やってみないとわからん
「おおっと?!流石妖怪。魔法も使ってくるのか」
レーザービームみたいなものが、妖怪っぽい狼の額から私にめがけて放たれていく。当たったらきっとその場所が消滅するとか、そんなかんじの攻撃だろう。
「グルルルルルルルルル」
妖怪が噛みついてきた。
「っ!」
私はとっさに、音波の壁を作る。
「強度とかも調整できるのね。便利。炎雷天下!」
手から炎と雷のいり混じったボールを作り出し、それを妖怪に投げつけた。
「ガルルルルルル、ギャン?!」
クリーンヒット
当たった妖怪は、炎に包まれながら燃え尽きていった。その妖怪がいた場所には、もう何も残っていなかった。
「まずは一匹。でも、炎と雷を合わせると雷の威力があがらない・・・。別の技を作って試さないと・・・。」
残った二匹の妖怪が私をめがけて突進しながら、ビームを撃ってきた。グネグネとステップを踏み、私が撃つ炎と雷の小さなボールを避けながら。
「一度見た攻撃は通じないっと。ならば…音雷衝破っ!」
音の衝撃波を放ち、更に下から広範囲に雷の玉が出てくるという技だ。しかし、かわされた。
「な…かわされた?!」
音の衝撃波を周りにある木などを利用してかわし、さらに下からの攻撃を範囲外に跳び、更に先程より威力と性能が上がったビームを撃ってきた。
「賢い・・・。まさか、頭が良くて戦いで成長するタイプなの?てことは、さっきの攻撃なんかはもう不意打ちでもしない限りかわされるってこと…?」
妖怪は頭が良くて、自分達は人間より上の存在だと思っている。そして、本気なのだ。戦うには本気で戦う。
しかし、ここで私はひとつ疑問が浮かんだ。
「何で、上から攻撃してこないの…?もしかしてこの妖怪は飛べないの?」
平地で攻撃するより、空を飛んで上から攻撃する方が強いはずなのに。何で飛ばない。何で上から攻撃してこない。そして心なしか攻撃を避けるときに、額の宝石を庇ってる気がする。
「上からなら、あの宝石みたいなもの、壊せるかな?」
しかし、空を飛ぶことは簡単ではない。だって、私には翼もないし空を飛ぶ能力すらない。
「自分の能力をフル活用して飛ぶしか…ないわね」
まずは、足に音の衝撃を与える。そして音で背中から、翼を生やしてみた。そして、音を操り羽を動かしてみた。が、安定がしない。
「な、何とか…何とか飛べた…けど、全然狙いが定まらないっ…折角ここまで出来たのに…」
飛べたのだが、スピードが遅く安定しない。バランスの問題ではなかった。
「炎だったら…いや、炎はたいして効果ない。雷だと…お?」
試しに雷…電流を体にながして自分の身体能力を上げ、そして音の翼に雷を纏うと安定し、そして早く静かに飛べた。
「翼なしでもいけそうね…よし、これで地上にいる妖怪を狙い撃てば!」
地上で二匹の妖怪が敵を見失ってウロウロしていた。
「音弓矢っ!」
音で作った矢を精一杯引き、狙いを絞って敵の額にめがけて撃った。
パリン
「グァ?!」
撃たれた妖怪は動かなくなった。成功。
「やったぁ!残り一匹ね!」
「アオォォォォォォォォォォォォォォォン」
残った一匹が吠えた。というより叫びに聞こえた。助けを呼ぶような、長く、遠い、そして悲しみの声が
「なっ?!仲間を呼ぶつもり?!」
私はとっさに能力で吠え声の音を消した。
「仲間とか来たら、流石にヤバい…」
内心とても焦りながら、私は左手にある真っ白のスペルカードを無意識で握りしめていたのであった。
一方、その頃。妖怪の吠え声を聞いた人…いや、妖怪がいた。
「日が暮れても帰ってこないし、あんな遠吠え並の人間や幻想郷の住民にはしないわよ…。まさか、未羽…?!」
一人の妖怪が、遠吠えの先へ向かっていた。