明日の投稿はお休みするかもしれません、可能性としては半々くらいです、申し訳ありません。
「という訳で小猫、香蓮に関しては、上手く調整してくれ」
「ああ、はいはい、あんたのお気に入りという噂の香蓮ちゃんね、
大丈夫よ、目立たないようなポジションをやってもらう事にするわ」
衣装に関しては、既に決定していたようで、八幡はその中から、
香蓮に相応しいと思われる物をチョイスしていた。
これならセンス云々は関係ないし、八幡が選んだ事に変わりは無い。
当の八幡自身も正直一安心といった所であった。
「八幡様」
そこにクルスが通りかかり、八幡に声を掛けてきた。
クルスは既にソレイユ内に入り浸っており、三日に一度は社内で姿を見かける。
「あの、八幡様、ちょっとご相談が……」
「おう、どうした?何かあったのか?」
「学校の方のレポート関連も終わったので、そろそろ例の約束を……」
「ああ、そういう事か、別に構わないぞ、どこか行きたい所はあるか?」
「そうですね、そろそろ暑くなってきましたし、近場の避暑地とかはどうですか?」
そう言われた八幡は、そんな場所があったかなと考え込んだ。
「避暑地なぁ……俺は軽井沢くらいしか思いつかないが」
「遠いですかね?」
「いや、新幹線で一時間ちょっとのはずだ、
車でも高速で二時間くらいだと思うし、下手な都内に行くよりも近そうだな」
「そうなんですか」
「軽井沢ならソレイユの保養所もあるわよ、温泉つきの」
その時その話を聞いていた薔薇が、横からそう言ってきた。
「そうなのか?」
「ええ、この時期ならまだ利用者もいないはずだし、問題なく使えるはずよ」
「でも日帰りだしな、なぁ?マックス」
そう話を振られたクルスは、少し考えた後にこう言った。
「八幡様、ピトとシノンとの約束はどうなってます?」
「よく知ってるな、どうしてもピトと一緒に出かけてやってくれと、アイに頼まれたから、
仕方なくあいつに連絡したんだが、しばらく忙しいって事で保留になってるんだよな、
詩乃の場合は、テスト後って事になってるな、もう終わっただろうから、
そろそろ何か言ってくるんじゃないか?」
「なるほど……」
クルスは再び何か考え込んだかと思うと、やがて顔を上げ、八幡に言った。
「八幡様、もしあの二人がオーケーしてくれるなら、
約束のお出かけを、三人同時にしてもらって、
五人で二泊くらいで軽井沢の保養所に行きませんか?
金曜の夜に出発して日曜の夜帰ってくるみたいな」
「さすがにそれは、明日奈が許すかどうか微妙なラインだな」
八幡のその慎重な意見に、クルスは頷きながら言った。
「ええ、だから五人と言いました、明日奈も誘いましょう」
「あっと、そういえば五人って言ってたな、俺も久しぶりにゆっくりしたいし、
どうなるかは分からないが、とりあえずみんなに聞いてみるか?」
「はい!」
「いいなぁ、私も行きたかった……」
話を聞いていた薔薇がそう呟き、八幡は薔薇に言った。
「まあそのうちな、今は忙しい時期だろうし、今回はお前は仕事を頑張れ」
「絶対よ、約束だからね!」
「分かってるって」
「ところでピトなら今丁度ここに来ているわよ」
「お、そうなのか、どこだ?」
「多分社長室ね、って、噂をすれば………」
丁度そこに、パタパタと足音が聞こえ、エルザが秘書室に飛び込んできた。
「ここから八幡の気配がする!」
「………お前は相変わらずだよな、それに小猫も、よく足音だけでこいつだって分かったな」
「連絡無しでここに来るのはあんたかピトくらいだからね」
薔薇はその八幡の質問にあっさりとそう言った。
「なるほど」
「八幡様、それじゃあ早速オファーを……」
「だな、おいピト、例のどこかに連れてけって話なんだが……」
そして八幡はエルザに先ほどの企画の話をした。
「なるほど、二人でお出かけも捨て難いけど、それも楽しそうね」
そしてエルザはスケジュールのチェックをしていたが、
やがて嬉しそうに顔を上げ、八幡に言った。
「うん、今度の週末なら大丈夫かも!」
「そうかそうか、残るは詩乃だな」
「あ、シノのんなら、さっき下で見たよ?バイトだって」
エルザがそう言い、八幡は驚いた。
「あいつがこっちでバイトなんて珍しいな」
「暑い中、家まで帰るのが嫌だったみたいよ」
「………まあ気持ちは分かる」
そして八幡とクルスとエルザは、直接詩乃の下へと向かった。
「よぉ詩乃、頑張ってるか?」
「あれ、八幡?それにピトとイクスも来てたんだ」
「たまたまな、それで詩乃、お前に話があるんだが」
そして八幡は詩乃に、先ほどエルザにしたのと同じ説明をした。
「いいわね、是非参加させてもらうわ」
「そうか、それじゃあ残りは明日奈だな」
八幡はそう言い、さすがに明日奈はここにはいなかった為、直接電話を掛けた。
当然大丈夫だろうと思われたのだが、意外な事に、明日奈はその申し出を断った。
『ごめん、実はその日はバタバタしてるんだよね……』
「何かあるのか?」
『実は、兄さんに結婚話が持ち上がっていてね、先方の実家に泊まりで挨拶に行くの』
八幡はその予想外の言葉にとても驚いた。
「まじかよ、ついにか」
『うん』
「でも泊まりって、遠い所なのか?」
『北海道だってさ、せっかくだし、ついでに家族でちょっと回ってみようって話になったの。
だから私の事は気にせず、そっちはそっちで行ってきちゃって、
二人っきりとかじゃないんだし、泊まりでも問題無いから』
「そうか、それじゃあ明日奈とは、そのうち二人っきりで行けばいいな」
『うん、その為にも私を案内出来るように色々見てきてね』
「おう、任せとけ」
そして八幡は、三人にその事を伝えた。
「そうなんだ、北海道は行った事ないなぁ」
「そういえば北海道にはフカがいるわね」
「案外偶然向こうで会ったりしてな」
「そんな訳無いじゃない、広いんだから」
「まあそうだよな」
そんな会話をしながらも、四人は一度秘書室へと移動し、旅行の予定を立てていった。
「まあこんな感じか」
「保養所の予約もとれたわよ」
「小猫、悪いな」
「問題ないわ」
「それじゃあ私は今日は帰るね、これからレコーディングなの」
「頑張れよ、エルザ」
「うん!週末楽しみだなぁ」
エルザはそう言って帰っていき、続けて詩乃も言った。
「私もバイトに戻るわね」
「ちゃんとまめに水分はとるんだぞ」
「うん、気を付ける」
こうして詩乃もバイトに戻っていき、残されたクルスは八幡に言った。
「八幡様、たまには軽く飲みにでもいきませんか?」
八幡は、まさかクルスがそんな事を言い出すとは思わなかった為、少し驚いた。
「お前がそんな事を言うのは初めてじゃないか?」
「かもしれません」
「どこか行きたい店でもあるのか?」
「いえ、特には」
「そうか、まあたまにはいいか」
「せっかくだし、室長も行きますか?」
クルスは薔薇にそう声を掛け、薔薇は驚いた顔で頷いた。
「わ、私も誘ってくれるの?」
「お前、その答え方、いかにも友達がいない奴の返事だからな」
「なっ……そ、そうですが何か?」
「開き直るんじゃねえよ」
「今日はもう少しで仕事が終わるから、あと一時間くらい待ってて」
「オーケーだ、おいマックス、それまでどこかで時間を潰すか?」
「それじゃあ少し近場をぶらぶらしましょう」
「たまにはそういうのもいいかもな」
八幡はその提案をオーケーし、クルスと共にソレイユ本社ビルの外に出た。
「そういえば、この辺りにどんな店があるかとか、全然知らないな」
「そういえば私もあまり……」
「まあとりあえず適当に歩いてみるか」
「はい」
こうして二人は歩き出したのだが、その時ちょうど正面のマンションから、
優里奈が出てくるのを発見した。
「お?」
「あっ、八幡さんにクルスさん、どこかにお出かけですか?」
「おう、一時間後に小猫と三人で飲みに行くんだが、
それまでの時間潰しにこの辺りをブラブラしようと思ってな。優里奈はどこに行くんだ?」
「特に何も決めてませんでした、この辺りの事をあまり知らないので、
ちょっと周辺を回ってみようかなって」
「それなら優里奈ちゃんも一緒に行く?」
クルスがそう提案し、優里奈はその申し出を嬉しそうに受けた。
「いいんですか?是非お願いします!」
「俺達もこの周辺には詳しくないから、近場を回ってみようって思ってたんだよ」
「あ、一緒ですね、ふふっ」
こうして三人は、ソレイユ周辺の探索に出かける事になった。
この雨のせいで、色々仕事が立て込んでしまったので、
明日の投稿はお休みするかもしれません、可能性としては半々くらいです、申し訳ありません。