ハチマンくんとアスナさん   作:大和昭
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あけましておめでとうございます、今年も宜しくお願いします!

今日から新しい章の始まりです、といっても前章の直後から開始ですが!

お正月は俺は六日まで休みなので、その間は朝八時投稿でいいかなと思い立ったので、そういう事で宜しくお願いします!


第六章 キャリバー・トラフィックス編
第601話 集まりゆく仲間達のトラフィックス


 大会を終え、GGOからログアウトした神崎エルザは、直後に自宅のベッドで目覚めた。

 

「はぁ………今日は色々やらかした……」

 

 エルザはそう呟きながら体を起こした。よく見ると正面に人影が見え、

エルザはギョッとしたが、それがよく知っている顔だった為、

エルザは別の意味で再びギョッとした。

 

「あれ、シノのん?何でここに!?」

「エルザ、あんたね………」

 

 その言い方で、詩乃がどうやら全ての事情を知っているのだと悟ったエルザは、

詩乃の表情を見て、自分の事を心配してくれていたのだと悟り、

目に涙を讃えながら詩乃に謝った。

 

「ご、ごめんね……」

「えっ?ちょ、ちょっと、いきなりそうくる?」

「うっ……うぅ……」

「えっと……」

 

 詩乃は訳が分からず困惑したが、そんな詩乃にフェイリスとまゆりが声をかけてきた。

 

「中で何かあったのニャね、とりあえず落ち着いてもらわないとかニャ?」

「その前に服も着ないとだね!」

 

 決死の覚悟でエルザを止めようとしていた三人は、

エルザの様子を見てこれは大丈夫だろうと思い、とりあえず事情を聞く事にした。

 

「……なるほど、八幡に本気で怒られて、本気で反省したと」

「うん、ごめんね心配かけて……」

「まあ死ぬのをやめてくれたなら、全然いいわよ」

「それはもうやめたから大丈夫、ちゃんと和解もしたよ?」

「そう、それなら良かったわ」

「あっ、ごめんね、今お茶を入れるね」

 

 エルザは自宅に来客を迎える形になっている事に気が付き、慌てて台所へと向かった。

そんなエルザの姿を遠目で見ながら、フェイリスとまゆしいは詩乃にこんな事を言った。

 

「いやぁ、しかしまさか相手があの神崎エルザだったなんて、びっくりだったニャ」

「どうしよう、まゆしいは、有名人の全裸を見てしまったのです………」

「別に女同士なんだし気にしなくてもいいでしょ」

 

 そして戻ってきたエルザは三人にお茶を配り、落ち着いた所でエルザは詩乃に言った。

 

「ところでシノのん、私、今度ヴァルハラ入りする事が決まったから」

「そ、そうなの!?」

「ニャニャ、ニャんと!?」

「うわぁ、そうなんだ、凄い凄い、おめでとう、エルザさん!」

「うん、ありがとう!」

 

 エルザはとても嬉しそうにまゆりに微笑み、

そして詩乃は、思いついたようにエルザに言った。

 

「あ、エルザ、ちなみにフェイリスさんも、ヴァルハラのメンバーだからね」

「あっ、そうなんだ!これから宜しくね、フェイリスさん!」

「こちらこそ宜しくニャ!」

「それじゃあヴァルハラのメンバーについて、軽くレクチャーしておく事にしましょっか」

「シノのん先生、お願いします!」

 

 その後、ヴァルハラについて軽くレクチャーを受けたエルザは、

思い出したようにポストを漁り、薔薇が投函した手紙を見つけ出した。

そしてそれを読み、八幡が言っていた事が事実だと理解し、

自分の迂闊さに落ち込んだ為、三人は慌てて再びエルザを励ます事となったのだった。

 

 

 

 そしてその一週間後、美優と舞は、仲良く東京へと向かう飛行機の中にいた。

 

「誘いがいきなりになってしまってごめんね美優、

スネークさんから連絡があったのがおとといだったんだよね」

「リーダーが日本に戻ってきてくれたのが四日前だったから、それは仕方ないよ舞さん」

「でも美優も丁度東京に用事があったんだよね?一石二鳥で良かったね」

「それなんだけど、実は今日、レンと一緒にピトさんに会いに行くんだよね」

「えっ、そうなの?へぇ~、それは楽しみだね」

 

 あっけらかんとそう言う舞に、美優は試しにこんな提案をする事にした。

 

「ねぇ、もし良かったら舞さんもピトさんに会いにいってみる?」

「いや、それはいい」

 

 舞はそう即答し、美優は鼻白んだ。

 

「あれ、ピトさんとはもう和解して、今は凄く仲がいいんだよね?」

「うん、そうなんだけどね、でもリアルで会うのはちょっと……」

「まだ何か何か思う所でもあるの?」

「いや~、何か凄く嫌な予感がするというか、リアルで関わりたくない気がするというか、

前にシャナさんが気になる事を言ってたから、何か危険な気がしてならないの、ごめんね」

「気になる事?何て?」

「いや、気のせいかもしれないからさ、私の事は気にせず楽しんできて」

「あ、うん、まあいいか、楽しんでくる!」

 

 この時のシャーリーの言葉の意味を美優が理解するのは、

実際にピトフーイこと神崎エルザと対面した直後の事になる。

美優個人としては神埼エルザと知り合いになった事は喜ぶべき事だが、

同時にそれが何かと面倒臭い事態を呼ぶ可能性も否定出来なかった為、

美優は舞の危機察知能力の鋭さに感心させられたものだった。

そして空港に着いた二人は、夜に落ち合う事を約束し、

それぞれの目的地へと向かっていった。

 

 

 

「えっと………本当にここでいいのかな?」

 

 舞は指定された場所の位置情報を頼りに、明らかに場違いな場所にポツンと立っていた。

そこはいわゆる議員会館の前であり、いかにもといった高級車がひっきりなしに出入りし、

どこかで見た事があるような人が何人も出入りしていた。

そしてたまたま通りかかった衛視の一人が舞に気が付き、声をかけて来ようとしてきた為、

さすがの舞も身を固くした。だがそこに助け舟を出してきた者がいた。

 

「君、そちらのお嬢ちゃんは俺の知り合いだから大丈夫だ、お役目ご苦労さん」

「あ、そうでしたか、それは失礼しました」

 

 舞はその声にホッとした。政治家に知り合いはいない為、多分人違いだろうとは思うが、

とりあえず職務質問された場合、『スネークさんと待ち合わせです』等と言っても、

信じてもらえるはずがないからだ。

そして舞は、この人が話の分かる人だといいなと思いつつ、

事情を説明しようとその人の顔をまじまじと見詰めた。

だがそこに誰でも知っている大物国会議員の顔があった為、舞は当然の如く固まった。

 

「シャーリーのお嬢ちゃんだよな?

悪い悪い、待たせちまったな、ちょっと総理に呼ばれちまったんでな」

 

(ソウリ?ソウリって何だっけ?)

 

「まあ立ち話もアレだから、とりあえず俺の部屋に行こうか……

どうした?もしかして具合でも悪いのか?お~い?」

 

 その呼びかけで、舞はやっと再起動した。

 

「あっ、は、はい!ご一緒させて頂きます!」

「おう、それじゃあ行くかね」

 

 それからどんなルートで部屋に行ったのか、緊張しすぎてまったく覚えていなかった舞は、

気が付くと座り心地のいいソファーに座ってお茶を飲んでいた。

 

「どうだい、ちょっとは落ち着いたかい?」

「あ、はい、すみません……」

 

 恐縮したようにそう言った舞に、日本国防衛大臣、嘉納太郎は豪快に笑いながら言った。

 

「いやすまんすまん、いきなり俺が迎えに行ったらそりゃ驚くよな」

「はい、凄く驚きました……」

「本当に悪かったな、という訳で、俺がスネークだ、宜しくな」

「はい、宜しくお願いします」

 

(ピトフーイよりもこっちの方がやばかった!)

 

 舞はそう思いながら、疑問に思っていた事を嘉納に尋ねた。

 

「あ、あの、大臣は何故GGOを?」

「ん?ああ、俺は昔、射撃でオリンピックに出た事があってな、まあ息抜きだ息抜き」

「そうなんですか?凄い凄い!射撃がお得意なんですね!」

「まあな、それにあそこだと体力を使わないからな、こんな老人でも楽しめるってもんよ」

「ですね!」

 

 二人は年の差など関係なく意気投合したらしい。そして嘉納が改まった顔で舞に言った。

 

「それじゃあ早速本題に入るとするか、とりあえず悪いと思ったが、

お嬢ちゃんにおかしなバックがついてないかどうか、こちらで確認させてもらった。

結果は問題なし、これで第一段階はクリアだな」

「あっ、はい、私はただのガイド兼ハンターなので、そこらへんは問題ないかと」

「しかしその年でハンターとは、KKHCの事は知ってたが、本当に驚いたぜ」

「親の後を継いだだけなんですよ、選択肢が無かったというか、

気付いたらハンターになってました」

「なるほどなぁ、それじゃあ次はこれをよく読んで、納得したらサインしてくれな」

「あっ、はい」

 

 そこに置かれていたのは誓約書であり、

具体的には比企谷八幡という人物に紹介してもらう代わりに、

その情報に関しては関係者以外には絶対に何も漏らさない事、

そしてもし破った場合は賠償請求が国によって成される事が明記されていた。

 

「あの、すみません大臣、これがシャナさんの名前だと思うんですが、

これって何て読むんですか?あ、いや、

会った時に間違った呼び方をしちゃったらまずいかなと思ったので」

「おお、お嬢ちゃんはしっかりしてるんだな、読み方は、ひきがやはちまん、だな」

「ひきがやはちまんさん……分かりました、ありがとうございます」

 

 そして舞は、一通りその文章に目を通し、

賠償請求の項目を見ても顔色一つ変えずに躊躇いなくサインし、ハンコを押した。

 

「よし、これで全ての条件はクリアだな、待っててくれ、今あいつに連絡する」

「あ、はい、ありがとうございます!」

 

 そして嘉納は八幡に電話をかけ、実に気安い調子で会話を始めた。

 

「おう、俺だ俺、例の話、今まとまったんだが、これからどうすればいい?

おう、おう、そうかそうか、それじゃあお前さんが着くまで俺がもてなしておくから、

近くに来たら連絡してくれな」

 

 嘉納はそう言って電話を切った後、笑顔で舞に言った。

 

「ここに迎えに来てくれるってよ、良かったなお嬢ちゃん」

「そうなんですか?土地勘が全然無いので正直助かります!」

「まああいつの車に乗ったら驚くと思うが、それも楽しみにしておくといい」

「そうなんですか?どんな車なんだろう……」

「実は俺の車もあいつに頼んで作ってもらったんだ」

「えっ?比企谷さんって車関係のお仕事をされてるんですか?」

「いや、全然違うぞ」

「あれ……」

 

 舞はきょとんとして首を傾げたが、嘉納はそんな舞にお茶を出しながら、豪快に笑った。

 

「まあそれも含めて今日は色々話してもらうといい」

「はい、そうします!」

 

 そして嘉納と舞は雑談をしながら、八幡の到着を待った。

 

「多分そろそろじゃねえかな……とか言ってる間にあいつからの着信だ」

 

 嘉納は電話に出て短く返事をすると、舞を伴って駐車場へと向かった。

 

「お、あれだあれだ、お~い比企谷君、わざわざ悪いな」

「いえ、こちらこそお手数をおかけしてすみません」

「いいって事よ、もともと俺が勝手に約束しちまった事だからな」

 

 嘉納は何か気になったのか、チラリとキットの後部座席に目を走らせた後、

舞にその場所を譲った。そして舞はついに念願通りに八幡の目の前に立つ事となった。

 

「あ、あの、初めまして、シャーリーこと霧島舞です!」

「俺はシャナこと比企谷八幡だ、宜しくな、舞さん」

「はい、宜しくお願いします!」

「それじゃあ俺の知り合いのやってる店に行くとするか、まあメイド喫茶なんだけどな」

「メイド喫茶ですか?」

「ああ、一応ALOでの身内のやってる店なんで、融通がきくんだよ」

 

 その言葉に舞は納得し、そして二人は嘉納に挨拶をし、移動しようとした。

 

「あっと、ちょっと待った比企谷君、名前な、カットに決めたわ」

「名前?ああ!カット……ですか、キットとカットってちょっと危険な感じですね」

「わはははは、確かにそうだな、ちょっと今ここに呼ぶから挨拶してってくれや」

「そうですね、分かりました」

 

 舞は何の話だろうときょとんとしたが、そんな舞に八幡が言った。

 

「ごめん舞さん、今からここに嘉納さんの車が来るから、

ちょっと挨拶しないといけないんだよ。少しだけ待ってもらっていいか?」

「車に挨拶……ですか?」

『その前に私を紹介して下さるのが先ではないですか?八幡』

「あっと、悪いキット、そういえばそうだったな」

「えっと……今の声は……」

 

 そしてお決まりのやり取りが繰り返され、舞は他の多くの者達と同じくとても驚いた。

だがそれはまだ序の口だった。直後に遠くからキットと似たような車が走ってきて、

キットの隣に止まった。その車は無人であったが、キットと同じくいきなり話しかけてきた。

 

『お久しぶりです八幡、やっと私も名前を付けてもらいました、カットです』

「お、久しぶりだな、そしておめでとう、カット」

『ありがとうございます』

 

 そのやり取りに舞は死ぬほど驚いた。

 

「こんな車が二台もあるなんて……」

「これは俺が比企谷君に頼み込んで作ってもらったんだ、キットの二号車だな、

名前の由来は『KANOU2000』の頭文字をとってKATT、カットだ」

「あ、そういう意味だったんですね、チョコじゃなく」

「わはははは、当たり前だろ!」

 

 こうして二人は和やかな雰囲気のまま嘉納と別れ、車上の人となった。

 

「えっと、メイド喫茶という事は、秋葉原って所にでも行くんですか?」

「ああ、正解だな」

「なるほど、ずっと興味はあったんですよ、どんな所なのかなって」

「ん~、まあ雑然とした街だな、さて、そろそろ着くぞ」

「うわ、結構近いんですね」

 

 そして二人は数分後、メイクイーン・ニャンニャンの前に立つ事にになり、

直後に中から一人のメイドが飛び出してきて、八幡に抱きついた。

 

「八幡!お帰りなさいなのニャ!」


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