ハチマンくんとアスナさん   作:大和昭
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今年最後の投稿で、ついに600話に到達する事が出来ました!
GGOアフター編最終話を少し長めにお送りします!
同時に人物紹介を1分後に投稿しますので、そちらもお暇な時にでもご覧下さい(多少のネタバレを含む)


第600話 エピローグ~香蓮とエルザ、時々美優

 そして場面は再びLFKYの控え室へと戻る。

その後の大会の話については、実際にシャナに見られていた事が分かった為、

お互い簡単に感想を述べるに留まった。

これはLFKY組に、もっと気がかりな事があったせいであった。

 

「で、アメリカで一体何が……?」

 

 要するにそういう事である。

 

「そうだな………向こうでサトライザーに会ったわ」

 

 シャナはレンの前で命を狙われた事を伝えるのに若干の躊躇いを覚え、

最初にその事から報告する事にした。

ユッコとハルカにはいくらバレても平気だったシャナであったが、

さすがにシャナを取り巻く環境にそこまで詳しくないレンにその事を知られるのは、

やはり躊躇してしまう事案のようである。

 

「マジかよ!あのサトライザーか?ってかどうしてあいつだって分かったんだ?」

 

 その言葉に真っ先に反応したのは闇風である。

実は闇風も、第一回BoBには出場しており、サトライザーに瞬殺された口だった。

 

「お、おお、取引先が雇った、あ~……ガードマンの中にあいつがいたんだよ」

「それだけでサトライザーだって分かったのか?顔がそっくりだったとか?」

 

(くっ……闇風の奴、空気を読めっての!)

 

 シャナは尚も興味津々でそう言ってくる闇風に内心で悪態をついたが、

ここで嘘を言うのもどうかと思い、上手く話をぼかしながら説明を始めた。

 

「たまたまちょっとトラブルがあってな、ガードマンにお世話になる事があって、

その時俺が見せた動きを見て、サトライザーが、シャナ?って尋ねてきてな、

そのせいで発覚したと、まあそういう事だ」

「凄えな、何て偶然だよ!というかもうこれは再戦しろっていう神のお告げだな」

「それは約束した、もし次のBoBが開催された時に手が空いてたら、参戦するそうだ」

「おお、マジかよ!もちろん俺が倒しちまってもいいんだろう?」

「出来るものならな」

 

 そんな二人の会話に事情の分からないレンとフカ次郎はきょとんとしていた。

その時前回の事件のせいで、多少はシャナの事を調べ、

ついでにサトライザーについても調べていたキリトがこう尋ねてきた。

 

「あれ、でもアメリカからのログインって今は出来ないんじゃないのか?」

「今俺達がまさにしてるじゃないか、やりようはいくらでもあるってこった」

「なるほどな、へぇ、あのサトライザーがな……」

 

 そしてキリトは、ニヤニヤしながらシャナに言った。

 

「もちろん俺が倒しちまってもいいんだろう?」

「え、マジで?お前も次のBoBにも出るつもりなの?」

「ディフェンディングチャンピオンが出ないでどうするよ」

 

 そのキリトのド正論に、シャナは苦い表情をした。

 

「それはそうだが……くそ、言うんじゃなかった……」

「最近は手応えのある敵がほとんどいなかったからな、渡りに船って奴だ」

「ああもう、分かった分かった、早い者勝ちな。

どうせ俺とお前、そしてサトライザーとシノンが四隅に配置されるだろうからな」

「問題ない、どうせなら中央に集合って事にしておこうぜ、バトルロイヤルだな」

「ふん、ついでにそのままキリトもぶっ倒してやる」

 

 そんな事を言い出したシャナに、キリトは余裕の表情でこう言った。

 

「それまでにせいぜいシャナのステータスを上げておくんだな、

自分で言うのもアレだけど、今のままの状態だと、

基本ステータスの違いがでかすぎてどうしようもないだろ」

 

 さすがのシャナも、そう言われて否定する事は出来ない。

他ならぬ自分が、戦争終盤でハチマンでログインした時に、その事を実感していたからだ。

 

「そうなんだよなぁ……よしレン、合宿だ、合宿をするぞ」

「えっ、合宿?う、うん、やるやる!テントを張って拠点にして、

食事とかも沢山持ってって、あ、でもおやつは千円までね!」

 

 レンが明るい表情でそう言った為、シャナはこのままレスキネン教授の話と、

今後どうするかの話だけすればそれでオーケーだろうと安堵したのだが、

レンはその直後に真面目な表情で、突然こんな事を言い出した。

 

「で、サトライザーっていう強い人がいて、

みんながその人と戦いたがっているのは分かったんだけど、

シャナがリアルでシャナだとバレるような動きをしないといけない状況って、どんな状況?」

 

 その問いを、シャナは適当にやりすごそうとしたのだったが、

レンは誤魔化しは許さないという表情でじっとシャナを見詰めていた為、

シャナは困った顔でシズカと銃士Xの方を見て、視線で助けを求めた。

二人はそれに応えるように頷き合って前に出ると、レンを左右から挟んで拘束した。

 

「えっ?な、何?」

「これは仕方のない処置」

「とにかく落ち着いて、取り乱さないようにね」

「うぅ……って事はやっぱり危ない事をしたんだ……」

 

 その言葉にシャナは気まずそうな表情をした後、レンに説明を始めた。

 

「今回の渡米は、うちの社にとってはかなり重要な事案絡みでな、

その重要度に比例して、確かにかなり危険もあった。

実際俺達が乗る予定だった飛行機はハイジャックされ、それを回避した後も命を狙われた。

サトライザーは、俺達側の人間が雇ってくれた傭兵でな、

俺達は奴と協力して、襲ってきた奴らを撃退した。

リアルの銃って案外重いんだと、その時実感する事になった」

「銃まで撃ったんだ……」

「だ、だけどしっかり準備してたおかげでもう何も危険は無い、

仲間も全員無事で、この後の日程に関しては何も心配する事はない。

それでも一応凄腕の傭兵を一人、サトライザーから借りてあるし、

万難を排除して無事に日本に帰ってくるつもりだ、

だから心配をかけちまって本当に悪いと思うんだが、今回はそれで勘弁してくれ」

 

 レンは微妙に納得し難い顔でその言葉を聞いていたが、

そんなレンに、シズカと銃士X、それにロザリアも謝った。

 

「ごめんね、心配かけちゃって」

「本当にもう大丈夫だから」

「もうこの後は危険な事は何もないから安心して」

 

 それでやっと、自分の心の中である程度の折り合いがついたのか、

レンはほっとした表情でやっと笑顔を見せ、拘束を外してもらう事となった。

 

「それならまあ今回は許そうかな」

「ああ、ありがとな、レン」

 

 だがそんなレンに苦情を述べる者がいた、フカ次郎である。

フカ次郎は若干レンにヤキモチを焼いたのか、レンの前に立ち、こう言った。

 

「心が狭いぞレン、私みたいに最初からリーダーを信じて待てないのか!」

「あ、う、うん、確かにそうだよね……」

 

 だが次の瞬間に、フカ次郎はシャナに頭を掴まれ、持ち上げられた。

 

「そのお前の信頼は有難いが、あんまりレンをいじめるなっつの」

「いじめてないから!これは友情に基づく叱咤激励だから!」

「百歩譲って今回はそういう事にしておいてやるが、それよりお前さ」

 

 そしてシャナは、フカ次郎の頭から手を離し、こちらを向かせると、

上からじろっとフカ次郎の顔を覗きこみながら言った。

 

「さっき俺をだぁりんって呼んだのは、一体何のつもりだ?」

「あ、そ、それはそのですね……」

 

 その質問にフカ次郎は口ごもったが、そこで闇風が、

本人は好意のつもりなのだろうが横から余計な口を挟んできた。

 

「おお、今回の戦いに備えて装備を揃える為に、

レンがシャナからもらった資金をフカの為にほとんど使っちまったらしいからな、

それに対する感謝の気持ちを親愛の表現として表す為に、そんな呼び方をしちまったんだろ、

あくまで親愛の表現であって、おかしな意味じゃないよな?な?」

 

 その言葉を聞いた瞬間、フカ次郎はその場を逃げだそうとしたが、

それは当然シャナに阻まれた。

 

「おい、どこへ行く」

「えっと、ちょっとお花摘みに」

「そうかそうか、お前は花が欲しいのか、

今度ハエトリソウとかウツボカズラを買ってやろう」

「ほ、他の人の時はちゃんと気を遣って、言葉の意味を理解してくれる癖に!」

「まあまあいいからいいから、とりあえず詳しい話を聞こうかハニー」

「う……その笑顔が怖いのです……」

 

 そしてフカ次郎は、調子に乗って買い物をしまくった事を告白し、

レンはそれに対しておかしな事を言う訳にもいかず、フカ次郎を遠くから見守っていた。

 

「ほうほう、そういう事だったか」

「は、反省してましゅ……」

 

 フカ次郎はそう言って、おずおずとシャナの顔を見上げたが、

シャナが特に怒った様子ではなかった為、それを意外に思ったようだ。

 

「リーダー、怒らないの?」

「ん?いや、まあだぁりんって呼び方についてはともかく、

銃にまったく馴染みの無いお前が、お前なりに考えて装備を揃えたんだろ?

それにちゃんと活躍出来てたじゃないか、俺の教えもちゃんと実践してたみたいだし、

それなのに俺がここでお前を怒る訳にはいかないさ」

 

 シャナにそう言われたフカ次郎は、褒められ慣れていない為、一瞬硬直したが、

その言葉が脳に染み入ってくるに連れ、やっと自分が褒められた事が分かったのだろう、

感極まったようにうるうるし出し、さすがに学習したのか、

いきなりシャナに抱きつくような真似はせず、レンの方に向かってそのまま抱きついた。

 

「やっとリーダーに褒めてもらえた、嬉しいよぉ!」

「うんうん、良かったね、フカ」

「うん、良かった、本当に良かった!」

 

 その姿を見てシャナは、うんうんと頷いていたが、

周りの者達は、全員が同じ事を考えていた。

 

(((((飴と鞭だ………)))))

 

 その後はいくつかの質疑応答が行われた。

 

「なぁシャナ、傭兵を一人借りたって、まさかサトライザー本人じゃないよな?」

「ん?ああ、それな、本人じゃないが、妹だ」

「えっ、あいつの妹!?マ~ジ~で~?」

「おう、あっちにも色々事情があるみたいでな、

期間限定になると思うが、うちの会社で雇う事になった」

「へぇ、じゃあサトライザーの妹が、もうすぐ日本に来るんだな」

「そういう事だ」

「でよ……」

 

 そして闇風は、シャナの肩に手を回し、こそこそとこう尋ねてきた。

 

「その妹ちゃんって、美人?」

「そうだな、それにボン、キュッ、ボンだ」

「マジか!俺、将来サトライザーを、お兄さんって呼んでもいいぜ!」

「ま、まあ頑張れ」

 

 闇風はそのまま小躍りを続け、次にキリトがシャナにこう尋ねてきた。

 

「で、いつこっちに帰ってくるんだ?」

「そうだな、残るはシズカの親戚のお医者さんの所に顔を出して、

ザスカー社との提携の話を纏めたらそれで終わりだから、三日後ってところかな」

「そうか、じゃあ帰ってきたら、飯でも食いに行こうぜ」

「おう、とりあえず詳しい経緯はクリシュナにでも聞いてくれ、

あいつとロザリアだけは先に日本に帰すつもりだから」

「そうなのか?」

「ああ、あいつは俺達とは別行動になるからな、

あいつの先輩と恩師と一緒に先に戻ってもらって、

うちの社内に研究所を開設してもらう事になるだろうな」

「そういう事か、分かった」

 

 そして最後にシャナは、レンの成長を褒め称えた後、この日はログアウトしていった。

その後、余韻に浸ってぼ~っとしているレンに、残る三人が話しかけた。

 

「おいレン、大丈夫か?」

「しっかりしろ相棒!顔がニヤけてるぞ!」

「まあ実際今回は本当に頑張ったよな、えらいぞレン」

「私、シャナの期待に応えられたかな?」

 

 そのレンの問いに、三人は笑顔でこう答えた。

 

「「「ああ」」」

「そっかぁ、私、ちゃんと出来たんだね!」

 

 こうして一連のピトフーイ絡みのごたごたも終わり、平穏な時が訪れる事になった。

この後もレンは、シャナ達と歩調を合わせて戦い続ける事になるのだが、

その戦いの舞台があんな所まで広がるなど、

この時のレンは予想だにしていなかったのであった。

 

 

 

 そして数日後、レンはいつも通り砂漠地帯に向かい、一人で狩りをしていた。

 

「レ~ンちゃん、遊びましょっ!」

「ピトさん!」

 

 突然そう声をかけられたレンは、そこにピトフーイの姿を見て、破顔した。

 

「今日は新人さんの手伝いはいいんですか?」

「さっきまでやってたんだけど、その新人チームの何人かにリアル用事が出来たみたいで、

今日はここまでって感じになったのよ」

「なるほど!」

 

 そしてピトフーイは、レンにこう尋ねてきた。

 

「で、そろそろ私に何を命令するか、決まった?」

「う~ん、それなんですけど、丁度明後日に、フカがこっちに来る事になったんで、

もし良かったら、その日に三人でご飯でも食べに行きませんか?」

 

 その言葉にピトフーイは目を細めた。

 

「それってリアルでって事?」

「あっ、はい、もしピトさんが良かったらですが」

「ふむ………そうね、別に構わないわよ」

「本当ですか?やった!」

「ちょっと予定を確認するから、明日にでもこっちから連絡させてもらってもいい?」

「はい、分かりました!」

「それじゃあ悪いんだけど、今日はその確認の為に落ちるわね」

「あっ、何かすみません」

「いいのよ、それじゃあまたね、レンちゃん」

「はい!」

 

 そしてログアウトしたエルザは、すぐにエムこと豪志に連絡を入れた。

 

「あ、もしもし豪志?明後日なんだけど、どんな予定になってたっけ?

え?レコーディング?それじゃあその時に、

ちょっと時間が空けられるように調整しておいてくれない?

レンちゃんとフカちゃんが、私に会いたいんだって」

 

 

 

 その二日後、香蓮と美優は指定された場所でエムを待っていた。

 

「今日はエムさんが迎えに来てくれるんだよね?」

「うん、そうみたい」

 

 その会話中に車が横付けされ、中から一人の青年が姿を現し、二人に声をかけてきた。

 

「香蓮さんと美優さんですよね?始めまして、エムこと阿僧祇豪志です」

 

 そう自己紹介された二人はポカンとした。

そこにいる青年は、GGOのごついエムとは似ても似つかない、

細身で美形の青年だったからだ。

 

「ほ、本当にエムさん?」

「あ、はい、そうですけど」

「おお~、格好いいね!」

「はぁ、ありがとうございます」

 

 そして二人は豪志にエスコートされ、仲良く後部座席へと乗り込んだ。

 

「それじゃあピトの所に向かいますね」

「はい、お願いします」

「宜しくね!」

 

 そして香蓮は、若干おどおどとした様子で豪志にこう尋ねた。

 

「あ、あの、私を見ても驚かないんですね」

「それは身長的な意味でですか?」

「は、はい」

「これ言っていいのかな……実は事前に八幡さんに聞いてたんで」

 

 そう言って豪志は、ポリポリと頭をかいた。

 

「あ、そうだったんですか、それなら納得です」

「リーダーは何て?」

「ええと………スーパーモデルと、いかにも肉食系に見えるメガネっ子がいたら、

それが香蓮と美優だからな、と……」

「わ、私は別にスーパーモデルなんかじゃないですから!」

「くそお、この私とコヒーの扱いの違いは………ね、妬ましい」

「美優もそういうのはやめてよね!」

 

 豪志はそんな二人に軽く微笑むに止め、余計な事は一切言わなかった。

これは絶対に内緒だが、豪志は八幡に、こう言い聞かされていたのだ。

 

『いいか、香蓮の身長について、本人にちょっとでもネガティブな印象を与えたら、

絶対に許さないからな、それだけは忘れるなよ』

 

 その言葉を、豪志は忠実に守っているのだった。

 

「でも美優が豪志さんをナンパしないなんて珍しいね」

 

 香蓮は普段の様子をよく知る為、何となく美優にそう尋ねた。

 

「美優さんはいつもそんな感じなんですか?」

「あ~、まあ昔はそうだったけど、ここ最近はそういうのはまったく?」

「え、そうなの?」

「おう、だって私はリーダーにメロメロのエロエロだからね!」

「あ、あは……」

 

 その言葉に豪志はうんうんと頷き、香蓮は苦笑した。

その間に車は目的地へと到着し、エムはそこで車を停めた。

 

「ここです」

「ここって……音楽のスタジオ?ピトさんって音楽関係の人なんですか?」

「まあそうですね、それではこちらへ」

 

 そして二人が案内された部屋には、控え室の文字と共に神崎エルザの名前が書かれてあり、

二人はそれを見て激しく動揺した。

 

「こ、ここって………」

「それじゃあ中へどうぞ」

 

 豪志に促され、二人はおずおずと部屋の中に入った。

そこで見たものは、エルザに馬乗りになられ、

顔を近付けててくるエルザを必死に押し止めようとしている八幡の姿だった。

 

「八幡君!?」

「リーダー!?」

「二人ともいい所に!こいつを何とかしてくれ!」

「あっ、う、うん!」

「了解!」

 

 そして二人は左右からエルザを抱え上げ、八幡は解放される事となった。

 

「やれやれだな………おいエルザ、お前は後でお仕置きな」

「えっ、いいの?やった、お仕置きだ!きついのをお願いね!」

「………やっぱり優しくする事にする」

「えっ、いいの?やった、一晩中かわいがってね!」

「くそっ、だからこいつは手に負えねえ……」

 そして八幡は、香蓮と美優にこう言った。

 

「あ~、何で俺がここにいるのかだが、今日こいつが二人に会うって言ってきたから、

香蓮の事が心配でとりあえず来てみた」

「リ、リーダー、私は!?」

「ん?お前の事はどうでもいい、存分にエルザに食われてくれ、こいつは両刀らしいからな」

「どうせならリーダーが食ってよ!」

「だが断る」

 

 あっさりとそう断られたのにも関わらず、美優はまんざらでもないような顔をしていた。

いざとなったら八幡は、ちゃんと自分の事も大切にしてくれると信じているからだった。

そしてそんな八幡に、香蓮がストレートにこう尋ねた。

 

「えっと、それじゃあもしかして神崎エルザがピトさん……?」

「おう、その通りだ、この変態がピトで間違いない」

「もう、八幡ってば、こいつが俺の大切な人だなんてスキャンダルになっちゃうよぉ……」

「時々こういう意味不明な事を言う奴だが、二人とも今後は仲良くしてやってくれよな」

「む、むしろ喜んで!」

「サ、サイン、サインを下さい!」

「あ、う、うん」

 

 その剣幕に、さすがのエルザも少し押されたようで、

エルザは豪志に色紙を持ってこさせ、そこにサインをした。

 

「はいっ、どうぞ」

「あ、ありがとうございます!」

「一生大切にします!」

「二人とも、もうちょっと普通に接してくれた方が私としては嬉しいんだけど」

「ど、努力する」

「私は全然普通にいけるからな、頑張れよ、コヒー!」

「こういう時はその美優の図太さが羨ましい……」

 

 そしてエルザは香蓮を見上げながらこう言った。

 

「ああ、今思い出したわ、そういえば二人とも、

前に八幡にチケットをもらって私のコンサートを見に来てくれてたわよね」

「知ってたんですか?」

「うん、八幡本人が来なかったから、関係者だと思ってチェックくらいはね」

「そんな二人が全力で殺し合いとか、不思議な縁だよね」

「ふふ、本当にね、それにしてもその身長……」

「あっ、うん」

 

 そう言われた香蓮はやや身を固くしたが、エルザは直後に鬼の形相でこう言った。

 

「羨ましい!妬ましい!私にその身長を少し分けて!」

「ええええええええ!?」

「私はほら、何ていうか八幡好みの体型ではあるけれど、

それでもやっぱりもうちょっと八幡と釣り合う身長でありたかったのよ!」

「お前さ、さりげなく風評を混ぜるんじゃねえよ」

 

 八幡は呆れた顔でそう言ったが、香蓮はとても嬉しそうにエルザにこう返事をした。

 

「私も本当は、八幡君に釣り合う程度には小さくなりたいの!」

「お互い悩みが尽きないよね」

「うん、本当にね」

 

 そして二人はあははと笑い、釣られて八幡と美優も笑い始めた。

こうして香蓮は神崎エルザと知り合いになり、

エルザのコンサートのチケットの確保には不自由しない事となった。

これが香蓮にとってのこの夏一番の収穫であった。

二人の交流は、この後もGGOとリアル両方でずっと続いていく事になる。

 

                          GGOアフター編 了




これにてGGOアフター編は終了となります、今年一年お付き合い頂きありがとうございました、
明日から第六章『キャリバー・トラフィックス編』が開始となります、また来年も宜しくお願いします、良いお年を!

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