量が多いので徐々に直していきます!
スモーキング・リーフの前に到着した一同は、口々に店についての感想を述べていた。
「うわ、何ここ……」
「見るからに怪しいな」
「いやいや、こういうのがいいんだろ!いかにもって感じで!」
「これは名店の雰囲気がぷんぷんするわね……」
「これ、入り口に触るとパスワードの入力を求められますね……」
好奇心で入り口に触ったシウネーが、驚いたような顔でそう言った。
「マジか、益々怪しいな」
「ルクスはよくこんな店を知っていたわね」
「あ、えっと、お友達に教えてもらったんですよ、
ちなみに信用出来る人しか連れてこないようにっていう条件が付けられてます」
そのルクスの言葉は、確かに一同の心を打った。
「そ、そう、まあ別に嬉しくなんかないんだからね」
「ランは素直じゃないなぁ、ストレートに嬉しいって言えばいいじゃない」
ユウキにそう言われたランは顔を赤くし、そっぽを向きながら言った。
「ま、まあ嬉しくなくはなくはなくはないわね」
「いや、長いから……」
ノリが呆れた顔でそう言った後、続けてこう付け加えた。
「私は悪い気はしないわね、というか嬉しいよ」
「私もです、信頼して下さってありがとうございます、ルクスさん」
シウネーも満面の笑顔でルクスにそう言った。
「俺も俺も!」
「俺も嬉しいかな」
「もちろんボクも嬉しいよ」
シウネーに続いてジュンが明るい声で、そしてテッチが落ち着いた声でそう言い、
その後にユウキが笑顔でそう言った、
「わ、わたくしもその、嬉しいと思います」
最後にタルケンがもじもじしながらそう言い、
そんなタルケンの背中をノリがバシンと叩いた。
「タル、あんたいい加減に女の子の前であがるその癖、治しなよ」
「そう言われて治るくらいならもうとっくに治ってるよ!」
そのやり取りで一同は笑い、釣られてルクスも笑った。
ハチマンが相手の時と身内だけの時は、
年相応の子供のような反応をするスリーピング・ナイツの男性陣だが、
どうやらこういう場だと、三者三様の個性が出るらしい。
基本ジュンは明るく快活であり、テッチは落ち着いており、
タルケンは若干繊細な感じのようである。
「さて、それじゃあ中に入りましょうか、今パスワードを入力しますね」
そう言ってルクスがパスワードを入れると、カランカラン、というベルの音と共に、
店の入り口の扉が開いた。
「失礼します、先日こちらにお邪魔させて頂いた、ルクスですが……」
「いらっしゃいませ、あっ、今日も来てくれたんだ、ありがとにゃ、ルクスさん!」
「ああ、話は聞いてるよ、私はリョク、宜しくじゃん」
そんな二人をリツとリョクが出迎えた。どうやら今日の店番はこの二人のようである。
「今日はどうしたのにゃ?それにそちらは……」
「新しくこちらの顧客になってくれそうな信頼出来る人達を連れてきました、
こちらはスリーピング・ナイツの方々です」
そして自己紹介が行われ、
スリーピング・ナイツはリツ達にその存在を認知される事となった。
「今後ともご贔屓ににゃ」
「それでですね、リツさん、リョクさん、色々教えて欲しい事があるんですが……」
「うん?何かにゃ?」
「えっと……」
その時、店の奥から何者かが姿を現した。
一人はリョウ、そしてもう一人は、よたよたと歩く、ALOでは珍しい老婆であった。
「あれま、お客さんかえ?」
「へぇ………私はリョウ、あなた達、随分と強そうねぇ、ちょっと戦う?」
「これリョウ、少しは自重するのじゃ」
「ちぇっ、は~い」
その老婆にそう窘められたリョウは、大人しく後ろに下がった。
そして前に出た老婆は、一同に自己紹介を始めた。
「儂の名はローバー、今度ここに店を出させてもらう事になった者じゃ、宜しくな」
「べ、別のお店ですか?ここに?」
「ついさっき急に決まった話なのにゃ、なのでお客さん達が、
ローバーさんのお店の最初のお客さんなのにゃ」
「ちなみにローバーさんのお店は基本カタログ販売で、商品は後日に手渡し方式じゃん」
「そうなんですか、これから宜しくお願いします、ローバーさん!」
「こちらこそ宜しく」
そしてリツは、ルクスからの色々な質問に答える事となり、シウネーもそれに加わった。
その間残りの者達は、ローバーが差し出してきたカタログを見ながら、一喜一憂していた。
「ちょ、ちょっとおばば様、これって本当に売ってるの?」
「もちろんじゃ、何か気になる物でもあったかえ?」
「これ、これよこれ、この刀、ここに書いてあるスペックって本当なの?」
「どれ……ああ、スイレーじゃな、確かにそれで間違いないぞえ」
そのローバーの言葉にランは眼を輝かせた。
「欲しい!でもお金は無い!」
「なら誰かに買われないうちに、その金額を目標に頑張って稼ぐんじゃな」
「分かった、頑張って貯める!絶対に買うから可能なら予約をお願い」
「やれやれ、まあ仕方ないのう、一ヶ月待ってやるわい」
「ありがとうおばば様!」
まさに即断即決であった。
「おいおいラン、それってそんなにいい物なのか?」
そのジュンの質問に、ランは目を血走らせながらこう答えた。
「いい物なんてもんじゃないわよ、これは最終装備クラスの武器よ!神刀クラスよ!」
「げっ、マジで?」
「ローバーさんって何者なんだろう……」
その驚きも束の間、続けてユウキが絶叫した。これはとても珍しい事である。
「うわあああああああ!」
「なっ、何じゃ小娘、一体どうしたんじゃ?」
「おばば様、これ、これ!」
「ん~?ああ、セントリーか、これが欲しいのかえ?」
「欲しい!」
「なら頑張ってお金を稼いでくるんじゃな」
「うん、稼ぐ!なので予約をお願い!」
「またか……まあ構わんぞい、頑張るんじゃぞ」
「ありがとう、おばば様!」
喜ぶユウキに、テッチが恐る恐るこう尋ねた。
「ユウキ、もしかしてそれも?」
「うん、魔剣クラス、もしかしたら神剣かもね!」
「それは凄いな……」
テッチはううむと唸り、先程と同じように、タルケンがぼそりと呟いた。
「ローバーさんって本当に何者なんだろう……」
「儂はただの老婆じゃよ」
「うわっ、もしかして聞こえてましたか?」
「聞こえてたが気にする事は無いわえ、別に悪口とかじゃなかったからのう」
「す、すみません」
そう謝るタルケンに、ローバーは気にするなという風に鷹揚に手を振った。
「ちなみにその二本なら今手元にあるぞい、
このカタログの内容が本当だと証明する為に、ちと持たせてやるかのう」
「い、いいの!?」
「ど、どこ?」
「ここじゃ」
そう言ってローバーは、ストレージから一本の刀と一本の剣を取り出した。
それを見た一同は、思わず背筋がゾクッとするのを感じた。
「凄え迫力……」
その二本を見たジュンは呆然と呟いた。そしてテッチもその呟きに同意した。
「本物だね……」
スリーピング・ナイツのサポート役として自らを鍛えてきたシウネーは、
目を見張りながらこんな感想を述べた。
「これは武器の心得が無い私が見ても、何かくるものがありますね」
「いやいやシウネー、マジ凄いってこれ」
ノリが武器から目を離さないままそう言い、タルケンは頬を紅潮させながらこう呟いた。
「何か吸い込まれそうだね……」
その言葉通り、ランとユウキの目はその二本の武器に釘付けとなっていた。
「ほれ、二人とも、正気に戻らんかい」
そんな二人の頬をローバーが軽く叩いた。
「あっと、ごめんなさいおばば様」
「うわ、うわぁ、おばば様、持ってみてもいい?」
「その為に出したんじゃ、二人ともほれ、持ってみい」
そしてランはスイレーを、ユウキはセントリーを、ローバーから受け取った。
「リツさん、これ、庭を借りてちょっと振ってみてもいい?」
「構わないにゃ、こっちにゃ」
そして二人は庭で、近い将来自分の物になるであろう、武器を振ってみた。
「こ、これは……」
「カタログスペック以上にくるものがあるね……」
その瞬間に、その二本の武器から、リン、という音が聞こえ、
二人の脳裏にSAOのフロアボスらしきモンスターと戦う自分達の姿が浮かんだ。
その手にはスイレーとセントリーがしっかりと握られ、そんな二人の隣に、
輝くレイピアを持つ、長い水色の髪をした見た事もない美しい女性がいた。
その映像は一瞬で消え、二人は現実へと引き戻された。
「い、今のは……」
「ん、どうかしたのかえ?」
「う、うん、これを持って何か巨大なモンスターと戦うボク達の姿が見えた!」
「それに、見た事がない見知らぬ女性が私達と一緒に戦っていたわ、
光輝くレイピアを持った、長い水色の髪の綺麗な女性よ」
「ほう……まあ未来にそういう事があるのかもしれないのう」
ローバーはそうなった原因に心当たりが無い為、
二人から武器を受け取りつつ、もしかしたらいずれそうなるのかもしれないなと、
漠然とした感想を述べるに留めた。
「二人とも、この武器はどうじゃったかの?」
「「絶対に欲しい!」」
「そうかそうか、まあ頑張るんじゃよ」
他のメンバー達も、自分達のレベルに合わせた武器や防具に目星を付け、
こうしてスリーピング・ナイツの最初の目標が決まった。一にも二にも、金策金策である。
「ルクス、シウネー、リツさんから話は聞けた?」
「はい、バッチリです」
「情報を共有し、確認しました」
その事を確認した後、ランは続けて仲間達に指示を出した。
「それじゃあとりあえず、当面の拠点にする場所を探しましょう、
リツさん、何かそういう物件に心当たりは無い?」
「ごめんなのにゃ、私はそっち方面には疎いのにゃ」
「借家なら私に心当たりがいくつかあるじゃん」
そう横から口を出してきたのはリョクであった。リョクはこの店を探すに辺り、
いくつかの物件をハチマンと一緒に実際に見に行った経験があった。
「こことここ、それにここ辺りに、レンタル出来るそれなりに広い家があるじゃんね」
「ありがとう、このお礼はいずれ!」
「うちに素材を卸してくれればそれでいいじゃん」
「分かった、必ず持ってくるね!」
そして一同が別れを告げ、拠点を探しに行こうとしたその時、
今まで黙っていたリョウがローバーにこう言った。
「ローバーさん、そろそろ戦う?」
「儂は戦わんぞ?」
「そうじゃなくて、ほら、分かるでしょ?」
どうやら先程スイレーとセントリーを見せられたリョウは、
我慢の限界が来てしまったようで、
ランとユウキを見てハァハァと荒い息を吐きながらもじもじしていた、少しエロい。
「やれやれ、そこの二人がいいというなら別に構わんぞい」
「どう?」
その言葉に二人は顔を見合わせた。
「やってもいいんだけど、手持ちの武器が心もとないのよね」
「うん、ボクもそんな感じ」
「ローバーさん」
リョクは縋るような目でローバーをじっと見つめ、
ローバーはやれやれといった感じでストレージから、
それなりの性能に見える武器を取り出した。
「中の上くらいの武器じゃがこれでいいかえ?」
「ええと……うん、これならいけるかも」
「ボクも大丈夫!」
「それじゃあ仕方ない、この婆が訓練場まで案内してやるかえ」
「ありがとうおばば様!」
こうして成り行きから、ランとユウキの二人はリョウと剣を交える事となった。