思えば今年で三年目を迎えるこの作品、さっさと終わらせないとEDが迎えられないかもしれない、そんな危うい今年ですが、よろしくお願いします。
バカと巫女と戦争ごっこ
俺は、初めからずっと望んでいたのかもしれない。
本気だった、柄でもなく、いつもの冗談だって思っていた。
けれど、もうそう思うのは止めた。
「……雄二、雄二雄二ゆうじ」
「ああ、俺は帰ってきたぜ、翔子」
風見との戦闘後、俺はこの世界での異変について色々ババァ共から聞かされ、これからそこにいる博麗と試召戦争を開催する手筈を済ませるためここに戻ってきた。
俺が戻ってきた時には反対の空気になっていたからな、少し急がせてもらった。
そして、俺の勘は当たった。翔子が俺を見つけた瞬間、口をパクパクと魚みたいに俺の名前を呟きながらやがて正気に戻ったのか、感情が溢れでてしまったか、勢いよく抱きついて俺の胸元で泣き叫んでいる。
あー、コイツにはまた迷惑をかけちまったな……反省しねーと。
ん? 明久には、風見との真の決着を付けさせるため、寄り道をさせた。
だからこそ、俺はアイツのことが気になり、ふとある人物に目を向ける。
「良かったね、翔子ちゃん」
そこには島田やムッツリーニと同じく俺の帰還に喜んでくれてる姫路がいた。
すまん、もう少しだけ待っててくれ。 アイツなら、きっと今回の件に肩をつけてくれるからよ。
「……雄二」
「ったよ……」
ったく、どこまでも素直じゃないやつだ。
俺なんかのために涙まで流して誰よりも俺の帰還に喜んでくれる。
こんなやつ、絶対に何が何でも守り抜いてやらねーと、そして、Aクラス戦で勝った時、俺はやっと叶うんだ。
「さ、いつまでも俺にしがみついてねーで、そこの博麗と話を付けようぜ?」
「悪いわね、感動の再会に水を差してしまって」
「いいですねー! 私も外の世界の友達のことを思い出してしまいそうですよぉ!」
どこか機嫌が悪そうな博麗の傍にいる色違いの巫女服を来た少女がその場にいる。
何かしら関係があるんだろう、俺は対して興味も湧かず博麗と話をする。
「………」
「翔子、大丈夫か?」
俺のメイド服をしがみつきながら動かなくなった翔子。
様子が気になり声をかける。 こんな格好にツッコミを入れてくれなかっただけ有り難いな……。
そして無言で首を縦に振り、ゆっくりと俺から離れる。
といっても手を離してくれたぐらいで依然変わらず距離は近い。
ま、まぁ流石にテレるが、話しやすくはなったな。
今後の方針を決める大事なことだ、気を入れ直して博麗と話そうとすると、
「おかえり! 雄二さん!!」
「おわっ!?」
後ろから突如聞こえるこの場にいない声。何者かに背後から抱かれる感触。
翔子とは違う小さな手に細い腕。そして後ろを振り返ると見たことのあるやつがいた。
「こいし! 久しいな」
「うん! 雄二さん勝手に行っちゃうんだもん! 心配したよ?」
当たり前だ、もう俺は誰かの手を借りたくないんだ。特に、守りたいと思ったお前はな。
それに、島田妹の世話も見ていて欲しかったのも事実だ、俺たちがいない間に何か起こる可能性もある。
岡崎とか言ったな、ソイツらの奇襲でも受けてみろ、ムッツリーニたちじゃ太刀打ちできそうにない。
せめてもの策だ、仕方ないという理由もあった。ああ、それが本心だ。守りたいとかそういうんじゃない。
「雄二さん?」
「よしよし、俺がいない間何も起こらなかったか?」
「問題ないよ?」
「そうか……あ」
いや待て、今この状況は不味「……雄二?」あー! 翔子、待て、目がマジになるんじゃねェ!
「初めましてかな? 私は知ってるけどね」
「……雄二は渡さない。子供でも」
「あらら? 雄二さんお嫁さんいたんだ……」
「……お嫁さん、雄二の……うふふ」
状況が悪化した。最悪だ、ただでさえ婚約届けを脅しにされているのに嫁なんているかッ!
「翔子、照れるな、第一お前の一方的な押し付けだろうが」
「……子供出来た」
「ぶふぉ!」
まだ告白すらしてねェし、付き合ってもいないのに段取りが滅茶苦茶だなオイ!
「……ほら、この子」
「ん? 私?」
「………翔子、お前まだ目が真っ赤だぞ、顔でも洗ってこい。ついでに頭も冷やせ」
「……雄二は照れ屋さん」
「ほんとにねー」
「お前ら意気投合してんじゃねーよ!」
子供ってこいしのことか! 指差しで勝手に決めるんじゃねェよ! こいしもどこか満足そうだなエェ?
さっきまで翔子の勝手な勘違いで火花散ってたくせにもう仲良くなってやがる……まぁ、これで翔子が暴走でもしていざこざが起これば困るからな。ただでさえ翔子は感情が不安定だというのに騒ぎをややこしくされたら……はぁ、さっさと帰りてぇな。
んじゃ、本題に戻すか。博麗が退屈そうに膝に腕をつっかえ棒のように置いてこちらを見ている。まるで神が上から見下ろすかのような横柄な態度に見える。待たせたのは事実だ、話を折ったのも悪かったし、さっさとまとめようか。
「それで、試召戦争だったな。ルールとか変更はあるのか?」
「ええ、私たち幻想郷は召喚獣を扱うのも、ましてやテストすら受けたことがないわ。だからちょっとしたルール変更をお願いするわ」
テストすら知らねぇのか? 寺子屋があるからてっきりそこに通っているもんだと思ってたが。
しかし、ここである疑問が思いつく。
「テストの難易度はどうする。高校生レベルだとキツイんじゃないのか?」
「そこは早苗がしかと考えています!」
緑の巫女は早苗と言うのか。緑髪にカエルの髪留めと蛇の髪留めをしている。巫女ってことはコイツも何かしら神に仕えているとなると、敵に回すと厄介そうだ。博麗と同じ巫女……どんな戦術で襲ってくるのか落ち着いた対処をしなければな。
「今回受ける点数補充に関する際の試験は中学生から高校生レベルにしています。小学生レベルは簡単すぎますからね、インフレが起こりますよ」
ふむ、中学生まで下がるのは俺たちにも有利に違いない。何よりあのバカたちの点数を底上げ出来るのは俺たちにとって非常に有利にもなる。
「なるほどな」
「何か不都合でもありましたか?」
「いや、問題ない。寧ろこちらとしても好都合だ」
「なら良かったです」
ニコりと天真爛漫な笑顔を向ける。博麗と比べると同じ巫女でも性格の違いは別物だな。雲泥の差と言ってもいい。
「それじゃ私が話すわね。といってもさっきのルール変更のことだけど」
そうだったな、早苗と話してたせいで腰を折っちまった。続けるとしよう。
「ほう? 例えばどんなだ」
「簡単なことよ、この試召戦争はどんなことをしてでも代表を討ち取れば勝ちなんでしょ?」
勿論だ、ソイツを試召戦争という建前でちゃんとぶちのめしてやれば勝ちは勝ち、博麗の言うことにおかしなことは何もなかった。
「ああ、当然だが、命までは取るなよ?」
「そんなことしないわよ。あくまで遊びなんだから、戦争なんて物騒な名前付けてるそっちがやりそうなくらいだわ」
「弾幕ごっことか言いながらガチで危ない遊びを流行らせてるこの世界に言われたくないな」
「まぁ、それと一緒よ。遊びだから全力で楽しめればって思ってるわ」
「そうか」
この寺子屋には翔子と姫路以外にも秀吉やムッツリーニ、島田妹や見たことねえやつもいる。
今この場には島田妹たちはいないが、秀吉が忍び足で俺に近づく。
「話が逸れておるようじゃが……」
「おう、すまない。それで、ルール変更はどういったものだ。俺たちに不利なようだが速攻願い下げだからそのつもりで」
「やけに慎重なのね。まぁいいわ。単に代表を討ち取る際にのみ、二対二のダブルスで決着を決めたいってだけよ」
博麗の提案であたりはざわつく。 特に島田と姫路がこそこそと相談している。
「二人で? なんでわざわざそんなことするのよ」
島田が疑問に思い、発言を突く。
「簡単なことよ、不意打ちなんかであっけなく終わらせたくないっていうだけの話」
「そうです! スポーツマンシップに則り、白黒正々堂々と付けましょう!」
博麗の横にいるやつは正反対な性格をしているようで、時に口を開いたと思えば明るく振舞う。
その度に博麗が舌打ちをしているように見えるのは気のせいだろう。
「早苗、邪魔すんじゃないわよ」
「あ、はい、すいません」
怒られた早苗と呼ばれる巫女はシュンとまるで犬が大好きな飼い主に怒られたかのごとく落ち込んで下を向いている。
「コイツのことはほっといて、先すすめるわよ。何か質問ある?」
質問か、確かに不意を突く戦法は俺たちFクラスにとって日常茶飯事、朝飯前のことだ。
だが、それはあくまで俺たちと同じ人間が戦う場合であり、こいつらのような能力者には通じない可能性が多い。
それをフェアにしてくれるんだ、ちょっと気になることがあるから尋ねてから賛成かどうか考えよう。
「代表側が二人でない場合、どうするんだ?」
「二人揃うまで待つ」
「なるほど、あくまでルールに従うってことか」
「紫の能力は知っているでしょ? あんなの使われたらそっちは断然不利だろうし」
「そうだな、その追加ルール、受けざるをえなさそうだな」
俺たち以上にずる賢く攻められたら算段が水の泡になっちまいそうだ。
ましてや、能力なんぞ使われて見ろ、点数や操作技術で俺たちの方が有利だがあっという間にひっくり返されることもありうる。
待てよ、今考えさせられると俺たちには不利なことばかりだ。ハンデは多少ある方が盛り上がるかも知れない。
だが、俺たちが欲しいのは勝利。勝てればそれでいいんだよなぁ?
「なぁ博麗」
「なによ」
ニヤりとした俺の顔をみると顔を引きつらせ、声の調子が乱れる。少し怒っているように聞こえるな。
「俺たちにもルールを一つ提案したい」
「別にいいわよ」
なんだ、そんなことと言わんばかりにいつもの退屈そうな無表情に戻す。
向こうの了承は得た。あとはこっちの要求を呑めばいいんだがな。
「こっちにあえて不利な状況を消してくれる追加ルールは有難い。それに甘えて、そっちの能力に制限をかけたい」
「制限ですって?」
「ほほぉ、例えばどんな感じにです?」
横に居る緑の巫女も面白そうに食いついてきた。禁止ではなく、制限をかける方が断られる可能性は低い。
制御もそれなりに受け入れそうな緩い、だけどこちらの勝利に近づける条件を述べる必要がある。交渉とは慎重かつ大胆に敷き詰めていく。試召戦争は、もう始まっていると言っても過言ではない。
「そうだなぁ……一回使えば減点として百点っというのはどうだろう」
「面白そうですね! よりフェアに楽しめそうです!」
「早苗……ちょっと黙って」
「あ、はい、ゴメンナサイ」
主導権は完全に博麗の方だな。この二人の関係が未だによくつかめていない。
博麗と八雲は何かしら関係が深いのは明らかだ。何でもありな博麗は友好関係も広そうで、さぞ人気があるんだろうな。この世界全体を結界という名の召喚フィールドで覆っちまうんだから力は相当なものだろう。
だからこそ、その能力に制限をかける。
「私は別に構わないわ。あとで紫と連絡しておくから」
「わりぃな」
「意味もなく、一方的なフルボッコは私も嫌いでね」
「あれ? 霊夢さんってそんな穏やかな方でしたっけ?」
「あ”ぁ”?」
「ひぃっ!」
いちいち博麗の気に触れるなよそこの巫女。コイツの性質はわかってないのか? それともわざと不機嫌にさせているのか? 今の博麗、どこぞの芸人がキレたみたいになってんぞ。
「ふぅ……」
ゆっくりと息を吸い込み、気持ちを落ち着かせる博麗。部屋の隅でハムスターのように怯えて丸まっている早苗。
……ダメだ、集中しよう、この試召戦争には勝たなくてはならない理由がある。そのためにも確認しておこう。
「さて博麗、この試召戦争は勝ったら何がもらえるんだ?」
「あ、それウチも気になる」
「私もです、坂本君がそこまで試召戦争にこだわる理由もよく分からなくて……」
コイツ等が反対する理由としてまずやる意味がないこと。それとこちらが勝ったとしてもそのメリットが見い出せなかったことにある。ならそれを引っ張り出してやればころっと変わるだろうよ。
「詳しい説明はあとで話す。んで、博麗、そこんとこはどうなんだ?」
「勝ったら? そうね、えっと……『何でも一つだけ願い事を叶えて上げる』っていうものよ」
俺たちを帰してくれる、という条件ではないところがまた八雲らしいな。無駄にねじ曲がった賞品を用意してくれるじゃねーの。
「「「な、何でも一つだけ!!?」」」
「ああ、そうらしいな」
見ろ、全員の目の色が変わったぞ。
「これは、負けるわけにいかないわね! 俄然燃えてきたわァ!!」
「そうですね! 坂本君がここまで熱心に話を進めてきたのはこのためだったのですね」
「なるほどのう、流石雄二と言ったところかの」
「………
各個人がやる気を出してくれて何よりだ。一人邪念が思いっきり見えてるがやってくれるなら心配いらないな。
「いえ、エッチなのはいけないと思いますので却下です!」
「………がっくし」
「ムッツリーニ、そう落ち込むことはないぞ?」
「………ないなら、この手で創造するまで」
それでいいのかムッツリーニ。
「さて、何だか闘士を上げちゃったみたいだし、あとはこの紙にまとめておいたから確認してちょうだい」
そう言われ、渡された一枚の白い紙にインクで書き綴られた文字の数々だった。
軽く目を通して読むと基本的には変わらないみたいだが……。
「流石に疲れたから休みたいわ。あとは早苗にでも聞いて頂戴。早苗」
「はい! 霊夢さん」
博麗に言われ、何かを懐からゴソゴソと取り出すと俺に渡す。それは手のひらサイズの……玉?
「はい、これをどうぞ。これを使えば霊夢さんといつでも連絡が取れることが可能となります」
こいつはどこかで……あぁ、思い出した。
記憶が確かなら俺は八雲がおそらく岡崎と連絡をしている時に使っているアレと似ている。
なるほど、こいつはいわゆるこの世界での携帯電話みたいなものか。
「有り難く借りておこう。もしルールについで疑問に思ったことはコイツを通じて話させてもらうとする」
「ええ、んじゃ私はこの辺で」
「あ、私も失礼いたします」
博麗はすでに俺たちに背を向け、さっさと部屋を出たがっているのに対し、早苗は律儀に頭を下げ、置いてかれないよう慌てて博麗と同時に部屋を出た。
「はぁ……俺も疲れたわ」
やっと一段落出来たと思うと俺はその場で大の字で寝転がった。
俺も色んなことが起こりすぎて休憩したい、というか一眠りしてぇくらいだ。
今後の方針もまとめとかねぇと、こいつらを引っ張っていけるのは俺だけだからな。
「お疲れじゃの」
「ああ、お茶でもくれると嬉しい」
「承知した」
秀吉が顔を心配そうにのぞかせる。ついでにちょいと喉が渇いてきたから飲み物を頼む。
「さて、ウチたちも張り切って試召戦争しないとね!」
「ここで負ければ私たち、一生帰れないかもしれません……そうならないためにも、私も頑張ります!」
「………必ずや勝利をこの手に収めると聖なる本に誓おう」
「頼りにしてるぜ」
んじゃ、俺はこの紙の内容を頭に叩き込むとするか。秀吉から湯呑を受け取り口に運ぶと俺はそれぞれ自由にしててくれとこの場にいる全員に伝える。またあとで俺から話をざっくりと纏めて話す必要があるからな。休息はしてもらわねえと。
――――☆――――☆――――☆
雄二「さて、内容を確認すっか。印刷とかしてくれればいいのに……流石にそんなめんどくせえことしないか」
『一・基本ルールは文月学園で行われるものに従う
二・それらに加え新たに以下のルールを追加、変更を加える
三・幻想郷住民にも楽しめるよう、スペルカードルールを適応する。このルールはスペルカードを所持している者であれば宣言することにより百点をマイナスする代わりに強力な弾幕を召喚獣が放つことが出来る。なお、弾幕はフィールド内のみ、時間制限あり、一度使ったカードは同じフィールド内では二度は使えないのであしからず。
四・点数五十点を消費することによりボムを発動することが可能となる。これは一度のフィールド内で三回まで使える。ボムを使用することにより、フィールド内の弾幕を全て消すことが可能となる。
五・文月学園組は寺子屋、幻想郷組は博麗神社を教室とし扱う。
六・教師の立ち合いは不要とする。代わりに場所により教科が決まる(例えば魔法の森は数学、理科、人里は日本史、それぞれの教室はランダムなど)
七・今回の試召戦争は四季映姫様により直々に審判が下される。明らかな違法行為を行った異端者には師匠戦争が終了するまで有難い説教を受けていただく。
八・スペルカードルールに則り、美しく戦うことを誓いなさい。
⑨・バカ
十・なお、これらのルールは変更することもあるので随時博麗霊夢、もしくは八雲紫と連絡を取り合うように』
雄二「……⑨って何だ? んで、バカって書く必要があるのか? まぁいい、大体分かった。しかしまだ曖昧な段階みたいだな、こっちの参加するメンバーとか向こうの数とか、不公平にならないようにならなきゃいいんだが」
いや~年明けちゃいましたねぇ……今年は色々試練が襲いかかる年になるので失踪したら死んだと思ってくださいませ(かなり弱気
あ、今回のルールですが、今後の思いつきでいいように変えるかもしれませんのでそこのところご注意ください。とくに六とか元に戻す可能性あります。じゃあなんでこんなルールにしたかと言うと、思い付きです(ドンッ!
さて、本題に入ろうか……以前から私の作品を読んでくれている人から挿絵を頂きましたァ!!
(パチパチパチ)
ありがとうございます、ありがとうございます、今後も頑張って書き続けていきますのでよろしくお願いいたします!
ということなので、挿絵の扱い方がよく分からないので少し調べてから載せると思いますので感想などよろしくお願いいたします。
それでは、改めまして、2015年もよろしくお願いします( ´∀`)