これでバカテスも幻想入りしたということですね、この組み合わせがもっと流行ることをひそかに期待してます。
『……ココまでこれば大丈夫じゃろう』
『………任務完了』
『ひとまず部屋まで運び終えたからの、あとは明久たちを待つだけじゃ』
『………二人とも無事か?』
『私は足をくじいてしまいました』
『…………少し休みたい』
『分かった。寝室はこっちじゃ。姫路は治療箱を持ってくるまでそこで待っててくれんか』
『………今布団をしこう』
『……ありがとう』
『ありがとうございます』
『ふぅ、あったぞ。さて、今手当てをしてやるからの』
『すみません、迷惑をかけてしまって……』
『姫路が悪いなんてことはないのじゃ。じゃから謝らないでほしい』
『木下くん……』
『さぁ、これで後のことは任せて暫く安静にして寝ておれ』
『はい……』
『それじゃムッツリーニ、ワシらは行くかの』
『………明久たちの帰りを待つ』
『もうすぐ島田がここに来るから、何かあれば遠慮なく申してくれ』
『美波ちゃん……無事だったんですね』
『………それでは、』
『失礼したぞい』
――――☆――――☆――――☆
私は、意識がはっきりしないまま布団に横になっている。
あの出来事が起きてからの記憶が曖昧になってしまっていた。
それでも強く鮮明に焼きついている映像が残っている。
それは明久君が私を助けに来てくれたときです。
明久君とやっと会えた……なのに、すぐに別れてしまった。
たった一言のお礼も、今度会う約束も、何も言えずに私は木下君たちに救助された。
今、私はとても悔しい思いで耐え切れずに何もかも吐いてしまいたい気分に陥る。
なんで私はいつもいつも皆に迷惑しかかけられないのだろう。
なんで私はたった一言すら口にすることが出来なかったのだろう。
なんで私は――、
「……瑞希、泣いてるの?」
気付かないうちに私の頬には冷たい涙がこぼれていた。
それを横の布団で寝ている翔子ちゃんが見ていた。
「い、いえ……これは、その……」
「……吉井が心配?」
「い、いえ! 明久君は大丈夫です! 坂本君だっていましたから!」
私はこれ以上心配させたくないと翔子ちゃんに強がりをする。
本当はこれだけが原因ではないと、このときの私は思っていなかった。
兎に角、涙を隠したいという気持ちが優先してしまったのだろう。
「……雄二たちはきっと大丈夫。今は休もう」
「……………」
翔子ちゃんに励まされた後、私は布団の中に包まった。
少し肌寒いので木下君に布団をかけてもらっていたので暖かかった。
捻挫したところは冷やしたので冷えているけど我慢した。
隣をふと見ると翔子ちゃんが頭まで布団を被っているのが見える。
きっと翔子ちゃんはまだあの時の恐怖が抜けていないのだと思い私は優しく囁く。
「翔子ちゃん。もう大丈夫です」
「……瑞希」
私の呼び声に応じて頭を出す翔子ちゃん。 しかし向きは反対方向でいたので表情が確認出来ないでいる。
「翔子ちゃん、どうしましたか?」
「…………」
今度は私の声は聞こえているはずなのに翔子ちゃんは黙り込んでしまう。 こっちを向いてくれないことに不審に思いもう一度声をかける。
「まだ怖いですか?」
「…………」
うんともすんとも言わない。 ピクリとも動かない翔子ちゃんの様子に違和感を感じ私は少し黙って見ていることにする。
私の足はまだ歩けないのが悔しく思えた。 私が足をくじいてさえいなければ明久君たちとも一緒に戦えたかもしれないのに……。
大好きな人の傍で居られたかもしれないのに。
「……瑞希」
私が悔やんでも悔やみきれない思いを心の内で発散させていると翔子ちゃんが今にも消えてしまいそうなか細い声で私を呼んでいる。 私は咄嗟に翔子ちゃんに返事をする。
「どうかしましたか!?怖い夢でも見ましたか!?」
「……ごめんね」
「え?」
私の心配は的を外し、私は意表をつかれた声を出す。 そのときの翔子ちゃんは肩がわずかに動いていた。
「……私が、瑞希を誘った所為で……瑞希まで……」
翔子ちゃんの声は途切れ途切れになって私の頭の中に入っていく。 その様子から、私は悟った。
翔子ちゃんは自ら犯した罪に押しつぶされそうになりながらも私に謝っているのだと。
そんな罪なんて元から存在していないよ、と私は教えるべく必死に励ます。
「私、何も気にしていませんから! 翔子ちゃんが悪い訳じゃないですもん!」
そんな彼女を私は全力で声にして届けた。 そう、翔子ちゃんは一途に大好きな人へ花を摘みたかっただけでこんなことになるなんて誰も想像できないのだから、翔子ちゃんは悪くない。何も!
「だから謝らないで下さい! 木下君に私もさっきそう言って怒られましたから」
「……ご――」
「あー! また謝ろうとする! 翔子ちゃん元気出して、ほら、お布団暖かいですよ!」
以前翔子ちゃんは泣きながら私に謝ろうとする。 けど、少しは落ち着いたのか体の震えが止まっているように見える。 落ち着いた呼吸もしている、きっともう大丈夫だろうと私は思った。
「……瑞希」
ずっと私に顔を見せてくれなかった翔子ちゃんがゆっくりとこっちに翻す。
お布団をもぞもぞしながらこちらを向く翔子ちゃんの顔は涙で濡れていた。
「もう、大丈夫ですか?」
けれど、翔子ちゃんはもう、振り切ってしまっただろう。
そういえる根拠が今の翔子ちゃんの顔にしっかりと出ている。
「……今度は、間違えない。必ず瑞希を幸せにする」
「翔子ちゃん……」
彼女ははっきりとした自分の意思で言ったのだと私は感じ取れた。
「一人で背負わないで下さいね、何かあったときはお互い協力しましょう」
普段、こんなにも私は翔子ちゃんと話をする機会はなかった。
彼女はAクラスの代表であり、私はFクラスの一人にすぎない。
けれど、皆で遊んだりしていく内に翔子ちゃんとは仲良しになっていった。
だから、その友達が困っているのであれば私は見過ごすことは出来なかった。
「……分かった。けれど、もう誰も悲しませない」
翔子ちゃんは笑顔で、私にそう告げると疲れが抜けたのか、あるいは泣き疲れてしまったのかすーっと子供のように眠りに落ちていった。
「ふふ、お休みなさい」
可愛い寝顔を拝見した後は私も少し眠ることにした。 早く捻挫を治して、明久君に元気な姿を見せないと、また心配かけちゃいますからね。
それに、こんな足では一緒に居られない、私はそんな焦りを感じながらゆっくりと瞳を閉じた。
――――☆――――☆――――☆
「さてと、そろそろ教えてくれてもいいんじゃねーか? 俺たちが帰るための手段ってやつを」
話が丁度いい具合に終わったようなので、僕たちは当初話していた八雲さんの『全てを終わらせる方法』について尋ねてみる。
異変の全貌はまだ分からないけど、こういうのは犯人から直接聞きだすしかない。
今わかる範囲で、僕たちは異変の首謀者を倒す覚悟を決める。
「もちろん、あなたたちの特殊能力が必要不可欠なことは理解しておいてくださいね?」
八雲さんのいう特殊能力というのは、文月学園の召喚システムのことは当たり前のこと、きっと八雲さんが言っているのはこの腕輪のことだろう。
僕も腕輪を持っているんだけど、今は教室の机の隅で眠っている。 試召戦争以外で使うことはほとんどないからだ。
雄二も常に装備していることはなく、鉄人に持ってきてもらったという形で持っている。
つまり、八雲さんの言う能力は僕らしか扱えない白金の腕輪のことだろう。
「俺は使えるが、明久の腕輪はどうした?」
雄二が僕のことを察してくれたのか、学園長に僕の腕輪のことを尋ねてくれる。
今までの説明を聞くと、雄二の腕輪より僕の腕輪の方が実用的なのだろう。
僕はまたもや悪友にこき使われることになりそうだ。
「それなら持ってきてある。受け取りな、ガキんちょ」
学園長がポケットの中から取り出した物体を僕の方に投げた。
僕は慌てて受け取る構えに入り、両手で空に浮いたそれをちゃんと受け止める。
学園長が渡してくれたのは紛れもない僕の腕輪だった。
「調整はばっちりしてある。そいつはいくら点数が高くても壊れたりしない品物だから別に吉井が使わなくても大丈夫だ」
「ありがとうございます!」
学園長はそうやって僕を罵りつつも腕輪の改良点を自慢げに語る。
僕の腕輪の能力は『
しかし、文字通り分裂ということもあり一体が二体になるだけでなく点数も半分になってしまう。
ただでさえ召喚獣の扱いになれていない人が多数を占めるというのに二体になってはとても扱えない。
一見すると戦況を押し返すことも可能だろう、しかし使う人を誤れば的が増えるだけとなる。
だからこの腕輪は使おうと思えば誰でも使えるが、実質僕のような操作に長けている人にしか効果を発揮しない。
「俺の腕輪の能力は干渉しか使えそうにないが、理解してるのか?」
僕とは反対に雄二が心配そうに八雲さんに聞いている。 幻想郷全域に結界という名の召喚フィールドを張るのならきっと雄二の能力は今の段階ではそれぐらいしか使い道は思いつかない。
「ええ、そういうことは藤堂さんからしっかりとお聞きしましたので」
そういうことなら、何も心配はいらなさそうだ。 しかし、学園長がそこまで僕たちのことを知っていたなんて少し意外だ。
まるで僕たちに好意を抱いているような気がする。 でも、逆だって十分考えられる。
僕たちはこの学園で問題行動を多々起こしてきた。 それがあまりにも目に留まり嫌でも僕たちを無視できなくなったから記憶に焼き付いてしまった、という感じだろうか。
うん、そう考えると後者が自然だね。
「まあ、何をするかだけ教えてくれればいい。あとは俺に任せろ」
「頼もしいお方ですわ」
雄二の方は腕輪の能力や用途について再確認を終えたようだ。
「それじゃ長くなって申し訳ないわね。そろそろ始め」
八雲さんは今後の岡崎たちへの向かい方や倒し方などの方針を伝えようとした矢先に、急に時が止まったかのように言葉を話さなくなった。
その後八雲さんの様子は少しおかしくなっていくのが見て取れる。よく観察してみると何やら八雲さんの手に丸く赤と白の物体を持っている。次に耳を澄ますとそこから何やら声のようなものが耳に入る。
そして、八雲さんはその声に返事をする。 なるほど、僕たちの世界で言う『電話』みたいなものだろうと分かった。
「……分かったわ。ぜひともその誘いに乗ってあげると向こうに伝えてあげて。それじゃ、ありがとうね、
通話先の相手は知り合いからのようだった。
それなら心配することはないだろう、噂をすればなんとやらというやつで岡崎たちが僕たちへの宣戦布告をしてきたのかと思ってしまった。
まぁ、そうなればこっちもことがスムーズに片付いていいけどね。
「……あなたたちの今後の目的を伝えるわね」
ん? 電話を切った後の八雲さんとさっきまで話そうとしていた八雲さんの顔色が明らかに違って見える。
雄二は不服そうな顔で口を開いた。
「おいおい、ただ岡崎の場所を教えてくれりゃいいんだぜ? 何をそんな勿体ぶってやがる」
雄二の言葉に耳を傾ける様子はなく、八雲さんは話を続けた。
「といっても、次の私の言葉に受けてくれればいいわ」
何を言っているのか僕にはよくわからなかった。 もちろん、八雲さんの作戦に少なくとも僕は言うとおりに従うつもりだ。
何か抜け落ちてる点があれば雄二がサポートしてくれるだろう。 僕はとりあえず頭をからっぽにして八雲さんの話を続けて聞いた。
「私たち、幻想郷はFクラスに――」
始めは、八雲さんの言っている意味が僕には理解出来ないでいた。
――――☆――――☆――――☆
布団の中で思わず眠ってしまった私はあわててその場で目を覚ます。
そこに映っていたのは木下君たちが連れてきてくれた寺子屋の二階のとある空室の何の変哲もないただの屋上だった。
私は夢を見ていた気がする。
幼かった頃の私が真っ暗な場所で必死に出口を探し求める夢。
それは当時の私でも耐えがたい苦痛となって襲ってきた。
しかし、いつの間にか目が覚め、言葉を漏らす。
「あれ、私……」
「あ、おはよ……は違うか」
私の予想をしていなかったすぐ近くの場所で声が聞こえたので思わずきゃっと驚いてしまった。
すぐさま起き上がり声の主の方へ向けるとそこには幻想郷に来てからまだ一度もその姿を見ていなかった、私の数少ないとっても大切な帰国子女の姿があった。
「美波ちゃん!!」
「久しぶりね、瑞希」
いつも明るく朗らかに話しかけてくれる私の友達の美波ちゃんがそこにはいた。
私は嬉しくなり思わず美波ちゃんに抱き付こうとするけど、捻挫のこともあり思うように体を動かせずにいた。
「無理しないでね、瑞希」
私の様子を見て心配してくれた美波ちゃんは優しく話しかけてくれる。
「ありがとうございます」
私は何を話していいのかわからなくなってしまった。
それは久しぶりに友人とこうして無事会えたことで感動が止まらないからだった。
それでも会話がしたいと思い、私は一言腹の内から押し出す。
「無事で本当に良かった……」
「それはこっちも同じよ。瑞希」
美波ちゃんはそっと私の手を握ってくれる。
細くて、今にもちぎれてしまいそうな繊細な指から伝わってくる暖かさは私の心を安心させてくれた。
できれば、いつまでもこうしていたい。 もう誰とも別れたくなんてない……ずっとこうして美波ちゃんとずっと、ずっと居たいと強く願い、手を握り返す。
「「ふふ……」」
思わず美波ちゃんと私はにこりと微笑む。
本当に、落ち着く時間を私は過ごしているんだと心の奥底から思う。
「このまま一緒に居ようか?」
「はい……」
「ふふ、瑞希ってば子供みたいで可愛い」
「美波ちゃんだって」
そんなささやかな会話を続けていると、ふと思い出したことを口にする。
「そういえば翔子ちゃんはどこですか?」
私の隣の布団で寝ていた翔子ちゃんの姿はなく、代わりにきれいに折りたたまれている布団がそこにはあった。
「えっと……翔子はウチと入れ替わりになってたから今頃木下たちと一緒じゃないかな?」
美波ちゃんは考える仕草をすると同時に私の手を離した。
少し離れる瞬間、切なさが襲ってきたけど、目の前に彼女はいる。
そう自分に言い聞かせ不安そうになる自分を抑えた。
「瑞希、足大丈夫?」
すると唐突に美波ちゃんが私の捻挫のことを心配してくれる。
「今は少しまだ痛みますが、歩けますよ」
急な力を加えたりしなければ大丈夫だろうと私は思った。
「完治するまで無理はしない方がいいわよ。私が肩貸してあげるから一緒に行こう?」
「そうですね……では、お言葉に甘えて」
私はゆっくりとベッドから降りる姿勢になると美波ちゃんが背を低くしてくれて私を支えてくれた。
「私、重くないですか?」
「大丈夫よ、ただ……」
「だだ?」
「その無駄に実ってる二つの果実を刈り取れば軽くなるかもね」
美波ちゃんは時々冗談か本気かわからないことを言うので怖いです。
少女たち移動中…
「お、目が覚めたかの」
階段を慎重に二人で下り、廊下を曲がるとそこには私たちの様子を見に行こうとしていた木下君とばったり遭遇する。
「まだ足は痛むのか?」
「ええ、でも歩けることはできます」
「そうか、元気になってよかったのう、島田」
急に会話のパスを私から隣で肩を貸してくれている美波ちゃんに振ると少し照れながらも返答する。
「そ、そうね……本当によかったわね」
「姫路よ、お主が眠ってからというもの島田は大騒ぎで『それ以上はダメ!!』な、何をするのじゃ島田よ! そっちには腕は曲がらないのじゃ!!」
急に取り乱した美波ちゃんは木下君にほほを赤らめながら関節技を決めている。
よっぽど私に聞かれたくないのかな?
「うう……ほんの冗談じゃったのに」
「冗談でも言っちゃダメ! 恥ずかしいじゃないの……」
「美波ちゃん、そんなに私のことを……」
「あー! 瑞希、ほら、行きましょ!」
美波ちゃんはそういうと木下君をその場に置いてけぼりにしながら広間へと向かった。
さっきより歩く速度が上がっていたのでまだ美波ちゃんは落ち着いていないのだと感じた。
いったい私が眠っている間に何があったのでしょうか……ふふ、今の美波ちゃんの様子を見るだけで大体分かっちゃいました。
「……なにニヤニヤしてるのよォーッ!」
あ、ばれちゃいました。 思わず顔に出ていたようです。
そんな美波ちゃんを見ているといつの間にか私たちは広間に着いていた。
真ん中には昔さながらのちゃぶ台が置いており、隅には使われていないストーブが置かれていた。 ここは職員会議をする場所なのでしょうか、しかし玄関がすぐ近くにあるということはここで本来は授業をするのでしょうか。
「あら、誰この子?」
美波ちゃんはそこにいた葉月ちゃんに尋ねる。
葉月ちゃんは私の見たことない誰かと遊んでいた。 子供みたいですが体に血管のような太さの線みたいなものがある。
「あ! 綺麗なお姉ちゃん目が覚めたです!」
「どうもー」
「葉月ちゃんまでこちらの世界に?」
「はいです!」
良かった、葉月ちゃんのような幼い子供がこの世界に来るのはあまりにも無謀すぎる。
様々な妖怪などの危険要素が揃っている中、一人では命を落とす可能性もあります。
でも、美波ちゃんは私と土屋君の三人で八雲さんに連れてこられたはず……どうしてこの子が?
「ちょっとちょっと! 私のことも見てよね!」
「ふぇっ!?」
葉月ちゃんの方ばかり見ていた私はもう一人の子供のことを頭から完全に外していた。
美波ちゃんはその子をずっと凝視していたみたいですけど。
「初めまして、雄二さんにお世話になっている古明地こいしと言うものです! よろしくお願いしまーす!」
古明地こいしちゃんと名乗る少女はさっきまで遊んでいたからなのかやたらと気分が高揚していた。
「そう、ウチは島田美波。葉月の姉よ、よろしく」
「私は姫路瑞希と申します。よろしくね、こいしちゃん」
私たちは軽く挨拶を交わした。
「うん、よろしく! それでこっちにいるのが――」
笑顔でいるこいしちゃんはもう一人紹介しようとしている。
しかし、私たちの視界には誰も知らない人はいない。 どこかに隠れているのでしょうか?
そんな風に色々思考錯誤していると突然ちゃぶ台がカタカタ揺れ始める。
「え?」
疑問に思った私たちはそのままちゃぶ台の方へ集中する。
そして、それは突然起こった。
ドカーン!!(ちゃぶ台が勢いよくひっくり返る)
「あはははは! ドカーンだって!!」
「もう、散らかしちゃダメってアレほど言ったのに……」
いきなりちゃぶ台は何かの力によって見事に横に倒される。 そして代わりにそこに居たのはこいしちゃんと同じくらいの背丈をした少女が仁王立ちで畳みの上で立っていた。
「あぁーッ! アンタは!!」
すると美波ちゃんは大きな声を出し、その子に指を差す。
カラフルなクリスタルを複数つけた黒い羽に、私には珍しく思える薄めの金髪をしている。
背丈は低くこいしちゃんよりやや小さめの姿がそこにはいた。
「アンタ……レミリア……じゃないわね……ん?」
「あれ? お姉様を知ってるの?」
美波ちゃんはどこかで会ったような口ぶりをしていますが、私の知らない子が沢山出てきていますね。
これはどういうことなのか明久君が帰ってきてからぜひとも問いただしたいです。
「今の騒ぎは一体なんじゃ!?」
「………どうした?」
「……何事?」
ちゃぶ台を大きく跳ね除ける音に皆がこの広間に集まってきた。
「翔子ちゃん、もう平気なんですか?」
「……うん。平気」
翔子ちゃんはあれから完全に復活しているように思えた。
「………幼女が増えてる」
「む? そなたは一体何者じゃ?」
「えへへ、人間がこんなに沢山! ねえねえこいしちゃん、ドカーンしてもいい?イイ!?」
一気に人が増えたことによってその子のテンションは頂点に達しようとしている。
私たちは外来人と呼ばれているため、珍しいのは確かでしょうが、彼女は『人』と言っていた。
ということはこの子も妖怪の類なのでしょう。 しかしまだ子供なので人を襲わせないようにしていた……そんなところでしょうか。
コンコン(玄関の硝子障子を叩く音)
私は目の前にいる謎の少女のことを、さっきの来訪者の音によって一瞬でかき消された。
思わずその部屋から飛び出すように玄関に走りだした。
抑えきれない衝動にそのまま体を任せてしまう。
捻挫の痛みもほとんど感じない、頭が一杯だったから。
私は一つの希望に全てをかける思いで向かった。
もしかしたら明久君たちが帰ってきたのかも――!
「明久君!!」
早く会いたい、早くこの目で彼の姿を見たい。
息が乱れるほど走り体力がボロボロの最中、私は息を整えながら硝子障子の向こう側を確認する。
明久君はあのとき巫女服のような赤と白い服を着ていたのを今でも覚えている。
そして目の前に写っているのは同じく赤と白。
私は確信した。彼が、帰ってきたのだと。
「明久君ッ――!!」
私は急いで扉を開けた。
色々な想いが口からこぼれるその前に。
急かす気持ちを抑えきれずに私は扉を開けるとすぐさま抱きついた。
「明久君!!お帰りなさい!!!」
「……えっと、ごめんなさい。人違いじゃないかしら」
私は、この世界のことが少し嫌いになりました。
こうして無事小説をかけているわけですが、最近とある単位が危うい状況になっていまして、ほんとはこんなことしてるわけじゃないのですよ(こんなことって言うとあれですけどね。
心が強くなりたいです、ええ、君が居ても心は強くならないのです(何を言っているのでしょうね……。