ハチマンくんとアスナさん   作:大和昭

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さて、ついに決着です!
皆様には、新年早々、沢山のご挨拶と、励ましのお言葉を頂きました。
今年も楽しんで頂けるよう、斜め上や真上に頑張ります!
今話も意外と長く、7500文字ほどになりました、それではどうぞ!

2018/06/15 句読点や細かい部分を修正


第268話 凄く好き、大好き

 どうやらハチマンは、寸前で体制を低くして攻撃を回避したようで、

そして自分は、あのハチマンが手に持つ警棒で、手を打ち据えられたらしい、

そう思ったクラディールは、憎しみのこもった目で、八幡を見つめながら言った。

 

「わ、罠だったのか……」

「罠?罠にはめようとしたのはお前だろ?俺はただ、自衛しただけだ。ですよね?朝景さん」

「はい、その通りです。本当に馬鹿だね兄さん、このまま黙って日本を去っていれば、

比企谷さんは、兄さんの事を見逃してくれるつもりだったのに」

「じゃ、じゃあ何故警棒なんか持っているんだ!」

「これはただの護身用だ。正直俺もな、こっちに戻ってきてから、

武器を何も持たないでいるのがどうしても不安でな、

こういうのをいつも持ってないと、落ち着かないんだよ。

まあもっとも、お前が俺達を襲ってくるならここでだろうと、予想はしてたけどな」

「八幡!」

 

 そして次の瞬間、凄いスピードで走ってきたエルザが、八幡に抱き付いた。

 

「おお、早かったな、バッチリ映ってたのか?」

「うん、直ぐに他の人も来ると思う」

 

 その言葉通り、景清と陽乃とアルゴが、すぐにこちらに現れた。

景清は、怒りに震えた顔で、いきなりクラディールを怒鳴りつけた。

 

「自分が何をやろうとしたか、分かっているのか、この馬鹿ものが!」

「ひっ……」

「比企谷さん、うちの馬鹿息子が、とんでもない事を……すぐに警察を呼びましょう」

 

 そんな景清に、八幡は、のんびりとした口調で言った。

 

「まあまあ、社長、証拠も揃ってるし、警察を呼ぶのはいつでも出来ますから、

その前に、ちょっと話をしませんか?」

「は、はぁ、比企谷さんがそう言うなら……」

 

 そしてその場にいた者達は、社長室へと戻った。

クラディールは、念の為という事で、手足を縛りあげられていた。

 

「お前の行動は、全部このモニターに映ってたんだよ」

 

 社長室に着くなり、八幡は、クラディールにそう言った。

 

「なっ……何故そんなものが……」

「今日は業務提携の一環として、その説明に来たんだよ、

あそこは、このフロアーでは唯一監視カメラの死角になるから、

あそこに、怪しい人物が来ないかどうか、AIが判断してくれるタイプの、

うちが開発中の新型監視カメラを、無料お試しって事で設置してみませんかってな。

芸能プロダクションには、芸能人のプライベート情報が満載だからな、

盗難や、おかしな記者が入り込むのを防ぐ役にたつだろうと、

今日実際にあそこに設置してみて、社長に今まさに確認してもらってた所に、

お前が俺達を襲う姿がバッチリ映ったと、まあそういう事だ」

「そ、そんな……」

 

(まあ、それは建前で、実際はお前が何かするならあそこしかないと思ってそうした訳だが)

 

 八幡はその事は口に出さず、景清の方を見た。

 

「その通りだ、本当に目を疑ったぞ、お前があそこまで馬鹿な男だったとはな」

「ぐっ……」

 

 クラディールはうな垂れ、地面に頭をゴンゴンと打ちつけ始めた。

 

「うるさい、大人しくしておれ、この馬鹿たれが!」

 

 景清は、クラディールにそう一喝すると、八幡の方に向き直った。

 

「こうなってみると、さすがに私にも、色々と見えてきました。

もしかして比企谷さんは、こうなる事を、最初から予想していたのでは?」

 

 八幡は、景清を出来るだけ傷付けたくないと思い、

どうやって返事をしたものかと、少し悩んだ。

そんな八幡に、景清は、真面目な顔でこう言った。

 

「私は真実を知りたいんです、どうか比企谷さん、私に気を遣わず、

今回の事だけじゃなく、過去の事も、私に教えては頂けないでしょうか」

「……分かりました」

 

 そして八幡は、先ず最初に、SAOで何があったかを、話し始めた。

 

「私達……いや、ここからは、普通に話し言葉で話させてもらいますね。

俺達がSAOに囚われたあの日、俺は偶然にも、アスナと一緒にいたんです。

アスナは最初、男性のアバターを使っていて、俺はたまたま、

ログアウトボタンが見つからず、まごまごしていたアスナと目が合っちまって、

で、多分緊急メンテがくるだろうなと思って、

それまでアスナに、戦闘の手解きをしていました」

「アスナというのは、あの明日奈さんですね」

「はい、そしてその最中に、全員が広場に強制的に転移させられ、

そこで茅場晶彦が、例のデスゲームの始まりの宣言をしました。

そこで俺達は、現実と同じ姿に強制的に変えられたんですが、

俺はそれでかなり焦っちゃって、とにかく新人を助けようと、アスナの姿を確認しないまま、

その手を引いて、事前に知っていた、隠れ家な宿屋に逃げ込んだんです。

そこで俺は始めて、アスナが女の子だった事に気が付きました。

あの時は本当に焦りましたよ、新人の男を助けたつもりが、実は女の子だったんですからね。

そこから、俺とアスナは、行動を共にする事になりました。

そして紆余曲折を経て、アスナは、血盟騎士団というギルドに入団する事になりました。

本来は、嫌々ながら、俺が入るつもりだったんですが、

アスナは自ら、その身代わりを買って出たんです。

そして俺とアスナは、ずっと一緒にはいられなくなりましたが、

まめに連絡を取り合い、時には一緒に戦い、時には仲間達と一緒に楽しみ、

そうやって、極々自然に肩を並べて歩んでいきました。

そして攻略がかなり進んだ頃、こいつが俺達の前に姿を現しました」

 

 そういって八幡は、クラディールを一瞥した。

 

「こいつは最初、アスナの護衛をしていました。

そして俺に、昔からアスナ様につきまとっている奴ってのはお前か、

みたいな事を言ってきました。その時は正直、何だこの勘違い馬鹿は、と思いましたね、

俺と明日奈は、お互いの意思で、ゲーム開始の時からずっと一緒だった訳ですから。

で、その後もこいつは、アスナの家を、勝手に早朝から見張ったり、

休日にアスナの後をつけまわしたり、ストーカーまがいの行為を繰り返していたんで、

ある時俺が、その……ちょっとイライラしちゃって、一対一の戦闘で、

こいつを叩きのめしちゃったんですよ」

「八幡君、私に気を遣わないでくれ。私が君の立場でも、同じようにしただろうからね」

 

 景清がそう八幡に声を掛け、八幡は、苦笑しながら話を続けた。

 

「で、その後、再び紆余曲折を経て、俺も血盟騎士団に入る事になり、

俺はクラディールと、もう一人、ゴドフリーって奴と一緒に、訓練をする事になりました。

訓練といってもまあ、俺の力を団員に見てもらう為の、儀式みたいな物だったんですけどね。

で、その時あった出来事なんですが……」

「その時の事は、オレっちが説明するゾ」

 

 アルゴがそう口を挟んできた為、景清は、驚いた顔でアルゴを見た。

 

「夢乃さん、まさか君も……」

「ああ、オレっち、SAOでは、情報屋をしてたからな」

 

 それを聞いたクラディールは、愕然とした顔でアルゴの方を見た。

どうやら今までアルゴの存在に気付いていなかったようで、

クラディールは、ギリギリと歯軋りしながら、アルゴに向かって言った。

 

「お前は鼠……そうか、あの時俺の事がバレたのは、お前の仕業だったのか!」

「ああ、お前が殺人ギルドの元メンバーらしき野郎共とつるんでるのを見かけたんでな、

しっかりハー坊に、報告させてもらったゾ」

「殺人ギルド……だって?」

 

 朝景が、驚いた口調でそう言った。景清は、顔を青くし、愕然とクラディールの顔を見た。

クラディールは、ばつが悪そうに、その視線から目を背けた。

 

「SAOには、楽しんでプレイヤーを殺そうとする奴らの集まりが、いくつかあったんだぞ。

その中で、一番最悪だったのが、殺人ギルド、ラフィンコフィンだ。

そのラフィンコフィンは、ハー坊達が、かなり苦労した上で、壊滅させたんだが、

こいつはその残党と、つるんでやがったのサ」

「ぐっ、こ、この馬鹿兄貴……」

「景時、お前は……」

 

 クラディールは、ふて腐れた顔で、何も答えなかった。

 

「で、その訓練中に、こいつは俺と、そのゴドフリーを殺そうとしてきました。

幸い俺は、事前にその事を察知し、対策を練っていたんで、アスナと協力して、

こいつを返り討ちにした上で、こいつを、

犯罪を犯したプレイヤーのための監獄に、叩き込みました。

そしてその直後に、俺は仲間と協力して、ゲームをクリアする事に成功しました」

「その証拠が、このデータです、社長」

 

 そう言って陽乃は、回収した封筒の中から一枚の紙を取り出し、景清に渡した。

景清はそれを見て、それが真実だと確認すると、わなわなと唇を震わせながら言った。

 

「殺されても仕方がないような事をしておいて、

それで済ませてもらったのに、お前という奴は……」

 

 そして景清は、悲しそうな目で、クラディールを見つめた。

だがクラディールは、反省した様子も無く、反論を始めた。

 

「違う!俺はあの時、確かに副団長のアスナ様と、心が通じていた!

こいつはそれに嫉妬して、話をでっち上げただけだ!

そもそも誰にでも愛される俺が、アスナ様に嫌われる理由など、無いじゃないか!」

「心底気持ち悪い……」

 

 エルザが、吐き捨てるようにそう言い、クラディールは、エルザに向かって言った。

 

「なぁエルザ、お前はいつも、歌で俺に愛の言葉を囁いてくれてたじゃないか、

お前は混乱して、色々勘違いしてるんだよ、その男に騙されているだけなんだ!」

 

 エルザはそう言われ、改めてしっかりと八幡に抱き付き、

クラディールに見せ付けるように、甘えるような仕草を見せた。

 

「なっ、何をしている、俺の女から直ぐに離れろ!」

 

 八幡はそんなエルザの頭を撫でながら、話を続けた。

 

「で、その後、俺はこの、神崎エルザと知り合いました。

出会ったのはまあ、偶然だったんですけど、

それでエルザと仲良くなった俺は、ある時エルザから、悩みの相談を受けたんです。

それは、このクラディールがしつこく言い寄ってくるから、

社長には恩があって申し訳ないけど、可能なら独立したいというものでした」

 

 八幡は、こうなっては、もう話を取り繕っても仕方が無いと思ったのか、

景清に頼まれた通り、真実を伝える事にした。

 

「ち、違っ、俺とエルザは、両思いなんだ、それだけなんだよ父さん!」

「黙りなよ、この誇大妄想狂」

 

 朝景は、冷たくクラディールにそう言い放った。

 

「何だと……朝景、貴様、弟のくせに……」

 

 朝景は、それを無視し、景清に話し掛けた。

 

「父さん、他の人達からも、もう証言はとれてるんだ。

うちに所属している女性達の、うちに対する印象は、もう最悪なんだよ。

一歩間違えれば、全員が移籍を申し出てきてもおかしくないくらいにね」

「何だと……」

 

 景清は、その言葉に、呆然となった。

 

「違う、本当に違うんだ父さん、あいつらは皆、俺の事が好きだったから、

あいつらが俺とエルザの仲に嫉妬して会社をやめたりしないように、

俺がまめに寵愛を与える事で、バランスをとっていただけなんだよ。

これは全部、会社の為なんだ、父さん!」

 

 そんなクラディールの言葉は、もう景清の耳に入る事は無かった。

景清は、その言葉を完全に無視し、朝景と顔を見合わせながら、苦渋に満ちた顔で言った。

 

「私が……私がこの馬鹿息子が更正するのを期待して、

しばらく様子を見ていたせいで、そんな事に……」

「僕も同罪だよ、父さん。僕も、この事を比企谷さん達に教えてもらうまで、

この事に気付かなかったんだからね」

 

 そして景清は、八幡に抱き付いたままのエルザに向かって、頭を下げた。

 

「エルザ、本当にすまなかった。沢山嫌な思いをさせてしまったね」

「社長、私には八幡がついててくれるから、今はもう大丈夫だよ。

だからもう、色々と気に病むのはやめて?」

「そうか、比企谷さんが、今のエルザの支えなんだな」

「うん、独立の話は、嘘をついちゃって、本当にごめんなさい。

でも、自分の力を試したいってのは本当なの。

私の心は、今はこの八幡が支えてくれるから、

だから私、これからどんなに辛い事があっても、頑張れると思うの!」

「うんうん、エルザは比企谷さんの事が好きなんだね、

でも、比企谷さんにはもう、明日奈さんという、素敵なパートナーがいるんだよ、

エルザはそれでも平気なのかい?」

 

 その言葉を聞き、クラディールは再び激高した。

 

「なっ……何だと!貴様、いつからアスナ様と!」

「いつからって言われても、俺と明日奈はもうすぐ結婚する予定なんだがな」

「ゆ、許さん、そんなの絶対に許さんぞ!」

「別にお前の許可なんか求めてないけどな」

 

 八幡は冷たくそう言い放ち、エルザはそのやり取りを横目に、明るい声で、景清に言った。

 

「明日奈は友達だし、私は八幡の傍にいられるだけで満たされてるから、

平気だよ、社長!」

「そうか、それならいいんだ。

比企谷さん、エルザの事、これからも宜しくお願いします」

 

 八幡は、その言葉を受け、力強く頷いた。

 

「はい、俺としては、一度仲間になった奴は、絶対に見捨てたりしません。

全力で守りますから、安心して下さい。まあ、過度に甘やかしたりはしませんけどね」

「ありがとう、比企谷さん」

「社長、業務提携の話は、ちゃんとこのまま進めますから、

今まで辛い思いをさせた分、所属している女性の方々に、報いてあげて下さいね」

「ありがとう、雪ノ下社長。心から感謝します」

「父さん、これから二人で、全員の所に、謝りに行こうか」

「そうだな、苦労をかけてすまないな、頼むぞ朝景、お前が次の社長だからな」

 

 こうして話は全て丸く収まり、問題は、クラディールの処遇だけという事になった。

 

「比企谷さん、私としては、このまま警察に突き出すしかないと思うのですが」

「でもそれだと、スキャンダルになって、倉エージェンシーも危なくなる可能性があります。

別に今回、誰も怪我をしたりという事は無かった訳ですし、

警察までは、呼ばなくてもいいんじゃないでしょうか」

「しかしさすがに不問に付す訳には……」

「そこで社長、こんな物があるんですが」

 

 八幡はそう言いながら、一枚のメモを、景清に手渡した。

 

「これは……?失礼ながら、正気とは思えない項目が並んでいるようですが……」

「それは、結城家が経営する、とある矯正施設のカリキュラムの一覧らしいですよ」

「それはまさか、結城塾ですか?」

「ご存知でしたか」

「なっ……やめろ、俺はただ、あいつらの愛に応えていただけだ!

矯正の必要なんかまったく無い!」

 

 クラディールが、再び何か言い出したが、その相手をする者は、もう誰もいなかった。

 

「ええ、噂程度ですが、更正率百パーセントを誇るという、伝説の塾ですな」

「そこにこいつを叩き込むというのはどうでしょう」

「ううむ……」

 

 考え込む景清に、八幡は笑顔で言った。

 

「実は俺、先日あそこの当主を叩きのめしたせいで、

結城家の次期当主に指名されちゃったんですよね。だから、俺が頼めば、

多分普通よりも厳しいカリキュラムを組んでくれると思うんですよ……まあ死なない程度に」

 

 そう言って八幡は、そのカリキュラムの書かれたメモを、

クラディールからよく見える位置に置き、それを見たクラディールは、顔面蒼白になった。

 

「な、何だこれは……」

 

 絶望を顔に滲ませながら、そう呟いたクラディールに、八幡は、そっと尋ねた。

 

「ところでお前、まだラフコフと関係してんのか?」

「あ、あんな奴らと一緒にいられる訳がないだろ、あいつら本物の狂人だぞ!」

「あいつらも、お前にだけは、そう言われたくないと思うけどな……」

 

 そして景清は、感心した顔で、八幡に言った。

 

「何と……まさかあの結城家の当主とは……

比企谷さん、あなたという人は、普通では推し量れないスケールの持ち主ですな」

「いや、まあ、名前だけで、実権は全部、他人に丸投げする気満々なんですけどね」

 

 八幡はそう言いながらはにかんだ。

 

「ちなみに社長、彼はうちの次期社長に内定していますわ。

そしておそらく、いずれは、雪ノ下家全てが、彼の号令に従う事になりますわ。

その時は多分、あのレクトでさえも……」

「何と……」

「それは凄い……」

 

 そして景清と朝景は顔を見合わせ、アイコンタクトで、何かの合意に至ったのか、

朝景が八幡に、こう言った。

 

「その時が来たら、うちも是非、その傘下に加えさせて下さい」

「え?あ、いや……え~と、姉さん、これはどうすれば……」

「そういう時は、笑顔で、分かりましたと言えばいいのよ」

「まじすか……」

 

 そして八幡は、周りからの期待のこもった視線を受け、笑顔で言った。

 

「分かりました、もしそうなったら、その時は一緒に頑張りましょう」

「はい、ありがとうございます!」

 

 そんな八幡に、エルザは、神を見るような視線を向けていた。

どうやらエルザの八幡に対する信仰度が、更に上昇したようだった。

それと同時にエルザは、帰ったらまた、あの動画を見てハァハァしようと、心に決めていた。

 

「それじゃあこいつの処遇は、全てお任せします」

 

 全て話が纏まった後、景清は、八幡に言った。

 

「はい、責任を持って、結城塾に叩き込んでおきますね。姉さん、人の手配をお願いします」

「もうしてあるわ、まもなく到着する予定」

「さすが魔王様、仕事が早い!そこにしびれる憧れる!」

「ふふ、エルザちゃんも、歌で魔王を目指してみる?」

「その手があった……やってみます、魔王様!」

 

 その、あさっての方向に突っ走ろうとするエルザの頭に、八幡は黙って拳骨を落とした。

エルザは、痛がるそぶりも見せず、逆に興奮したように、八幡に正面から抱き付き、

その胸に顔を埋めながら、とても嬉しそうにこう言った。

 

「八幡、本当にありがとう、大好き!」

「おう、俺はそれほどでもないけど、まあどういたしまして?」

「ひどい上に疑問形!?でもそこが大好き!」

「はぁ……本当にお前、俺が何を言っても好きに変えちまうのな」

「うん、凄く好き、大好き!」

 

 そしてクラディールは、陽乃が手配した、屈強な男達にドナドナされていき、

八幡から連絡を受けた清盛は、その八幡の頼みを快諾した。

 

「任せろ、儂が塾長と相談して、直々に特別待遇でもてなしてやるわい」

「おいおい、間違って殺さないようにな」

「特別に、三年コースにしておくぞい」

 

こうして、エルザを独立させ、クラディールを排除するという当初の計画は、

完璧に遂行され、残念ながらラフコフの残党に繋がるヒントこそ得られなかったが、

クラディール以外の全ての者が、以前よりも、少し幸せになった。

 

 

 

 一方その頃、ベンケイに護衛を頼み、今日もヘカートIIの射撃訓練を行おうと、

ログインしたシノンは、広場に人だかりが出来ているのを見付け、

ベンケイと共に、そちらに向かって歩いていった。

 

「何だろね、ケイ」

「何ですかね、とりあえず見てみましょう」

 

 そこで二人が見たものは、一ヶ月後に第二回BoBが開催されるという告知だった。




という訳で、斜め上ではありませんが(多分)最後にサラッと。

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