ハチマンくんとアスナさん   作:大和昭
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第603話 八幡の護衛

「新しいチーム?ALOとGGOからの選抜攻略チームって事か?」

「ああ、ヴァルハラ・リゾートのメンバーから現在十名ほど、

あとは他のGGOの有力メンバーから何人かで構成する予定だ。

時期的に年末になっちまうから、リアルが忙しい奴も結構いるから人数は少なめだけどな」

「俺は参加するぜ」

「俺もだな」

「フェイリスもニャ!お店はまゆしい達に任せるのニャ!」

「お前、それでいいのかよ……」

 

 そして舞が、おずおずとこう尋ねてきた。

 

「あ、あの、私がそんなチームに参加してもいいんですか?

というかさっきからたまに名前が出てるヴァルハラって、

あのALOのヴァルハラの事ですよね?

ALOだけじゃなく、VRゲーム全部で最強って言われてる」

「そうだよシャーリーさん、あそこのリーダーは、このシャナだからな」

「えっ?でもあそこのリーダーって、確かハチ……あっ!」

 

 舞はそこでついに真実に行き当たった。

 

「そういえば一時期そんな噂が……

BoBで二人が同時に出場したせいで立ち消えになりましたけど」

「あれは実は中身だけが別人だったんだよな」

「そうだったんですか!そっかぁ、そういう事だったんだぁ……」

 

 シャーリーはこの件で、更に八幡に心酔する事となったようだ。

 

「ところで今決まってる参加予定メンバーって、誰?」

「あ~……ネットに公開されてるうちのメンバーリストを見ながら説明した方が早いかもな」

 

 そして八幡は、スマホにヴァルハラのメンバー専用ページにログインし、

画面を見せながら説明を始めた。

 

「俺、アスナ、キリト、ユキノ、リズベット、シリカ、セラフィム、フェイリス、レコン、

シノン、フカ次郎、それにクックロビンとレヴィ、職人枠でナタクとスクナだ」

「レヴィって誰なのニャ?」

「新人だからフェイリスが知らないのも当然だな」

「そうだったのニャね」

「他の人はどうしたんだ?」

「いや、それがな……」

 

 八幡は、少し困った顔で説明を始めた。

 

「実際に開発に関わってるソレイユさんとアルゴは無理として、

短大生のコマチとリーファは卒業旅行、

それにユイユイとユミーも卒業を控えて単位がギリらしくて、無理だったんだよ」

「ああ~!」

「今三年生のイロハは就職活動だそうだ。

エギルとクラインとクリスハイトはさすがに年末は仕事が忙しくて無理らしい、

同じ理由でメビウスさんとクリシュナも厳しいそうだ、

クリシュナは次世代技術研究部の立ち上げもあるしな」

「あれ、卒業組の就職活動とかはいいのか?」

「それはもう終わってるらしい、うちにも多分何人か入ると思うぞ、

誰も教えてくれないから誰が入るのかは知らないんだけどな」

「全員だったりして」

「ははっ、まさか」

 

 八幡はそんな訳無いだろうと笑い、そんな八幡にフェイリスがこう質問してきた。

 

「その論でいくと、ユキノとセラフィムは……?」

「あの二人がそんな事で苦労するはずがないだろ……」

「そうだったニャね……」

 

 次に風太が八幡に質問してきた。

 

「GGO組には他に誰に声をかけるつもりなんだ?」

「あとはレンにゼクシードとユッコ、ハルカくらいかな、

後で落ち合うから、その時にでも頼んでみるさ、

もっともその場で話を出す訳にはいかないんだけどな」

「落ち合う?そのメンバーで集まるのか?」

「PM4のお疲れ会があるんだよ、もっとも遠くに住んでるダインとギンロウは不参加だが」

「ああ~、それじゃあ俺が行く訳にはいかないな!」

「レンとフカは行くみたいだけどな」

「それはいいだろ、あいつら仲良しだしな!で、その場で話を出せないってのは何でだ?」

「スネークがチームに参加するって言い出すと困るからだ」

 

 八幡は少しエキサイトした感じでそう言った。

 

「スネークが来ると何か困るのか?」

「シャーリーさんは、俺の気持ちを分かってくれるよな?

あの人が年末にゲームするって言い出したらどうなるか……」

「それは無理、絶対に無理だしやばいです!」

「だろ?まあそういう訳だ」

「よく分からないが、スネークって何か責任がある立場の人なのか?」

「おう、日本人全体のな」

 

 その言葉に風太と大善は固まった後、焦った顔で八幡に抗議した。

 

「お、おいシャナ、余計な事を俺達に言うなよ!ちょこっと聞いちまったじゃねえか!」

「そういうのには関わりたくないな、今のは聞かなかった事にする」

「おう、そうしてくれ、スネークさんの正体が、実は日本の……」

 

 もちろん八幡は二人をおちょくりたいだけだったので、

そこで言葉を止めるつもりだったが、二人はそれに過剰反応し、耳を塞ぎながら言った。

 

「わ~、わ~!」

「それ以上言うなっつ~の!」

「心配すんなって、最初から言うつもりはないからな、

俺はただ、二人をおちょくりたかっただけだ」

「だからシャナ、お前はどうしていつもいつも!」

「ほんの冗談だって、お詫びにレヴィをここに呼んでやるから勘弁な」

「それがどうしてお詫びになるんだよ!」

「さあ、何でだろうな」

 

 そして八幡はどこかに電話をかけ、キッチリ一分後にドアがノックされた。

 

「え、まさかもう?」

「早っ!」

「実はレヴィはずっとキットの後部座席にいたからな」

 

 その言葉に一番驚いたのは舞だった。

 

「え、嘘、本当に?」

 

 そんな舞に、八幡はそこだけ声を潜めてこう囁いた。

 

「やっぱり気付いてなかったのか、嘉納さんは気付いたみたいだったが……」

「うん、全然まったく……」

 

 そして舞は普通の声量でこう続けた。

 

「というかレヴィさんってどういう人ですか?」

「俺の護衛だな、まあ日本じゃ必要ないかもしれないが」

「護衛………やっぱり世界が違う……」

「あ~、まあ知り合いから預かったのを、

遊ばせておく訳にもいかないから護衛にしてるって理由の方が大きいんだけどな、

実際護衛向きの人材なのは間違いないしな」

「その割りにはALOで遊ばせてるニャね」

「そう言われると返す言葉もないが」

 

 そう言いながら八幡はドアを開けた。そこにはまゆりと共にレヴェッカが立っており、

レヴェッカは真面目な表情で八幡にこう言った。

 

「ボス、何かあったのか?怪しい奴は何人もここに入っていったが、

害のありそうな奴は特に見かけなかったが」

「例のALOとGGO絡みの話でな、ここにいるメンバーが俺達の仲間になるから、

レヴィにも紹介しておこうと思ってな」

「そういう事か、オーケーオーケー、俺はレヴェッカ・ミラー、宜しく!」

 

 凄まじい美人でスタイルも良く、

黙っていればどこかのお嬢様で通じるレヴィが乱暴な口調でそう言った為、

さすがのフェイリスも含め、四人は呆然としたが、

四人は我に返った順から自己紹介を始め、レヴィは頷くと、そのまま八幡の隣に座った。

 

「ボス、喉が渇いたから何か頼んでもいいか?トーキョーは暑すぎる」

「キットが温度を調節しててくれただろ?」

「ああ、キットは車にしておくのがもったいないくらいのいい奴だよな、

だが暑いのはそのせいじゃない、ここに来るまでの短い移動のせいだ」

「ああ、まあ外は仕方ないよな……」

 

 そしてレヴェッカは、目を細めながら四人を順に眺め、少し驚いたような顔で言った。

 

「ボス、日本じゃ銃は規制されてるよな?」

「ああ」

「でもそいつとそいつ、それにその子は明らかに銃に慣れてるよな?」

「お前、そういうのが分かるのか?」

「当たり前だろボス、俺を誰だと思ってるんだ」

「手のかかる妹みたいな?」

「チッ、兄貴面すんじゃねえよ、でもまあ悪い気はしないけどな」

 

 そのやり取りに、四人は沈黙する事しか出来なかった。

八幡はそれを見て、レヴェッカの事を少し説明する事にした。

 

「あ~、フェイリスは知らないと思うが、レヴェッカはサトライザーの妹だ」

「あのサトライザーの!?」

「妹!?」

「えっ、マジかよ!?」

「サトライザーって誰ニャ?」

「第一回BoBで、シャナに勝った恐ろしく強いプレイヤーだな」

「本当ニャ?うわ、シャナに勝てる人がキリト君以外にもいたのニャ?」

「次は負けねえよ?」

「いつもながら負けず嫌いニャね」

 

 即座にそう言ってきた八幡に、フェイリスはやれやれといった表情でそう言った。

 

「まあ次やったら確かにボスが勝つかもしれないな、っていうか勝て」

「お前、兄貴の応援をしなくていいのか?」

「忘れたのか?俺はもともとボスのファンだっての」

「あ、レヴィさんもそうなんですか?私もです!」

 

 その時シャーリーが、突然レヴィにそう言い、

レヴィはその言葉ににんまりすると、いきなりシャーリーとシャナ談義を始めた。

 

「お前ら俺の事でそんなに盛り上がるのはやめろ、聞いてて恥ずかしいんだよ」

「何でだよ、別にいいじゃねえか」

「そうですよ、シャナさんが凄いのは至極当たり前の事ですから!」

「ああもう、場所を代わってやるから好きにしてくれ……」

 

 そしてフェイリスがトイレに立った隙に、風太と大善はヒソヒソと八幡に話しかけてきた。

 

「お、おい八幡、何だよあの子」

「だからサトライザーの妹だって」

「ありがとう、そしてありがとう!」

「いやマジ眼福だわ、えらいぞ八幡、よくぞあの子をアメリカから連れ帰ってきてくれたわ」

「だから言ったろ?お詫びだって」

「お釣りとかいるか?さすがにもらいすぎな気がする」

「気にすんな、まあ下手に仲良くなろうとしたら殴られるかもしれないから、

くれぐれも気をつけてな」

「いや~、見てるだけで十分だわ」

「そうそう、十分十分」

 

 そしてしばらく雑談が続けられた後、そろそろ約束の時間だという事で、

八幡達は移動する事になった。

 

「そういえばシャーリーさん、今夜の宿はどうするつもりなんだ?」

「えっと、フカちゃんが案内してくれるとか何とか……それまでは観光を」

「フカが案内?まさかうちか?」

「かもしれないニャね」

「ふ~ん、まあ後で聞いてみれば分かるか、約束の時間は?」

「えっと、夜九時くらいかな?」

「今から四時間くらいか、丁度次の会が終わる頃だな、さてどうするかな」

 

 舞を一人にするのが躊躇われた八幡は、悩むそぶりを見せた。

そんな八幡に、風太と薄塩たらこがこう提案してきた。

 

「あ、それじゃあ俺達がそれまで近場を案内しようか?」

「女の子が行くような洒落た所には案内出来ないけど、

一般的な観光レベルなら案内出来るぜ」

「いいのか?」

「おう、任せとけって、

それに俺達が一緒なら、変な奴に絡まれる事も無いだろうし安全だろ?」

「まあな、それじゃあシャーリーさんが良ければそんな感じでいいか?」

「はい、宜しくお願いします!」

「こっちの会が終わったらまた連絡するから、それじゃあ後でな、シャーリーさん」

「あ、はい、また後で!」

 

 八幡はそう言ってレヴェッカと一緒に去っていき、

舞も風太と大善に案内されて、東京観光へと繰り出した。

 

「ボス、俺の隣にいたあの子だけどよ」

「シャーリーさんの事か?」

「ああ、シャーリーがあの中で、一番銃に慣れてるよな?」

「かもな、あの子は現役のハンターだからな」

「へぇ、そうなのか。俺の腕が鈍っちまわないように、

今度あの子と一緒に狩りに連れてってくれよ」

「そうだな、機会があったらそれもいいな」

「約束だぜボス」

「あいよ」

 

 そして八幡は、ほどなくして目的の場所に到着した。

 

「え、マジでここ?」

「高そうな店だなおい」

「しかもこの店の名前……」

 

 その店は銀座のど真ん中にあり、その名前を『美咲』といった。


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