哀歌   作:ニコフ

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13話 ピッチを駆けるキューピット 後編

 

 

「ふぅ。ちょっと消えたけど、まあセーフ、かな」

 

 電気室内には気を失いぐったりと床に伏せる男が二人。電気系統に何やら細工を施していた二人組の男を音も無く背後から奇襲し、伊吹があっという間に制圧したようだ。

 ホテル内の電気が落とされたのと伊吹が電気室へと踏み込んだのはほぼ同時だったが、男達の制圧後即座に電気を復旧させたことで、停電していたのは時間にしてほんの一分足らずで済んだ。

 伊吹のポケットの中の携帯がぶるりと震えてメッセージの通知を告げ、それに目を通した彼がゆっくりと振り返る。その研ぎ澄まされた抜き身の刃の如き鋭く鈍い眼光が後方上部の監視カメラを貫いた。

 

『お前は何者だ』

 

 手元の画面にはそう表示されていた。誰が誰に対しての問いかけなのかは書かれていなかったが、そのカメラの向こうからモニター越しにこちらを見ている人物からの問いかけだということは容易に想像がついた。

 伊吹は薄らと嫌味を込めたニヒルな笑みを浮かべカメラに向けて小さく手を振った。彼が制御盤のような機械へと手を伸ばしいくつか操作をすると、男が食い入るように見ていたモニター映像は全て途絶えてしまい、警備室内の照明は落とされ辺りは暗闇へと飲まれた。

 

「……ッ、くッ、そがぁッ……!」

 

 誰かは知らないが、何者かが邪魔をしている。それを理解したリーダーの男が苛立たしげに振り上げた拳をデスクへと叩きつける。その衝撃で警備員が飲んでいたであろうマグカップが転倒し、黒いコーヒーが広がりデスクの端からボタボタと滴り落ちた。

 Error(エラー)と片隅に表示された監視モニターの画面を赤く血走った眼で睨み付けながら、忌々しげにドスの効いた声を絞り出す。

 

「何者かが俺達の邪魔をしてやがるッ……! 上等だッ……。多少のイレギュラーはあるが、ここにいない者は手はず通り作戦を続行ッ……。……お前らは、あいつを殺せッ……!」

 

 歯を食いしばり、吐き捨てるようにそう指示を出すと、警備室内にいた数人の男達が短く敬礼を残し、火器を手に部屋を後にする。

 

「誰かは知らねえが、これ以上邪魔はさせねえッ……」

 

 怒りを孕んだ男の呟きが暗く静かに、警備室内に残された。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 賑わうパーティ会場を抜けると廊下は驚くほど静かだった。

 そこには小さなポーチの中を確認しながら、お手洗いへと向かう一人の女性の姿が。そして彼女の後ろに忍び寄るのは足音を殺した男。

 グローブをつけた両手には細く頑丈なワイヤーが握られており、そのワイヤーで彼女を締め落とすつもりだろうか、背後から女性の首元を狙って持ち上げた両腕を音もなく振り下ろした。

 

「――――ぅッ、ぐ――ぅ――ッ!?」

「……ふえ?」

 

 なにか気配を感じた気がして振り返った女性の前髪がふわりと風に揺らされた。

 頭に「?」を浮かべながらキョロキョロと辺りを見回すも、視界にはただ静かな廊下が奥まで続いているばかりで、彼女は小首を傾げて化粧室へと急いだ。

 

「ふぅ……、今のは危なかった」

 

 ワイヤーを構えた男がその凶器を振り下ろした瞬間、十字となった横の通路から目にも止まらぬ速度で飛び出してきた伊吹が男の体を音もなく掻っ攫った。

 自身の肩で持ち上げるように男の横っ腹を抱きかかえ、その勢いのまま女性が振り返るよりも速く通路の奥へと押しやる。音を鳴らさぬよう男を床に激しく叩きつけるような真似はせず、転倒しかける男の首にその豪腕を回し締め上げつつそっと寝かせた。

 男は一瞬の浮遊感と脇腹への衝撃を感じたかと思うと、自身の何が起こったのかも理解が追いつかぬままに意識を手放した。

 伊吹が通路の角からチラリと覗き込み女性が去って行くのを確認して小さく安堵の息を吐くのも束の間、背後から微かな金属の軋む音と足下を這うヒンヤリとした冷気。

 

「ッ!!」

「お前ッ――!?」

 

 弾かれたように振り返る伊吹の視線の先には開けられた非常口の扉、そして身を乗り出し伊吹と同じく驚いた様子でこちらを見つめる男の姿が。

 顔を隠す目出し帽にグローブ、作業着にも似た黒の戦闘服にタクティカルベスト。そして手元に握られた拳銃。その様相はパーティの来賓客ではなさそうだ。

 男が迷うことなくその銃口を伊吹へと向けたのは、彼の足下で倒れ込む仲間の姿を確認してからだった。しかしその一瞬の間は、伊吹が攻勢に転ずるには十分な時間だった。

 男の指がトリガーを引くよりも早く、伊吹は剛脚に力を込め一足に男へと詰め寄る。銃口が火を噴く前に伊吹の叩き上げるような裏拳が銃を弾き飛ばした。男はすかさず腰に差したコンバットナイフを逆手に引き抜き、抜いた勢いそのままに振り上げ伊吹を切りつける。

 

 ――銃を撃たせてはならない、銃声が響けばパーティーどころではなくなるッ……――

 

 そんな思考に一瞬気を取られてしまった伊吹。咄嗟に顔を上げて上を向くように凶刃を躱そうとするも、迷いのない訓練された鋭い斬撃は僅かに彼の顎先を斜めに掠めた。吹き出した血がナイフの勢いに引かれるように上空へと飛び散り、白い天井や壁に赤い染みを作る。

 頭を引いた伊吹がそのまま一歩下がり距離を取る。じんわりと熱と痛みが広がる自身の顎を抑えると、その手は赤い鮮血に染まっていく。

 

「まずい……、顔は、誤魔化せないぞ……」

 

 彼が苦虫を噛みつぶしたかのように表情を歪ませたのは傷の痛みとはまた別の理由らしい。

 

「文字通り、合わせる顔がない……」

「あ? なに言ってんだ、お前」

 

 血に染まる己の手の平を見つめながら呟く伊吹に対し、ナイフを構えたまま男も苛立たしげに困惑する。

 目の前の男をはじめ、このテロリスト(もど)き達を組み伏せること自体は伊吹にとって造作も無いことであったが、銃声を響かせないために撃たせてはならない、会場の参列者に気づかれてはいけない、目立つ怪我をしてはいけない、血を流してはいけない、返り血を浴びてはいけない、etc...そういった様々な要因が重なり合い、彼の戦闘をより困難なものへと変えていた。

 

「哀のサインは済んだかな? 結構人いたからな……」

「おい。さっきから何をブツブツ言ってんだ。ヤクでもキメてんのか」

「はあ……。惚れた女が他の男と過ごす時間を守るために、命を張ることになるとは……」

「おいッ、聞いてんのかテメエッ!」

 

 ナイフを突きつけて苛立たしげに騒ぐ男を無視し、伊吹は自傷気味に薄く笑って深く息を吐いた。

 少し俯いて足下の高級そうな赤い絨毯を見つめていた彼が、小さく(かぶり)を振って男へと向き直る。

 

「まあでも、あいつが年相応の女の子みたいに楽しんでるんだ。……邪魔はしないでくれ」

 

 その眼光が再び鋭く研ぎ澄まされ鈍く光った。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「哀っ! サインは貰えたっ?」

「あ、あなたっ、どこに行ってたのよっ……!」

 

 ソフトドリンク片手に壁際に背を預けてパーティの様子をぼんやりと眺める灰原の横からそんな脳天気そうな声がかけられた。急いで戻ってきたのか額にはほんのりと汗が滲み微かに息が上がっていた。

 何食わぬ顔でパーティー会場にひょっこりと戻ってきた伊吹に、灰原も慌てて体を起こしてその刃物のような鋭い視線を向ける。

 詰問するような半眼で詰め寄ってくる灰原に思わずどうどうと両の手の平を向ける。

 

「いや、ちょっと……」

「……さっきからこそこそと、なにをしているの?」

「えと……、()()()()()()()()()()()()、ちょっとした()()()()、とか?」

 

 あはは、と乾いた笑いを零す伊吹を見つめる灰原の眼は決して優しいものではなかった。

 

「そ、それより比護さんのサインとか、握手は? できた?」

「……まだよ。歓談の時間もあったけど、急に停電になっちゃって、それどころじゃなかったし」

 

 つまらなさそうにそう告げる灰原に、伊吹も困ったように頭を掻く。「遅かったか……」とつい漏れた彼の小さな呟きは幸い灰原の耳には届かなかったようだ。と言うのも。

 

「ところであなた、なんで急にマスクなんてつけてるの?」

 

 伊吹の口元をマスクが覆っていたからだ。

 顎の傷を隠すために伊吹がすぐに用意できたのはマスクくらいなものだった。しかしそれも気をつけなければ、応急処置で止血した傷口から血が滲んできてしまう。

 

「ちょ、ちょっと喉が痛くて。風邪気味かな……」

「……ふーん………………そう」

 

 その沈黙の長さは彼女が一切納得していないことの表れだろう。

 灰原の問いかけにのらりくらりとする伊吹のポケットが小さく震えた。そっと彼女に背を向けて取り出した携帯を確認する伊吹。その瞳が(かす)かに研ぎ澄まされた。

 携帯をズボンに突っ込むと一度警戒するように周囲を見回してから、再び会場を後にしようとする伊吹。

 一歩踏み出した彼の手を小さく柔らかな、そして少しヒンヤリとした手が掴んだ。

 

「あ、哀?」

「ここにいなさい」

 

 またも抜け出そうとする彼の動きを察した灰原が、その小さな手で彼の大きな手を握りしめて離さない。その非力な手を振り払うことは伊吹にとって、悪漢共を制圧するよりも遙かに難しかった。

 

「あー、いや。でも、その……」

「こ・こ・に、い・な・さ・い」

 

 不機嫌を隠そうともしない冷たく思い声色と、鋭利な眼光で伊吹を睨みながら一音一音はっきりと言い聞かせる。まるで毛と尾っぽを逆立てた猫のように()()()()()()()()()()()()()のを警戒する灰原。

 少し焦ったように辺りを見回すばかりの彼の目には、彼女の瞳の奥にほんの僅かに見え隠れする寂寞(せきばく)の色が見えていなかった。

 

「あ、ほらっ! 今なら比護さん一人だしチャンスじゃんっ」

「ちょ、ちょっと」

 

 伊吹が指差す先ではホールスタッフから飲み物を受け取る比護選手の姿があった。先程まで他の来賓客やアスリート達と挨拶を交わしたりサインをしたりと忙しそうだったが、確かに今は人の波が去っており声をかけるチャンスではあった。

 繋がれた灰原の手を引く伊吹。比護選手の元へと歩みを進めて、自然に彼女に前を歩かせて、その背中に手を添えてそっと押しやる。

 (ほど)けそうになる手を慌てて掴み直そうとしてもその手は再び空を切る。振り返った時にはもう彼の姿は見当たらなかった。

 

「……」

「おう灰原、こんなとこにいたのか。オメー、比護さんのサイン貰わねえのか?」

「…………気分じゃないわ」

 

 そこに居合わせたコナンが何の気なしに尋ねるも、俯いた彼女が視線を上げることはなく「トイレに行く」と一言残して足取りも重くその場を去って行った。

 俯いたままぼんやりと歩く灰原は会場の出入り口付近で別の来賓客の女性とぶつかってしまい、ぽてっと尻餅をついてしまった。

 

「きゃっ。ご、ごめんね、君、大丈夫?」

「い、いえ、こちらこそ。大丈夫です」

 

 立ち上がってから気がついたのは紫色のほろ苦い染み。

 

「あ……」

 

 ぶつかった際に女性の持つグラスからワインがこぼれ落ちたようで、灰原の純白のドレスにいくつかの赤紫の染みが広がっていた。

 ああ、せっかく彼が選んでくれたドレスだったのに、と思わず俯いて深い溜め息が零れる。辺りを見回してみても彼の姿はやっぱりなくて、この人混みの中で独りぼっちになってしまったような、酷く寂しい気持ちが彼女の小さな胸中を染めていった。

 会場を後にした灰原は何かから隠れるように壁際に身を寄せる。取り出したハンカチで染みを抑えてみても、ほんの少し薄くなっただけで申し訳程度にしか色は落ちない。

 

「……私が、比護さんのファンになったのは――……」

 

 ドレスの汚れを隠すようにハンカチを押し当てたまま彼女の瞳はぼんやりと足下へ落とされ、その思考はどこか遠くにある記憶を探るように滲んでいく。あの日、あの子達とサッカーを見に行った日の記憶――……。

 とんっと、頭と背を壁に預けて天井を扇ぐ。今側にいない誰かに呆れるように、不満を吐露するように呟いて、その眼差しは遠くを見つめる。

 

「おお灰原、いたいた」

「……なに?」

「いや、今なら比護さんにサイン貰うチャンスだ、って」

「気分じゃないって言ったでしょ」

 

 会場から(いささ)か面倒くさそうな表情のコナンが顔を覗かせる。どうやら灰原を探していたようで、彼女を見つけるとポケットに手を入れたままつかつかと歩み寄った。

 

「それは聞いたけどよ、萩原から何回も念押しされてんだよ。今のうちに必ずお前に握手とサインを頼むーってよ。さっきも博士の携帯に電話がきてたぜ」

「……彼はどこで何をしてるの?」

「さあな。なんか焦ってたみたいで電話もすぐに切れちまったって」

「……」

「お前らの痴話喧嘩に巻き込むなよなー、ったく」

 

 会場を親指で差しながらぼやくコナンの声は聞こえていないのか、灰原は顔を伏せて何度目かの深い息を()いた。

 

「そうね……、せっかくの機会だし……。……どこでなにしてるのよ」

 

 灰原の物悲しげな瞳は誰もいない通路の向こうを見つめていた。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

『コナンッ、哀のサインはっ、まだかッ!?』

「あ? ああ、今ちょうど比護さんがまたサッカー関係者と話してるから待ってるとこだけどよ。てか、おめーさっきからどこで何してんだ?」

 

 用意していた色紙を抱きしめて比護選手の隙を窺う灰原の傍らでコナンの携帯に着信が入った。電話の向こうからは相変わらず焦ったようにまくし立てる伊吹の声が聞こえ、僅かながら息も上がっているようだった。

 伊吹からの電話だと知られればまた面倒なことになりそうだと、コナンは灰原に気づかれないよう彼女に背を向けてチラリと様子を窺いながら小声で尋ねた。

 

『ああっ、ちょっとこっちはッ――……』

 

「……――取り込み中だッ!」

 

 そう告げると伊吹は通話を切り携帯を手元から滑らせるようにその場に落とす。弾かれたように上体を反らして頭を引くと、目の前の喉元を銀色の残像が横一閃に走る。どうやら携帯をズボンのポケットに入れている余裕は無かったらしい。

 彼の目の前にはコンバットナイフを逆手に握り込む男の姿。目出し帽から覗く眼球は血走り、男の怒りが視線から伝わってくるかのようだ。

 

「俺の部下を全員やってくれたみてえだな、オイ」

「ああ、あんたで最後みたいだ」

「なんなんだよ、テメエはよォ……!」

「……別にお前達がどこで何をしてようが()()()()()()()。だが今日、ここでと言うなら話は別だ」

「……我々は『赤旗』! この国に確変をもたらすべくッ――」

「あぁあぁ、そうかい。わかったから静かにしてくれ」

 

 相対する伊吹の眉間に深い皺が刻まれ眉が釣り上がる。鋭く研ぎ澄まされ、鈍く光るその眼光が心底鬱陶しそうに男を捕らえた。

 

「せっかく普通の女の子みたいに楽しめそうなんだ。あいつの邪魔はしないでくれ」

「だから……なんの、話だッ――!?」

 

 男の踏み込むコンバットブーツが編み目状の金属床を踏み鳴らす。いや、踏み鳴らすその瞬間に合わせるように放たれた伊吹の前蹴りが男の足を蹴り払い、踏み込ませない。

 体勢を崩された男は咄嗟に転倒しそうになる勢いをそのままナイフの振り下ろしへと変換させる。思わぬ柔軟な反撃に伊吹は咄嗟に男の腕を横から(はた)くように刃物の軌道を逸らすも、その鋭い一閃は微かに彼の腕を掠めた。小さい赤い滴が刃に引かれて飛散する。

 

()ッ――……!」

 

 極力静かに男を取り押さえようと手を伸ばした伊吹が視界に捕らえたのは、男が足下から引き抜いた小型の拳銃、デリンジャーの銃口。

 ここでそんな音を響かせるのはまずい。二人の相対するそこはパーティ会場の高い天井のまさにその上、ステージの上部と繋がった屋根裏のような設備室だった。会場の声は雑音程度にしか聞こえないが、小口径といえど拳銃の発砲音は流石に大きすぎる。金網を踏み込む音にも注意を払っているのだ。

 伊吹にとっての目標は目の前の男達の無力化ではない。一番の目的は灰原に比護選手とのパーティを楽しんで貰うことにあり、万が一にもこちらの騒ぎを聞きつけられパーティを中止になどさせる訳にはいかなかった。

 

「フッ――!」

 

 男の指がトリガーを引くよりも早く、伊吹の風切り音を伴った蹴りが銃底を蹴り上げた。 男の手から飛び出した銃が宙高く舞う。それを伊吹が掴もうと咄嗟に手を伸ばすも、その伸ばした腕めがけて男が目ざとくナイフを振り抜く。素早く腕を引けばナイフの刃が伊吹の腕を切り裂くことはなかったが、取り損なったデリンジャーは金網の床に叩きつけられ甲高い金属音が反響した。

 

「くそッ――……」

 

 今の音は聞かれなかったか、パーティは問題なく続行しているか。会場の様子に一瞬気を取られてしまった伊吹の意表を突くように、懐に潜り込むように距離を詰めた男が下からまくり上げるように逆手のコンバットナイフを振り上げる。

 半歩退き上体を反らしてその凶刃を躱す伊吹だったが、鋭い切っ先は微かに彼の衣服を引っかけるように掠め、せっかくの上等なジャケットが無残にも引き裂かれる。

 しかしそんなこと気にする様子もなく、伊吹は更に一歩引いてから素早くジャケットを脱ぐと自身の左腕にそれを巻き付けた。

 数度の攻防で理解したのは目の前の男の戦闘能力は本物であるということ、優れたナイフ術の使い手だということ。そしてそんな相手にこれ以上傷を負ってはならないという自身への枷だった。

 睨み合う二人の足下の金網が、ギチリと小さな音を鳴らした。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「あ、あのっ、比護さん。その……、サインを頂けませんか?」

「え、俺の? ああ、もちろんいいよ」

 

 しばらく様子を窺ってからようやく比護選手にサインを頼むことが出来た灰原。色紙とペンを片手に快くサインを了承してくれた比護選手とは裏腹に、彼女の表情が冴えないのは緊張だけが理由ではないようだ。

 

「えっと、じゃあ宛名は『哀ちゃんへ』でよかったかな?」

「あ、えっ、と……、はい……」

 

 慣れた手つきでサインを済ました比護選手がそう確認すると、色紙の余白に『哀ちゃんへ』と書き添える。

 比護選手の手元で滑らかに滑るサインペンを見つめる灰原の表情はどこか晴れず、誰かを探すように視線を泳がせて辺りを見回す。

 

「よしっと。はい、どうぞ」

「っ、あ、ありがとうございます」

 

 比護選手がサインペンにキャップをはめて色紙と共に返してくると、それを受け取ろうと伸ばされた灰原の手が止まる。

 一瞬の逡巡の後、躊躇うように丸めたその指先はサインを受け取らず、彼女は困ったように眉をハの字に垂らし、指先を唇に宛がいながら申し訳なさそうに一つお願いをする。

 

「あ、あのっ、……もう一人、名前を……。それと、書いて欲しいことがあるんですが……」

「え? ああ、もちろん構わないけれど。えーっと、なんて書けばいいかな?」

「えっと、二人――……」

『それでは皆様、ステージにご注目下さいっ! 本日のゲストにお越し頂いたのはあの泣く子も黙る名探偵! 毛利小五郎氏でございます!』

 

 その頃ステージ上では司会進行役のスタッフがマイク片手にそうアナウンスし、手を大きく広げて舞台の袖を指すと「うぉっほんッ」とわざとらしく咳払いしながら襟を正す小五郞が姿を現した。

 

「おじ様、あんなの頼まれてたの?」

「わ、私も初めて知った」

 

 得意気にステージに現れた小五郞を見て園子が呆れたように蘭に耳打ちすると、蘭もげんなりした様子。

 他の来賓客は小五郞の登場ににわかにざわつき、その視線がステージ上へと集まる。

 

「えー、ご紹介にあずかりました、(わたくし)が天下の名探て――ん?」

 

 小五郞がステージ中央でマイクを受け取り、挨拶しようと口を開いた小五郞の頭にコツンと硬い何かが落ちてきた。

 それに続いて何やら幾つかの金属片が落ちてきて、床に叩きつけられるカランコロンと間の抜けた音が鳴り響いた。

 

「んあ? なーんで、んな物が上から降ってき――って、うぇぁッぅうおぉぉッ!!」

『うわぁあッ、な、なんだぁッ!!?』

 

 思わず足下に転がってきたナットを拾い上げた小五郞が怪訝そうにステージの上を見上げたまさにその時だった。金属が千切れるような鈍くも反響する甲高い大きな音が響き渡ったかと思うと、ステージの頭上から流れ落ちる滝のようにいくつもの金属板やエキスパンドメタル、コードやワイヤーの尾を引いた照明等が次々に降り注いできた。

 

『キャーーッ』

「な、なんじゃっ、いったい!?」

「――っ……」

 

 重たい金属物がステージに叩きつけられ、金属同士がぶつかり合いステージの床板も砕けてしまうほどの激しい破砕音が会場にこだまする。

 倒れ込みながらもすんでの所で小五郞も直撃を免れたようだ。進行役の驚愕の声をマイクが拾うと来賓客からも悲鳴が上がる。

 何事かとコナンや阿笠博士たち一同、灰原や比護選手たちもステージの方を見やると、命からがら慌ててステージを飛び降りる小五郞とスタッフの姿があった。

 誰もが事態を飲み込めないまま息を飲んで目を点にしていると、コードに引っかかるようにぶらりと垂れ下がっていた照明が落下し、静まりかえった会場に金属音とガラスの割れる甲高い音が反響する。

 そして最後に、更に大きな影が落ちてきた。それが金属板に着地する力強い一際大きな音に、来賓客達はざわめく。

 落ちてきたのは白目を剥いて四肢をだらりと垂らし力無く失神する目出し帽を被った男と、いくつかの傷を負いながらもその男の胸ぐらを引っ掴み、その剛脚で着地した青年の「しまった」と言わんばかりに眉をしかめる顔だった。

 誰もが目の前の出来事に口が開いたまま呆然とする中、青年の視線は確かに一人の少女と合う。ぱちくりと瞬きしていた彼女の瞳は少しずつ鋭さを増していき、みるみる不機嫌そうに目尻が吊り上がって眉間にしわが寄る。

 胸元に抱えた色紙は端が少し形を変えるほどに強く抱きしめられていた。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 伊吹の努力のかいもなく、パーティは当然のように中断されてしまった。

 ホテルは騒然とし、小五郞や主催者が呼んだ警察は到着するやいなや、伊吹が建物の各場所に拘束した男達を確保するため建物内を走り回る羽目となった。

 しれっと伊吹が「ああ、色んなところに爆弾も仕掛けているみたいです」などと報告する物だから警察も総動員で事に当たっている。

 

「あなたっ、こんな傷だらけになって、どこで何してたのよっ?」

「いや、えっと……、なんかちょっと、よくない連中がいたみたいでさ。相手してた」

 

 小五郞やコナンたちが目暮警部たちと話し込むのも尻目に、天井から落ちてきた青年、伊吹は気まずそうにそっぽを向いてチラチラと横目に不機嫌そうな少女、灰原の様子を窺っていた。

 

「工藤君や警察の話が聞こえる限り、そうみたいだけど。どうしてなにも言わずに、一人でそんなことしてたのよ」

「わ、悪かったよ。できればパーティの……、哀の邪魔をさせたくはなかったんだけど、……結局邪魔しちゃって、ごめん……」

「……っ、あのね……私は()()()()()でっ、……怒ってるんじゃないわ」

 

 つい先程まで不機嫌を隠そうともせず眉間に皺を寄せながらも、眉尻を垂らして心底心配そうに彼の真新しい傷にハンカチを這わせていた灰原だった。しかし彼女の詰問に観念した伊吹が事の顛末とその理由を説明するやいなや、その目は一層鋭さと冷気を増した。

 

「痛てて」

「がーまーんっ……」

 

 傷口を拭くには些か強めにハンカチをあてがう灰原。伊吹の流血が止まった事を確認すると、その血に染まった手元のハンカチを静かに見つめる。薄らと残るワインの染みの上から上塗りされた紅い染みを見つめる伏し目がちなその瞳は、心配と安堵の狭間に、一抹の寂しさが見て取れた。

 色紙を抱きしめるように腕を組みチラリと彼を見上げると、伊吹は自身の怪我や警察に連行される男達を意にも介さず何かを探すようにキョロキョロと辺りを見回していた。

 どうかしたの、そう尋ねるよりも早く伊吹が余所を向いて声を上げる。

 

「あ、いた。あのー、比護選手――」

 

 比護選手がサッカー関係者達と一緒に伊吹の視界の端を通り過ぎたとき、伊吹が慌てて比護選手を呼び止めようとするも、隣の灰原が彼の裾を引っ張ってそれを制した。

 

「ちょ、ちょっと」

「え、でもせっかくだし握手だけでもさ」

「い、いいわよ」

「いや、でも今しかチャンスは」

「大丈夫よ。も……もう貰ったから」

「あ、そう……なんだ」

 

 胸元の色紙を大切そうに抱きしめる灰原を見て伊吹もどこか安心したように、しかし少し複雑そうな笑みを浮かべて、ほんのりとやるせなさを滲ませながらぽつりと零した。

 

「あっ、でも……」

「萩原君、まーた君かね」

「あぁ……目暮警部」

「君ねえ、また今回も警察に連絡を入れずに。そもそもあの男達がどれだけ危険か――」

「いや、まさかそんな連中だったとは――」

 

 灰原が彼に何かを伝えようと顔を上げるも、すっかり聞き慣れたしゃがれた声が割って入る。伊吹が暴れる度に再三注意してきた目暮警部が、またかと言いたげな呆れた視線を彼に向け、困った物だと溜め息交じりに帽子を被り直した。

 のらりくらりと目暮警部からの聴取をかいくぐった伊吹が、「事情聴取は後日」と約束させられげんなりとしながら灰原の元へと戻ってきた。

 こちらを見つめてくる彼女の視線に伊吹もしゃがみ込んで力無く笑った。

 

「ごめんな。哀のためにと思ったんだけど」

「……私のため?」

「うん……」

「私が……。私が、あなたが怪我をしてまで、あなたの身を危険にさらしてまで、それを私が知らないままで、他に優先させたいことがある、って本気で思ったの?」

「……」

 

 彼女の冷たい凍り細工のような瞳はいつもより真剣で、普段の呆れ混じりのドライなそれより一層に凍てついていた。思わず自身の顎の裂傷に手を這わす伊吹も、重力に引かれるように視線を床へと落としてしまう。

 灰原の静かな怒りと寂寞(せきばく)の想いが込められた言葉は淡々と続けられる。

 

「私の願う幸せと、あなたの描く私の幸せ。そこに齟齬が発生している気がするわ。これは由々しき事態ね。……いつかその僅かなすれ違いで、なにか取り返しのつかない事になりそうな気がするわ」

 

 伊吹に向けられていた氷の視線は彼と同じように床へと落ちる。

 

「あなたは私のためにって、勝手に決めて、()()()()()、私には何も言わずにことを進める時があるから……」

 

 彼女の言葉の真意は今日の出来事だけでなく、今までの彼の行いを責めているかのようだった。

 その雰囲気を和ませるためか、伊吹も眉を垂らして困ったような乾いた笑みを浮かべて誤魔化すように両の手を振る。

 

「いや、俺は今日は哀が楽しんでくれたら、って……」

 

 ――私はあなたがいないと楽しめないの。あなたがいてくれるから普通のことを普通に楽しめるの。

 美味しいものを食べて嬉しいとか、お洒落をしてお出かけするとか、テレビを見ながら夕食を囲む団欒とか、それこそ誰か有名人のファンになる、とか。そういう普通のことを普通に楽しめて、幸せを感じていられるのは隣にあなたがいるから……、あなたがいてくれるから私は普通の女の子の傍らにいられるの。

 私に普通の女の子のような生活をさせて、普通のことを享受させたいのなら、あなたがいてくれなきゃダメなのよ……――

 

「えっと……?」

 

 不意に黙り込んだ灰原に戸惑う伊吹。ドレスに染み付いた濃紫色の染みにそっと指先を這わせて小さく息を()く。そっと、彼の弱々しい目を見つめ返した。

 

「わかってないのね――……」

 

 わかって欲しくもないけど、いつか誰かに言った気がするそんな言葉はおくびにも出てこなくて。

 

「――……あなたには、わかってほしいのに」

 

 思わずぽつりと吐露されたのは、混じり気の無い彼女の本心のようで。

 

「それって、どういう――っ……」

「別に、やっぱり何でもないわ。ちょっとは自分の頭で考えなさい」

 

 何かを言いたげな伊吹の口元の傷にハンカチを押し当てて、答え合わせを求める彼の口を塞ぐのだった。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「この前のパーティのこと、ごめん。本当に」

「なによ、急に」

 

『開始早々ボールを勝負を仕掛けたのは東京スピリッツ! 駆け引きなど不要と言わんばかりの実直なフォワードの攻勢ッ! 赤木英雄単身ビッグ大阪陣営へと切り込んでいくー! しかしビッグ大阪もそれは想定内と言わんばかりに落ち着いて赤木に当たっていく!』

 

 例のホテルでの事件が解決した後日、主催者である東堂財閥が威厳の回復とお詫びも兼ねたサッカーのエキシビジョンマッチを再び開催した。

 出場チームは多数あれど特に人気を博しているのは本日の試合、東京スピリッツ対ビッグ大阪の一戦だろう。

 パーティの参加者は特別待遇として希望する試合に無償で招待してくれるとのことで、博士やコナン達探偵団一同、そして灰原と伊吹はこの高倍率の試合を特等席から観戦していた。

 以前と同様にコナンと子供達は東京スピリッツへと声援を飛ばし、灰原は相変わらず赤い帽子を被ってビッグ大阪を応援していた。

 あの日の帰り、伊吹と灰原はいささか気まずい雰囲気にはなったものの、一晩眠ってしまえば翌日にはいつもの二人に戻っていた。

 わざわざ蒸し返すこともないだろうと、それからは特にあの日のことを話題にも出さなかったが、今日の試合が始まって数分経った頃、おもむろに伊吹が口を開いた。

 朝から口数が少なかった彼が何かを言おうとしていたのは予想の範囲内だったのか、灰原も相変わらずの半眼で、横目にチラリと伊吹の顔を見ながら淡泊に応えた。

 

「いや、その、謝らないとって思って」

 

 チラリと灰原の様子を窺ってから、その屈強な肉体がいつもより一回り小さく見えそうな程に弱々しく呟く伊吹。

 そんな彼の殊勝な態度は多少面白いものがあったが、彼女は自身の優位性を崩さぬようにいつもの澄ました表情のまま膝に頬杖を突いて問いかける。

 

「それは何にに対しての謝罪かしら。無事に比護さんのサインは貰えたわけだし……、怪我をしたこと? 黙って危ないことしてたこと? それとも、どこかの有名人に鼻の下を伸ばしてたことかしら?」

「……側に、いなかったこと」

 

『おぉーっと! 東京スピリッツ、赤木のフェイントも要らぬと言わんばかりの実直すぎる真っ直ぐな切り込み!! これにはビッグ大阪も意表を突かれたかッ!?』

 

 こちらの本意を射貫くような彼の思わぬ言葉に、灰原も思わず身を起こして目をぱちくりさせながら彼の顔へと向き直る。

 

「ほんとはあんな怪我してまで時間を作っても、哀が喜んでくれないことはわかってた。自惚れたこと言えば、きっと哀は一緒にパーティを楽しみたかったんじゃないかなって。ただどうにも俺も、哀のために何かをしていないと自分自身が納得しなかったって言うか……落ち着かなかったって言うか」

 

 いつもの飄々としてこちらを見透かすようなニヒルな笑みでも、こちらの真意を理解した上で優しく語りかけてくるテノールの声色でもなくて。

 伊吹はうまく言語化出来ないと言わんばかりに、参ったなと頭を掻く。

 

「その、哀がすごく楽しそうに比護さんの応援をして、心底嬉しそうに話をするのを聞いてるとどうにもモヤモヤして……」

 

 いつになく歯切れが悪く、言葉に詰まる彼の態度に灰原は呆気にとられたように呆然とし、小さく開いた口が塞がらない様子。

 そして呆れたと言わんばかりに深く長い息を吐き肩を落とし、小さく頭を振ってから再び頬杖を突いて、一人顎に手を当てたままうんうんと呻る伊吹を見やる。

 呆れていた表情は次第に口角が吊り上がり、瞳は愉快そうに輝いていく。どこか意地悪そうに微笑んで、ほんのりと頬は紅潮し、少し恥ずかしげに小首を傾げた。

 

「まったく……。それって、ヤキモチかしら?」

 

 自分からそう尋ねた事に気恥ずかしさを感じながらも、問いかける彼女の声のトーンはいつもより明るい気がした。

 

『赤木! ビッグ大阪のペナルティエリアまで詰め寄るもゴール前でもたついたかッ!? ビッグ大阪ボールを奪取!! そのまま比護にパスが通ったー!!』

 

「あぁー! なにやってんだよヒデ!」

「惜しかったですね、いいところまで行ったのですが」

「比護さんが来ちゃうよっ!」

 

 会場に響く熱の籠もった実況に子供達も手に汗を握ってピッチを見つめていた。

 そんな彼らの様子をチラリと視界の隅に捕らえてからピッチを見ると、素早いドリブルでぐんぐんと東京スピリッツ側のゴールへと駆けていく比護選手の姿が目に止まる。

 

「いや、その……。ああ、そうか……、うん。……妬いてたんだ」

 

 自身の心に巣くうモヤモヤとした感情の言語化に、ヤキモチという言葉は驚くほどにしっくりときてしまい、伊吹自身も納得したようにポツリと零した。

 しかし彼の独り言のような呟きはサッカースタジアムの観客席の騒音にも掻き消されることなく、確かに灰原の耳へと届いていた。

 

「あら、可愛いとこあるじゃない」

「いや、だって、哀はあんまり芸能人とか興味なさそうだけど、比護さんは別って感じだし……」

 

 自身が抱いていた感情が嫉妬だったのだと理解すると、なんだか大人げないやら情けないやら、どうにも気恥ずかしくなってきて思わず口元を手で覆って無意識に表情を隠してしまう。しかし一度零れだした言葉はどうにも止まらなかった。

 彼の拗ねたような横顔を見つめる灰原は瞳を細めて、両手を両頬に添えるように頬杖を突く。思わず持ち上がる口角は心底嬉しそうな笑みを浮かべ、それを隠すように細い指先が彼女の口元を覆った。

 

「ばかね、私は――……」

 

 チラチラとこちらの様子を窺ってくる彼の反応が面白くて、妙に愛しくて、彼の嫉妬の気持ちがなにやら心地よくて嬉しくて。つい自分の本心を教えてあげたくなったが、灰原は自身の唇に指を添えて途中で言葉を切り上げる。

 

「え、な、なに?」

「んー……そうね。確かに、比護さんのことは好きよ」

 

 そう伝えると彼の眉は少し垂れ下がって客席のベンチに深く腰掛ける。空気が抜けてしぼんでいく風船のように体から力が抜けていった。

 その姿が面白いけど可哀想で、愛らしいけれど良心の呵責を感じてしまう。けれどそれと同じくらいもう少し意地悪をしたくなって。もっと彼にやきもちを妬いて欲しいと、黒くて甘い感情が溢れてしまう。

 ついつい彼の頭に手を伸ばしてその硬い髪質の頭を優しく撫でてあげたくなるのだけれど、灰原はその両手で頬杖を突いたまま視線をピッチへと向ける。

 

『東京スピリッツのディフェンス陣営からの激しいプレッシャー! しかし比護ッ、ここは(こら)えたッ!』

 

「私は動物も好きだし、ピーナッツバターとブルーベリージャムのサンドイッチも好きよ。あの子達のことも博士のことも、沖野ヨーコさんの歌も好き」

 

 ピッチの上の激しい攻防に観客席のサポーターからは大きな歓声が飛び交う。

 特等席のそこも周囲には熱心なサポーターが多い。応援するチームが攻めようが攻められようが、思わず立ち上がって怒号にも似た声援が飛び出す。二人の前に座る子供達もその熱にかき立てられるように立ち上がり声援を送っている。

 そんな中で静かに座ったままの二人。立ち上がる周りの人の壁に隠れるようにして、灰原はピッチから外したその瞳を伊吹へと向けて、どこか照れながらも挑発するように薄く微笑んで彼を見つめた。

 

「――でも、あなたのことは、好き……じゃ、ないわね」

「……」

 

 ただ黙って見つめ返す彼の深い藍色の瞳が柄にも無くほんの少し揺らいだ気がした。

 見つめ返す彼女の瞳も、熱を帯びて、熱く甘く揺れる。

 

「あなたのことは……、あなたはね――」

 

『ゴーーーーーールッッ!!! 比護ッ、渾身の右シュートがゴールネットに突き刺さったーーーッ!!』

 

 口元を隠したまま呟いた彼女の一言は実況の熱いゴール宣言と、すぐ近くのビッグ大阪サポーター達の絶叫にも似た喜びの声に掻き消された。

 

「今なんて……」

「⋯⋯いいえ、なんでもないわ」

 

 困惑する伊吹が思わず彼女に手を伸ばしかけるも、灰原はそれを躱すように静かに立ち上がる。

 

「やっぱり、もう少しやきもきしていなさい」

「え、ええー……」

「普段のお返しよ」

 

 少し意地悪に、そしてどこか得意気に笑みを浮かべながらそっぽを向く灰原。日頃、彼にやきもきさせられているのだから、たまにはこっちの気持ちを味わうといいわ、とでも言いたげに。

 不満と困惑が混ぜ合わさったような抗議のうなり声を上げる伊吹だったが、彼女は「ふふんっ」と楽しそうに鼻を鳴らして前の席へと移動し、歩美の隣に腰掛けた。

 

「哀ちゃんっ、比護さんのシュートっ、ゴールしたよっ!」

「ええ、見てたわ。さすがは比護さんね」

 

 隣にやってきた灰原に歩美が両手を広げて興奮気味に比護選手の活躍を伝える。しかし、その割にどこか冷静に応える灰原を見て、歩美はチラリと後ろの席の伊吹の様子を窺った。

 何を考えているのか、一人腕を組んだまま溜め息と共にぼんやりとピッチではなく空を見上げている伊吹。そんな彼の様子を見て、歩美は灰原の耳に口を寄せてそっと小声で問いかけた。

 

「伊吹お兄さん、比護さんの応援してくれた?」

「え、どうして?」

「哀ちゃん、伊吹お兄さんにも比護選手を応援してほしいんでしょ?」

「ま、まあ、そうだけれど……」

 

 思わぬ歩美の質問に、先程のやりとりが聞こえていたのではと一瞬心臓がドキリと大きく打つ。そんな彼女を尻目に歩美は無邪気に微笑んで、内緒の話をするように、灰原の耳元でこっそりと続けた。

 

「歩美、わかるよ。……だって、好きな人には同じもの好きになってほしいもんねっ」

「……ええ、そうね。……けど、彼には内緒よ」

 

 すこしおませな恋の話に、囁き声ながらも楽しげに声を弾ませる歩美。そんな歩美に灰原は自身のその薄桃色の唇に細く白い人差し指を立てて「しー」と秘密のジェスチャーを返す。彼女の頬に差す微かな朱色は会場の熱気に晒されたのが理由ではなさそうだった。

 

 ピーーッ! ピーーーーッ! ピーーーーーーーーッ!!

 

『ここでホイッスルーッ! 試合終了だーッ! 今回この熱い激闘を制したのは……ッ――――』

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「なんだおめー、ビッグ大阪が負けた割には上機嫌じゃねえか」

 

 試合観戦後の帰り道。直に夕暮れも近づく頃、一同はスタジアムの最寄り駅へと向かっていた。

 試合の結果は、比護選手の活躍もビッグ大阪一歩及ばず、接戦の末に東京スピリッツが辛勝したようだ。当然コナンをはじめ子供達は大喜びだった訳だが、普段ならばビッグ大阪の敗戦に些か不機嫌となる灰原が今日に限っては上機嫌の様子。

 コナンがそんな彼女の態度を訝しがるように尋ねると、灰原はなんて事無いように肩をすくめる。

 

「そうかしら? ……ま、試合に負けて勝負に勝った、ってところかしら」

「なんだそりゃ」

 

 彼女の言葉の真意が読み取れないコナンはますます訳がわからないと眉間にしわを寄せるも、すっかり上機嫌の彼女はどこ吹く風でハミングする。

 彼女が後ろに手を組みながらチラリと振り返ると、腕を組んだまま頭を傾げて、うんうんと呻りながら後ろをついてくる伊吹の姿が。どこか挑発的に見つめる灰原の視線にも気づかない伊吹に、彼女は意地悪そうに小さく微笑むのだった。

 

 ――私が比護さんのファンになったのは、工藤君が教えてくれた比護さんの境遇を知ったから。

 ノワール東京というチームに利用された比護選手のお兄さん。その兄との夢を叶えるため、自身も(ノワール)を裏切って兄をトレーナーとして拾ってくれたビッグ大阪に移籍した。

 兄のために黒を裏切った比護選手と、姉の一件で黒を裏切った自分。そんなところに自身と重なって見える部分があったから。

 でもね、それだけじゃないのよ――

 

「――お兄さんっ! 伊吹お兄さんっ!」

「んッ? あ、ああ、ごめんごめん、どうかした? 歩美ちゃん」

「今日の博士のお家でのお泊まり会、伊吹お兄さんがお夕飯作ってくれるんだよねっ?」

「晩ご飯のメニューは何ですか、って聞いてたんですよ」

「伊吹の兄ちゃん話聞いてねーのかよ!」

 

 上の空だった伊吹に子供達が矢継ぎ早にまくし立てる。余程頭の中を占める考え事があるようで、伊吹は子供達と話ながらも視線はついぼんやりと泳いでしまう。

 

「あー、えっと、なにが食べたい?」

「まだ決めてないんですかぁっ!?」

「オレもう腹ぺこだぜ!」

「……ハンバーグ、でしょ」

「うぇ、あ、そうだった。ごめん、ハンバーグだった、もう食材も買ってあるんだ」

 

 子供達の質問にもつい適当に答えてしまう彼を見かねて灰原が冷静に口を挟むと、彼女の声には思わず反応してしまう。頭の中を占めているのは彼女のことのようで。

 頭を掻きながら「ごめんごめん」と困ったように子供達の相手をする彼の横顔を見つめる灰原。楽しげに小さく微笑むその瞳は優しく柔らかく、ほんのりと温もりを帯びていた。

 

 ――あなたに再会する前のこと……。黒を裏切って、でも染みついた黒色は拭いきれなくて、白にもなりきれない灰色の日々。唯一の家族である姉は殺され、あなたとは永遠さえも覚悟する離別……。もういつ自分が消えてしまっても仕方が無いと、むしろそれでいいとさえ思っていた。

 もしそんな日々がずっと続いていたら……、私のこの小さな体にはもうあなたを待つだけの力は残っていなかったかもしれない。

 どこにいるのか、無事でいるのか、生きているのか、私を探してくれているのだろうか、今でも私のことを――。なにもわからないあなたを待つだけの、独りぼっちの時間は凄く長く感じたわ……。

 そんな時に、あの子達とあの試合を見に行って、比護選手のことを工藤君から聞いた。

 自身を引き抜く目的のために兄は利用され、そして兄はあっさりと(ノワール)から切り捨てられた。そんな兄との夢を果たすために自身も(ノワール)を裏切った。けれど誰もそんなこと知らなくて、ピッチの上では独りぼっち、声援なんてなくて、浴びせかけられるのはブーイングの嵐。そんな時に浮上した海外チームへの移籍の話。

 もう何もかも忘れて、自責の念からも逃れて、誰の声も届かないような、どこか()()()()()へ行くこともできたのに……。それでも、逃げるのではなく、忘れるのではなく、その全てに耐えてでも、()()()()()()()()()()()()()()()()()を見せつけられたから。

 どこか私と重なって見えた比護選手が、色んなしがらみを振り払って、大切な人と新天地で生きていこうとするその姿がすごく、羨ましく思えてしまったの――

 

「おいコナン、なんだそれ」

「ん? ああ、早速今日の試合のハイライトがコメント付きでもうネットに上がってんだよ」

「あっ、これ比護選手のシュートのところだっ」

「いやー、東京スピリッツのディフェンスの圧を物ともしない鮮やかなシュートです」

 

 ホームで電車を待ちながらコナンが携帯で今日の試合の速報を見ていると、画面に映される試合の映像に子供達も釘付けになる。

 本日のハイライトに流れる比護の強烈なシュートシーンを見ながらコナンは感心するように声を漏らすと、子供達も比護の活躍に熱が入る。

 

「やっぱトータルで見るとビッグに移籍し(うつっ)てからの方が比護はいい成績残してるよな」

「そりゃあもう! 移籍してすぐは振るいませんでしたが、今ではビッグのエースですよ!」

「東京スピリッツに勝ってほしーけどよッ、比護になら一点くらいやってもいいぜッ」

「何様なんですか元太くん……」

「比護選手かっこよかったね、哀ちゃん」

「……ええ、そうね」

「……」

 

 チラリと伊吹の横顔を盗み見ると、彼はどこか楽しくなさそうに明後日の方を向いていた。

 普段ならそんな彼の姿にどうしたのと声をかけてしまうところだが、今日はどうにもそんな彼の態度に喜んでしまう自分がいる。

 

 ――たとえ大切な人と離ればなれになったとしても、共に生きていくことを決して諦めなかった比護選手の姿に、私とあなたを重ねたわ……。

 だから(ノワール)を裏切った私も、この身が危険に晒されようとも、恐怖に押しつぶされそうになっても、あなたが無事でいてくれたなら、私はあなたと共に生きる道を選びたい、そう思えた。

 私はその日、確かに逃げることをやめた。きっと、あなたが私の背中を見つけてくれるって。どれだけ小さくなってもあなたなら見つけてくれる。そして、また前みたいにその大きな腕で後ろから抱きしめてくれるって、あなたはそう言う人だと思い出せたから。そうしたら、灰色の日々が少しずつ輝き始めて、ほんのりと温もりを帯びていった。

 だから、比護さんは私にとって「伊吹(あなた)と笑顔で再会させてくれた人」なのよ。

 比護さんは私にあなたを待ち続ける勇気をくれた人。そして実際、逃げ出さずに待ち続けていたからあなたと再会できた。

 言うなれば、比護さんは私たちにとっての再会のキューピッドな訳だけれど、そう言うとあなたはまた調子に乗りそうだから黙っておくわ。せいぜいやきもきすることね――

 

「なんだか哀ちゃん、すっごく楽しそう」

「そうかしら? ……ま、たまにはこういう日も悪くないわね」

 

 灰原の顔を覗き込む歩美が思わずそう言ってしまうほど、彼女の頬は無意識に緩んで笑みが浮かんでしまう。

 

 ――もう少し、もう少しだけ楽しませて。せめて今日一日くらいは、私のことで頭をいっぱいにしてなさい――

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「どないしたんですか、比護さん。腹でも痛いなら次の試合のスタメン、自分代わりましょか?」

「そんなんじゃねーよ」

 

 ビッグ大阪と東京スピリッツの熱戦が終わり、選手一同は控え室でユニフォームを着替えながら談笑に花を咲かせていた。そんな中で、本試合でも活躍を見せた比護選手が腕を組んで一人頭を傾げていた。

 そんな彼をからかうように声をかけたのは同じくビッグ大阪所属のサブメンバー、真田貴大(さなだたかひろ)。頻繁に美容室にでも通っているのか髪は茶色に丁寧に染められ、(よわい)十八の彼はイタズラ好きの子供のように笑いながら比護選手を肘で突く。

 そんな真田選手の頭を抑えながら制する比護選手が、少しの沈黙のあと首を傾げながら問いかけた。

 

「……おい真田、俺ってよ、()使()に見えるか?」

「はあ? なに寝ぼけてるんですか。そんな髭面でゴリゴリ天使がおったらたまりせんわ、きっしょく悪い」

「だ、だよな」

 

 真田の辛辣なツッコミに苦笑いを浮かべながら彼にヘッドロックを極める比護選手だったが、その思考は再び宙を舞う。

 考えているのは数日前のパーティでのこと、顔見知りの女の子にサインを頼まれた時のことだった。あの時あの少女に頼まれたままにサインしたけど、あれはどういう意味だったのだろうか。

 

「いででででッ、比護さんッ、頭極まってますってッ、てか汗くさッ」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 数日後の阿笠邸。少し前に灰原の特製オムライスに舌鼓を打ってから、紅茶を片手に食後の一服を楽しむ伊吹。ソファへと腰掛けリモコン片手に適当にザッピングをしていると、とあるドラマが目に止まった。

 しばらくリモコンをテレビへと向けたままぼんやりと画面を見ていた伊吹だったが、今日の一服のお供はそれに決まったようで、リモコンはテーブルへと投げ置いてソファに背中を預ける。

 

「最近、そのドラマ観てるわね」

「うん。結構ストーリーが凝ってて面白いんだよ」

 

 自身の分のティーカップを両手で慎重に持ちながら灰原が彼の隣へと腰掛ける。テレビに流れるミステリー物のドラマを興味も無さそうに半眼で見やると、音もなく上品に紅茶をすする。

 

「それと、この主人公の助手? の女優さん。気づかなかったけど、ほら、この前パーティで少し話した」

「……」

 

 伊吹の言葉を聞いて何となくで眺めていた画面に注視してみると、そこにはいつぞやの()()()()()()の姿があった。

 思わず紅茶を吹き出しそうになるのを堪えて、灰原はティーカップを少々荒っぽくテーブルに置くと、即座にリモコンへと手を伸ばしチャンネルを変えてしまった。

 

「ええ、ちょっと」

「なに」

「いや、み、観てたんだけど……」

 

 突然の灰原の行動に異を唱えようとする伊吹だったが、彼女の重く静かな声色にはこちらに有無を言わせぬ圧力があった。

 

「私はニュースが見たいの」

「ニュースなら後でも」

「今、観たいの。毎週この曜日のこの時間はニュースを見るようにしてるのよ」

「は、初耳なんだけど……」

「今決めたの」

 

 その冷たい視線を画面に向けたまま手に持ったリモコンを離す様子のない灰原。伊吹が反論しながら腕を伸ばしても彼女はさっと身を翻してリモコンを譲ろうとはしない。

 

「ちょ、ちょっと、やめなさいよ」

「哀こそ、暴れたら危ないって」

 

 伊吹が灰原の左の腕を掴んで身動きを封じてから、彼女の右手に掴まれたリモコンへと手を伸ばす。灰原も負けじと彼とは反対の方へと腕をうんと伸ばし、取られまいと死守しようと奮闘する。彼らがもがく度にチャンネルは変わっていき、先程コーヒー片手にやってきた博士はランダムに変更されるテレビ画面をただ何も言わずに眺めていた。

 そしてもがく彼女の足がテーブルの端を蹴り上げてしまい、ティーカップがガシャリと音を立てて倒れそうになると伊吹は咄嗟にそれを手で押さえてしまう。

 彼の屈強な腕から逃れた灰原はリモコンを握りしめたまま脱兎の如くソファから離れてから振り返った。

 

「なに、そんなにあのドラマが観たいわけ?」

「いや、まあ、多少?」

 

 灰原がムキになるものだから伊吹もつい釣られてリモコンを取り戻そうとしてしまったが、実はそれほどドラマに固執しているわけではなかった。

 腕を組んだ灰原が、彼女を取り逃がしたままの体勢でソファに倒れ込むように突っ伏す伊吹を見下ろして問い詰める。

 

「……あの女優のファンにでもなったのかしら?」

「そんなんじゃないけど」

「どうだか。……パーティでも随分と鼻の下が伸びていたみたいだし」

「そ、それは誤解だってば。そう言うなら哀だって散々浮かれてただろ」

 

 どこか拗ねたような伊吹の言葉に灰原は半ば呆れ、小馬鹿にするように小さく嘆息を零した。

 

「あなたと違って、私にはちゃんとした理由があって、比護さんのファンになったの」

「なに、理由って」

「それはっ……、い、色々よ」

 

 伊吹の質問に思わず何かを答えそうになった灰原だったが、すんでの所で言葉を飲み込んだ。誤魔化すように視線を泳がせて、()()()()()()()()()()()()()()を思い出してか、少し優しくなってしまいそうなその目元にきゅっと力を込め直していつもの眼差しを彼へと向ける。

 

「あなたはあの女の何がいいのかしら」

「いや、別に、ファンじゃないって……。そりゃまあ女優さんだし、美人だとは思うけどさ」

 

 彼のなんとか絞り出すような理由を聞いて、灰原は小さく(かぶり)を振った。

 そして少し得意気にも見える笑みを浮かべて、彼を見下しながら口を開いた。

 

「……浅いのよ、理由が」

 

 結局伊吹には見せないまま自室にしまい込んだ比護選手からのサイン色紙。それを彼に見せると()()()()を説明しなきゃいけなくなりそうだから、お披露目はまた今度にしようと、灰原はリモコンを下唇に宛がいそっぽを向いて一人小さく物思いに耽るのだった。

 

 

 

 

 哀ちゃんへ、伊吹君へ

 

    ビッグ大阪 比護隆佑

 

          二人のキューピッドより

 

 

 

 

 

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