バカと霊夢と幻想郷   作:こきゅー

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『それにしても、アタシの歌ってこっちだと高評価なのね』

『そういややけに嫌がってたが結局リハを終えて楽しそうだったな』

『自分の短所くらい把握しとくもんでしょ?』

『なら直せないのか?』

『……努力は必ずしも報われないものよ』

『ムリだったんだな。それであんなに』

『そうよ? でも、やっぱり豪邸だったのかな? 部屋は綺麗だったし、ご飯も美味しかったわ……』

『すまないな、貧相なものしか用意できなくて』

『えぇ!? 妹紅が謝る必要はないのよ!?』

『……ふふっ』

『あ、さては冗談?』

『その通りだ……クスッ』

『もうっ! 心配しちゃって損したわ』

『御免御免。んじゃアイツ等も待ってることだ、行こうぜ』

『そうね、アタシの歌声を幻想郷中に轟かせてやるわッ!』



アタシと騒者と半人半霊

『お初にかかります、西村先生』

 

『うおっ!?何もないところからいきなり――学園長?』

 

『貴方、Fクラスに毒されているのかしら?』

 

『す、すまない。てっきり若返った学園長が幻として現れたのかと』

 

『まぁいいわ。それよりアナタにお願い事が二つあるのよ』

 

『その不気味な穴、俺が入ったものと同じ。お前がこの騒ぎの関連者と見た。目的はなんだ?』

 

『あらあら、生徒思いのいい先生じゃない。藤堂学園長の言うとおりかもしれませんね』

 

『あんた、学園長と顔見知りか?』

 

『詳しく話すと長くなるから省くけど、まぁそうね。私のお願い事を二つ聞いてくれればもっと色んなことを優しく教えてあげても良くてよ?』

 

『誤解の招くような言い方はやめてくれませんか。それで、頼みというのは? 俺にできることならなんでもやるぞ』

 

『ホント、教師の鑑ね。まず一つ目はアナタが消した試獣召喚結界をもう一度出して欲しいのよ。というかもう消さないでくれれば嬉しいわね』

 

『……ふむ、召喚フィールドのことか。了解した。試験召還獣がいなければ困りそうなやつもいるしな』

 

『お願いね。それともう一つ、これから何ヶ月か分からないけど試験召喚戦争っぽいことをするからその時の審判としていてもらえないかしら?』

 

『ちょっと待て、試験召喚戦争のようなもの? それは誰が、何の目的で開催されるんだ? 生徒たちに危険は及ばないんだよな?』

 

『落ち着いて西村先生。危なくなったら止める。そのための審判役ですわ。アナタの他にも審判にふさわしい人を呼んでいるから信じて頂戴』

 

『そうか……あんたの言うことに嘘は感じられない。分かった、俺も教師としてその戦いを見届けさせて貰おうじゃないか』

 

『ありがとうございます。それでは、これを返しますわ』

 

『これは……俺の服?』

 

『魔法の森に不法投棄していたのをたまたま見かけたものでね?』

 

『あ、あぁ。すまない、すっかり忘れていた。てっきりビリビリに破いてしまったものだと』

 

『ふふっ』

 

『それで、俺は何をすればいい?』

 

『あなたは私と一先ず一緒に来てもらうわ。時が満ちるその時まで』

 

『そうか、やることがないのは退屈だが仕方ない。取り敢えず同行するとしよう。最後にあんたの名前は?』

 

『私は――通りすがりの一妖怪ってところですわ』

 

 

――――☆――――☆――――☆

 

 

幻想郷の霧の湖に誰の記憶にも残らない豪邸の成れの果てがひっそりと経っている。

朝昼晩、不思議と気持ちが和らいだり極端に欝になったりする変な演奏が時々行われているが、今はプリズムリバー三姉妹の住処だ。そこに偶々通りかかり、好奇心で中に入ってみたらこんなことに……。

当初の目的とはズレてないからいいけど、アタシの歌ってホントに大丈夫なのかしら。

 

「おはよう、昨日は良く眠れた?」

 

地面はぬかるみ壁は苔がびっしり付いていて雨宿りでさえも利用したくない不気味なとこだったのは昨日の話。住めば都、案外居心地の良いこのルナサさんの家で一晩ゆっくり疲れをとった。

今日の支度を済ませ部屋から出ると偶然ルナサさんと出くわした。

 

「おはようルナサさん」

 

「おはよう、今日のライブも期待してるよ」

 

「うん、アタシも初のボーカルでどうなるか分からないけど、上手くいくよう最善を尽くすわ」

 

少し俯いた様子を見せるルナサさん。一人でいるところを初めて見るけど彼女は三人の中でも大人しい性格よね。メルランが明るすぎるのかもしれないけど。

 

「私の妹が私の音も含めて全て調和するから」

 

「随分仲の良い姉妹なんですね……そして信頼もしている。だからプリズムリバー楽団が奏でる音色は評価されているのかしら?」

 

「そうよ~」

 

「あ、メルラン」

 

部屋の前で話しているとアタシたちの声が聞こえてきたのかパジャマ姿であくびをしながらゆっくり歩いてくるメルラン。その姿だと胸が一段と協調されているのが目に入る。

 

「まだパジャマなの? そろそろ行くよ?」

 

そういえば朝食を頂いたときも一人だけその格好だったわね。食べてからまた寝たのかしら?

 

「え~? もうそんな時間なの? それじゃ着替えてくるわね~」

 

「ところで、リリカは?」

 

「見てないわ~。それじゃゆっこちゃん、また後でねっ」

 

「ええ、また後で」

 

背伸びをし、一段と大きいあくびをしながら翻し自分の部屋へと戻っていく。

ゆっこちゃん……ま、まぁこの三人にだけなら呼ばれても問題はないわよね? 正直、メルランは苦手なタイプかな。

 

「それじゃ、私もそろそろ。外で待ってるわ」

 

そう言うとルナサさんは本来の種族を思い出させるかのようにすっとその場から消えてしまった。

 

「……幽霊とかいないって思ってたから怖くないけど目の前で人が消えるのはやっぱり怖いわね」

 

「そうか?」

 

呑気に腕を組み話を聞いていた妹紅も退屈そうにしていた。

 

「ええ……さて、アタシたちも行きましょうか。用意はもう出来てるし」

 

「おう! 優子のプロデュースは任せといて!」

 

「ぷ、プロデュースって……アタシがアイドルみたいじゃないの」

 

「似たようなもんでしょ」

 

「そうなの……かな?」

 

楽団って言うんだから本来はコンサートホールで開催されるようなオーケストラを演奏する団体じゃないのかしら?

 

「ま、どっちでもいいからさっさと行こうよ!」

 

「そうね」

 

いつまでも部屋の前で立ち往生してる訳にも行かないわ、待ってるルナサさんたちのところに向かわないとね。

 

「そういえば気になることがあるんだけど」

 

「どうしたゆっこちゃん」

 

「妹紅に言われるのは少し照れるわね……じゃなくて!」

 

螺旋階段をぐるぐる下りながら部屋で見たとある絵について尋ねる。

 

「アタシたちの部屋に綺麗な女性の絵が飾ってあったけど、知らない人だったわ」

 

こんなオンボロ屋敷だけど、数十年前はきっと富豪だったはず。泊まった空き部屋は確かに綺麗だったし、小さなシャンデリアだって付いていた。生前はその財力や事業で名を馳せていたとしたら世界的に有名な偉人の絵でも飾るに違いない。けどアタシの記憶の中とはどれも一致しなかった。アタシも一応Aクラスだし、博識な人間だと思ってるんだけど。

 

「汚れてて、正確にはよく見えなかったし、仕方ないよ」

 

「うーん……」

 

一度考え出すとある程度の自分が納得するまで結論がでないともやもやする。そうね……例えばだけど一つだけ思いついたことがある。

 

「――娘さんとか?」

 

「え!?あのプリズムリバー子供いたのか?」

 

「いや、そうじゃないわ。きっとこの屋敷の生前の持ち主よ」

 

「なんだ、びっくりした」

 

顔は妹紅の言ったとおりだけど髪はロングだったし、女性らしき服装もしていたから女性だと思う。

 

「ま、どうでもいいじゃないか。それに他所の家の事情を他人が突っ込んでは失礼だ」

 

「それも……そうね」

 

妹紅の件については不可抗力だったし、失礼だけど仕方ないわよね? それに死んだ人や名前も知らない有名人なんて興味ないし、もう今日のライブに集中するとしましょう。

そしてリビングを通りアタシたちが入ってきた扉の前までやってきた。

……今は隣に妹紅がいるから安心出来る。けどステージに立つときアタシは顔見知りになったばかりの三姉妹が周りにいるだけで妹紅はいない。そんな状況で本番でも上手く歌えるかしら。文月学園のPRのときも秀吉に変わってもらったし、そういえば人前で歌うってあまり経験上ないことに自覚すると緊張が、心臓の鼓動が早まるのが分かってしまう。

 

「不安なのか?」

 

「うぇえ!?」

 

素っ頓狂な声を上げてしまい恥ずかしくて顔が真っ赤になるわ。

 

「大丈夫だ! 私に歌ってくれたときの優子は輝いてたから! 保証するッ!」

 

言葉の最後。自分自身の胸にドンと拳を叩きつけアタシを励ましてくれる。

 

「……ありがと、そうね、うじうじしてるのアタシらしくないわね!」

 

「そうだその粋だ優子!」

 

そしてアタシは埃が被った取っ手を持ち、扉を開けた。

外からの日差しを受け思わず手で防ぐ。外の空気を吸い、外に居るリリカとルナサさんを視野に入れると手を振り、軽く言葉を交わす。

 

「お待たせ」

 

「ゆっこおはよう。今日はよろしく!」

 

リリカが軽快に挨拶をする。もしかしてリリカが一番早く準備できてたの? それで館内には居なかったのかしら。

 

「こちらこそ、昨日のリハのときみたいにやってやるわ!」

 

「……優子、テンション高いね」

 

「そう?」

 

そう見えるのはきっと妹紅に元気を貰ったからだと思うわ、ってことは言わないでおこう。ちょっと照れ臭いし。

 

「あとはメルラン姉さんだけか……」

 

「お、お待たせ~」

 

噂をすればなんとやら。真ん中の次女のメルランが慌ただしくやって来た。

 

「それじゃ、音合わせとか向こうでするから兎に角西行寺家のところに行こう」

 

「「はーい(ういっ)」」

 

「わかったわ」

 

全員が揃ったところで、ルナサが皆を仕切る。

 

「優子の移動は私に任せろ」

 

「ええ」

 

どうせ皆飛んで行くんだろうし、いつものように妹紅に運んで貰いましょう。

さて、それじゃ行きますか……。

アタシの新たなステージが幕を開けるわッ!

 

「………妙だな」

 

「ん? どうかしたの?」

 

「いや、飛んでみて思ったんだが違和感がするな」

 

「大丈夫? 無理しないでね?」

 

「うん、ありがとな」

 

アタシにとっていつもの青空にしか見えなかったけど、時々妹紅は空を睨み付けるようにして移動を続けた。なにか特別なものでも見えてるのかしら?

 

 

――――☆――――☆――――☆

 

 

 

「ようこそ、白玉楼へ」

 

「おはようございます幽々子さん、本日はよろしくお願いします」

 

白玉楼と呼ばれる今日のライブ会場に到着した。空を飛んでの移動でも少し時間を長く感じた。朝に移動を開始したのはそういう理由だったのかしら。

幽々子と呼ばれた女性は一見すると飄々としていてよく分からない。けどお客さんなのは確かなんだし、アタシも軽く挨拶をしなければ。

 

「幽々子さん」

 

「あら、この子は? 何プリズムリバーなの?」

 

確かにプリズムリバー楽団は全員姉妹だから流れ的にそうなるの分かるけど!

それを聞いていたルナサさんが慌てて修正に入ってくれる。

 

「い、いえ違います。彼女は優子と言い昨日から私たちの楽団に仮入団した外来人です」

 

「あら、そうなの? よろしくね優子ちゃん」

 

「よろしくお願いします」

 

誤解を早めに解けて何よりね。

 

「それじゃ、妖夢。まだ時間はあることだし、お願いね」

 

「承知しました」

 

アタシたちは挨拶を終えるとひとまず楽屋と思わしき部屋に案内される。その際、魂魄妖夢さんが連れて行ってくれた。刀を二本所持している彼女はここの庭師兼幽々子さんの護衛役なんだそうだ。

 

「それでは、時間までごゆっくり」

 

礼儀よく頭を下げ、襖を閉めその場を後にする。魂魄さんは第一印象だとクールなんだけど近寄りがたい印象ね。

 

「んじゃ音合わせでもする~? 退屈だしね~」

 

部屋に着くと早速と言わんばかりにメルランが話を切り出す。そうね、あと30分ほど時間が余ってるみたいだし、アタシもその提案には賛成ね。乗り気なアタシにルナサさんがこんな提案を持ちかける。

 

「優子は外来人でこの世界のことを知らないんだ、折角だしちょっと白玉楼を見てきたら?」

 

「え? いいの?」

 

「大丈夫大丈夫。音合わせって言っても外の世界の楽団がやってるようなんじゃなくて単に私たちの音が上手くハモるかどうかの問題で、要は調子を確認するだけだから」

 

「それじゃお言葉に甘えて……」

 

「私も優子に付いていくかな」

 

あぐらを組んで隅っこで座っていた妹紅はそう言いながらゆっくりと立ち上がりアタシの傍に寄り添う。

 

「うんうん、私たちの音を過度に聞くと良くないしそっちの方が都合がいいよ」

 

リリカにも言われたので、それじゃ遠慮なく白玉楼を散歩させて貰いましょう。

 

「じゃ、時間までには戻るから」

 

「いってらっしゃ~い」

 

メルランたちに手を振られアタシたちは一先ず部屋を出る。さて、取り敢えず庭を見てみたいわね。あそこにあった大きな木が気になるのよ。

 

「取り敢えずどうする?」

 

妹紅がアタシに行き先を聞いてくる。

 

「あの大きな木があるところに行ってみましょう」

 

「あー、あれは近付かない方がいい」

 

妹紅にとって都合でも悪いのか笑顔で話していた妹紅は頭をポリポリと掻き始めた。

当然訳を知りたいので理由を聞く。

 

「なんで?」

 

「あれは死人を誘う『西行妖』っていう木らしくてな」

 

思ってたよりスケールのデカイ話で思わず身震いしてしまう。

 

「なんかヤバそうね……」

 

「とってもヤバイわよ~」

 

「なんでそんなもの植えてるのよ――っ!?」

 

「こんにちは~」

 

アタシと妹紅しかいなかったはずなのにいつの間にか隣に幽々子さんが平然と立って話の中に入っていた。

 

「ゆ、幽々子さん?」

 

「呼ばれてないけど来ちゃいました。てへっ」

 

いや、なんか大人の女性なんだろうけどとてもあどけない表情で見てくる。え、なに?

 

「よっ、私もいるぜ」

 

「で、出たわねお化け!」

 

「最初から居ただろうに……」

 

あと、お化けって言ってる幽々子さんの方が幽霊っぽいけどツッコミはいらないかしら?

 

「ま、過去のことは水に流してあげるわ。けどいいの? こんなところに来て」

 

「私か? 別に? 寧ろそっちの方が都合悪そうな顔してただろ?」

 

「だって、アナタ死なないんだもんっ」

 

可愛く言っても中身はかなり物騒ですよ幽々子さん?

 

「まあ死なないな」

 

「そうなの? ここにいるってことはそういうこと(・・・・・・)なのかな~って」

 

「何を言ってる? 私がここで過ごす訳ないでしょう」

 

「それもそうね。フフフ……」

 

「相変わらず調子が狂うな」

 

うん、ここいらでちょっと話の間に入り込ませてもらいましょう。

 

「妹紅先生質問!」

 

「どうしたんだい優子君」

 

「ここ白玉楼って何ですか?」

 

入ってくるときも思ったんだけど空中から見てても広大すぎて端が確認出来なかった。何キロあるのってくらい広かった。そんなところに幽々子さんと魂魄さんの二人と、白いふわふわしてるのが沢山住んでるんだけどなんなのここって?

 

「何って、簡単に言えば死後の世界みたいなもんだよ、なぁ西行寺」

 

「そんなざっくり例えられちゃった……もっと他にもすることあるのに……」

 

「死後の世界……ふぇ?」

 

そんなもんあるわけないと思ってたアタシにとって頭がオーバーフローを起こす手前までなった。そんな宗教的な知識はあまり持ち合わせていないのよ!

 

「補足させてもらうと、ここは閻魔様に幽霊の管理を任されてるところなの」

 

あ、あの白いふわふわしたのって幽霊だったんだ……そうよね、まず初めにアタシの想像に近い幽霊を見た方が良かったわ。ルナサさんたちを見てから「幽霊って人型しかいないのかな?」って思っちゃったじゃないの。

 

「ついでに言うと、幽々子と妖夢の愛の巣でもあります!」

 

「ありませんそんな巣!」

 

「え……違うの? もう何年以上住んでるって思ってるの?」

 

「それでも愛の巣は違います!」

 

どこから聞いて、どこに身を潜めていたのか魂魄さんが幽々子さんに激しいツッコミを入れる。

 

「んもぅ、照れ屋さんなんだからっ」

 

「だからちがっ――もう、好きにしてください」

 

あ、折れた。

けど、アタシは男同士の恋愛にしか興奮しないのよねぇ。

 

「さて、アナタも確か外来人なのよね? それとも幽霊候補?」

 

「まだ生きていたいです!」

 

うら若き乙女がこんな早死してたまるかッ!

 

「あら、幽霊暮らしもいいものよ? ねっ蓬莱人さん」

 

「なぜ私に降る? 返答が来ると思ったの? バカなの?」

 

「む、幽々子様に無礼は許しませんよ?」

 

「悪い悪い、こっちも弾幕ごっこ(殺し合い)しに来た訳じゃないから」

 

さらっと危ないワード吐いていくスタイル、流石だわ妹紅。

そして本題に入りたいのか幽々子さんが話を戻す。

 

「それでね、優子ちゃんが外来人ってことは召喚獣とか知ってるわよね?」

 

「え?」

 

思わず聞き逃してしまった、ここに至るまで色んなことがあったからあまりにもその言葉が久しく思えてしまう。

 

「あら? 知らないの?」

 

「いえ、知ってます。幽々子さんの知ってる召喚獣かどうかは分かりませんが」

 

「それじゃ、ムッツリーニって人は知ってる?」

 

ムッツリーニ……確かFクラスの生徒でよく吉井君たちといるあのムッツリーニ?

 

「え、ええ……土屋康太なら知ってますが」

 

「それなら話が早いわ」

 

両手を合わせニコっと微笑む姿は純粋に喜んでいる姿にしか見えなかった。なにがそんなに嬉しいのだろう、そしてどうして彼らのことを知っているの?

 

「えっと、幽々子さんはムッツリーニとどういう関係で?」

 

「そうね……強いて言えば、裸の付き合いをしたってことかしら?」

 

「「裸ァ!?」」

 

アタシと魂魄さんの声が何故か同時に被る。

 

「ちょっと待って幽々子様、いつから土屋さんとはそういう関係に?」

 

「えぇ? フフフ……勿論冗談よ」

 

「よかった……」

 

ほっと胸をなで下ろす魂魄さん。勿論アタシも同じ気持ちよ。何故って? まだ学生なのよ? そんな……いくらなんでも不純すぎるわよ! 幽々子さんのボディはボン、キュッ、ボン。どんな男でもイチコロの悩殺ボディは耐えられないと思うわ。それでいてすべてを受け入れてくれるような包容力……土屋くんならここで幽霊になってそうね。

 

「それでね? とりあえず召喚獣を見せて欲しいかな~って」

 

「でも召喚フィールドが展開されてないからムリだわ」

 

「そこは私の親友が何とかしたから大丈夫よっ」

 

「そうだったの?」

 

「一部の妖怪や神様しか認識できないような結界を幻想郷中に張ってもらったから外来人の貴女たちでもこの世界でいつものように過ごせるはずよ」

 

「そうか、移動中に感じたあの違和感はそれか……」

 

妹紅がアタシを運ぶときに奇妙なことを言ってたけど多分それのことね。

でもどうしてそんなことをするのかしら。そもそも召喚フィールドって学園長が生み出したシステムなのよね? それをあっさり真似できたりするのかしら。それとも魔法の力でってやつ? なんにせよ、召喚しようと思えばできるみたいだしやってみようかしら。これもお客様の要望に応えるファンサービスの一環ね。

 

「いいわっ! 見せてあげる!」

 

試獣召喚(サモン)ッ!」

 

半信半疑でキーワードを口にすると魔法陣が出現し、見慣れた物がそこには存在していた。

 

「本当に召喚できちゃった……」

 

「あら、随分小さいのね。これで試召戦争ごっこができるのかしら?」

 

「……ごっこ?」

 

気になることが山ほど出てくるこの状況でアタシは理解することに追われてしまう。

幽々子さんは一体何者なのかしら、どうしてここまでアタシたちの学園のことを?

 

「それじゃ妖夢、手合わせをしてあげて」

 

「承知致しました」

 

そう言うや否やアタシの前に立ち戦闘体勢に入る。いや、待って。彼女は文月学園の生徒じゃない。召喚獣は出せないはず。ならどうやってアタシの召喚獣とやり合おうってのかしら。

 

「行きますよ優子さん、初めてですが幽々子様の名に恥じぬ用全力でお相手致します!」

 

「えっと……生身で勝負するのかしら」

 

この世界ではよくする弾幕ごっこというルールで戦うのかしら。初めてだからどう立ち回ればいいか全くわからないのが正直怖い。けど、命に別状はないのよね? なら頑張って妹紅に良いところ見せないとねっ!

 

「いえ、不束者ですが私もそちらと同じ方法(・・・・・・・)で対戦させていただきます」

 

なんですって?

 

試獣召喚(サモン)ッ!」

 

 

2-A 木下優子     320点

   VS  社会

Phantasm 魂魄妖夢  200点 ♪広有射怪鳥事 ~ Till When?




お久しぶりです。こきゅーです。
リアルの方がある程度安定の波に乗ったので約六ヶ月ぶりに投稿してみました。クオリティよ、どうか下がらずにいてくれ……。

それでは次回もなるべく近日に投稿したいと思っているのでこの辺で。
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