ハチマンくんとアスナさん   作:大和昭
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あと3回でマンション絡みの話が終わり、その後は5話かけてゴニョゴニョ、の話となります!

人物紹介に、メリダを追加しました。


第606話 お疲れ会の顛末

「あ、もしかしてあの話?」

「ああ、幸いここには残りの誘いたかったメンバーが全員揃っているからな」

「そうだね、先にその話を片付けちゃいたいね」

 

 八幡はその話に頷くと、席順を変え、保、悠子、遥、香蓮に並んで座ってもらった。

 

「悪いな、この方が説明しやすいんでな」

「それは構わないけど、それってもしかして、

先日ソレイユの社長が発表したあの話に関係があるのかい?」

「おお、ゼッ君、やっぱりお前って凄いんだな」

「誰がゼッ君だ、まあしかし、名前の呼び方はともかく、

そう言われると悪い気はしないね、情報収集は常に欠かさないってだけなんだけどね」

「それでもだ、ちょっと感動すら覚えたぞ、ゼッ君」

「だからゼッ君言うなって」

「ねぇ八幡君、それって何の話?」

 

 その二人の会話にレンが割って入った。

 

「それじゃあそこから説明するか、先日こんな発表があった。

簡単に言うと、ALOの運営をしてるソレイユと、

GGOの運営をしているザスカーが提携したって話だ。同時にこんな情報が公開された。

二社が協力して、ALOとGGO、どちらからもコンバート無しでログイン出来る、

全五層のダンジョン形式のサーバーを導入しようってプランだ」

「そうなの?うわぁ、それじゃあALOの人達ともそのまま一緒に遊べるんだ」

「まあそういう事だな、要するに、剣と魔法と銃の世界だ」

「うわぁ、うわぁ、凄く楽しそう!」

 

 香蓮は目をキラキラさせながらそう言い、そんな香蓮の態度に他の者達は萌え死んだ。

 

「か、かわいい……」

「比企谷が言ってた事の意味を、今実感したわ……」

「だろ?やっと分かってくれたみたいで何よりだ」

 

 それが自分の事だと気付いたのか、香蓮は顔を真っ赤にして八幡をポカポカと叩いた。

 

「もう、もう!」

「すまんすまん、で、ここからが話の本題だが、

俺は両方のゲームに持てる人脈を結集し、攻略チームを作る事にした。

そのチームの名前はヴァルハラ・ウルヴズ、

まあヴァルハラ・リゾートと十狼を合わせただけの名前だけどな」

「ちょっと待ってくれ、十狼はともかく、ヴァルハラってあのヴァルハラだろ?

ヴァルハラ・リゾートがここでどう関係してくるんだい?」

 

 その言葉に八幡はハッとさせられた。

 

「あ~!お前あれは夢だと思って……」

 

 そんな八幡を、悠子と遥が上手くフォローした。

 

「あ~、そっかそっか、ゼクシードさんはその事、ちゃんとは知らないんだったね」

「そうだったそうだった、えっと、私が説明してもいいのかな?」

 

 遥のその言葉に八幡は頷いた。

 

「えっとね、ゼクシードさん、この比企谷はね、

GGOのシャナであり、ALOのハチマンなの」

「ごめんなさい、さすがにこの事は、

いくらゼクシードさんでも勝手に教える訳にはいかなくってさ」

「えっ………というか、二人は何でその事を?」

 

 ゼクシードにとっては、そちらの方が気になる事だったらしい。

シャナ=ハチマンだという事は、夢だと思っていた例の事件の時から、

彼の中ではもしかしたらそうかもという認識が芽生えていたのだろう。

アチマンの出撃を見送ったのは、他ならぬゼクシードなのだから。

 

「あ、あは……」

「えっと、実は私達、比企谷と同じ学校だったの」

「えっ、そうなのかい?」

「う、うん」

「実は最初からその事を知った上で僕の誘いを受けたとか?」

「あ、ううん、その時は全然知らなくて、最初に知ったのは戦争の最後の方」

「でもその時はまだ、全然友達とかじゃなかったんだよね、私達」

「だな、その頃はまだましだったが、その前は完全に敵対してたよな」

「そうだったのか、世間は狭いって本当だね」

 

 ゼクシードは二人のその変化を我が物として感じたらしく、穏やかな口調でそう言った。

 

「まあそういう事もあるよね、うん」

「ですよね!」

「まあこっちの事情はそんな感じです」

「オーケーだ、悪かったよ、途中で口を挟んだりして」

「いや、疑問は先に解消しておいた方がいいだろうから問題ないさ、それでだ」

 

 そして八幡は、改めて四人にオファーを出した。

 

「ゼクシード、ユッコ、ハルカ、そしてレン、俺の作るチームに参加してくれないか?」

 

 その誘いに、四人はそれぞれこう答えた。

 

「僕で良ければ喜んで」

「お、おお、妙に素直だな、ゼッ君」

「だからゼッ君言うな!言ったろ?

僕は君に、この程度じゃ返しきれない借りがある気がしてならないんだよ」

「気のせいじゃないか?」

「もしそうだとしても、僕がそうしたいんだ、だから君の作るチームに参加する」

「そうか、ありがとな、ゼッ君」

「だからゼッ君言うな!」

 

 ゼクシードは絶叫し、その横で悠子と遥も笑いながら言った。

 

「私は喜んで」

「私も私も!」

「おう、二人ともありがとな」

「いいっていいって、何より私達を、そんな大事なチームに誘ってくれた事が嬉しいよ」

「そうそう、昔じゃ考えられない変化だよね、比企谷も私達も両方ね」

「だな、それじゃあ宜しくな」

「うん!」

「任せて!」

 

 そして最後に香蓮が、ニコニコしながら八幡に手を差し出した。

 

「八幡君は私の師匠の一人なんだから、黙って命令してくれてもいいのに」

「俺がそんな事出来ないのは知ってるだろ?」

「うん、八幡君は優しいもんね」

 

 そう言って香蓮は八幡の胸にコツンと頭を添えた。

 

「頑張ろうね」

「おう、頑張ろうな」

 

 そんな二人の姿を見て、エルザと美優が頬を膨らませた。

 

「何このラブコメ……」

「私達の時と態度が違う……」

「私達の時は『これこれこういうイベントがあるからお前らも暇なら参加しろ』

だけだったもんね!」

「う~、これがヒロイン力の差とでも言うつもりなの!?」

「くそぉコヒーめ、今夜は絶対にひぃひぃ言わせてやる!」

 

 そんな二人に八幡は、容赦なく拳骨を落とした。

 

「きゃっ、い、いい……」

「もっと、もっとぉ!」

「黙れこの変態コンビが!」

 

 八幡は二人にそう一喝すると、話をこう纏めた。

 

「何にせよ、もう少し先、年末くらいの事になると思うが、大丈夫か?」

「問題ないよ」

「うちらも就職は決まってるし」

「余裕だぁね」

「私も大丈夫、これでも優秀だから!」

「そうか、それじゃあその時を楽しみにしててくれ、

それじゃあそろそろいい時間だしお開きにするか」

 

 八幡はそう言って席を立とうとしたが、そんな八幡の肩を、

エルザと悠子と遥がガシッと押さえ、保が八幡の目の前で腕を組みながら言った。

 

「それじゃあ大事な話が終わったところで、もっと大事なさっきの話の続きをしようか」

「くそ、誤魔化せなかったか………」

 

 そして八幡は正座をさせられ、説明を求められる事になった。

 

「先ず訂正させてくれ、さっきのこいつの言葉は色々足りない、

もちろんこいつの頭が足りないというのもある」

「ひ、ひどい……」

「事実だろうが!俺が女性陣の下着を管理している訳じゃない、

隣に俺が保護者をやってる女子高生の女の子がいてな、

その子が部屋の管理をしてくれているんだ、俺はそれに基本関わってはいない。

たまに関わる事があっても、掃除全般だけで、他にはタッチしていない、これが事実だ」

「ああ、そういう……」

「ってか女子高生を囲ってるの?」

「いや、その子はお兄さんをSAOで亡くし、ご両親を事故で亡くした天涯孤独な子なんだ。

そのお兄さんの死に俺が多少関わっていてな、それで俺が引き取る事にした訳なんだ」

 

 その話に一同はシンとした。さすがにここで茶化したりする事は誰にも出来なかった。

 

「そう、えらいね」

「えらくなんかない、俺がもう少し早く現場に着いてれば、

あの子のお兄さんは生きてたかもしれないんだ」

「……自分を責めるのはやめなよ、事実としてあるのは、

あんたが数千人のプレイヤーを生還させたって事だけ、それを誇りなよ」

「いや、しかしな……」

「もう、責任があるとしたら茅場晶彦って人だけでしょ?

あんたには何も責任はない、はい、この話はここで終了!」

「お、おう……まあそうだな、だが俺は絶対に忘れない、絶対にだ」

「うん、そうだね」

「それでいいんじゃないかな」

 

 その会話を遠くで美咲と杏が黙って聞いていた。

 

「ねえ美咲ちゃん、これって……」

「一時期話題になっていたSAOの三人の英雄、そのうちの一人が彼なんでしょうね」

「英雄なのに、凄くつらそう……」

「癒してあげたいよねぇ……」

「癒してあげたいわね……」

 

 この辺りはさすが母娘であろう、考える事は一緒のようであった。

 

「あら、あなたに彼が癒せるの?」

「癒せるもん、私は美咲ちゃんの娘だし!」

「それじゃあ私達、やっぱりライバルね」

「うん、負けないから!」

 

 だがこの二人にチャンスが訪れる事は、ほとんど無いであろう。

同じ事を思っている女性が、八幡の周りには沢山いるのだから。

だが二人がそう思ってくれた事は、決して八幡にとって、マイナスにはならない。

こうして八幡の人脈は広がっていく事になる。

 

「まあそんな訳で、話を元に戻すとだな、誰がいつ来ても平気なように、

着替えのストックを部屋の寝室に用意してある訳だ、

もちろん俺がそのクロ-ゼットを開ける事はない」

「なるほど、色々考えてあるんだねぇ」

「それって絶対女の子の発想だよね、普通男はそこまで考えないし」

「まああいつらが考えて決めた事だってのは確かだな」

「うんうん、まあいくつかルールはあるけどね」

「ルール?」

 

 美優がそう言ったのを、八幡は泊まりの時のルールだと勘違いしたが、

美優が言ったのは、クローゼットの場所決めのルールだった。

 

「クローゼットには、リーダーが自ら名前を書いて、シールを貼ってくれるんだよね、

で、持ち寄った下着に一言感想を述べてもらって、自らの手でしまってもらうの」

「ちょ、おま、何を言って……」

「へぇ?そうなんだ、ふ~ん、その話、もうちょっと詳しく」

 

 そう言うエルザの横で、香蓮はあわあわしており、

美優はしまったと思い、自分の頭をコツンと叩いた。

 

「えへっ、ごめん、これって言っちゃ駄目な奴だった!」

「お、お前な……」

「ねぇ八幡、でも事実なのよね?」

「俺が望んでやってる事じゃねえ、あいつらが命令してくるんだよ!

あいつらは本当に怖いんだぞ!」

「まあいいわ、それじゃあ私も今夜、そこに泊まるから」

 

 エルザがそう宣言し、八幡はそれに頷く事しか出来なかった。

 

「おお、それがジャパニーズ風習って奴か?それなら一丁俺のも頼むぜ」

「レヴェッカまで……」

「あ、舞さんには私が説明しておくね、きっと二つ返事でオーケーすると思うんだ、

何せ彼女、リーダーの大ファンだからさ」

「まじかよ………」

 

 その名前に聞き覚えがなかったのか、悠子が美優にこう尋ねた。

 

「舞って誰?」

「あ、えっと、シャーリーさん」

「ああ~!あの緑の髪の?」

「KKHCの人だ!」

「うんそう、その人」

「なるほどね、頑張ってね、比企谷」

「……………」

 

 そして黙っている保に、遥がこっそりとこう囁いた。

 

「ああいうの見ちゃうと、全然羨ましくないんじゃない?ゼクシードさん」

「ああ、ああはなりたくないものだなと心から思うよ、

まあほんのちょっと羨ましくはあるけどね」

「あ、やっぱりそうなの?」

「でもまああれはやっぱり無いな、うん、無い」

「あは、だよね」

 

 そしてこの日の会はお開きになる事になり、お会計の時の事である。

 

「あ、今日は私が払うから」

「俺も少し出すぞ?」

「いいからいいから、これでも売れっ子だからね」

 

 そしてレジに向かった八人に、美咲が笑顔で言った。

 

「今日のお会計は、嘉納さんにもう頂いてますわ」

「「「「「「「「お~!」」」」」」」」

 

 さすがは嘉納さんと皆が口々に讃える中、美咲はそっと紙袋のような物を八幡に手渡した。

 

「ん?何です?」

「ええと、私と杏のその………予備の下着ですわ」

 

 それを聞いた八幡は、泣きそうな顔でそれを美咲に返した。

 

「すみません美咲さん、もう勘弁して下さい」

「あら残念、私達本気ですのに」

「ごめんなさい!」

 

 そして八幡はその場を逃げ出し、美咲と杏が顔を見合わせて笑う中、

他の者達は慌てて八幡を追いかける事になったのだった。

ちなみに後日、この時断った事を口実に、

ミサキのヴァルハラ・ウルヴズへの参加が決定した事を付け加えておく。

転んでもただでは起きないミサキなのであった。




やはり逃げ切れませんでしたね!
明日から12時投稿に戻りますのでお気をつけ下さい!

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