BLAZBLUE Conception Record(ブレイブルー コンセプションレコード) 作:└(∵)」
二人の名を告げた。
片方の名を、リオン=S=アーヴェンティアル。
片方の名を、
二人の出来事は偶然か、必然か。
疑問を残したままだが、彼は平和そうな彼女を見て、気が抜けてしまった。
平和そうで何より。
それが彼の言葉だ。
彼は少し、子供たちの方を見てみた。
全員金髪碧眼、一番上の兄のような子供はツンツンした髪型に、ちょっとやんちゃそうな感じだが、こちらを警戒しているように見える。
真ん中の兄であり弟のような子供は普通だが、顔立ちが美しいと言われる、所謂美形の類だった。多分。
というのは彼の談だ。
末っ子の妹ような子供は女の子らしくロングヘアーで、可愛らしい顔立ちをしている。
「大丈夫よ、あの人は悪い人じゃないわ」
「でも、どこから来たかもわからないんだろ。もしかしたら、あそこからまた俺たちを捕まえに来たのかもしれねぇし……!」
一番上の兄らしき少年は、彼を警戒しているようだ。
無理もない。
彼らは元々、シィと同じく研究所に幽閉され、怪しい人体実験を繰り返されていたのだから。
人を疑ってしまうのも、無理はないだろう。
声を荒らげる少年に、シィは言った。
「……いい人、リオンは……大丈夫……だよ。助けてくれた、私を……研究所、追っ手なら……しない、そんな事」
「ラグナ兄さま、姉さまの言う通りだよ」
「うん……僕も、そんなことしないと思う。少し落ち着いてよ、兄さん」
妹らしい少女も、そうだよ。と少年に言う。
もうひとりの少年も、その言葉に、納得したのか落ち着くように促す。
シィは彼に助けてもらった。
だからこそ彼女から見ればいい人なのだ。
研究施設の追手なんかになるのならば、彼女を助けるわけがないのだ。
更に、自らの首に賞金が掛けられるなどという大きなリスクを伴うことを、大胆にやってのけた。
彼はただ1人のために世界から狙われるようになった。
常人にはとてもではないが、そんな行動はできないだろう。
そんなことをした彼を、シィは疑って欲しくなかった。
「分かったよ……完全に信用はできねぇけど」
「……充分、だよ……ありがとう」
シィは安心して、表情が柔らかくなった。
少年はその顔が、どうしても誰かに似ている気がしてならなかった。
リオンは完全に蚊帳の外になっているような気がするが、邪魔をするのも悪いだろうと黙っていた。
「リオン、子供たちを紹介するわね。あのつんつんしてる子が……」
「……ラグナ。言っとくけど完全には信用してないからな」
「ん、まぁ仕方ねぇよ。別に俺も、すぐさま信用しろなんて無理なこたぁ言わないさ」
今のやり取りを見て、彼の言う言葉は決まっていた。
今のを聞いて、すぐに無理矢理にでも信用しろとは彼は絶対に言えなかった。
むしろ、その様な信用など本当の信用ではない。
そう考える彼は、少しずつでも信じてくれたら嬉しいと、あくまで要望として言葉をかけた。
「……俺が信用するかどうかは、行動次第だからな」
「ははっ、お前……随分と口が上手いな。まぁ、お前に疑われるようなことはしねぇさ」
しっかりとした弟と妹想いからのこの警戒だと考えると、自然と嫌な感じはせず、リオンはむしろ彼への期待が持てた。
少し笑ってしまう。
もうひとりの少年の方に目を向けると、礼儀正しく彼はお辞儀をした。
律儀で落ち着きのある少年に見える。
「で、こっちの大人しい方の子は……」
「ジンです。兄が失礼でごめんなさい……よろしくお願いしますね」
「随分丁寧だな、別にアイツみたいでも構わねぇぞ?」
実際丁寧にされることにはあまり慣れていなく、敬語を使われるのは苦手な彼。
頭を掻き、少し砕けた態度でもいいと言った。
ただ、彼は真面目な性格のようで、態度は変わらなかった。
「いいや、僕は失礼な事は思ってないですから」
「ん、そう?まぁ、なら別にいいけどよ……と言うか、むしろラグナに失礼じゃねぇか?」
苦笑いしながらツッコミを入れるリオン。
その後ろにはガヤガヤ言っているラグナがいるが、シィが落ち着いて、と優しく宥めていた。
ジンは、兄さんですから、ある程度は許してくれるんですよと言っているものの、彼から見たらどう見ても暴れて意義があるようにしか見えないので内心も苦笑いしかなかったようだ。
シスターが一番下の子を紹介する、と言った。
リオンはそのこの方を見ると、ピクッとなるが、すぐにお辞儀をしてくれた。
「この子はサヤ。ちょっと人見知りとかするけれど、いい子よ」
「えっと……サヤって言います。よろしくお願いします」
サヤと名乗った少女はもう一度お辞儀をする。
リオンは軽くよろしくと返す。
サヤは何かじーっと見て、何かを思った。
「リオンさん……ラグナ兄様ににてますね」
「ん、そうか?あまり似てねぇと思うんだけどな」
サヤが言うには、口調も雰囲気も、色々なところがラグナと似ていると言う。
子供の時は、自分はあのような様だったのだろうか。
彼は思う。
知らぬ過去を夢見ながら。
ただ、逆に言えばラグナもしっかりしていると言えるのかもしれない。
「……どうしたんですか?リオンさん」
「……あ、ああいや、気にすんな……ちょいと、昔の事を考えてただけだ」
そうサヤに言うと、髪を掻きあげる。
考えていても、無いものは無いのに。
そう考え、余計にモヤがかかる。
自分は何者だ、そう問うならば人とは答えられる。
まずはそれだけでも答えられるのなら、大丈夫だろうと思考を一旦止めた。
「……みんな、平和そうだな」
「うん、ここら辺は平和だから、この子達も安心していられるの」
少し彼は微笑んだかと思うと、大きな協会の扉に手をかける。
それも少し、重い足取りで。
普通ならただ外に出るだけだと思うのだが、シスターとシィは同士に声をかける。
「どうしたの?」
「なに、してるの?」
同時の声に少し驚いたか、肩をぴくりと動かした。
ただ、振り向くこともなく彼は一言言った。
「俺は……ここから出ていく」
シスターは少し黙り、数秒か後に口を開いた。
それも、少し悲しそうに。
彼の罪悪感を煽り立てるように。
「……それは、どうして?」
理由を聞く、ただ単純な問い。
彼は目を瞑り、静かに話し始める。
言い聞かせるように。
相手はシスターか、それとも自らか。
静かに聞き取りやすい声が、鳴り響く。
「……俺が研究施設内に侵入したの、分かってるよな」
「うん、そこでシィを助けて、倒れるまでずっと護ってあげていたんだよね」
その通り、と一言。
続きも変わらない口調と声量で、そのまま話す。
「研究施設内への侵入……即ち俺は、犯罪を犯したことになる。しかも機密レベルの次元境界接触用素体を連れ去ったとなりゃ、高額の賞金首になりうる。そしたらどうなるよ?……最悪、咎追いなんて言う賞金首狩りが押し寄せてきたりなんてしたらどうする?……そんなことも考えて、助けてもらった恩もある。だからこれ以上迷惑を掛けたくねぇんだよ……それに……」
「……それに?」
「……シィに、これ以上危険が及ばないようにしたい。それだけだ」
彼なりの気遣い。
彼なりに考え、ここを去ろうとしたのだ。
幾ら何でも、『解体者』がここにいると知れば、この教会は只では済まないだろう。
シスターにも、ラグナにも、ジンにも、サヤにも。
そして、シィにも迷惑はかけられない。
だから彼は敢えて1人で行こうとした。
彼の足が踏み出されようとしていた時だ。
彼の腕に、暖かい感覚がした。
「リオン……ダメ……居て……ここに……私、大丈夫。……シスターも……迷惑じゃ……ないよ」
「うん、それにここ、結界があるから大丈夫よ。私はシィもそうだけれど、リオンの事も任されたんだから、迷惑じゃないわ」
掴まれている腕から伝わる、シィの思い。
1人では行けないと。
助けてもらった人と一緒に居たいという感情が、感じられたのだろう。
それにシスターは、リオンの事も任されたと話す。
当の本人は、あの猫のおっちゃん、余計な事を……と呟いているが、その表情は穏やかだった。
結界もあり、大丈夫だと言う。
シィの若干潤んだ目を見て、彼は頭を掻く。
「シスター……本当に良いのか?」
「良いのよ、家族が増えるのは大歓迎だから」
「……ふふ、それじゃあ……悪いが、世話になるな?」
少し顔を赤くするが、ありがとうと伝え、シスター達の家族の仲間入りとなった様だ。
シィも少し嬉しそうで、幸せそうだった。
リオンとシィは、確かに彼らに似ていた。
家族として過ごす時間は、どうなるのだろうか。
彼はほんの少し期待をした。
幼少期の3人のキャラがあっているか不安です……
もしも修正・改善点などありましたら教えてくれると幸いです。