「……やっぱり騒がしくて気になるから出てきたんだが、霊夢、説明」
「ごめんなさい、私には何がなんだか」
香霖堂では一人の妖怪と人間のハーフが経営している。
しかし、今は二人の外来人によって空間ごといじられたかのように状況は変転していた。
「こうして吉井君と相まみえることができようとは誰が想像したか……」
「う、うん。僕も初めて聞いたとき驚いたよ。けどまず僕の腕から離れてくれないかな?」
「どうしてだい? こうして僕たちは奇跡を起こしたというのに」
奇跡の価値がガクっと下がった瞬間である。
「そんな大げさなことでもないと思うよ……よいしょっ」
「ふふふ、そんな照れなくてもいいじゃないか。折角だし二人でカフェーにでも行こうか」
「とりあえず寺子屋に行こうよ。雄二もいるからさ」
「ま、まさか、この辺境の地に坂本君も来訪しているとは……」
「うん、だからとりあえず落ち着こうよ。僕も嬉しいんだけどあまりにもテンションの差がね?」
「僕の知らない内に坂本君と出来ているのカイ!?」
もうすでに手遅れな久保君であった。
「ちょ! なんでそういう展開になるの!? 僕から見れば久保君こそおかしいよ! 僕の写真を取りたがる店主に何かされたとか!?」
「なんで僕にとばっちりが来るんだ。そもそもあの写真はね――」
「オゥ! ヴィーナァァァス!!そうだった、僕は君の写真が欲しい!」
この二人を除けば一致で口を開けて言葉を失っている。
何故こんなことになってしまったのか、それは巫女のコスプレをした時点で決まっていたのかもしれない。
「っく、こうなったら一旦気絶させてから考えよう!」
「明久って意外と物騒なこと平然とやっちゃうよね」
「あら、霊夢も手当たり次第に雑魚を蹴散らしてるじゃない」
「向こうが悪いんだから殴って当然だと思うけど」
ただいま当店内立ち入り禁止でございます、一度入店致しますと身の安全は保証されないかもしれない。
それほどこの状況を説明出来ることは不可能に近いです。
「ごめんね久保君! あとでちゃんと謝るから――」
「吉井君への愛は僕の全てで受け止める! カモーッン!」
ボキッ(久保君の首の後ろを素早く手刀で叩く音)
「がっ――」
「本当にごめんね。寺子屋についたらちゃんと事情を説明するから」
こうして、僕の青春は無事平穏へと回帰することができそうだ。
「不思議な人間よね、明久って」
「それが魅力なんじゃないのっ」
「……………それもそうよね」
ところで、何故霊夢たちは見てるだけで助けてくれなかったのだろうか。
少し心悲しくもなりながらも店主に巫女服の件について言及してみた結果、動揺を隠しきれず奥へと進んで行った。
さて、ようやく本来の目的を果たせそうだし、その間は霊夢と話をしてみようかな。久しぶりっていうのもあるしね。
まずはさりげない話題から振るのが紳士的に映えるだろうし、軽い気持ちで聞いてみた。
「ところで霊夢がここに来た目的ってなんなの?」
「別に、ちょっと休みたかっただけよ、なのにこんな騒がしくってもうね。せんべい食べるしかないわ」
心の中に罪悪感というものが芽生えてしまった。
正直、それ聞いたあとだと申し訳なってしまう。ここは話題を変更するか。
「そういえば霊夢って今まで結界を貼ってたんだっけ?」
「そうよ。それで疲れてここにね。やっと完成したんだから」
「霊夢の安息を妨害しましたことを反省してごめんなさい」
「え? 急に頭下げられても困るんだけど。別にいいじゃない、それが明久だって知ってるし」
霊夢は煎餅をバリバリ食べる手を止め、土下座する僕を上から慰めの言葉をかけてくれる。
霊夢なりの同情だと受け止め、頭を上げる。
「あとは、あんたの友達と色々合ったんだけどね」
「え? それって誰?」
僕の知らない間で雄二たちと出会ったようだ。 滅茶苦茶気になるだけに僕はすぐに食いついた。
「確か坂本雄二って言ったわね。あの赤髪で柄の悪そうな男子」
うん、雄二って第一印象ってヤンキーで頭悪そうだから間違いなく雄二だね。
「明久ってバカに会ったら話したことを
雄二の言葉のセンスにイラっと来るけど今はやつはいない。舌打ちを打っていかにも小物っぽい台詞をぼそっと吐く。
この場にいたら霊夢にあることないこと吹き込んで二人でボッコボコにしてるのに。
「ほら、私たち試召戦争することになったでしょ? 紫から聞いてると思うけど」
わずかな時間を貰い、必死にフル回転させた結果なんとか思い出した霊夢は僕を見て心底不安そうな顔を浮かべる。
それが少し精神的にダメージを負うことになるとは彼女は思っていないだろうな。
うん、僕が低スペックなのが悪いんだけど、自分で言ってて胸が苦しくなるよ。
「ごめんね、僕が問題児なばっかりに……」
「いきなり謝られても。あのさ、問題児とか言ってるけど何もそんなこと――」
ボッ
スタッ
「「――ッ!?」」
僕と霊夢の間に何故か可愛らしい霊夢の二頭身のような姿がポンっと空間から生まれてきた。
何もない空間から、何事もなかったかのように、初めから生きていたかのごとく、その生き物は動いている。
「あ、明久! これなに!?」
自分の分身がいきなり出てきて相当焦っている霊夢。
そんなことを気にせず霊夢の分身は健気に店内をぐるぐるとその場で回ったりしている。
まるで子供のような行動に僕は少し引っかかることがあった。
「まさか!!」
「何!? 勿体ぶってるんじゃあないーッ! 知ってることがあるなら早く話しなさいッ!!」
そうこうしているうちに笑顔で走り回る霊夢の子供の頃のようなそれは早くも問題行動をとった。
「あ、こら!!霖之助さんの品物を勝手に弄っちゃ後で煩いわよ!」
慌てて霊夢は後ろから捕まえる。 暴れるそれを霊夢は強く抱きしめ動きを制限させた。
「えっと、説明してもいいかな?」
「早く話しなさあい! この子すごい力でのたうち回って! 抑えるのがキツッイ!」
苦悶の表情を思わず浮かび上がらせながらまるで打ち上げられた新鮮な魚を持つかのように必死だった。
「多分その子、霊夢の召喚獣だと思うよ」
「なんですって!!?」
驚いた霊夢は思わずそれを落としてしまう。 落とされたそれは不意でありながらも見事な着地を見せてくれた。
「こ、これが召喚獣? あれ? 確かキーワードを唱えないと出てこない設定のはずよね?」
結界を作った本人でさえもその仕様はあまり理解していなかったようだ。
「そうだけど……霊夢、召喚獣が出てくる前に言った台詞覚えてる?」
「覚えてるかな……えっとね、多分、『別に、今更よ』だったかしら」
「違うな、その次は?」
「私の次の台詞は『あの
「ハッ!! それだ! その時、霊夢は『
「なんですって……?」
まるでゲスい人に初めて知った衝撃の真実を報されたような顔をしている。
「へぇ、それが霊夢の召喚獣なのね。私もあるかしら」
会話に参加しないと思ったら幽香は勝手に紅茶を自分で淹れてくつろいでいたようだ。
もう、誰も僕の不幸を救ってくれないの? 人情ってやつは幻想郷にまだ流れてないのかな。
「崇高なシステムって紫から聞いたのに、何このデタラメなシステム!」
確かに、僕たちが日頃試召戦争で使っている召喚獣とはかなり異なっている。
見た目は霊夢がモデルということならさほど不自然ではない巫女服を装備しているが、どうも本人の意思通りとは行かないようだ。
以前学園長が実験として僕たちに召喚させた時に似ているが、喋ることはなくとてちてと可愛らしく歩いている。
「霊夢の結界に不具合があったんじゃないの?」
「それはないわ。不可能に近いくらいに」
出てきた召喚獣が未完成ならばそれは結界に何かミスがあったと考えるのが普通だろう。
けれど、幽香はそれを強く否定する。 何か根拠でもあるかのように冷静に、力強く否定をする。
「ど、どうしてそこまで言い切れるの?」
「あら、あなたは知らないの? 霊夢の直感はよく当たるのよ」
直感――その言葉を聞いて僕は揺るぎない確信を得た。
霊夢は全ての出来事を己の感覚だけで事を成す、傍から見れば天才のような少女だ。
それは僕もよく知ってる。 現にあの幽香がここまで言うのだから他者からもそういう風に認知されているのだろう。
「そういうことよ。だからあの結界に不具合はない」
「それなら、こうなるように作ったってこと?」
「そうね。紫の指示で作ったから間違いがあるとすれば紫ね」
「お、おう」
ここで急激な八つ当たりとも言えるとばっちりにちょっと足が後ろへ引いてしまう。
「しかし、それもないんじゃないかな。紫は製作者である学園長と一緒にいたんだし、間違えることはないと思うよ」
「学園長? あぁあのおばあさんね。そんな偉かったんだ」
「おばあさん? 霊夢、こういう時ははっきり言わなくちゃ」
「何を?」
「あのおばあさんではなく、あのババァ長だということ!」
「お、おう、せやな」
あれ? 霊夢の口元が引いている。 おかしいな、何も間違ったことは言っていないのに。
「明久、わかってないようだから言っておくけど、次そんなこと言ったら次元の狭間にスキマ送りにされるわよ」
「サー、イエッサー!!」
うぅ、学園内ならいくらでも言い放題なのに、八雲さんも厳しいなぁ。
「それで、霊夢は明久の友達と何を話してたのかしら?」
「「あっ!」」
召喚獣騒ぎで色々話がすっ飛んでしまっていたことに今になって気付く僕たち。
そうだ、雄二と霊夢が今後行われる試召戦争について話を聞いておかないと。
多分姫路さんたちはその話し合いの中にいたはずだから、知らないのは僕と工藤さんと久保君、そして清水さんの四人。
ならば、僕もその内容を知っておかないといけない。
「でも私の召喚獣、意思を持って動いていて目が離せないんだけど」
「そのタイプは懐けば言うことを聞いてもらえると思うよ」
「ペットかこいつは。はぁ……確か、召喚獣は呼び出した者の性格に似るのよね?だったら――」
ため息ながらも霊夢は渋々といった様子で机の上に置いてある煎餅の器を召喚獣の近くに置き、こう言った。
「ほら、ご飯よ」
霊夢、あくまで召喚獣はペットではないからね。
『♪♪~~』
「さすが私、食べ物には甘いわね」
霊夢、自分で言ってて寂しくならないかい?
『~~っ♪』
「あら、もうなついたわ」
「早いよッ!」
どれだけ食べ物に執着心があるんだこの霊夢の召喚獣は。
もらった煎餅を食べ終えると召喚獣は霊夢のお膝元にすたっと座りにこにこと僕たちの方を見続ける。
あ、この子僕たちに幸せを自慢したいんだな……霊夢らしい性格をしている。
こういうところを見ると結界に不具合はなく、まるでこうなることを前提にしていたという霊夢の主張が正しく思えてくるな。
だとすると、八雲さんはどういった趣向であえてこんな設定に?
「明久、色々考えないほうがいいわよ」
「そうだね……ちょっとオーバーヒートしそうだった」
あと、僕の心の中を読まないでください。
それとも何か考えているような読まれやすい仕草でもしていたのかな。
「どれだけあなたの脳みそは空っぽで小さいのよ。ネズミかしら?」
「実験にされるのは勘弁願いたい!」
幽香が言うと恐ろしさが倍増してつい避難行動を取ってしまった。
Fクラスの連中に捕まった刑罰で色々されたことを思い出すじゃないか。
紐なしバンジーとか普通死ぬか大怪我するのにアイツ等「人体実験も出来て一石二鳥です会長!」とか言いやがって。
「お~い、戻ってこい」
ッハ!
「ごめん霊夢、ちょっと意識飛んでた」
「それで、問題は解決したところでちょっとこれを見てちょうだい」
慌てて霊夢の声に集中しようと意識を戻したところで霊夢が何か紙を用意し、僕に見せた。
そこには文字が書かれていたけど、これが何を意味するのかわからず、僕は霊夢に尋ねてみる。
「ん? 『格差問題』ってどういう――しまっ!」
ぽんっ
「これでお互い様よね。私だけ召喚獣を見せるとか不公平じゃない? これから戦う身としてね」
くっそぉぉぉ!!嵌められたァァーー! この手の罠にはなれていたつもりだったのに!!
完ッ全に油断していた!!
「ま、まぁそういうことなら別にいいよ。僕の召喚獣を見せたところで何も起きな「ぺし」あ! それは店の商品だから叩いちゃダメ!!」
危ない、もうすぐで店主に弁償させられるところだった。
無邪気な笑顔で僕の召還獣は木刀で叩いているところを慌てて止めに入る。
「あーこら! 暴れるな! 僕のくせに生意気だぞ!!」
「あはははははは! これは面白いわ! 仕事した甲斐があるってものよね」
「明久の召喚獣もちっちゃくて可愛いわね。踏み潰していい?」
「ダメ!!ダメ!!!ダメダメダメダメダメ!!!!」
僕の命に関わることだから!!幽香絶対手加減とかしなさそうだからダメェ!!
「ほ、ほら。今から大事な話するからおとなしくしててね」
頭を撫でて落ち着かせようと試みる。
するとそれが意外と効果的でみるみるとまぶたを閉じ、やがて床で眠ってしまった。
「あ、あれ? 寝ちゃった?」
「……これほんとに無生物なの? どう見ても生きてるようにしか見えないんだけど」
「僕も同じ気分だよ。これは一体……」
霊夢の作った召還獣システムはどのような仕組みになっているのかよくわからないが、とりあえずこれでこの問題はひとまず放置しておこう。
大事なのは、試召戦争のことだ。 それを済ませてからゆっくり召喚獣の扱いについて慣れればいいのだから。
ふと視線が空へ向くとそこにはお馴染みの点数と名前、それから科目名が表示されていた。
僕はそこへ視線を移して見る。
英語
2-F 吉井明久 46点
PH 博麗霊夢 UNKNOWN
「………これが召喚獣の力を表す目安ね。テストってのは限界がなくいくらでも稼ぐことが出来るって聞いたけど……」
見ないで! 見ないでくださいお願いしますなんでもするんでオナシャス!!
「ひっくいわね」
「オォォォノォォォオオオオオオオ!!!」
ボキっと僕の心が砕け割れた音がはっきりと聞こえた。
~~しばらくお待ちください~~
「とりあえず、この式神どうすんの?」
な、なんとか時が僕の心を癒してくれたおかげで立ち直れそうだ。
しかし、目の前の状況に一転の変化はない。 二人ともゆっくりすやすやと眠っている。
完全に物理的に物に触れられる召喚獣なんて、下手したら騒ぎになってしまう。
そうなるまえに早くこの子たちをフィールドから消さないと。
「それで明久、この子どうやったら消せるの?」
「……………」
「なんでそこで沈黙なのよ。アンタんとこのシステムでしょうが」
そう言われても、僕の口から解決策が思いつかなかった。
あるといえばあるが、僕たちの方法は特別な腕輪が必要だ。
けど、それは雄二が持ってるしなぁ……なんか、姫路さんたちとどこかに行くとか言ってたから場所は分からないんだよね。
「………ねえ」
「なによ、急に口開いて」
「一旦、寺子屋に行かない?」
「アンタに頭脳を使わせるより友達に頼った方がよさげな雰囲気ね」
相変わらずズバズバと霊夢の言葉が刺さってくるなぁ。
機嫌が悪いとかじゃないんだろうけど、年頃の女の子としては厳しいような。
……あれ? なんでそんなこと今気にする必要があるんだろ。
「まあ懐いてくれてるし、いいわ。ひとまず寺子屋に行きましょ」
「な、なんかごめんね」
「気にしないで、明久はバカでも十分活躍してたから」
真面目な時の霊夢に慰められると本当にそう思えて来るから素直に立ち直れる。
「それじゃ久しぶりに一緒に行動しよう――ん?」
「あれ? これは……」
ふと僕の足元に寝転んでいた召還獣がまるでこの世界に存在が留まる時間を超えてしまったかのごとく消えてしまった。
「霊夢?」
「こんな風に作った記憶はないんだけど……紫が勝手に弄ったのかな?」
「ま、まぁとにかく消えて良かったじゃないか」
僕の英語の惨めな点数も表示されなくなったし、雄二に腕輪を借りる手間も省けたし、一石二鳥だね。
「全く、とんだお騒がせ式神ね。やっぱ式神はもっと高性能なのにしないと」
う~ん、これでも自分の意思で動いてくれて、僕だけ物理干渉が可能だからどこでも召喚できたらそれこそ便利だと思うのに。
この幻想郷には式神っていうのがよく分からないけど、何だか凄そうなのは分かった。
「……二人で随分楽しそうにしてるわね」
一件落着した後、幽香が店の奥からひょっこり顔を出して僕たちの様子を伺いに来たようだ。
「霖之助さんの様子はどう?」
「精神的に疲れてるけど、『霊夢の服の代わりならいくらでも用意出来るから問題ない』って言ってたわ」
何故男性が女性である巫女服をいくらでも用意出来るのだろうか、その結論は簡単だ。
「やっぱりアイツは変態じゃないか!」
「そろそろ怒るよ? 僕も堪忍袋ってのを持参してるから」
店主の素性を暴いたところで本人が体を小刻みに震え怒りに満ち溢れているのが一見して分かるくらい興奮している店主が霊夢の巫女服を持って現れた。
「そうね、そろそろ誤解を解いてあげたら? 香霖堂さんはふんどし一丁で人里を歩き回るような変質者じゃないってことを」
「幽香? その例えは明らかに悪意が隠れきれてないようだけど?」
「大丈夫よ霖之助さん。魔理沙のコスプレしてうっかり私に接客しようとするような変人じゃないってことも知ってるから」
「確かに魔理沙の服も用意してるけどね!? あれは魔理沙が無理やり在庫を貸してくれって言うから仕方なく置いてあるだけだから、着たりなんてもってのほかだ」
二人の女性を間に弄ばれる店主を見て、僕は戸惑いが隠せない。
あ、あれ? この人……変態なのかわからなくなってきたぞ?
「そもそも、君の写真が欲しかったのは商売のためで、個人的に使用するつもりは一切ないんだ」
「商……売………?」
「そう。君には理由を知る権利があるんだ」
僕は必死に店主の言葉を繋ぎ止めようとした。
けれど、それも限界のようだ。
「君は人里で今最もかw――」
「さよならァ!!!」
「あ、待って! 誤解は解いてから――」
こんなところに長いは無用だ! 僕は戻るぞ!!
全力で逃げ出し扉を思いっきり開けたまま足がもつれそうになりながらもその場を去ろうとする。
けれど、思わずその人に呼び止められ僕は停止した。
「待って、明久」
後ろを振り向くと、その声から予想通り幽香が珍しく慌てて僕の元にやって来る。
僕は思わず気になりその場を動けずにただ幽香だけを見ていた。
珍しい行動に疑問が湧きながらも幽香はゆっくりと息を整え僕の正面で口を開く。
「アナタは、とても優しい種を持っている。私はそれを開花させるところを見たかった。
ただそれだけが心残り。
けれど、私はアナタの知らない土地で
知らないお花畑に囲まれながら、アナタの純粋な、『吉井明久』という花が咲き誇る時を
ただ静かに見守るわ」
「うん、分かった。気を付けてね。幽香」
僕は背中を押されたような気分になり、ますますこの幻想郷でやるべきことをに熱意を抱いて、僕は幽香と別れた。
彼女の後ろ姿は明久との別れを惜しむ姿を見られたくないのか、幽香の
これで幽香と共に行動することはもうないのだろうか。
そう思うと少しだけ、胸が苦しくなる。
「……自分でも、何故だろうな。晴れ晴れしい門出で、心は雲一つないほど爽やかになる言葉をもらったのに
やっぱり、複雑な天気になっちゃった」
このまま香霖堂に戻るのも気まずいと思い、僕はとりあえず寺子屋で雄二たちと合流することにした。
さーて、頑張って犯人捕まえて、反省させて、地獄が生ぬるいと思えるほどの阿鼻叫喚の世界を見せつけてやろうかな。
どうも、こきゅーです。この場を借りて少し謝罪をさせていただこうかなと。
実は先週の木曜日からフリーダムウォーズというゲームを買いまして、更新が遅れました。
うん、あれね、すごくハマりました←
思わず小説を忘れるほどです……あ、そんな怖い顔で睨まないで(汗)
次の投稿についても、あとは試験勉強がメインとなるので時間は作れそうなので二週間後に投稿できるかと思います。さ、さすがにその頃になると作業ゲーと化すだろうし、大丈夫でしょう(汗)
あと、プチ修正を入れる予定です。勢いで作ったところをちょいと直したりしましたが心に残るような状況に力を注ぎたいので。
それでは、今後ともバカと霊夢と幻想郷をご贔屓によろしくお願いします。