BLAZBLUE Conception Record(ブレイブルー コンセプションレコード) 作:└(∵)」
今回は文章が短めです、ご了承くださいm(_ _)m
「やっとだ……やっと、出られた……!」
彼の目に移ったのは、酸素の薄いような地下の施設の光などではなく、純粋な光だった。
天を仰げば、そこには良くある空が広がっていた。
「……どうするか……こいつをどこか、安全な場所に……」
彼は眼に体力を奪われたこともあり、身体共々疲弊していた。
喘ぐような息の音が、間無くするだけだ。
当たりを見回しても、安全に隠れられそうなところはない。
逃げるとするならば、遠くまで行く必要があるだろう。
「……畜生が、手前らの勝手で……苦しめてる奴を助けて、何が悪いってんだよ……!」
怒りの音を上げながら、残る体力で遠くを目指す。
遠く、遠く。
彼女が平和に居られるような所へ……
何処にあるかは分からない。
でも、彼はありもしない場所を求めて歩く。
ただ積もるは、非道なことをした彼らへの怒りと憎しみ、そして大胆なことをしたことによる焦りだった。
急がなければ、追手が来るだろう。
その前に、彼女を逃がさなくては。
「……悪い、まだ騒々しそうだが、少し我慢してくれな」
一喝した時とは一変した、優しい青年の声。
彼女が聞こえているかどうかは分からない、だがそう呟いたことが、自分への焦燥感を煽り立てる。
時間が無いことを、自らに自覚させようとでもしたのだろうか?
そう言っているうちに、多数の足音が微かに聞こえる。
もう敵は迫っているのだろう。
とにかく、彼は遠くを目指した。
どこかに、安心できる場所があると信じて……
未だに、道は見えない。
街から出たのは良いが、その後、どこもかしこもが敵だらけである。
彼の敵……『世界虚空情報統制機構』は、今の全ての街……全ての階層都市を牛耳る大きな組織だった。
そのうち、彼が侵入した研究所も、統制機構の傘下にあった。
彼は一日にして全ての階層都市を敵に回したのだ。
彼に安全なところはもうないだろう。
だがせめて、彼女がいると知られないようにしなければ……
「……畜生、コイツの……目も……覚めないし……まだ安全なところも……見つからねぇ……」
彼の視界はだんだんと狭まり、周りも暗く見える。
ただ見えるのは、細くなった光のみ。
体のバランスを崩さないように、ただ気力のみで立ち続ける。
ここで彼女を連れたまま倒れては、また同じ目に遭うか、それよりも酷い目に遭うかもしれない。
ここで彼は、倒れるわけには行かなかった。
何故、名も知らぬ少女のためにここまで出来るのか。
それは、彼の記憶もそうだろうが、彼自身が見捨ててはおけないと思うからである。
彼の良心が、彼を動かすのだ。
「ち……くしょ……う……」
限界。
それが彼を蝕んだ。
彼の気力も、もう底を尽きてしまった。
済まない。
ただその言葉を、言うだけの力もない。
「おい、そこの兄ちゃん、大丈夫か!」
誰かの声が、彼の耳に入る。
それはなかなか年の行った渋い声が、耳に入る。
落ちる瞼を必死に止め、その目に見えたのは自分より小さく、そして黄色いフードを被っている、刀を持った小さな小動物の姿だった。
「わ……りぃ……猫の……お……っちゃん……こい……つを……たの……」
「おい、しっかりしろ!……近くに、確か教会があったはずだ、そこまで持ちこたえろ!」
小さい猫は、その体に見合わない力で2人を何とか連れていく。
彼の意識は、そこで途絶えた。
「シスター、いるか!?」
森の中にひっそりと佇む建物。
これが猫の言った教会である。
猫は声を張り上げ、中に住んでいるであろう者を呼んだ。
「あっ、獣兵衛さん。どうしたんですか?血相を変えて…」
獣兵衛、と呼ばれた猫はこの近くで起きたことを簡潔に語る。
長い青色の髪に、目を開いていた時に確認していたが、青と緑のオッドアイの青年が倒れてしまったこと。
見るからに普通の青年だが、一人の少女を抱えていたこと。
その全てをシスターという人物に話した。
「済まないが、二人を頼めるか?」
「……わかりました、教会のベッドに寝かせておきますね」
「ああ、頼む……それと……」
「それと?」
「こいつには、何かを感じる。何とははっきり言えないが、何か、大きなことに関わることが……いや、気にしないでくれ」
獣兵衛はそう言い、2人を預ける。
済まない、と一言交わせば、シスターは穏やかな声色で二人を引き取り、教会の奥へと入って行った。