ハチマンくんとアスナさん   作:大和昭

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2018/06/18 句読点や細かい部分を修正


第428話 死銃事件、ここに終結す

「それじゃあ参謀、長い間お手数をお掛けしてすみませんでした」

「こっちこそ今日は助かったよ、ありがとな、ゴドフリー」

「何の、昔に戻ったみたいで楽しかったですぞ!おっとっと、これはさすがに不謹慎ですな」

「それじゃあまたな、ゴドフリー、あ、南にも宜しくな」

「はい、今後とも父娘ともども宜しくお願いします、参謀」

 

 一通りの現場検証も終わり、自由は八幡にそう挨拶をして去っていった。

八幡と詩乃は警察に事情を説明する為、かなりの時間拘束されていたのだった。

 

「さてと……とりあえず休憩するか」

「う、うん……」

 

 詩乃は心ここにあらずといった感じで八幡にそう生返事をした。

 

「そんなにこいつの事が心配か?」

「もちろん!だってはちまんくんは、私の命の恩人だもの」

「まあな……今回こいつには、本当に助けられたな」

 

 八幡はそう言いながら、壊れてしまったはちまんくんの頭をなで続けた。

 

「まあ記憶回路さえ無事なら大丈夫だろう、きっと直るさ。だから元気を出せよ、詩乃」

「そうだね…………あれ?」

 

 その時詩乃が、何かに気付いたような声を上げた。

 

「ん、どうした?」

「これ……」

 

 そう言って詩乃が指差す先は、はちまんくんの心臓の部分に当たり、

そこから何かコードのような物が顔を覗かせていた。

 

「何だこれ?」

「コンセント……?」

 

 どうやら衝撃で蓋が開いたらしく、

はちまんくんの胸の部分のバッテリーに付属したコンセントが露出してしまっているようだ。

 

「ねぇ、これって……」

「いやいや、まさかそんな安直な事がある訳無いだろ……でもまあ一応繋いでみろ」

「う、うん……」

 

 そして詩乃は、そのコードを部屋のコンセントに差した。

その瞬間にはちまんくんの目が開き、はちまんくんはぴょこっと起き上がった。

 

「え……」

「まじかよ……」

 

 はちまんくんは、いかにも寝起きだという風にぷるぷると顔を左右に振ると、

顔を上げて八幡と詩乃の姿を確認し、ぴょこっと手を上げた。

 

「よぉ」

 

 そしてはちまんくんは、無くなってしまった右手を二人に向けてふりふりした。

 

「は、はちまんくん!」

 

 詩乃は感極まったように涙を流すと、そのままはちまんくんを胸に抱いた。

 

「無事だったか、詩乃」

「うん、うん……」

「さすがは俺の本体だな、まあ余裕だったと思うけどな」

「お前、思った以上にタフなのな……っていうか悲しんでいた俺達の立場は……」

 

 八幡は呆れた顔で、はちまんくんに言った。

 

「おう、蓄えてあった電力を全部消費しちまっただけだからな。

まあこの両手は直さないと駄目だけどな」

「良かった……本当に良かった……」

「それよりもお前ら、携帯はどうした?」

「「携帯?」」

 

 二人は同時にそう言って、顔を見合わせた。

 

「あっ、やべ、キットの中に置きっぱなしだ……」

「あれ、電池が切れてる……」

 

 その詩乃の言葉を聞いたはちまんくんは、何か思い当たったのか、

すまなそうな口調で言った。

 

「悪い、そういえば本体に電話を掛けたままだったわ……」

「あっ……」

 

 それで八幡も、そういえばそうだったと気付いた。

案の定二人の携帯は電池切れとなっており、二人は顔を青くした。

 

「おい詩乃、凄く嫌な予感がするんだが……」

「奇遇ね、私もよ……」

 

 そして二人は、携帯の充電を開始した。

その直後に二人の携帯が鳴り、二人は顔を見合わせた。

 

「だ、誰からだ?」

「うん、明日奈から……」

「こっちは小猫からだな」

「早く電話に出てやれよ、きっと心配しているぞ」

「う、うん」

「お、おう……」

 

 

 

「もしもし?」

『シノのん!無事なの?大丈夫?』

「ご、ごめん、ちょっと警察の事情聴取とかがあって、バタバタしてたの……」

『そういう事かぁ、あ、八幡君は?そっちに向かったよね?』

「今薔薇さんに怒られてるわ……」

『ずっと電話が繋がらなかったから、心配してたんだよ』

「うん、本当にごめん……」

『で、シュピーゲル君は?』

「八幡がやっつけてくれて、そのまま警察に捕まったわ」

『そっかぁ……』

「あ、八幡が代わってくれだって、とりあえず代わるね」

『あ、うん』

 

 

 

「もしもし、小猫か?ザザの方はどうなった?」

『どうなったじゃないわよ、今何時だと思ってるのよ!』

「色々事情があったんだよ……」

『まあいいわ、それよりも詩乃は無事なの?』

「おう、問題ない、俺とあいつで守り通したさ」

『あいつ?相模さんの事?』

「いや、はちまんだ」

『自分?ああ、はちまんくんね』

「おう、とりあえず情報のすり合わせをするぞ、十狼に召集を掛けてくれ、

今から鞍馬山に集合だ、その時にこっちで何があったかも説明する」

『オーケーよ』

 

 そして八幡は電話を切った後、詩乃に電話を代わってくれるように頼んだ。

 

「もしもし?」

『八幡君、大丈夫?』

「おう、こっちは無事だ、とりあえず明日奈、鞍馬山に来てくれないか?

小猫も来るから、そこで詳しい事情を説明する」

『うん分かった、他の人も呼ぶ?』

「既に小猫に言って、全員を召集済みだから大丈夫だ」

『オーケー、それじゃ後でね』

「おう」

 

 電話を切った後、八幡は詩乃に言った。

 

「疲れてるところを悪いが、これから鞍馬山で情報のすり合わせだ、行けるか?」

「うん、大丈夫、ちゃんと説明しないといけないと思うしね」

「よし、それじゃあキットから予備のアミュスフィアを取ってくるわ」

「うん」

 

 八幡はキットの下に向かい、キットに今日の事についてお礼を言った。

 

「キット、今日は頑張ってくれてありがとうな」

『いえいえ、お役に立てて良かったです』

「今日ほどお前がいてくれて助かったと思った事は無いわ」

『ありがとうございます、八幡』

 

 そして八幡は、キットの中からアミュスフィアを取り出した。

 

「そうだ、あいつにも連絡しておくか……」

 

 八幡はそう呟いた後、どこかに電話を掛け始めた。

 

 

 

 そして二人はGGOへとログインし、人目を避けるように鞍馬山へと向かった。

幸い二人に気付く者はおらず、二人はそのまま鞍馬山へと入る事が出来た。

 

「シャナさん!」

「シノン!」

 

 そこには既に、十狼の全員が揃っていた。

 

「悪い、心配かけたな」

「一体何があったんです?」

 

 そしてシャナは、今回の事件についての説明を始めた。

 

 

 

「そんな、あのシュピーゲル君が……」

「まさかラフィンコフィンの一味だったなんてね」

「どうやら彼、赤目のザザの弟だったらしいわ」

「はぁ?そうなのか?」

 

 シャナは初耳だったらしく、ロザリアに聞かされたその事実に驚いたようだ。

 

「ええ、まあザザはその事を否定しているみたいだけどね」

「否定?何か意味があるのか?」

「それがね、『あんな馬鹿は俺の弟じゃない』っていう意味での否定なんだって」

「ああ、そういう事か……」

 

 シャナはそのロザリアの言葉に頷いた。シャナははちまんくんから、

恭二の醜態について一通り説明を受けてからここにインしたので、

八幡がいない間に恭二がどんな態度をとっていたのかを正確に把握していた。

 

「そんな訳で、とりあえずの脅威は去った。これでもう安心だ」

「ジョニーブラックは逃がしちゃったけどね」

「一人じゃ何も出来ないだろ、一応警戒はしておくべきだろうがな」

「後は警察にお任せだね」

「まあそれしかないだろうな」

 

 そして八幡は、ちょっと用事があると言って外に出ていき、

しばらくしてから一人のプレイヤーを伴って戻ってきた。

 

「よっ!」

「あっ、キリト君!」

「えっ?」

「おいイコマ、お前の為にキリトを呼んでやったぞ、存分に再会を懐かしむといい」

 

 そう言われたイコマは、目を輝かせながら一目散にキリトに駆け寄った。

 

「キリトさん!」

「ネズハ!いや、ここではイコマか、久しぶりだな」

「はい!会いたかったです!」

「俺もだ、これでやっとあの時の四人が揃ったな」

「はい!」

 

 イコマは嬉しそうにそう頷いた。

 

「で、結局どうなったんだ?」

 

 イコマと再会を喜び合った後、そう尋ねてきたキリトに、シャナは事の次第を説明した。

 

「なるほど……まあとりあえず、これで平和が戻ったって事でいいのかな?」

「どうだろうな、まああいつに顔を知られているのは俺とキリト、アスナ、

それにロザリアくらいだろうから、その四人はしばらく警戒が必要かもな」

「後は警察に期待だな」

「まあそんな所だ」

 

 この日の話はそれで終わり、シャナは後日、ヴァルハラのメンバーにも召集をかけ、

同じように今回の事件の事を説明した。

こうして全ての仲間達に事実が開示され、死銃事件は完全に終結する事となった。

 

 

 

 そして三日後の夜、八幡はALOにログインした。

どうやら待ち合わせをしているらしく、ハチマンはきょろきょろと辺りを見回していた。

 

「ハチマン!」

「おう、クリシュナが一番か」

「残りの三人は?」

「そろそろ来ると思うんだが……」

 

 その言葉通り、遠くから三人のプレイヤーが走ってくるのが見えた。

 

「ごめん、お待たせニャ」

「ごめ~ん、バイトでちょっと遅れたわ」

「ハチマン様、お待たせしました」

「よぉフェイリス、シノン、それに……」

「セラフィムです、ハチマン様」

「セラフィムか、いい名前だな、マックス」

「ありがとうございます」

 

 セラフィムはクールな表情でそう答えたが、その顔は赤く染まっており、

嬉しそうな様子が伺えた。

 

「しかしケットシー率が高いなおい……」

「何を言ってるのにゃハチマン、猫耳は正義なのニャ!」

「お、おう、そ、そうだな……」

 

 その言葉通り、セラフィムだけがウンディーネであり、

残りの三人はケットシーなのであった。

 

「何よ、不満なの?」

「いや、別にそんな事は無いが……」

「じゃあその事を証明する為に、私の猫耳をなでなさい」

「まあそれは別に構わないが……」

 

 そう言ってシノンは、ハチマンに自らの猫耳をなでさせた。

シノンが気持ち良さそうにしているのを見て、残りの三人はヒソヒソと囁き合った。

 

「シノンもあれで中々あなどれないニャ」

「普通に命令していた気がするけど、それが自然に見えるから不思議ね」

「私には猫耳が無い……しゅん」

 

 しばらくそうさせていたシノンは、なでられて満足したのか、四人にこう言った。

 

「さて、そろそろ行きましょうか」

「何でお前が仕切ってるのかは分からないが、まあそうだな」

 

 そして五人はALOの空へと舞い上がった。

目指すはアインクラッドにあるヴァルハラ・ガーデン、

そこには既にヴァルハラ・リゾートのメンバーがほぼ全員集結しており、

今日はこの四人を正式なギルドメンバーとして既存のメンバー達に紹介する、

お披露目会なのであった。




明日の投稿にて、ついにGGO編が終わりとなります。
長々とお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
その後はGGOアフター編を、引き続きお楽しみ下さい。

その為にも一度ALOアフター編あたりからこの作品を読み直そうと思いますので、
一週間ほど投稿をお休みさせて頂きたく思います、
再開は6月17日(日)の12時を予定しております、
それまでにおかしな話が沢山生まれてしまうかもしれませんが、
その時は、こいつまたやりやがったと生暖かい目で見て頂けるようにお願い申しあげます。
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