問題児扱いなら問題児らしく好き勝手しようじゃないか   作:きりがる

7 / 8
終わった…勝負に勝って試合に負けた感。
1週間の平均睡眠時間が驚きの1時間で、金曜日の深夜おやすみなさい。今までの睡眠時間を補うかのように寝た。起きたら脅威の午後17時…半日以上寝てたんだけど。


06 勝てて女を好きにできると幸せな夢でも見てたか? 残念、悪夢だったね。

 

 

 

 二六七四五外門。サウザンドアイズ第八八本拠。

 ここにはお坊ちゃんの本拠である白亜の宮殿がある。本当ならサウザンドアイズの旗印があるはずなんだけど、今回の一件で白夜叉ちゃんが不祥事やこの一件を告発して降ろすように言われたとか。どうでもいいけど、ザマァと言っておく。

 

 ここに僕とそれ以外のメンツが揃っているけど、僕の戦いって見ることできるの? なんか無理そうだけど。

 

 まあいいやと思いながら契約書類に承諾すると、光へと飲み込まれた。どうやらゲーム盤は別の場所にあるらしく、こうして飛ばされるようだ。

 

 やって来た場所は箱庭とは違った場所であり、未知の空域を浮かぶ宮殿だ。その門の前、僕は一人で立ち向かう。どうやら皆は黒ウサちゃんが審判を務めるから、それに一緒について行って最上階で待ってるようだ。耀ちゃんだけが頑張れと応援してくれた。五人が消える。さあ、ゲームを始めよう。

 

「さて、どうするか……」

 

 相手は隠れ兜を被っている。どれほどのものなのかは分からないが、何をすれば見つけられるか。屋内なら物量で行ける。それでも飛ばれていたら厳しいから……匂い? 熱? 音?

 

 神話に通ずる逸物ならそれらを探し出して…と言うのはキツイかもしれない。

 

 逆に考えろ。相手は透明になれる……が、物体が透ける訳ではない。つまり、風の流れや超音波によるソナーのように感知すればいい。その二点に特化した魔物を創り出すだけ。

 

 ゾワリと、僕の周りから漆黒の魔獣が湧き出るように溢れ出す。それらは全て形が違えど、戦闘能力は逸脱している。部屋の中での戦闘を見越して体長二メートルほどにしてあるが、その小柄な体躯からは信じられないほどの力を出せる。不気味過ぎる雰囲気を出す魔獣達が、ドスンドスンと僕を囲み、門の前に整列し、殺気立つ。そして最後に、ゲリュオーンを創り出した。

 

 念には念を入れてだ。

 ゲリュオーンはギリシャ神話に出てくる武装した怪物だ。頭、腕、脚が三組あり、戦闘力は非常に高い。かの有名なヘラクレスとも戦い、苦戦させたという程だ。負けたけど。仕方ないね。相手はヘラクレスだもん。ヒュドラの毒矢は最強説。

 

 勝った(確信)

 

 魔獣達には殺さないように手加減して潰すようにと言ってある。ゲリュオーンも同じだが、遠慮なしにこの宮殿を壊しながらでいいと命令した。折角だ、滅茶苦茶にしてやろう。

 

「さぁ、行こうか。ゲリュオーン、開幕を知らせろ。扉を吹きとばせ」

「オオォォォオオォォォォオオオォッッ!!!!!!」

 

 まるで音響兵器かと思うほどの雄叫びを上げ、衝撃波を生み出す。槍、盾、剣の順で両腕に持っている内の盾を使い、門を吹き飛ばした。同時に、魔獣が雪崩れ込む。場所は分かっているのだろう、総勢二百は超える魔獣が素早く、雄叫びを上げながら突撃していく。

 

 ゲリュオーンも僕に一度頭を下げてから地響きを鳴らしながらあらゆるものを破壊していく。

 

 暫く壊れた門に腕を組んで凭れていると、あちこちで破壊音と叫び声が聞こえてきた。眼前の宮殿は何度も揺れ、何度も崩れ、何度も軋む。これは予想以上に早く終わりそうだ。

 

「そろそろ最上階でも目指すかな」

 

 頃合いかと思ってポケットの手を突っ込んでゆっくりと歩いていく。宮殿の中に入ると、壊れる前は綺麗に装飾されていただろう宮殿が、今では廃墟のように壊れ果てていた。一応、崩れないように柱を全て崩すことはないっぽい。

 

 トン、トンと階段を上がる。一匹の魔獣が斜め後ろについた。

 また一階上がる。更に多くの魔獣が後ろについた。口には気絶した兵士を食わえた魔獣も多々いる。血が、壊れた宮殿を彩った。

 最上階手前。ゲリュオーンが僕の後ろにやって来た。荒い息遣いと血の付いた体は更に悍ましさを助長させ、恐怖を伝えるかのような雄々しい姿をしている。

 

 ――最上階。僕らは地響きを鳴らし、悠々と辿り着いた。小さなコロッセオのような最上階に、玉座のような椅子に座り、肘をついていたお坊ちゃん……ルイオスは大きく目と口を開けていた。

 

 他のメンツはルイオス側の少し離れた所に位置していた。レティシアちゃんも居るようだ。

 指を鳴らす。魔獣が咥えていた兵士を前に放り投げると、ガシャガシャと派手に音を鳴らしながらルイオスの前まで転がっていく。ゲリュオーンが持っていたのか、一人の兵士を投げ捨てる。側近だった男だ。

 

「次」

 

 僕はそれだけ言い放った。次をよこせということ…つまり、お前だということ。

 しかし、ルイオスは意味がわからなかったのか、動きも答えもしない。

 

「次、って言ったんだけど? 騎士は倒した。ここまで誰にも気づかれなかった。次だよ、次。そう、お前だ。来ないのか?」

「ぁ……お、お前……それは……」

 

 何をそこまで動かないのか。戦いなんて平和な日常を過ごしていた僕よりも経験しているはずじゃないの? この程度、普通なんだろう? 気付けでもするか?

 

「ゲリュオーン」

「オオォォォッッ!!!」

 

 ゲリュオーンにルイオスの真横を斬るように命じる。跳躍一つ。ルイオスの真上から二本の剣を振り下ろした。

 

「ヒッ…………!!」

 

 スドォンッッと宮殿が揺れ、地面が盛大に抉れるほどの衝撃にルイオスが情けなく尻餅をついた。両隣は二本の剣が突き刺さっていた。

 

 これでも駄目。はぁ…なんで僕が手加減なんてしないといけないのか。普通される方じゃない? 

 

「ゲリュオーン、下がれ」

 

 ゲリュオーンが下がるのを見届けてから、ゲリュオーンを除いた全ての魔獣を消す。殺気が消え、途端に静かになったかのような錯覚に陥る。

 

「な………ど、どういうことだ?」

「いや? どうもビビリなルイオス君は魔獣に喰われるのが怖かったらしいから、消してあげただけだぜ? さあ、騎士を倒した魔獣を消すなんていう手加減までしてあげたんだ。勝ってみせろよ。()()()()()?」

「き、貴様ァ……!」

 

 やっとやる気を出したのか、ルイオスが勢い良く立ち上がる。そしてブーツから羽を生やして飛び立った。おぉ、何なの高性能ブーツ! あれあれば自分ひとりで空飛べるの? まじで? 僕も欲しいんだけど…サイクロプスとか創り出してそう言った武具でも作ってもらおうか?

 

 なにやらルイオスは首から何かを引き千切って叫びだした。

 

「目覚めろッ、“アルゴールの魔王”!!」

 

 褐色の光。そして、甲高い女の声が聞こえる。

 

「ra……Ra、GEEEEEYAAAAAAaaaaaaaaaaッ!!」

 

 もはや言語じゃない叫び。現れた女は体中に拘束具とベルトを付けており、肌がちょっと不健康そうな色だった。

 

「GYAAAAAAAAaaaaaaa!!!!」

 

 訂正。かなり不健康そうな色だった。

 

「な、なんて絶叫を…」

 

 そんな黒ウサちゃんの声が聞こえる。それと、どうやら上から何かが落ちてくるようだ。瞬時に魔獣を数体創り出して騎士を回収し、ゲリュオーンに盾で皆を守るように指示する。盾を構えたゲリュオーンは傘のようにして皆を守っていた。あ、クロが木刀で塊を吹き飛ばした。

 

 まぁ、これで僕の所に誰もいなくなったわけだけど……僕には最強のペットがいるからね。

 

「邪魔」

 

 次元の狭間から出てきたのはオーフィス。あの無限の龍神のオーフィスが出てきて小さな拳で殴り飛ばした。そして一瞬で作りだした魔力障壁数千枚が上空に展開され、それが重なり合ってまるで万華鏡のように組み合わさる。隙間がないため、落ちてきた何かは障壁の上に転がる。

 

「馬鹿な…雲が……いや、そうじゃない。何だこの半透明の壁は……」

「これ? ただの魔力で作られた障壁さ」

「魔力…? しかもこれだけの数を一瞬で……?」

 

 ルイオスの疑問に簡単に答えてあげる。他のメンツも気になってたようだし。

 

「ん……」

 

 障壁が散る。その時に衝撃を創り出して固まったらしい雲を何処かに吹き飛ばしていた。へー、曇って固まるんだね。

 

「黒葉…無事?」

「うん、大丈夫だよ。何気に初めての登場だよねぇ…」

「メタい……初登場。我、頑張る」

 

 ちっちゃく拳を握って僕の隣で小さな気合を入れている可愛いオーフィスの頭を撫でてやる。少しだけ嬉しそうな顔をする。ま、これでもう万が一にも負ける要素がなくなったわけだ。

 

「フン…そんな小さなガキで何ができる。まぁ…容姿だけはかなり上物だから、お前を殺してからそいつと黒ウサギで遊ばせてもらうよ」

「マジかよ…お前、ロリコンなのか……」

「行け、アルゴール!」

「GYAAAAAaaaa!!」

 

 勢い良く迫ってくるアルゴール。凄まじい形相と肌の色と巨乳。でも、あんなおっぱい嫌だ。もっと美人がいいな! あんな化物面は嫌だわ…寧ろ萎える。

 

「…………えい」

 

 そんなアルゴールに向かってオーフィスは小さな魔力球を創り出して凄まじい速度で撃ち出した。一瞬でアルゴールに着弾した魔力球は大爆発してその巨体を吹き飛ばす。ルイオスの横を通り過ぎ、壁に減り込んだ。

 

「「「「「「…………は?」」」」」」

 

 呆然とする一同。そしてルイオスは何が起こったのかも分からないと言った風だ。無限の魔力があの小さな魔力球に圧縮を重ねて詰め込まれ、それを投げられただけだ。あれで手加減しているから、もし普通の感覚でオーフィスが撃ち出せば、一発でこの宮殿は跡形もなくなくなり、更地になるだろう。この美少女、怖い。でも可愛い。

 

 追撃とばかりに巨大な魔法陣を展開したオーフィスは、そこから極太のレーザーを撃ちだした。

 

 アルゴールを飲み込み、周りは一瞬で赤熱化し、溶け、膨らみ、爆発するかのように弾けて消えた。アニメで見たことあるようなレーザーで、ビルとか山とかを溶かして消し飛ばすようなやつ。初めて見た。

 

「殺した?」

「多分……大丈夫? だと思う……」

「じゃあオッケー」

 

 多分、元魔王とかだから丈夫に決まってる。あのレーザーくらい耐えてくれると信じて。

 

「ハ、ハハ……なんだよ、それ……最初から、勝ち目なんて……」

「無いに決まってんだろう? じゃなきゃ煽ったりしないよ。……言っただろう? レティシアちゃんも黒ウサちゃん…黒ウサギも渡しはしないと。今回は僕がノーネームを守りきると宣言した。だから………うちの可愛い黒ウサギを、お前みたいなゲスに渡すわけないじゃん」

 

 一つ、弱めの魔力弾がルイオス撃ち込まれる。それは爆発を生み出し、ルイオスを吹き飛ばす。

 

「ま、なかなか面白かったぜ、お前。もし次があるなら、手加減に手加減を重ねて相手してやるよ。次があればね……」

 

 壁に埋まったルイオス。結局、アルゴールもルイオスも何一つ真価を発揮することなく、ゲームが終わった。ゲリュオーンも魔獣も消し、オーフィスによくやったと褒めるように撫でる。

 

「ん………いいの? 殺さなくて」

「いいの。次来ても負けない宣言したし……ま、聞こえてないだろうけどね」

 

 さて、帰ろうか。歩くだけだったけど、魔獣沢山創り出してなんか疲れた気分だし…ゆっくりしたい。

 場所も元の箱庭に戻り、帰ろうとしたけど……忘れてた。責任取ってコミュニティ脱退するって言っちゃったんだっけ? やっべー、何処で寝よう。取り敢えず、白夜叉ちゃんの所にでも転がり込んで頼み込んでみよっと。

 

 

 

 

 




ゲリュオーンにした理由は特になし!たまたまネットで見かけたからこれでいいやと。
短い…走り抜けた感が否めない。ま、いいか。
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