バカと霊夢と幻想郷   作:こきゅー

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「うぉ!?な、なんだ?この玉いきなり振動したぞ? まさか、博麗側からかかってきたのか? とりあえず適当に……コレか?」

『あー! ああああああ!!』

「うっせぇよ!!」

『あ、すいません、無事繋がったみたいですね。東風谷早苗です』

「いきなりなんだ、博麗も一緒にいるのか?」

『あ、いえ、ちょっと言い忘れてたことがあったのでテストついでに連絡をこうしてとっているのです』

『早苗ぇ、繋がった?』

『あ、はい! 霊夢さん、今向こうに要件を伝えようとしてますので少々お待ちください』

「博麗も一緒か、んで何だ?」

『ええ、テストについてですが教科を増やしていただこうかと』

「国語、算数とか以外にか? 音楽や図工?」

『いえ、新しく「幻想郷」という科目を追加させていただくのでよろしくお願いします、と』

「……は?」

『さらっと説明しますと、私たちの能力やこの世界についての問題は幻想郷という科目として扱う、というものです』

「思いっきりこっちに不利じゃねーか」

『でも、こちらの大半は算数はおろか、国語なんて「なにそれ、おいしいの?」という状況ですので、まぁハンデっぽい要素をこちらにもいただこうかと』

「……そうか」

『ええ。あ、あと人数ですがこちらとそちらの数は調整しますので心配いりません。そっちはそっちでどんどん数を増やしていっても構いません。幻想郷には暇を潰したがっている妖怪や妖精は沢山いますので数の暴力なんてことは起きませんと思います』

「なるほど、その件は俺としても聞きたかったところだ」

『そうですか。試験について慧音先生に伝えているのでそちらで。ではそろそろ霊夢さんが見えなくなるのでこの辺で! 待って霊夢さぁあああ』

「……途中で切りやがったな。しかし、幻想郷ねぇ……慧音? そういやアレ以来会ってないな……まぁいい、それじゃ集結させるか。こいしはどこだ」

「はーい! お父さん!」

「…………ここに全員集めてくれるか。島田の妹も含めて全員だ」

「分かったよ、パパ!」

「頼むから昔のこいしに戻ってくれ……」

「むぅ、分かったよ雄二さん。だから悲しい顔しないで?」




バカと幻想郷と情報交換~第一問~

「――という訳だ、この内容をまとめた紙はここに貼っておくから各自確認、頭に叩き込んどいてくれ」

 

「「「了解!」」」

 

この部屋に居ない島田の妹や何やら見慣れないやつもとりあえず集まってもらった。

渡された紙の内容についてこいつらに分かりやすく説明をしたが、粗方理解しただろう。

 

「ねえねえ、アイツんとこにいた人間なんだよね?」

 

「ウチに何か用? もう吸血鬼は勘弁してほしいんだけど」

 

「そこ、話はもう少し続くから静かにしててくれ」

 

「「はーい」」

 

七色のクリスタルを付けた、とても飛べそうに見えない羽を付けたあれは何者なんだ?

島田に何か質問してたが……おっと、さっさと次の目的を話さねえと。

 

「俺たちは幻想郷について勉強し、少しでも戦力とする必要がある。敵にとっては願ってもいない教科だからな。少なくとも対抗できる術を持たなくてはならない」

 

「ちょいとよいか?」

 

話の最中だが秀吉が手を挙げる。何か質問があるんだろう、俺は聞いてみることにした。

 

「どうした?」

 

「勉強と言っても、どうするつもりなのじゃ? 確かにここは寺子屋、学問についてはうってつけじゃが」

 

「俺たちには本で学ぶより、もっと効率よく学んできただろ?」

 

俺の言葉でその場で考え始めた秀吉が答えを出すのに時間はかからなかった。

 

「ワシたちの実体験のことを申しておるのか?」

 

「そのとおりだ、今いる俺たちが飛ばされた場所、ここにたどり着くまでの経験等を全て話してもらう」

 

明久やいないやつらについてはまたあとで機会を設けるとするか。

今は明久の代わりに俺が代弁すれば博麗についても理解が深まるだろう。

 

「どんな参考書よりも信憑性が高そうね」

 

「いいご提案だと思います」

 

「………分かった」

 

「……雄二のためなら」

 

ふむ、全員が賛成のようだ。この問題は半分くらい解決したようなものだ。

実際は島田の言った参考書のような、何かこの世界について記されてる書物があればいいんだがな……慧音に聞いてみねえとそこはどうにもならないな。

 

「こいしはどうすればいいのー?」

 

両腕をパタパタ鳥の羽のように健気に動かしながら尋ねるこいしにも指示をする。

 

「地霊殿のことや知ってることを詳しく教えてくれると有難い」

 

そう、俺たちには幻想郷の住民が付いている。勿論、知らないこともあるだろうが少なくとも俺たちよりは知識が深いはずだ、力を借りるとしよう。

 

「イエッサー!」

 

「……私は負けない」

 

「妙な対抗心は起こすな」

 

「……でも、きっと役に立てるはず、期待してて」

 

「お、おう」

 

珍しいな、そこまで自信満々に食いついてくるなんて……だが翔子が何を思い、何を見てきたのか、それは気になる。無事にこうして今いるのだが、危ない目には合っていないだろうか。

っふ、俺もバカだな、コイツの母親でもねぇのに無意味な心配なんぞするだけ無駄だな。

 

「……どうかした?」

 

「ッ!?い、いや、何でもねえ」

 

「……動揺する雄二、非常に稀」

 

「明久の分の内容をどう話そうか考えてただけだ、さぁ! 皆適当に円になって座ってくれ」

 

とりあえず翔子から逃げるために全員の話を聞きやすくするため指示を出す。

俺もそこらへんに座るとするか。

 

「……雄二の隣は私」

 

「それじゃ、空いてる方はこいしがもらうねっ」

 

右隣に翔子、左隣にはこいしが磁石のように俺の肩をくっつける。ただただ鬱陶しいんだが、一人快く思ってない者がいた。

 

「………死刑」

 

「ムッツリーニ、刃物はしまえ。俺だって不可抗力なんだからな」

 

「………む」

 

いささか納得してないようだが、許せもなにも俺は悪くないからな、寧ろ助けて欲しいくらいだ。

まるで影踏みでもされるみたいに圧迫されてる気分だぜ……話しにくいし聞きにくいったらあちゃしねぇ。

 

「お前ら、もう少し離れてくれ。全員の話をしっかりと覚えておきたいからな」

 

「「雄二(さん)は本当に照れ屋さん(だね)」」

 

こいしだけでもさとりに引き取ってもらおうか……なんでこいつまで翔子と一緒になってやがるんだ。

 

「雄二、準備が出来たようじゃぞ」

 

俺の気持ちが整理できていないでいると秀吉が全員を確認し、俺に声をかける。

 

「ああ、そうか。それじゃ、誰から話すか……誰でもいいんだが」

 

「それでは葉月がお話します!」

 

やや左右がうっとおしいが、構ってる場合ではないか。先陣を切ったのは意外にも島田の妹だった。

確かに非常に興味深いものがある。勿論一人で来たわけではないだろう。

 

「葉月はですね、えっと……えっと……」

 

「葉月、落ち着いて話しなさい。葉月はこっちに来るまでどうしてたの?」

 

島田が妹のサポートする形で話を進めていきそうだな、全員が島田の妹に注目しているんだ、緊張もするだろう。

 

「はいです! 葉月はお姉ちゃんたちの帰りを待っていたのですが、いつもより遅かったので学校まで探しに行っていたのです。けど、いつの間にか見たこともない場所に来ていました」

 

路地を歩いているといきなり? 八雲の手口とは少し異なるような……考えすぎか。

 

「葉月は怖かったのですが二人のお姉ちゃんに助けてもらったのです」

 

「その二人は誰なの?」

 

「えっと……バカなお姉ちゃんと羊のお姉ちゃんです!」

 

「バカ? 明久が女装でもしたのか?」

 

「違います! バカなお兄ちゃんではありません、バカなお姉ちゃんでした!」

 

それだけだと分かりにくいな……羊っていうのが気になるところだ。種族は不明だが、危ないやつではなさそうだな。

そして、バカなお姉ちゃんか……明久と相性が良さそうだな、思わず口に出して小馬鹿にする俺がいる。

 

「それでですね、葉月いろんなことを説明してくれたのですがあまり覚えていなくて……ですが、「ここは危ないところだからお姉ちゃんたちがお家まで送ってってあげようね」って言ってくれました」

 

「その人たちは今どこに?」

 

「分かりません……人がいっぱいいるところで休んでいて、お姉ちゃんたちがお団子を買ってくるって言ったっきり帰ってこなかったのです」

 

「その二人に何かあった、と考えるのが妥当か」

 

面倒見が良くて子供に好かれやすそうなバカと羊のお姉ちゃんねぇ……。

 

「こいし、何か知ってるか?」

 

「ううん、分かんない」

 

こいしに聞いてみるも首を横に振り、全く知らない様子だ。

 

「フランちゃんは? 見たことある?」

 

「羊のお姉ちゃんなんて聞いたことも見たこともないよ」

 

俺の質問をこいしがそこの妖怪にも聞いてみていた。フラン? あぁなるほど、島田にくっついてる妖怪の名前か。

吸血鬼か……こっそり血でも吸われたらヤバイが、敵意はないようだし、こいしの友達のようだから大丈夫だろう。

 

「それで、葉月が一人でいると怖い狼さんがやって来て……足が動かなくなって逃げ遅れたのです」

 

「そんな怖い目に!?」

 

「はいです……でも、バカなお兄ちゃんと魔法使いのお姉ちゃん、巫女のお姉ちゃんに助けてもらいました!」

 

確か、明久が少女を庇ったというのは人里で有名な話だが、まさかその少女が島田の妹だったとはな。

 

「巫女ってのはどんな感じだった?」

 

「えっと……赤と白の服でちょっと怖かったけど優しいお姉ちゃんでした」

 

「魔法使いの方は?」

 

「黒くて箒に乗ってて、葉月も魔法使いになりたいです!」

 

博麗と霧雨の二人か、博麗と明久は共に行動していたのは聞いている。霧雨はたまたまその場に鉢合わせたのか? なんにせよ、助かって何よりだ。

 

「それからは葉月はバカなお兄ちゃんと一緒に皆を待っていたです! でも、今も二人のお姉ちゃんは見ていないです」

 

「なるほど、ありがとなチビっ子」

 

お辞儀を深くすると島田の妹はちょこんと座った。

しかしなぜだ、コイツ一人で幻想郷に連れて来たというのか? 八雲も安全面は配慮しているらしいが……机上の空論だ、次の話を聞くとするか。

 

「ありがとな。さあ、次は誰がする?」

 

「こいしの話は?」

 

「お前のことは俺と一緒に話すから質問に答えてくれりゃいい」

 

「そういえばまだその子と坂本の関係を聞いてなかったわね……」

 

「俺の話は最後でいいだろう、まずはお前たちの話を聞きたい。そうだな……島田、次はお前でどうだ?」

 

「う、ウチ!?」

 

「それ賛成! そこの人間いいチョイスね!」

 

そりゃどうも、と軽く頭でも下げておくか。どこかお嬢様気質があるみたいだな。

まぁ、あの妖怪のことも気になるし、妹が話したんだ、次は姉で妥当だろう。

 

「そ、それじゃ次はウチね……ウチはここに来てからあまり意識がなかったんだけど、目が覚めたら紅魔館って屋敷にいたの」

 

「屋敷とな? となるとその妖も高貴な類なのじゃろうか?」

 

「ええ、そうよ! お姉さまはすごいの!」

 

大雑把な説明だなお嬢さん。具体的には分からないが、今はざっくり理解できればそれでいいか。

 

「続けるわよ。目が覚めてから驚いたわ、その屋敷に住んでる人に言われたんだけど、別世界だなんて信じられなくて。でも魔法とか見せられてると信じるしかなくって……だからウチはその環境に馴染むことに徹底したわ」

 

島田も苦労していたんだな。島田は話すことに夢中で感情が剥き出しになっているのか手振りをつけて話している。

 

「その屋敷に居たのは……十六夜咲夜とレミリア・スカーレット、パチュリー・ノーレッジってくらいかしら。あと小悪魔ってのも――ちょ! 土屋! 鼻血出てるわよ!?」

 

「………続けてくれ(ダラダラダラ)」

 

何を想像したらそこまで血を出せるんだ。仕方ねえ、

 

「誰かティッシュか輸血パックをコイツにつけてやってくれ」

 

「………俺がこの程度で倒れると思っているのか(ダララララ)」

 

勢いが加速してやがるんだがそれはつっこんだら負けなんだろうな。

とりあえず姫路と秀吉が手当に向かってくれたので話を続けてもらう。

 

「んんっ! えっとね、咲夜はレミリアのメイドで――」

 

「………この俺を殺すつもりか(シャバー!)」

 

「きゃあ! だ、大丈夫ですか!?」

 

「ムッツリーニよ! 何も考えるでない!」

 

ったく、話が進まねえじゃねえか!

 

「ほっとくけどいいわよね?」

 

「ああ、ムッツリーニは秀吉たちに任せよう」

 

「それなら……レミリアは吸血鬼で紅魔館の領主みたいで、挨拶に行ったんだけどホント貴族みたいなやつだったわ」

 

「仕方ないわ、アイツはそんなやつだから」

 

お前、確かお姉さまとか言ってたが、そんな妹が姉のことをアイツ呼ばわりでいいのかと疑問に残るが後だ。

となるとここにいる吸血鬼はレミリアってのと姉妹なんだな。

 

「ウチは挨拶した後、地下の図書館でパチュリーと召喚獣について色々聞かれたり実験に手伝ったりしてたわ」

 

「因みにお姉さまの程度の能力は『運命を操る程度の能力』、咲夜は『時を操る程度の能力』、私、フランドール・スカーレットは『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』だから覚えておいたら?」

 

おいなんだそのチート軍団。そしてようやくこいつの正式名所が判明したな。

召喚獣について詳しかったようだし、試召戦争には参加してきそうだ……こいつらの対策はほぼ必須か。

 

「あとパチュリーは『魔法を操る程度の能力』だからよろしく!」

 

「ふむ、参考になった。ありがとな、フランドール」

 

「フランでいいよ。フフっ、有り難く感謝しなさい」

 

どこか不気味に笑いだしたフラン、その様子は何故か背筋を凍らせられる恐怖を与えてくる。

これが吸血鬼のオーラってやつか? 俺がビビっちまうとは情けないぜ。

 

「ウチの話に戻るわよ。それと、フラン? なんでここにいるのよ。お姉さまが今頃心配してるんじゃないの?」

 

「平気よ、アイツには無断で外出してきたから」

 

この姉妹は仲が悪そうだな……ん、待てよ? 俺はふと気になることをフランに聞いてみた。

 

「お前は俺たちの味方なのか? それとも敵か?」

 

「こいしと仲良さそうだし、友達の友達っていうの? なら襲わないわ」

 

「それなら、俺たちと一緒に試召戦争ごっことやらに参加してみねえか?」

 

コイツの雰囲気や島田の話から察するにおしとやかというより戦闘狂に近い性格だろうと推測した。

ならば、こいつ好みに誘い込めば戦力としてなるかもしれない。

 

「試召戦争ってなに?」

 

「俺たちと博麗たちと召喚獣を使って生き残りをかけたサバイバル、といったところか」

 

「雄二よ、その言い方はやや誤解を招くかと「なにそれ超楽しそう!!」……いや、なんでもない」

 

目をキラキラさせて幼気な視線を俺に送る。よし、これで手数が増えたな、学力の方は幼い見た目からして期待はできないが、こういったことに慣れていそうだ。

となるとコイツは使えそうだな……もしくは、能力を使えば召喚獣を問答無用で破壊させることが?

今のうちにこっち側に引き込めて良かったか。

 

「うーん、何だか話す気力が無くなってきたわ。ざっくりとまとめるとそれからウチは門番の美鈴と仲良くなって、射命丸とかいう新聞記者の伝言で屋敷から人里に向かうことにしたの。その途中でチルノって妖精と会って、やたら強い妖怪に襲われたり、亀の玄爺に人里まで乗せてってもらって、そこでウチの勘違いでアキたちに迷惑をかけちゃったけど、こうしてここに居るって感じかな」

 

「色々と端折りすぎだ。だが襲われたって、よくぞ無事だったな」

 

「美鈴が守ってくれたのよ、チルノもウチのために戦ってくれたわ。あれから美鈴がどうなったか分からないのが心配ね……」

 

「私の遊び相手であるちゅーごくが壊れるわけないから、心配いらないって」

 

この場合の『遊び』は恐らく弾幕ごっこのことだろう、吸血鬼とまともにそれを成し遂げられるってことは相当強いってことだろう。門番なら尚の事だ、頼もしいやつに違いない。

 

「んじゃウチはもうオシマイ! 次どうぞ」

 

「あ、ああ、話してくれてありがとう」

 

やや無理やりに話を終わらせた島田は少し不機嫌気味な顔をしていた。

ふむ、俺は今後のことも含めてフランとは色々話しておかないとならなそうだ。美鈴やチルノの能力についても知っておいて損はないだろうしな。

 

「それじゃ次は……」

 

 




どうも、こきゅーです。
今回の話は『バカと幽香と一輪の花~第二問~』のまえがき部分を具体的に書いたものです。
もうそろそろ試験などで忙しくなるのでこの投稿が終われば次はいつになるか……少々未定になってしまいますがご了承ください。

まぁ忙しくても現実逃避で書きたくなるから意外といつもどおり二週間以内に済むかもしれない←
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