ハチマンくんとアスナさん   作:大和昭

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すみません、昨日は急用があって更新出来ませんでした!


第784話 デュエルの聖地

 ハチマンとユージーン、それにナタクとカゲムネと、サラマンダー軍の職人達、

更になし崩しで手伝わさせられたクックロビンとフカ次郎は、

出来上がったステージを見てご満悦状態であった。

 

「おお……」

「これは中々いい出来なんじゃないか?」

「誰かに自慢したい……」

「まあそのうち口コミでここを訪れるプレイヤーの数も増えるだろ」

「いずれ大会とか開きたいね!」

「お前は仕事しろ」

「え~?手伝ったのにそれはない!」

「というかお前、成り行きで手伝わさせちまったが、ちゃんと仕事はしてるんだろうな?」

「大丈夫大丈夫、ライブが無い時はレコーディングもしくは曲作りだし、

ほら、元々私って、知る人ぞ知るタイプの歌姫だったからさ!

多少名前が売れたからって、ガツガツ働くタイプじゃないのよ」

「ならいいが……」

 

 その会話を横で聞いていたユージーンが、きょとんとした顔で二人にこう尋ねてきた。

 

「も、もしかしてクックロビンは、プロのシンガーか何かだったりするのか?」

「え、ユージーンさん知らなかったんだ?ロビンさんは実はあの…………もがっ!」

 

 神崎エルザの大ファンであるフカ次郎が反射的にその質問に答えそうになり、

ハチマンは慌ててフカ次郎の口をふさいた。

 

「おいフカ、他人の個人情報を勝手に言おうとしてるんじゃねえ」

「ご、ごめんなしゃい……」

「という訳でユージーン、まあそういう事だ」

「つ、つまりプロなのは否定しないのだな!?」

 

(まあこいつは見た目のイメージが百八十度違うから、

中身が誰なのかがバレる事はないだろうけどな)

 

 ハチマンはそう思いつつ、後はクックロビン本人に任せようと思い、

その背中をポンと叩いた。それを受けてクックロビンはユージーンに笑顔でこう言った。

 

「は~い、一応プロで~っす、でも本業はハチマンの性奴隷で~っす」

「ばっ……おいこらロビン、デタラメ言ってんじゃねえ!」

「え~?前は私が気絶するくらい、あんなに激しくしてくれたじゃない!」

「それはお前が勝手に……」

 

 そう抗議しようとしたハチマンの目の前に、いきなり魔剣グラムが突きつけられた。

 

「おわっ、いきなり何をしやがるユージーン」

「き、貴様という奴は……プロのシンガーといえば我々にとっては天の上の人だぞ!

それなのに、それなのにお前は!」

「別におかしな事は何もしてないぞ」

「知り合いなだけで羨ましいんだよ!」

「羨ましい……?」

 

 クックロビンの普段の態度がアレなだけに、

知り合いなのが羨ましいという感覚はハチマンの中には無かったが、

よくよく考えると確かにその通りである。

 

「まあ私のファンがハチマンの事を知ったら、多分殺されるんじゃない?」

「俺は何もしてねえだろ!」

「月の出ていない夜は魔剣グラムの錆にならないように精々気を付けるんだな!」

「お前が一番怖えんだよユージ-ン!さっさとその剣をしまいやがれ!」

「しまいたいのはやまやまだが、グラムが大人しく言う事を聞いてくれるかどうか分からん」

「剣をカタカタさせるんじゃねえ、それ、絶対お前がわざとやってんだろ!」

「ちなみにリアルの私はとても小さくてかわいいわよ」

「お前も煽るんじゃねえよ!」

 

 ハチマンは息を荒げたが、

そんなハチマンを、ここまで黙っていたフカ次郎がツンツンつついた。

 

「おうフカ、お前からも何か……」

「リ、リーダー!一般人の私を性奴隷にすれば、

命の危険もなく誰にも文句を言われる事もなく快楽を貪れますよ!」

「別にそんなもん欲してねえよ!お前は少し黙ってろ!」

「ええ~?私の方がロビンさんよりも胸があるからきっと色々と気持ちいいよ!」

 

 その瞬間に、今度はフカ次郎の目の前にクックロビンが剣を突きつけた。

 

「フカちゃん、それは私に対する挑戦?」

「ここは引けねえなロビンさん、実際のとこ絶対に私の方が抱き心地がいい!」

「私は確かに胸はないけど、どこも柔らかくて抱き心地は最高なんだけど?」

「上等だ、せっかくデュエルステージが目の前にあるんだ、

こうなったら剣で白黒つけようぜ」

「望むところ!」

 

 そう言って二人はすぐ横にあったサブステージに上っていきなり戦い始め、

ユージーンは呆気にとられたようにそれをぽかんと見つめていた。

 

「おいユージーン、少しは落ち着いたか?そもそも俺にはアスナがいるんだ、

性奴隷だのなんだの言ってたら、アスナに殺されちまうって」

「う、うむ、確かにそうだな」

 

 ユージーンは多少頭が冷えたのか、そう言って剣をおろした。

 

「確かにそんな事がある訳ないな、このご時勢に性奴隷などと………

ん?いや、しかし実際そうではなくても、志願者が二人いるのは間違いないのではないか?」

「チッ、そこに突っ込んできやがるのか」

 

 ユージーンがハッとした顔でそう言い、ハチマンは舌打ちした。

 

「き、貴様、ふざけるな、羨ましすぎるだろ!」

「だったら代わってやる、俺だって困ってるんだからな」

「典型的なハーレム野郎のセリフを吐きやがって!」

 

 ユージーンはそう叫んでいきなり魔剣グラムをハチマン目掛けて振り下ろし、

ハチマンは慌ててそれを避けた。

 

「おわっ、危なっ」

「俺達も勝負だ、メインステージに上がれ!」

「面倒臭え……」

 

 ハチマンはとても嫌そうな顔でその勝負を受け、

ステージへと上がり、ユージーンと戦い始めた。

 

「死ねリア充、爆発しろ!」

「過去の自分がフラッシュバックして、凄く胸が痛くなるセリフだな……」

 

 とはいえここはそこそこメジャーな観光スポットであり、

ステージ建設の噂が広まっているから今はあまり人は来ないからとはいえ、

それでもいつ人が来るか分からない。

 

(ユージーンのこんな格好悪い姿を他の奴に見せるのはなぁ……)

 

 ハチマンはかなり上から目線でそう考え、

魔剣グラムの攻撃がこちらの防御をすり抜けるのを利用し、

いわゆるクロスカウンター方式の、武器を弾かないカウンターをユージーンにくらわせ、

容赦なくユージーンを一発KOした。ちなみに半減決着モードである。

ユージーンがどれだけ無防備にその攻撃をくらってしまったかがよく分かるというものだ。

いつものユージーンならここまで簡単にやられはしないのだろうが、

完全に冷静さを失っていた為、もろに攻撃をくらってしまったようである。

ユージーンはそれで一気に頭が冷えたのか、ばつが悪そうな顔でハチマンに謝った。

 

「すまん、よく考えたらお前のそれはいつもの事だったな」

「そう言われるのも何か嫌だなおい」

「もう諦めろ、お前はこれから一生女で苦労するがいい」

「不安になるような事を言うなよ、フラグになったらどうしてくれるんだよ!」

 

 そうエキサイトするハチマンを尻目に、

ユージーンはクックロビンとフカ次郎の戦いに目を向けた。

 

「あの二人も大分強くなったみたいだな」

「そろそろお前も危ないんじゃないか?」

「かもしれん、追いつかれない為にも早くオリジナル・ソードスキルを開発せねばな」

「本当に大変みたいでアスナが毎日煮詰まった顔をしてるぞ」

「そうなのか、それはやり甲斐があるな」

「まあ頑張れ」

 

 その二人の戦いは、傍から見ると激戦であったが、実は罵声の応酬が繰り広げられていた。

 

「そもそもうちにはかなりのランクのおっぱいキャラが揃ってるのよ、

そこに中途半端なおっぱいが混じったって、埋没するだけじゃない!

だったら私みたいにほとんど無い方が、需要を満たせるのは間違いないわ!」

「はっ、それなりにあるってのは、

つまりリーダーに揉んで大きくしてもらえる望みがあるってこった、

まったく無いのは望み薄すぎて、育ててもらう楽しみが味わえないんだぜ!」

 

 このように、裏では非常に醜い戦いが行われていたのだった。

 

「お~いお前ら、そろそろ俺は帰るぞ」

「あっ、待ってリーダー!よし、次で決着をつけてやる!」

「望むところ!」

 

 二人もこの時は半減決着モードで戦っていたが、

お互いの残りHPは六割程度であり、二人とも次の一撃で、

相手を殺すつもりで威力の高い単発ソードスキルを放つつもりであった。

 

「死ね、微乳!」

「死ね、無乳!」

「何て掛け声だよお前ら……」

 

 この勝負は自分の攻撃が先に相手に届いた方の勝ちであったが、

今回の場合、それはまったくの同時であった。

二人は相打ちで同時にリメインライトとなり、

ハチマンは呆れた顔で、二人のリメインライトに向かって言った。

 

「先に戻ってろ、別に待たないで落ちてもいいからな」

 

 そんな二人の戦いを見て、ユージーンとカゲムネは肩を竦めた。

 

「女は怖いな……」

「俺、あんな奴らを平気で仕切ってるハチマンさんを尊敬しますよ…………」

 

 この日から徐々にこの場所の事が口コミで拡散し、

多くのプレイヤー達が、自分の腕を磨きに訪れるようになり

そしてここはいつしか、デュエルの聖地と呼ばれるようになった。

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