問題児扱いなら問題児らしく好き勝手しようじゃないか   作:きりがる

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レポート氏ね!


03 これが落ちているモノなら僕はいつでも拾っちゃうぜ

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、僕はノーネームのリーダーであるジン、耀ちゃん、飛鳥ちゃんがギフトゲームをするとのことなのでそれを見に相手さんの陣営に来ていた。まるで森のようだけど、流石虎のコミュニティ、野生の心は忘れないってね。森は実家感覚なのかも。

 

 既にゲームは始まっている。その証拠に、今、獣の咆哮が響き渡った。その咆哮に鳥たちが空へと飛び立った。

 

「い、今の凶暴な叫びは……!?」

「ああ、間違いない。虎のギフトを使った春日部だ」

「マジかよ。あんな大人しそうで幼い少女が虎になりきってガオーって叫ぶなんて……声帯とかどうなってんの?」

「気にするとこはそこですか!? 幾らなんでも今のは失礼でございましょう!」

「だってさ、十六夜君。怒られてるぜ?」

「悪い悪い。じゃあジン坊っちゃんだな」

「マジかよ。あんなに小さくて声変わりもまだしてなさそうなショタボーイがガオーって叫ぶなんて……声帯とかどうなってんの?」

「ボケ倒すのも大概になさい!!!」

 

 そう叫んだ黒ウサちゃんはどこから取り出したのか、ハリセンで僕と十六夜君の頭を思いっきり叩いてきた。人外によるハリセンの一撃に視界がぐらつき、倒れかけたところを近くの木を支えに踏ん張った。

 

 僕は神格を倒すような人間辞めてますな十六夜くんと違って、本当に普通の人間の体をしてるからこうなるのも仕方ない。

 

「あ、す、すみません黒葉さん……ッ!! まさかそんなに衝撃を受けるなんて……!」

「あー、いいよ別に。まあ僕はそこの人間辞めてますな人と違って普通の人間だからね。耐久力は紙なんだ。そこんところは覚えておいて」

「は、はい……申し訳ありません」

 

 シュンと項垂れる黒ウサちゃん。ボケからのツッコミというパターンだったのに、これだと僕が空気を悪くしたみたいじゃない? 

 

「うん、まあ、あれだ…あんまり痛くなかったし、いいとしよう。それよりこのゲーム、近くまで見に行ったら駄目なのかい?」

「YES…。最初の取り決めがない限り、駄目ですね」

「だってさ、十六夜君。こっちに戻ってきなさい」

「チッ、詰まらんな。“審判権限”とそのお供ってことで許してくれないのかよ」

「だから駄目ですって。ウサギの素敵耳で大体のことは分かってしまいますし、状況が確認できないような隔絶状態でない限り、進入禁止です」

「十六夜君、逆に考えるんだ。ウサ耳がないと近くに行かないといけない……なら、ウサ耳を切り取ってしまえばいいんだよ」

「おお、その手があったか! 切り取れないにしても、縛って聞こえなくすればいいだけだしな!」

「だ、駄目ですよ!? 黒ウサギの素敵耳は絶対に斬らせませんから!」

「まぁ、ウサ耳の無い黒ウサちゃんなんて、ただの可愛いだけの女の子だしね。仕方ない、諦めてあげようじゃないか」

 

 やれやれという風に首を振ってそう言うと、黒ウサちゃんが後ろを向いていた。何か気になる情報でも拾ったのだろうか。

 十六夜君もわかるかもしれないと思って見てみるが、何やら苦笑しているだけ。

 

「ちょっと意表を突かれて見せられない顔になっただけだ。放って置いてやれ」

 

 訳がわからない。まあそこまで気になることでもなかったし、放って置いてあげよう。だけど、黒ウサちゃんはいきなり気になるようなことをしだした。引っ切り無しにウサ耳を動かしている姿を見れば、これは放っておけない。何を面白いことをしているのだろうか。

 

 十六夜君も何かを思ったのか、黒ウサちゃんに話しかけた。

 

「おい、黒ウサギ。何をそんなにウサ耳を慌てさせてるんだよ。何かあったのか?」

「よ、耀さんが……黒ウサギの聞き間違いでなければ、耀さんはかなり重症のはずです!」

「なに? だが、黒ウサギが飛び出すほどでもないということは、命に別状はないんだろ? ならそんなに焦ることでもないだろ」

 

 あたふたしている黒ウサちゃん。その時、ゲームが終了したのか、木々が一斉に霧散した。さっきまでうにょうにょ動いていたのに、霧散するのか…太陽に焼かれた吸血鬼みたいだな。

 

「黒ウサギ! 早くこっちに! 耀さんが危険だ!」

 

 瞬間、風の如く走り出す二人…勿論、僕は置いて行かれた。あんな人外共についていけるわけもなく、のんびり歩きながら向かうが、途中で黒ウサちゃんらしき影が通り過ぎていったけど、全く見えなかった。

 

 黒ウサちゃんも十六夜君も目に見えないほどの速さで走ることができるのか…オーフィスなら余裕で付いていけるだろうけど、僕自身が対応できないと敵対した時に危ないかも。オーフィスなら守りながらでも戦うことができるほどの実力は持っている。

 

 うん、それでも不安だ。本当に殺し合いとかが始まるようになったら、他の魔獣をばんばん創り出して行こう。其のためには僕を守ることができる頑丈な魔獣を考えておかないと…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

 十六夜君と御チビちゃんの演説のような旗の返却に関しては特に興味のもなかったのでそのままノーネームの本拠に帰ることにした。

 歩いて帰るのも面倒なのでペガサスを創り出してそれに乗って帰ることにする。

 

 白く美しい肢体に輝くような真っ白な大きな翼。騎乗スキルはないけれど、この子は僕を振り落とすなんてことは絶対にしないだろうし、安全運転でお願いする。

 

「本拠までよろしく」

「ブルルッ」

 

 背中に乗ってポンポンと叩くと、一鳴きしてから少しだけ走ってから翼をはためかせ、大空へと飛び立った。

 空を飛ぶのは何気に初めてかもしれない。ここに来る時に空から落ちてきたこと? あれは飛んでいるのとは違うからノーカンでしょ。あれはしっかり落ちていた。

 

 風を切る心地よい感覚に目を細めながら、空から見る箱庭を楽しんでいく。ビル群のような人工物の塊がなく、自然が多く見られる箱庭は美しいものだ。

 其の中でも、やはりノーネームの入り口の風化した光景は寂しい場所となっている。そういう魔物を作ってもいいが、ここはあの三人がどうにかするでしょ。

 

 その風化した場所を通り過ぎて本拠に辿り着いたため、降り立ったペガサスから僕も降りる。

 

「ありがとね。暫く遊んでるといいよ。それが終わったら僕の中に戻っておいで」

「ブルッ」

 

 ポンポンと体を叩いてそう告げると、ペガサスはゆっくりと歩いていき、そこら辺の草を喰み始めた。あ、そこら辺はちゃんと馬なんだ。

 

 っと、そうだ。耀ちゃんの所に行って容態でも確認してこよう……と思ったけど、場所がわからないので諦める。なぁんで僕はこうもやろうとしたことが最初の段階で頓挫することが多いのか。

 

 仕方ないので談話室にでも行って大人しくしていることにした。手乗り魔獣とか創ってみようかな。

 

 自分で入れたお茶を飲みながらうんうんと唸りながら手乗りの魔獣にするなら何がいいかを考える。手乗りサイズ、魔獣……あ、あれとかどうだろう。

 ふと、とあるアニメを思い出してそれを生み出すために叫んでみる。この魔獣にするならこの掛け声でしょう!

 

試獣召喚(サモン)ッ!」

 

 残念なことに魔法陣は出てこない…しかし、机から生えてくるように一匹の魔獣が創り出された。それは黒い服を着ていて身長は手の平サイズ。手には木刀を持っており、尻尾が生えている小さな…………僕だった。

 

「あれ?」

 

 おかしいな。明久をモデルに創り出したはずなのに。手のひらに乗せて見てみるが、どちらかと言えばGGOのキリトに微妙に似ている僕の中性的な顔……。長い髪は一つに纏めているようだけど。そろそろ切らないと。

 

 もしかして召喚獣として創り出したから、僕の姿になったのかもしれない。無意識で自分の分身のようなものだと認識していたから、自分の姿になったのかも。まあこの子は自分で考えて動けるから、僕が動かさなくてもいいし、楽だ。

 

 指先でツンツンと突きながら遊んでいると、カプリと指先を噛まれてぷらんとぶら下がる。なんかもぐもぐされてるんだけど……。

 

 その時、外から物音が聞こえてきたため、召喚獣を学ランの中にしまって指を拭くと、丁度十六夜君と黒ウサちゃんが入ってきた。

 

「黒葉? お前いきなり消えたと思ったらこんな所にいたのか」

「十六夜君じゃん。あの大人数に旗を返す作業は済んだの?」

「ああ。人数が人数なだけに待つ方も疲れたがな……」

 

 僕としては詳細を知らないので十六夜君と御チビちゃんが何しているのかはあまりわからない。うん、あとでちゃんと聞いておこう。

 黒ウサちゃんの方は、入ってきて僕がお茶を飲んでいたのを空になったカップを見て分かったのか、おかわりを入れてくれた。あ、あの約束、ちゃんと覚えてたのか。そう言えば、朝も起こしに来てくれたし、髪も結んでくれたっけ。

 

「どうぞ。あ、なにかお茶請けとかもいりますか?」

「んー…あるなら貰おうかな」

「黒ウサギ、俺にもお茶くれ」

「ちょっと待って下さいねー」

 

 黒ウサちゃんはまずお茶請けのお菓子を探して僕の前においてから、自分と十六夜君の分のお茶を入れて、空いている僕の隣に座った。

 

 耀ちゃんの容態について聞いてみたけど、どうやら二三日あれば治るものらしい。流石箱庭、便利な道具が揃ってるね。 

 

「ふぅ……さて、それで例のゲームはどうなったんだ?」

「例のゲーム?」

「あ、黒葉さんにはまだお話していませんでしたね。実は………」

 

 黒ウサギに話してもらったことだけど、簡単に言えばノーネームの仲間が景品に出されるゲームのことだ。その時思ったことは仲間のことではなく、景品に人物が出されるということ。それだけ聞くとなんて魅力的な景品だろう。

 

「へぇ…それはそれは…なかなかどうして面白そうじゃないか。人物が景品として出るなんて、箱庭は面白いな」

 

 本当に人物が景品にできるなんて、現代っ子の僕からしたら信じがたい話だしね。

 つい、そう呟いた僕の顔はかなり悪い顔になっていると思う。あわよくば僕がゲームに勝って貰っちゃうっていうのもありだ。

 でも……

 

「ゲームが延期だと?」

「はい…………このまま中止の線もあるそうです」

「なんだ、つまんない。横から掻っ攫おうと思ってたのに」

「全くだぜ。なんてつまらない事をしてくれるんだ。というか、自称一般人の黒葉に掻っ攫うことなんてできるのか?」

「僕だって欲しい物のためには全力を出すくらいはするぜ? 欲しい物を誰かが見せびらかすように持っているなんて、それこそつまんないし」

「へぇ…一度はつまらない奴だと思って興味を失ったが、お前がどうやって本気をだすのか気になってきたな」

「いいじゃん、そのまま興味を失ってしまっても。まぁ、僕としては来る者は拒まず、去る者は追わずだから別にいいけどね」

「んじゃ、お前は問題児であり外れ者の俺でも受け入れてくれるのか?」

「ん? 勿論だよ。言ったでしょ? 来る者は拒まずって……僕の害にならない限り、無条件で全てを受け入れる。踏み込まれたら結構親しくなるだろうし、自分で言うのも何だけど、僕は色んな意味で結構いいと思うぜ? その代わり、踏み込まれない限り干渉しない」

 

 ま、今の僕の懐は空っぽだけどね。それに気に入ったらアプローチかけるかもだけど。

 なんてことを付け足しながらお茶を飲むと、何故か対面で十六夜君の笑みが深まっているのが見えた。イケメンは笑うとイケメンなんですね。知ってた。

 

 今の僕はぼっちだ。かつては友達といえるような人物もいたかもしれない。でも、其の人は去っていったのだろう。僕が止めもしてないし、既に忘れ去ってしまっているから僕にとってはどうでもよくなるような存在だったということだ。

 

 嫌なやつだと思う? 言い方変えたり、例えを面白くするとそうでもないかもよ? 

 

 例えば、様々なものを買ってそれを受け入れれば部屋が埋まる。そこまではいい。でも、大晦日とかに大掃除する際に、母親からこう言われました。

 「捨てるものはスパッと捨てて忘れてしまいなさい」

 父親はこう言いました。

 「踏ん切りをつけるのも、見切りをつけるのも大切だぞ」

 何かに使えるかもしれないと思って取っていた小物もスパッと捨てて、あとからズルズルと考えないで済むように忘れてしまいましたとさ。

 

 ね? 人間も似たようなものだ。何を思って僕のもとから去っていったのかはわからないけど、そんな別れた恋人のことをズルズルと引きずるみたいな真似するより、次の新しいことへと移ったほうがいいじゃん? 

 それに僕のことを捨てたと同じようなこと。気に入らなくて去ったのなら合わなかったってこと。こっちから何か言うのも変な話だし。

 

 いや、今はそんなことはいいんだよ。

 

「で、景品はなんなの? 男?女? 労働力として役に立つ? 愛でることはできる? 転売して高くつく?」

「仲間を転売しないで下さい!」

「いや、景品になってる時点で仲間じゃないじゃん。僕が買って僕のものになったら、好きにするも此方の自由だ」

「その通りだ。モノに何かを思っても仕方がないぞ?」

 

 おや? 今ここにいる僕達三人とは違う声がする。

 

 声のした方向を見てみると、窓の向こうでにこやかに笑う金髪の美少女が浮いている。それに対して黒ウサギが驚いて窓を開けに向かった。レティシア様とか叫んでたね。

 赤いレザージャケットに拘束具みたいなロングスカートを着た美少女である。なるほど、これが景品か……景品にしては随分と良い物じゃんか。これはゲットするしかないだろう。なんかアプリゲーのガチャみたいな考えになってきた感が否めない。

 

「それより十六夜君、聞いた? この子、自分のことをモノって言ったよ。つまりだ。いま、目の前にこんなにも可愛いらしいモノが転がっているってことだ。ここには警察もない…つまり、拾ったものは律儀に届け出る必要はないってことさ! 拾ったものは自分のものにできるんだ…さあ! 欲望を開放して落ちているモノを拾うんだ!」

「ちょ、なんてことを言ってるのですか!? レティシア様のことをモノだなんて……!」

「おいおい、黒ウサちゃん、君こそ何を言ってるんだい? モノが落ちている…しかもそれが綺麗に掃除された部屋にだ。それがゴミのように落ちている…なら拾わないと。ただ、その拾ったものをゴミ箱に捨てるか、自分のものにするかは自由だよ。綺麗にしないと」

「黒葉……お前、天才か……!?」

「何が天才か!? ですか! お馬鹿様!」

 

 スパンと黒ウサちゃんがハリセンで十六夜君の頭を叩いている。

 

「その理屈になると、黒ウサギが拾ったら黒ウサギのものになりますよね!? はい、拾いました!」

 

 興奮気味に黒ウサちゃんがそう捲し立て、レティシアちゃんを抱きかかえて息を乱している。なんで十六夜君に欲望を開放して拾えとか言ったのに、君が欲望を開放して興奮してんのさ。ま、いいけどね。

 

「そっかー。黒ウサちゃんが先に拾っちゃったのなら仕方がない。そのモノは君のものだ!」

「全く、黒ウサギも欲しいならそうといえばいいじゃねぇか。それにしても油断も隙もないな。まさか俺達よりも先に転がっていたモノを拾うとは…綺麗にしないとという心のせいか? 流石献身的な月の兎」

「本当に残念だ。僕が拾ってあげようと思ってたのに」

 

 やれやれと言うように肩を竦めながら僕達はそう言った。

 そんな茶番に、黒ウサちゃんに拾われたレティシアちゃんは大きな声で笑い出す。居間は夜中だから少し自重しようよ。あ、吸血鬼的には昼かな?

 

「なかなか面白い奴らがコミュニティに入ったじゃないか! 特に黒葉とか言った奴は面白い。一瞬でそこまで愉快なことを考えられるとは……いやはや、芸人にでもなった方がいいんじゃないか?」

「マジで? じゃあ相方はツッコミ役の黒ウサちゃんかな。何より美人だから人気が出るし」

 

 黒ウサちゃんが照れた。顔を赤くした黒ウサちゃんはレティシアちゃんを掲げて隠れるように顔を隠した。レティシアちゃんがまるで人形のように扱われているけど、それでいいのだろうか。

 

「この調子だと大丈夫そうだな。最初は力試しでもして見極めようと思っていたが……お前らはどうする?」

「え、そこで聞いちゃう? 今の完全に見極めようと思ったが止めるか、って流れじゃん。止めようよ、そんな面倒なこと」

「いや、ちょっと待てよ黒葉。箱庭の吸血鬼がどんなものか気になるし、ここは受けておいてもいいんじゃねぇか? 大丈夫だ、するのは俺だからな」

「あ、そう? 十六夜君だけするなら別にいいよ。僕は黒ウサちゃんと見てるわ」

「おう。ということで、外に出るぞレティシアとやら」

「そう来なくてはな」

 

 なんなのあの二人、笑いながら外に出て戦う気満々なんだけど、もしかして戦闘狂とかいう種族の方々ですか? 

 流れについて行けてないのか、僕の方を困惑した表情で見てくる黒ウサちゃんに、肩を竦めてあいつらの考えは分からないと表現する。僕としては十六夜君の方が強そうに見えるけど、どうなんだろうね?

 

 両者、間に少しの距離を開けて向かい合う。レティシアちゃんは空中に浮くようにして飛んでいるが、十六夜君は肩を回して地面に立っているだけだ。

 

「腕試しだが、双方が一撃ずつ撃ち合い、そして受け合う」

「なるほど? それで地に足を付いていたやつが勝利か。シンプルでいいじゃねぇか」

「このランスでも投げ合うか。悪いが先手は貰うぞ?」

「好きにしな」

 

 レティシアちゃんはギフトカードから槍を取り出して、翼を大きく広げて体を撓らせた反動で思いっきり投げた。ぶっちゃけやる気のない今の僕には全く見えない。糞爺の拳よりは遅いだろうけど、スイッチの入ってない僕にはもう次の瞬間に十六夜君が殴りつけたのしかわかんない。しゃらくせぇって格好良いよね。僕も今度叫びながら何かしてみよう。タコスッとか。…やられるほうじゃないですかやだー。

 

 砕けた投擲用の槍は鉄塊となってレティシアちゃんに向かい、それを見た黒ウサちゃんが飛び出そうとするが……

 

「ルゥッ」

 

 後ろから飛び出してきた僕のペガサスが踏みつけて散らした。

 

「「「……は?」」」

「あれ、まだ遊んでたんだ。お帰り」

「ブルル……」

 

 鉄塊を潰したペガサスは僕の所に歩み寄ってきて、大人しく僕の手を受け入れて撫でられている。あれ? よく見れば身体の脚の至る所に血がついてるんだけど、お前さん、何してきたんだい? 

 

 僕の疑問を感知したのか、少し待っていろというように鳴いてから森の中へ消え、程なくして何かを引き摺ってやって来た。

 

「うえ、なにそれ……汚いなぁ、ゴミじゃん」

 

 ペッと放り出されたのはなにやら人形をした血塗れの何か。なんか冑みたいなのを被っているけど、何なのだろうか。

 

「これは……ペルセウスの兵か!?」

「え、ノーネームの何かとかじゃないんだ。敵?」

「ま、まあノーネームからしたら敵……になるんじゃないでしょうか?」

「へぇ。お手柄じゃん。よくやった」

「ブルッ」

 

 誇らしげに鳴くペガサス。まぁ、山を蹴落とすくらいのことをしてのけるんだから、この程度なら余裕だろう。

 猫が取ったゴキブリを主人に献上するようなものだと思って褒めるように撫で回す。きっとこれ一つじゃなくて他にも居るんだろうけど、持ってこられても困るからいいや。

 

「いやいや! そんなことはもうどうでもいいです! え!? ペガサス!? あのペガサス!? なんで!?」

「あれ? ペルセウスがなんちゃらって…うちの子と被ってない? ペガサスいたりする?」

「黒ウサギの質問に答えて下さい!」

「えー。僕のペット。以上」

「何が以上ですか。異常ですよ!」

「おい黒ウサギ、別に上手くねえよ」

「黙らっしゃい!」

 

 スパーンとハリセンで十六夜君が叩かれている。なんだろう、ペガサスは全員乗れないから気に入らないとでも言うのだろうか。もっと大きいもの…ベヒモスとか?

 

 さっきからギャーギャーと黒ウサちゃんは耳元で五月蝿いし、十六夜君はペガサスに興味津々で当たり前とばかりに僕にも興味を示してくるし…離れてくんない? ノンケなので。レティシアちゃんは口を大きく開けて動きもしない。

 

 もう寝ようよ……。

 




なぜお馬さん出したのかは謎。
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