第18問 次の問題を解きなさい
問:三角関数で使われるsin,cos,tanの3つの全ての読みを書け。
姫路「サイン、コサイン、タンジェント」
先生のコメント:正解です。中学で習う初歩ですね。忘れそうになったら思い出しましょう。
明久「サイン、コサイン、タン」
先生のコメント:惜しいです。もう少し頑張りましょう。
霊夢「シン、コス、タン」
先生のコメント:油断しましたね? 勉強はしっかりしないといけませんよ。
土屋「シーン、コソコソ、タン」
先生のコメント:何かの暗号のようですが、先生には君の考えてることが理解できそうで時々恐ろしくなります。
アリス「シン、コスト、ターン」
先生のコメント:モンスターが出てきそうな呪文ですね。
当然のように居残り、あっさりと帰った魔理沙の後ろ姿を見送る暇もなくドタバタした一日が過ぎた。
今日もアリスちゃんが用意してくれたベッドで朝を迎える。
ボクたちは朝から作戦会議をしていた。
「おはよう、アリス」
声のトーンをわざと低めで発して挨拶をする。
緊迫した空気をその場に流す。
「な、なによ……愛子」
めんどくさそうにジト目でボクを警戒しながら睨んでいる。
「早速だが、君の下着を確認しt暴力反対ぃー!」
「朝から何聞いてんのよバカ!」
覚束無い様子で赤面しながら人形を構えて対抗する。
うん、今日も可愛いネ。
「いやいや、これも重大なことなんだよ? 女は全てにおいて抜かりなく完璧に整えないと」
朝から何してるのかと尋ねたらボクはイチャイチャしているとしか答えられないかもしれない。
「それで、朝から何かしら?」
深呼吸をしたあと溜息を吐いたアリスちゃんは呆れ果てた様子で訊ねる。
「うん、今日魔理沙の家行くでしょ?」
「そ、そうね……行くわよ、暇なんでしょ?」
「ボクは予定ないよっ」
今日のボクは踊らされたピエロ。
それがアリスちゃんへの恩返しならば、尚の事。
「そうだったわね、んじゃ朝ごはん作ったら行きましょう」
やったーと無邪気な子供みたいに喜ぶボクを見て呆れた顔をされる。
この森から外に出るのは初めてなことだからかな。 ちょっとふざけすぎたかもネ。
「あ、ボクも何か手伝えることあるカナ?」
「じゃあトーストに好きなもの塗ってちょうだい」
なるほど、朝はオーソドックスに食パンだね。
早速冷蔵庫の中身を確認するために戸を開ける。 中には日常生活で食べたり使ったりするものばかりで逆に驚いちゃった。
魔女だから冷蔵庫の中身は紫色した液体とか謎めいたものが散開しててもいいのに。
ていうか、もっと根本的な疑問がある!
「アリスちゃん! 冷蔵庫がある!」
「……別に普通でしょ?」
「え? あ、そうか……そうだネ」
落ち着いて考えて見ると水道やガスだって通ってるんだから当然冷蔵庫もある。
けど、魔法とかが主流のご世代でわざわざ使う通りが分からない。
分からないことは人に聞く、ということで
「なんで魔法使えるのに科学に頼ってるの?」
「魔法=便利屋か何かだと思ってない?」
「うん、思ってた」
ボクたちの世界で魔法なんて使える訳がないからネ。
「魔法って言っても数え切れないほど存在するのよ? それらを全て駆使する魔法使いは神に近い存在、私のような一魔法使いは一つの分野を専門的に研究している方が奥が深くて楽しいの。それにね? 魔法を習得するにはまず性質を理解することから――」
「あ、焼けたよアリスちゃん」
軽はずみに事を進めていると熱中して語り始めるとは……さすがにボクでも頭が痛くなる。
ここは話を逸らすきっかけになったトースターという科学の結晶に感謝しないと。
「あら、それじゃ朝食にしましょう」
アリスちゃんはボクの声と同時に我を取り戻したかのごとくいつもどおりの冷静に戻ってパンを皿に乗せる。
熱々なので繊細な指を傷つけないためか慎重に取り出している。
それじゃ、ボクも自分の食パンを焼かせてもらおうかな。
この電子レンジ、かなりコンパクトなサイズで一枚しか焼けなかった。 というより入らない。
右下に製造メーカーが記載されているが当然聞いたことないものだった。
こうして見ると正常に起動しているというのはこの世界ではやっとのことなのかもしれない。
「先に食べちゃうけど構わないかしら」
「どぞどぞ」
焼きたてが一番美味しいに決まってるのだからホクに遠慮なんてしちゃわないで、と勧める。
「それでね愛子、さっきの話の続きなんだけど」
「あ、うん」
逃れられない運命ってあるんだね……まぁ、こんなにも夢中で何かを語るアリスちゃんも珍しい。
何だか新しい人形を買ってもらった幼気な少女のような笑顔に時折なっている。
ボクは話を聞きながらスイッチを押すと席で待つことにした。
「それでね、私の扱う魔法というのは精霊魔法の応用を」
相変わらず熱弁している内容がちょっと理解出来ない。
次元が違いすぎるからだ、そもそも霊力というような不思議な力がボクにはない、当然だけど。
「私の人形も指先から糸で操っているように見えるけど目に映らないような少ない霊力を」
羨ましいな。
ふと心の中でそう思ってしまった。
ボクも魔法を使えればスカートとか風でめくり放題なのに。
「ねえアリスちゃん」
「あら、アナタも魔法について知りたくなった?」
「風属性の魔法とか使える方法はないのカナ?」
「愛子、動機が不純すぎるわ」
「ボクは真面目に、アリスちゃんの下着をみたいだけだヨ」
「警察とか幻想入りしないかしら」
溜息混じりに視線を逸らし残念そうな顔をする。
「え? 警察いないの?」
「昔は居たらしいのだけれど、今は全くね。そのせいで騒ぎたい放題よ」
「それはそれでアリだね」
トースターが焼けた音を鳴らす。ボクの食パンが焼けたみたいだ。
話の途中だけど、ボクは席を離れお皿に焼きたての食パンを乗せる。 熱いけど出来立てを食べないと美味しくないよネ。
「愛子、メッ」
「はーい」
ボクの考えを見事に見抜かれ、笑うしかなかった。
優しく怒ってくれるアリスちゃんとの会話も朝から優越な時間を過ごせて良かったと思う。
そんな優雅な朝食はあっという間に終わりを迎えた。
「さて、食べ終わったらお皿ぐらい片付けて頂戴ね」
「それくらい常識だよ」
早速お皿を片手に持ちその場を立ち、台所へ向かう。
「良かった、愛子も普通の人なのね……」
何故かホッと胸を撫で下ろされている。 思わず動きを止めて質問をする。
「ボクをなんだと思っているノ?」
「エロいおじさんかな?」
「心外だよ! それはボクでも泣いちゃうヨ!?」
なんという答えが帰ってきたのか、ボクの評価は最悪レベルじゃないカナ!?
「だって、最近私の下着とかまるで娘に嫌われたくないけど嫌がらせをするお父さんみたいよ?」
「うぐっ……少し自重します」
「少しなのね……」
「アリスちゃんは、純粋な乙女だからネっ」
はいはい、と軽く流され自分の部屋へと支度をしに戻っていった。
その間ボクは自分の後片付けをする。
この作業も魔法でぱぱーっと済ませればいいのにな、そんな非現実的な思考が巡る。
でも、ここは現実……練習とかすればボクのような一般人でも扱えたりするのかな。
「といっても、アリスちゃんには内緒にしないと……もう教えてくれそうになさそうだし」
真面目に接してもボクのことをふざけていると勘違いされちゃいそう。
まぁ、エロスは捨てきれないよね~、彼のためにもさっ。
「ムッツリーニ君、ボクが魔法を使えるようになれば驚いてくれるのかな?」
そうすれば毎日、彼はボクのところに頼みにきそうだね。
いつも強情だけどきっとボクが必要になるに違いない。
色んなことを考えながらさっさと丁寧にお皿を洗う。
「ムッツリーニって、誰なのその子?」
「ひゃぁッ!!」
不意に声が聞こえて情けない声を出してしまう。
同時に手元に残っていた感覚をどこかに放り投げたような……。
「愛子危ない!」
「え?」
ボクはすぐさま悟った。 ボクの手は水に濡れているだけで皿はどこにもなかった。
驚倒したボクはその拍子に皿はボクの頭上へと投げ出されていた。
「ッ!!」
思わず屈んで頭をガードする体制に入る。 受け止めようと考える余裕がなかった。
腕に当たった程度なら怪我で済む、ボクは守ることしか頭になかった。
しかし、いつになっても皿は落ちてはこない。
「ふぅ……ごめんね、驚かしちゃって」
視線をゆっくりと上に上げるとそこに心配そうにこっちを見つめるアリスちゃんと皿を受け止めて威張っている様子の人形の
姿があった。
「上海、ありがとうね」
「シャンハーイ」
「しゃ、喋った!?」
咄嗟の出来事に腰を抜かしてしまい、だらしなくお尻を地面に付ける。
「この子は私にとって特別な存在、人形遣いとして初めて胸を張れた大切なお友達よ」
「シャンハーイ」
そ、そうだったのか……何が起こったのかわからなかったけど、今やっと理解できたよ。
荒げていた呼吸を整え、ゆっくりとその場で起き上がる。
そして、ボクを助けてくれた小さなナイト君にお礼を告げる。
「ありがとう! 上海ちゃん!」
「バ、バカジャネーノ!」
あ、この子結構しゃべれるんだネ。 しかも今のは可愛かったヨ!
「この子も照れてるみたいね」
「そうみたいだね、アリスちゃんが作った人形なだけあってとても可愛くて頼もしい人形さんだネ」
「バカジャネーノ?」
「「ふふふ……」」
ボクとアリスちゃんはその場で同時に小さく笑った。
今にも真っ赤に色を塗られそうになるほど上海の肌は赤く染まっているように見える。
その場をウロウロと動揺を隠せないみたいだ。
「おっとっと」
またお皿を落とさないようにと心配したアリスちゃんは上海から回収してお皿をお皿立てに仕舞う。
「ご苦労様、あとはゆっくり休んでて」
「シャンハーイ」
頭をなでなでと撫でると上海は元の位置へと戻っていった。
方角的には多分アリスちゃんの部屋カナ?
「さてと」
改まってボクの方へと顔を合わせる。 その面持ちは真剣だった。
「本当にごめんなさい。私の軽はずみのせいで危ない目に遭わせてしまって……」
「そんなことないよ! ボクがちょっと慌てすぎた所為だから、何も悪くないよ!」
全力で否定をする。 アリスちゃんは自分の悪ふざけを反省しているからだ。
けど、それはちょっとした出来心であり、悪意なんてものはないんだよ。
「ボクだってホラ、いっつもふざけてるしね」
「でも今回は冗談ではすまなかったかも……」
アリスちゃんは優しい子だなあ……でも、これは単なる勘違いってことを教えないと。
こういう時は強行手段に限るネ、では早速……、
「気にしすぎると、魔理沙にアリスちゃんが好きだって言っちゃうヨ?」
「そ、それは困るわッ!」
不安げな表情から一転してすごく困る顔をしている。 この不意を突く。
「だから、今回は単なる事故で、ボクは朝の陽気に浮かれてたんだよ」
一旦冷静になったアリスちゃんは少し立ち止まり無言になるとボソりと呟くように話した。
「愛子が、そう言うなら……」
「そうそう、アリスちゃんは常に笑ってないと折角の愛くるしいお顔が台無しだよ?」
「………ふふ」
沈んだ表情がようやく戻ってきた。 ボクもこれでやっと安堵出来るよ。
「うんうん、そんな感じで! それじゃ、支度も終わったことだし、魔理沙の家に出撃しよ~!」
「おぉー!」
ボクもこれで本調子に戻れるってものだよ。 アリスちゃんも楽しげに腕を上げて意気揚々としている。
「あ、今のアリスちゃん可愛い。もっかい」
「蹴るわよ」
「ご、ごめん……」
一時はどうなるかと思ったけど、これで心置きなく魔理沙のところへ行けるネ。
同じ魔法使いということで少しは私生活が気になっていたりもする。
箒に股がったり服装が白黒だったりしてたからあっちの方がボクたちのイメージに近い魔女なのかも。
当たり前だけど、目的はアリスちゃんと魔理沙の間をもっと仲良くする、これがメインなのをしっかりと頭に残し、ボクたちはアリスちゃんの家から外へ出た。
お騒がせさせていますこきゅーです。え? そんなに騒がせていない?そうですか……(´・ω・`)
今回はやっと科目「数学」のバカテストを導入することができました。といってもこのバカテストはリア友からのアイデアを使わせているので自作ではありません。
是非とも、クスリとも笑っていただいたならば感想の程をよろしくお願いいたします。もしかすると次もあるかもしれませんw
それでは、少し前回より早く投稿ができましたことに少し嬉しさを実感しているこきゅーでした。