ハチマンくんとアスナさん   作:大和昭

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第579話 四強、それぞれの動き

「副長、二時の方向に敵影」

「よし、ストップだ、このまま伏せて敵の様子を伺う」

「どれ……お~、確かにいやがる、フカは目がいいんだな」

「というか、敵の気配に結構敏感?」

「ふっふっふ、汚名を返上しないと!」

「よし、奇襲出来そうだな、俺がこのまま突っ込む、二人は取りこぼしが無いように、

逃げだす敵を全滅させてくれ」

「「了解」」

「ふ、副長、私はどうすれば……」

「フカはこのまま弾除けに使う」

「そ、そりは……いや、体を張って頑張りましゅ!」

 

 丁度その時フカ次郎の足が復活した。

 

「おおっ?」

「お、戻ったか、それじゃあ予定変更だ、おいフカ、そのグレネードで先制攻撃だ。

俺達は三方向から敵を囲み、逃げてくる敵を全滅させる」

「おお、フカちゃん大活躍のチャンス!」

「というか、俺達の基本戦術はそれしかないからな」

「チームで唯一の遠距離攻撃の使い手としての実力を今こそお見せしましょう!」

 

 そしてLFKYの四人は配置に付き、

フカ次郎は練習通りに狙いを定めて敵目掛けてグレネードを発射した。

 

「た~まや~!」

 

 その射撃は練習の成果か、正確無比な軌道を描いて敵の中央で炸裂した。

そして三人は敵がまったく姿を現さない為、慎重に敵がいた場所へと向かった。

 

「ありゃ」

「おいおい、やるなぁフカ」

「完璧に敵の中央に着弾したんだな、たった二発で敵を全滅させたか」

 

 フカ次郎は両手のグレネードによる同時発射で、一気に六人の死者を生み出していた。

そして遅れて到着したフカ次郎は、それを見て一気に調子に乗った。

 

「よっしゃ、グレイト、パーフェクト、そしてエレガント!」

 

 嬉しそうにそうガッツポーズするフカに、キリトもさすがに表情を和らげながら言った。

 

「よくやったなフカ、次からもこの調子で頼むぞ」

「はい、このかわいくてプリティでエレガントなフカちゃんにお任せを!」

「そういえばさっきも最後にエレガントって言ってたな、何でエレガントに拘るんだ?」

 

 そのキリトの質問に、フカ次郎はやや肩を落としながらこう言った。

 

「えっと、昔リーダーに、お前の戦いにはエレガントさが足りないと言われたのでしゅ……」

 

 その八幡らしくない言葉に、キリトは顔に疑問符を浮かべながらこう言った。

 

「それはお前、からかわれただけだと思うぞ」

「えっ、という事はつまり、フカちゃんは元々エレガントだと!?」

「それとこれとは別問題だ、あいつはお前の事を、陰で肉食メガネっ子って呼んでるからな」

 

 そのキリトのカミングアウトに、フカ次郎は意外にも笑顔を見せた。

 

「お、おおう……ツンデレメガネっ子と同じレベル……」

「同じなのは嫌なのか?」

「逆ですよ逆、思わぬリーダーからの高評価にフカちゃんのテンションは爆上がりですよ!」

「お前の中じゃそれは高評価なんだな……」

「当たり前じゃないですか!どう見てもツンデレメガネっ子はリーダーのお気に入りだし、

それと同列なんて、これは私にもチャンスがありそうじゃないですか!」

「それは否定しないが、まあそうだな、が、頑張れ」

 

 キリトは、どう考えても無理だろうなと思いつつも、

夢は大きな方がいいよなと考え、否定するような事は何も言わなかった。

そのままLFKYは待機し、スキャン前に二チームを撃破した状態で、

開始十分の最初のスキャンを迎える事となった。

 

「やはり右下か、そしてルート上には……ん?このドームの中、どうなってるんだ?」

「じゅ、十チームくらいいるんじゃない?」

「だな、ランドマーク的な建物だから、

待機場所にいいと思って近くにいたチームが全部集まったんだろう。

つまり今あの中は、とんでもない乱戦状態になっているだろうな」

 

 そのキリトの言葉通り、ドーム周辺は、ぽっかりとどのチームもいない状態となっていた。

 

「さて、どうする?」

「これから前に進むってのに、敵を残しておくのはちょっとまずいんじゃないかな?」

「殲滅あるのみだぜ!」

 

 LFKYは、そう言ってあっさりと乱戦の中に飛び込む事を決めた。

ある意味目の前に立つ者を全員倒せばいいという簡単な仕事である。

実際は全く簡単ではないのだが、このメンバーが揃うと簡単に見えてしまうのが不思議だ。

 

「よし、それじゃあ行くか」

「作戦は?」

「中の様子を見てから考える」

「了解!」

 

 四人はそう言って、ドームへ向かって走り始めた。

 

 

 

 SHINCのメンバーは、スキャン結果を見て即座に移動を開始した。

 

「まずい、LFKYに先行されている、急ぐぞ」

「でもリーダー、このドームであっちは少しは足止めをくらうんじゃない?」

「だから急ぐんだよ、待ち伏せするのに準備の時間は多い方がいいだろ」

「まあそうだね」

「という訳で、他のチームもいくつかルート上に残っているから、くれぐれも警戒を怠るな」

「おう!」

 

 

 

 MMTMのリーダーであるデヴィッドは、

配置を見て普通にPM4が中央へ向かうと判断し、

SHINCと同様に中央へ向かって移動を開始した。

 

「リーダー、やっぱりPM4を潰すのか?」

「ああ、俺に付き合わせちまって悪いな」

「いいっていいって、MMTMが本当の意味でメジャーチームにのし上がる為には、

結局通らないといけない道だしな!」

 

 こうしてMMTMも、移動経路上のチームを堅実に倒しつつ、中央へと向かった。

 

 

 

 一方ピトフーイは、自分達の正確な位置を把握していた訳ではないが、

目の前にとりあえずの拠点にするのに適当な岩山があった為、そちらに移動していた。

 

「はぁ、遠くまでよく見えるわねぇ」

「ですね、ここなら奇襲を受ける事も無いでしょう」

「でも警戒は怠っちゃ駄目よ」

「はい、そういうのが得意な人がいるんで、その人に全てお任せする事にしてあります」

「へぇ、そうなんだ、誰なのかなぁ」

 

 ピトフーイはチームメイトの覆面四人組と対面して、

その動きから実力者である事は疑いはないと理解してはいたが、

まだ中の人の正体は把握していないし、する気もない。

口では誰なのかなとは言いつつも、ピトフーイは実は四人の正体にはそこまで興味は無い。

ピトフーイは今はレンとどう戦うかだけを考えており、他の敵には全く興味が無いからだ。

そして最初のスキャンを終え、各チームの大体の位置が把握出来た。

PM4はマップ左上、LFKYはマップ右下、SHINCが右上、MMTMは左下である。

 

「へぇ、マップの対角線か、一番遠いところに配置されちゃったのね」

 

 そしてピトフーイはマップをじっくりと眺めた後にその場に座り込み、

さばさばとした表情でメンバーにこう言った。

 

「多分このまま中央に向かうとたくさんの敵に囲まれる、

ちょっとここで待機して、周辺の敵をお掃除しておきましょうか」

 

 その言葉にエムは、ピトフーイの消極性を疑ったが、

ゼクシードがその言葉に頷いた為、エムはその命令に素直に従う事にし、

ギンロウ達と共に岩山周辺にトラップを仕掛けまくる事にした。

その努力は、次のスキャン後に実を結ぶ事になる。

そして何も起こらないまま、PM4は二回目のスキャンを迎えた。

 

「あら?これは……」

「これは一気にチームの数が減りましたね、特にドームの中がひどい」

「残ったのはLFKYのみね、さすがよねぇ」

 

 この間にドーム内の敵は、完全に一掃されていた。そしてピトフーイの予想通り、

何チームかがPM4が立てこもる岩山を囲むような配置についていた。

 

「予想通りでしたね」

「この配置だと、お互いに接触はしていなかったと思うけど、

このスキャンで同じ事を考えているチームが他にもいるってバレちゃったから、

多分一時的に同盟を組んで、こちらに向かってくるんじゃないかなぁ」

「でしょうね、その前に中央の部隊を潰しておきます、

そうすれば集合が少し遅れると思いますから」

「そんな事可能なの?」

「はい、実はもう偵察に出ていたメンバーが、一人でそいつらの相手をしています」

「へぇ、彼って強いのねぇ……」

 

 その言葉通り、岩山の下ではスネークが本領を発揮していた。

 

「い、今どこかから撃たれたぞ!」

「敵はどこだ?」

「分からない、一体どこに……ぐわっ!」

 

 そのチームのメンバーは、一人また一人とスネークに倒されていき、

六人全員が全滅したところで、スネークがエムに通信を入れた。

 

「こちらスネーク、とりあえず一チームを全滅させた、このまま付近の警戒を続ける」

 

 

 

「で、白旗なんか上げてどういうつもりだい?」

「こちらとそちらの利害関係は被らないはずだ、だから話がしたくてな」

「へぇ、まあ言うだけ言ってごらん?聞くだけ聞いてやるから」

「ああ、それじゃあ本題だが……」

 

 二度目のスキャンを経て、SHINCとMMTMは中央でカチ合っていた。

このままお互い戦闘になるかと思われた矢先、いきなりMMTMから白旗が上がり、

SHINCはそれを訝しみながらも、話し合いに応じる事にしたのだった。

 

「そっちの狙いはLFKYだろ?こっちはPM4だ」

「へぇ、何でそう思ったんだい?」

「あんたらはシャナの直弟子と呼べるチームだったはずだ、

だが今ではシャナの直弟子と言われているのは、あのレンだ。

この状態は、あんたらにとっては面白くないんじゃないかと推測した、どうだ?」

「まあ確かに面白くはないねぇ」

 

 エヴァはそう指摘され、それを素直に認めた。

 

「俺達はこれから岩山周辺に集まったチームを糾合し、PM4に戦いを挑むつもりだ。

なので三度目のスキャンまでだけでいいから、俺達と相互不可侵条約を結ばないか?

そのタイミングだとあんた達もLFKYと戦闘に入るはずだから、

後顧の憂いが無くなって、お互い助かるだろう?」

「ふむ……それは確かにその通りだね」

 

 そしてエヴァは、その提案に頷いた。

 

「いいだろう、次のスキャンまではそれでいい、その後はまた敵だ」

「ありがとう、それじゃあそちらの健闘を祈る」

「そっちもね」

 

 そしてデヴィッドと分かれた後、エヴァはその後姿に向けてぼそりと呟いた。

 

「デヴィッド、あんた、最近ちょっと政治的な動きばかりしすぎじゃないかい?

そんな事ばかりやっていると、チームとしての総合力は全然上がっていかないと、

私はそう思うけどねぇ。まあ群れたい奴らは好きにするといいさ、

こっちはこっちで潔く単独で挑ませてもらう」

 

 そしてエヴァは、仲間達に向けて言った。

 

「とりあえず次のスキャンまでは背後は安全だ、なので背後に設置した罠を、

全部前方に回しておきな!急がないとそろそろLFKYの奴らが来ちまうぞ!」

「「「「「了解!」」」」

 

 こうしてLFKYの次の相手はSHINC、

そしてPM4の初戦の相手はMMTM連合軍と決まった。

その頃当のLFKYは、ドーム内の戦いの総括をしながら、

受けたダメージを回復させる為に、ドームの入り口に罠を仕掛けつつ、

中で小休止していたのだった。

 

「激戦だったね」

「ああ、そもそも最初は………」

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