ハチマンくんとアスナさん   作:大和昭

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そういえば書き忘れてましたが、SAOのアニメ二期三話「鮮血の記憶」の冒頭三秒くらいの校舎内の下駄箱の場面で、一番左端にいる男女がファーブニルとヒルダです。


第920話 楽しい時間

「そういえば八幡、また新しい女の子を二人捕まえたんだよね?

リアル連絡先を教えてもらってたって聞いたよ?」

「あら、それは聞き捨てなりませんわね」

「人聞きの悪い事を言うなエルザ、お前は知ってるだろ?

七つの大罪のアスモゼウスと、アルン冒険者の会のヒルダだよ」

「えっ、その二人?まあヒルダちゃんは分かるけど、あの痴女がどうして………」

「痴女?その方は痴女ですの?」

「あ~、うん、二つ名を付けるなら、『ALOのミサキチ』かな」

「あら、それは痴女ですわね」

 

 その美咲の感想に、八幡はそれでいいのかと思いっきり突っ込みたくなったが、

実際美咲の格好はそういった傾向が強い為、

自覚してるのならまあそれでいいかと思い直す事にした。

 

「そもそもどんな経緯でそんな事になりましたの?」

「ああ、実は………」

 

 八幡は先日の狩りの事を二人に説明した。

 

「げっ、ラプ?あいつら本当にうざいんだよねぇ」

「そうなの?」

「うん、あいつらはGGOで言うと何だろ、ヤミヤミとタラオのコンビみたいなもんよ」

「その例えはどうなんだ………?」

 

 八幡は呆れたが、エルザは尚も熱弁を振るった。

 

「あいつらは一人一人だと弱いのに、群れると連携とか本当にうざいじゃない?

まさにラプトルって感じなのよ!」

「ああ、そういう………」

「そう言われるとそうなのかしら、まあ私はあの二人より弱いから、何ともだけど」

 

 美咲もそれで一応納得したらしい。

 

「まあジュラシック・パークに出てくるような、あんな感じですね」

「それは怖いわねぇ、あんなのに囲まれたら生きて帰れる気がしないわ」

 

 そう言いながらも、GGOのミサキなら絶対に生還するだろうと八幡は確信していた。

それは事実であり、今の美咲は八幡に自分はか弱いアピールをしているだけなのである。

 

「しかしそのヒルダちゃんって子は、中々やるわよね」

「ですよね、俺もあれには感心しましたよ」

「だね、根性あるよねぇ」

「もうちょっと鍛えればまあ、

うちのメンバーにしても差し支えないくらいの実力にはなると思うんですよね」

 

 その八幡の言葉は、他のギルドのメンバーに向ける言葉としては、

やや傲慢に聞こえるかもしれないが、最高の評価であった。

 

「あら、随分と高評価ですわね」

「それじゃあアスモゼウスは?」

「あいつはちょっと分からないわ、ヒーラー兼弓使いとは言ってたけど、

戦いはあまり好きじゃないみたいだしな。

まあどんな奴かは詩乃が調べて報告してくると思うぞ」

「えっ?何でしのノン?」

「いや、二人とも詩乃の学校の生徒らしいんだよ」

「何その偶然、ありえるの?」

「実際そうなんだからありえるんだろうさ」

「へぇ、面白いね」

 

 三人はそんな感じで盛り上がっていた。

どうやら美咲は最初からこの事を想定していたのか、

料理の量も二人分とは思えない量があり、三人は存分に飲み食いする事が出来た。

 

「ふう、お腹いっぱい!それに凄く美味しかった!」

「あら、それはありがとう」

「今日の料理は全部ミサキチが作ったの?」

「ええ、実はそうなの、今日は板さんにもお休みしてもらったしね」

「へぇ、それでこのクオリティか、ミサキチは凄いね」

「それじゃあデザートをお持ちしますわ」

 

 そう言って美咲は余計な物を下げていき、八幡もその後に続いて食器を下げ始めた。

 

「あら八幡様、そんな事は私がやりますから」

「いえ、今日は貸し切りにさせちゃいましたし、これくらいはさせて下さい、

この後一人で片付けするんですよね?なのでまあこれくらいは、ね?」

「ふふっ、大丈夫ですよ、杏に手伝わさせますから」

「ああ、杏は元気ですか?」

「ええ、大学を卒業したら、直ぐ店に入るって言ってくれて、

これからは多少私も楽が出来そうですわ」

「そうですか、それは嬉しいですね」

「あの子には好きな道に進んで欲しいとずっと言ってたんですけど、

店を継ぎたいと言ってくれて、正直これでほっとひと安心ですわね」

「まあまだまだ先の話ですよね、大変でしょうけど、これからも頑張って下さい」

「ふふっ、八幡様とは長い付き合いになりそうですわね、これからも公私共に宜しくですわ」

 

 そう言って美咲はペロリと舌なめずりをした。

八幡はアスモゼウスもエロいと思っていたが、やはり美咲のが遥かに格が上のようだ。

 

「よ、宜しくお願いします」

 

 八幡はそう言って、逃げるように元の席に戻った。

このままでは変な雰囲気になりそうだと判断したからである。

 

「八幡お帰り!今暇だったから、GGOの公式ページを見てたんだけど、

新しいPVがアップされてたよ」

「ほう?」

「せっかくだし一緒に見てみようよ」

「そうだな、美咲さんが戻ってきたら見てみようぜ」

「うん!」

 

 エルザは食欲が満たされたせいか、かなり変態度が下がったようだ。

八幡にとっては幸いである。そして美咲がデザートを持って戻ってきた後、

三人は並んでそのPVを見る事にした。具体的には八幡のスマホで映像を見て、

二人がその横から体を密着させ、画面を覗き込む格好である。

 

「二人とも近い、近いから」

「え~?だって見にくいんだもん!」

「八幡様、ここは男らしくぐっと私達を抱き寄せてくれて構いませんのよ」

「い、いや、それじゃあスマホが持てないんで」

 

 八幡は仕方なく二人の接触を許容し、そしてスマホの画面にGGOのPVが流れ始めた。

 

「お?」

「あっ!」

「これはまた………」

 

 そこに出てきたのは恐竜の群れであった。その中に恐竜のようなヒト種が混じっている。

 

「これはまた偶然だな」

「まあ完全にファンタジーに寄せるよりはいいのかもね」

「ラプトルも出てくるのかしら」

「出るんじゃないですかね、まったく厄介な」

 

 八幡はそう言ったものの、少し嬉しそうに見えた。やはり恐竜は男のロマンなのである。

 

「日付は………十二月上旬か、ALOより三週間くらい早いね」

「とりあえずこっちに全力投球だな」

「ふふっ、楽しみですわね」

「それじゃあデザートを頂こっか!私、もう我慢の限界だよぉ!」

 

 三人はそのままデザートを食べ、

その後もバージョンアップがどうなるのか楽しそうに会話を続けた。

そして楽しい時間はあっという間に過ぎていき、八幡とエルザは店をお暇する事にした。

 

「ミサキチ、今日は本当に楽しかったね!」

「ええそうね、また今度、二人で遊びましょうね」

 

 それはおそらくリアルでという事なのだろう。この二人、実はそれくらい仲良しである。

だが八幡には、美咲とエルザはタイプが違いすぎて、

二人が一緒にどんな遊びをするのか見当もつかなかった。

 

「美咲さん、料理も本当に美味しかったです」

「ありがとうございます八幡様、今後ともご贔屓に」

 

 美咲はそう言って八幡に微笑んだ。

あまり押しすぎるのもまずいと思ったのか、余計な事は一切言ってこない。

 

「あ、そうだ、もしかしてここに、大野財閥の会長ご夫妻って来たりしますか?」

「春雄さんと晶さんの事かしら、それならたまにおみえになりますわ」

「そうですか、つい最近お二人と知り合ったんで、もしいらしたら宜しくお伝え下さい」

「あらそうでしたの、分かりましたわ」

「トラフィックスのバージョンアップも決まりましたし、

そしたらまたみんなで戦いに行きましょう」

「ふふっ、その時を楽しみにしていますわ」

「ミサキチ、それじゃあお会計!」

 

 エルザがそう言って財布を取り出したのを、八幡が慌てて止めた。

 

「いや、それは俺が払うって」

「別にいいよぉ、今日は私が誘ったんだし」

「いや、そもそも今日の飯はお礼の為なんだし、う~ん………」

「まあ大人しく半分ずつでいいんじゃありませんこと?」

 

 その言葉に八幡とエルザは顔を見合わせた。

 

「まあそれもそっか」

「そうだな、そうするか、ただし端数は俺が出すからな」

「はいはい、それでいいよ、その代わり次は私が端数を出すからね!」

「へいへい」

 

 そして二人は『美咲』を出て、そのまま帰途についた。

 

「そういえばエルザ、美咲さんにも相談しようと思ってさっき聞きそびれちまったんだが、

ヒルダに飯を奢ってやるとして、エルザは自分が高校の時、

どんな店に連れてってもらいたいと思ってたか聞いてもいいか?」

 

 その瞬間に、エルザがかつてない程ビクンビクンとなった。

 

「えっ?ど、どうした?」

「………う、ううん、ここで他の女の話を出してくるなんて思ってもいなかったから」

「う?わ、悪い、そんなつもりは無かったんだが………」

「ううん、気持ち良かったから気にしないで」

 

 ここでまさかの変態が復活し、八幡は余計な事は言わないように極力無言でいる事にした。

 

「えっと、高校の時かぁ、とりあえず制服で入っても平気な程度に堅苦しくない所で、

それでいて清潔感があって、安っぽくない所がいいと思うな」

「うぐ、俺にはハードルが高いなそれ」

「まあ帰った後に………」

 

 そう言いかけてエルザはピタリと動きを止めた。

 

「………ううん、うちに送ってもらうついでにちょっと上がってきなよ、

色々なお店で撮った写真とかもあるし、

それを見せながらいくつか候補になりそうな所を教えてあげる」

「おお、そうか、お前のチョイスなら安心だな、悪いが宜しく頼むわ」

「うん、任せて!」

 

 こうして八幡は、エルザの家にお邪魔する事になったのだった。

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