ハチマンくんとアスナさん   作:大和昭

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すみません、年明けにめっちゃ忙しいのが来て、全く更新出来ませんでした………、
今週は一日か二日置きくらいになるかもしれません(滝汗)
申し訳ありませんが宜しくお願いします。


第1205話 四人は知りたい

 八幡が読書に熱中していた時、明日奈達四人は、こんな会話を交わしていた。

 

「………でね、やっぱりそういうシノンちゃんの男前なところが、

シャナ的にぐっとくるのかなって思ったの」

「待って待って、レンがもじもじしてる所を見て、

そういう所がシャナの男心をくすぐるのかなって思ったんだけど」

 

 今日の戦闘の途中で、詩乃と香蓮がお互いの事をどう思ったのか話し出し、

明日奈とクルスはどちらが正しいとも言えず、う~んと腕組みした。

 

「ねぇクルス、クルスは八幡君の好みの女の子ってどんなタイプだと分析してる?」

「それは明日奈みたいな子なんじゃ?だからこそ付き合ってるんでしょ?」

「う~ん、でも私の場合は、一緒に戦いを生き抜いたってのが大きい気がするから、

私が必ずしも八幡君の好みのタイプかどうか、分からないと思うんだよね」

「「「それはない」」」

 

 明日奈も本気でそう思っている訳ではないのだろうが、当然他の者達から突っ込みが入る。

 

「違うの、あくまで好みの問題であって、好きとか嫌いとかそういう話じゃなくてね?」

「好き嫌いじゃない部分って事?」

「ああ、そういう事か………」

「そういう事なら、確かに確認してみたくはあるわね」

「でもあの八幡が素直に言うかしら?普通に明日奈って言いそうじゃない?」

「う~ん………」

 

 四人は車座になって、それはそうかもと首を捻った。

 

「何かそれとなく聞き出せる方法は………」

 

 その香蓮の言葉で、四人は何となく八幡の方を見た。

読書中の八幡は、どうやら何か面白い展開にでもなっているのだろうか、若干にやけている。

 

「………あっ!」

 

 その時クルスが何か思い付いたようにそう言った。

 

「何かひらめいた?」

「うん、八幡様はラノベとかアニメは好きじゃない?

なので、この作品だとどの女の子が好き?とか聞きまくってみたらいいんじゃないかな」

「なるほど………」

「そうすると、作品選びにも注意しないとかしらね」

「ならこの部屋にある本で、アニメ化されてる作品を中心に聞いてみればいいんじゃない?」

「「「それだ!」」」

 

 こうしてクルスの提案からとんとん拍子に話が進み、明日奈が代表して八幡に声をかけた。

 

「八幡君、ちょっと本を見せてもらうね?」

「ん?ああ、うん」

「ありがとう!」

 

 明日奈は片っ端からラノベやマンガの一巻を手に取り、こちらに持ってきた。

 

「こんな感じかな?」

「それじゃあ手分けして調べましょっか」

「だね」

 

 四人はどの作品がいいか、ACSを駆使して調べ始めた。

ACS、AIコミュニケーションシステムは、こういう時に便利である。

 

「私からはこれとこれ、あとこれね」

「こっちは何も無かった、後は?」

「こっちから三冊追加で」

「あと明日奈は?」

「う~ん、ねぇ、思ったんだけどさ」

 

 明日奈は何か気になる事はあるらしく、本を開いたままそう言った。

 

「どしたの?」

「いやね、この本、五ツ子が出てくるんだけど、この場合って性格の違いが大事じゃない?

で、八幡君が女の子を選ぶ時に、それを考えないって事はないと思うんだよね」

「………それはそうかもだけど」

「それならいっそ、見た目と性格の両方について聞いてみればいいんじゃない?」

「そうしよっか」

「ちょっとずつでもいいから絞り込んでいかないとね」

 

 こうして話が纏まり、いざ八幡に声をかけようとしたその時、

明日奈のスマホに何かメッセージが届いた。

 

「あ、里香からだ」

 

 明日奈はスマホをいじってメッセージの内容を確認し、むむむ、と呟いた。

 

「どしたの?」

「何かね、三月の頭に理事長と先生達の歓送迎会をやるらしくって、

その時生徒がやる出し物の案を、私達にも何か考えて欲しいんだって」

「歓送迎会?」

「うん、理事長が交代するし、先生も何人か代わるんだよね」

「そうなんだ、でもそういうので出し物って、珍しいわよね」

「あ~、ほら、雪ノ下理事長の発案みたいだから」

「ああ………」

 

 他の者達は、それで納得してしまう。

 

「なら仕方ないわね」

「出し物かぁ、ステージとかでやるのよね?」

「多分ね」

「そしたらやれる事って結構限定されるよね」

「私は演劇とかしか思いつかないわ」

「そうだねぇ」

 

 明日奈はのんびりとした口調でそう相槌を打ち、そんな明日奈にクルスが呆れるように言った。

 

「他人事みたいな言い方だけど、もしそうなったら明日奈は絶対にヒロインをやらされるからね」

「あ~、白雪姫とかシンデレラとかだ」

「えっ?私、演技なんか出来ないよ?」

「別にお金を取ってやるものじゃないんだから、素人に毛が生えた程度で十分でしょ」

「えええええ?」

「とりあえず八幡様に報告するんだよね?

それなら試しに私の役をやってみなよ、それくらいならいけるでしょ?」

「クルスの?それなら多分………」

 

 明日奈は普段のクルスの態度を思い出しながら、ぶつぶつと何か呟き出した。

 

「私はクルス、私は秘書、私はクルス、私は有能な秘書」

 

 明日奈は一旦目をつぶり、そして再び開くと、

何故か曲がった眼鏡を直すかのような仕草をした。

どうやら明日奈の秘書のイメージは、眼鏡をかけているものらしい。

 

「よし、いってくる」

「頑張って!」

「肩の力を抜くのよ」

「見守ってるからね!」

「うん!」

 

 明日奈は、ふんすっ、とばかりに鼻息も荒く立ち上がり、八幡の方へと歩いていった。

 

「八幡様、ちょっといいですか?」

「ん?ああ、マックス、どうかした………あれ?」

 

 そんな明日奈を見て、八幡が目をキョトンとさせる。

 

「そうですよ、誰だと思ったんですか?八幡様」

 

 三人は、八幡がどんな反応をするか興味津々だったが、

八幡は顔色ひとつ変えずに平然とこう返してきた。

 

「いや、気のせいだったわ」

 

(受け入れた………)

(意外と乗ってくるね)

(まったく動揺しないわね)

 

 三人はひそひそとそう囁き合ったが、直後に八幡がこう付け加えた。

 

「で、何の用だ?マスナ」

 

 それがマックスと明日奈の強引な合成語だと分からない者はおらず、

明日奈も含めて四人は盛大に噴き出す事となった。

 

「「「「あはははははははは!」」」」

 

 度し難い事に、八幡は満足げに頷いており、その態度に四人は更に笑いを誘われる事となった。

 

「マ、マスナって何?」

「八幡様の唯一の欠点な気がする………」

「ゲームの中じゃ、結構いいネーミングとかするのにね」

「それにしても明日奈、笑いすぎ」

 

 明日奈は笑いながら床を転げまわっていたが、しばらくして落ち着いたのか、真顔に戻った。

 

「八幡様、今里香から連絡があって、三月の頭に理事長と先生達の歓送迎会をやるらしく、

その時生徒がやる出し物の案を、八幡様にも何かないか考えて欲しいそうです」

 

 顔をやや赤くしながらも、キリッとした態度でそういう明日奈を見て、

八幡がどんな態度をとるのか三人は興味津々だったが、

八幡は表面上は全く普通の態度をとっているように見えた。

 

「普通だね」

「みたい」

「変わらないね」

 

 そこから明日奈は八幡に状況説明をし、やり切った表情をしながらこちらに戻ってきた。

 

「ふう、やったね、八幡君、ちょっと照れながら凄く喜んでた」

「「「えっ?」」」

 

 三人はそんな気配を微塵も感じられる事がなかった為、ぽかんとした。

 

「そ、そうなの?」

「うん、間違いないよ」

「そういうの、分かるの?」

「えっ?分からなかった?」

「全然………」

「あれぇ、思いっきり顔に出てたんだけどなぁ」

 

 そんな明日奈を見て、三人はひそひそと囁き合った。

 

(((さすが明日奈………)))

 

 どうやらこの三人でも明日奈にはまだまだ及ばないようである、

明日奈の正妻力、推して知るべしという事だろうか。

 

「ところで明日奈、今のついでにさっき話し合った質問をすれば良かったんだ?」

「あっ、忘れてた!」

「せっかくだし、今度は別の芸風でやってみない?」

「べ、別の?」

「大丈夫、誰かの真似をするだけでいいから」

「わ、分かった、誰でもいいよね?特徴がある人、えっと、えっと………」

 

 それから一分後、明日奈は立ち上がり、再び八幡に近付いていった。

 

「八幡君、ちょっといいかニャ?」

 

(フェイリス?)

(フェイリスさんだね)

(フェイリスかぁ)

 

 そんな明日奈を見て、八幡は今度はあからさまに顔を赤くしたのだった。

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