、日頃の行いの所為でつい。

 

「あぁ、吉井と島田だな、待っていた」

 

「「え?」」

 

この人、僕たちの名前を知っていた?

 

「あ、驚かせてすまない。霊夢から聞いていて――」

 

あぁ、霊夢が先に僕らのことを知らせてくれてたのか。

 

「昨日は留守ですまなかった。上白沢 慧音という者だ」

 

あ、この人が慧音さんか。

 

「よ、よろしくお願いします」

 

慧音さんが頭を下げた事に驚いて僕もつい硬くなってしまった。

 

「よろしくお願いします!!」

 

「そこの子供は元気があっていいことだ。いい姉を持ったんだろうな」

 

「はいです! 葉月のお姉ちゃんは凄いのです!」

 

葉月ちゃんに姉がいることまで知っていたのか。

 

「立ち話もなんだ、他の外来人が集まるまでここで休んでおくといい」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「吉井と言ったな」

 

「え、はい!!そうです!!」

 

よく見ると慧音さんの頭に何か乗っけてる……何だろ、帽子?

 

「外の世界の話を聞かせてくれないか?」

 

「あ、はい!!勿論モープロブレムです!」

 

「………それモーマンタイとノープロブレムが混ざってないか?」

 

…………あ。

 

「問題ありありだな。楽しくなりそうだ」

 

そう言うと笑いながら今で言う学校の中へと入っていった。

慧音さんってとても優しそうな先生だな……。

胸もあるし………っていかんいかん、皆の心配をしないと!

 

「ん? どうした、遠慮はいらんぞ」

 

「はい! お邪魔します!!」

 

「あ、靴はそこの空いてる下駄箱に適当に入れておいてくれ」

 

「「はーい」」

 

僕と葉月ちゃんで靴を下駄箱に閉まった。

これから僕たちは慧音さんのいるここで皆の顔を見る事になるのだが、任せっきりも何だけど、僕が外にでても簡単に殺されちゃうだろうし、今は文を信じよう。

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