真・女神転生X   作:QV

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ヒロイン登場


3:断じてギャルゲーの主人公ではない

「うわああああああああああああっ!!」

「きゃああああああああああああっ!?」

 

 く、来るなっ!来るなって、あれ……?? 

 目の前に迫るバケモノの顔が唐突に掻き消え、見慣れた天井が目に映った。

 バケモノの姿を探すが、どこにも見当たらない。

 呼吸は荒く、心臓もやかましいくらいに激しく鼓動している。

 暫く横になったまま、呼吸が整うのを待つ。

 ……段々と落ち着いてきたので、恐る恐る上半身を起こした。

 起きたのはベッドの上だ。

 部屋に異常はない。あれだけ暴れたのにも関わらず、その跡すら無かった。

 窓に目をやるとカーテンの隙間から光が漏れていた。鳥の鳴き声も聞こえてくる。

 ……バケモノの姿は影も形も無かった。

 いつもと何も変わらない朝の光景だ。

 ……そう、目の前に立っている女の子も含めて。

 

「お、脅かさないでよ、宗司……」

 

 茶色がかった髪を肩口まで伸ばし、ファッションモデルばりのスレンダーなスタイルをした綺麗な顔の女の子だ。

 いかにもびっくりしたという風に胸に手を当てている。

 彼女の名前は立花(たちばな)(さくら)。隣に住んでる幼馴染だ。

 

「……お早う、桜?」

 

 とりあえず朝の挨拶をする。挨拶は大事よ!

 

「お早う、じゃないわよ。うなされてたから起こそうと思ったら、急に大声出すんだもん。ビックリしちゃった」

 

 どうやら俺の叫び声に驚いたらしい。

 

「あー、ワリィ」

「……いいけど、どうしたの?悪い夢でも見た?」

 

 そう言うと探るように顔を覗き込んできた。

 小さい頃から見慣れている顔だが、間近で見るとやっぱりドキッとする。

 ……改めてみると、やっぱ美人だよな、コイツ。

 その上成績優秀、スポーツ万能。

 それらを鼻にかけることのない優しい性格ときた。

 学校の連中がアイドル扱いするのも分かるわ。

 ……実は音痴なのは本人の名誉のためにも内緒だ。

 こんな完璧(一歩手前)超人が俺の幼馴染だというから世の中分からない。

 お陰で学校の男連中のヤッカミが激しいこと激しいこと。

 いくら俺と桜はただの幼馴染だと主張しても聞く耳持ちやしない。

 こないだだって……。

 

「宗司?」

 

 桜の声に我にかえる。

 いかん、つい考え事に熱中してしまった。

 

「スマン、何でもない」

「そう?それならいいんだけど」

 

 ……あんまりグダグダやってたら遅刻しちまうな。

 そろそろ着替えるか。

 

「朝ごはん出来てるから、早く来なさいよ」

 

 そう言うと部屋を出て行った。

 一人暮らしになってから食事作ってもらうようになったけど、学校の連中にバレたら半殺しだよな……。

 益体のない事を考えつつ、制服に着替える。

 ふと、もう一度部屋を見渡した。

 やっぱりいつも通りの俺の部屋だ。

 バケモノが這いずりまわった跡も、俺が暴れた跡も無い。

 床に倒れていたはずなのに、起きたらベッドにいたのも妙な話だ。

 そこまで思い至って、あのバケモノがどうなったかを思い出した。

 シャツをめくって自分の身体を確かめる。

 ……昨日までと何ら変わりない、貧弱ではないが筋骨隆々でもない、至って普通の身体がそこにあった。

 

「夢、だったのか……?」

 

 普通に考えればそうだ。

 パソコンのモニターから変なバケモノが出て来て、俺の身体に入り込んだ。

 アニメや映画じゃあるまいし、現実でそんな事起きるわけがない。

 だが……、

 

「それにしちゃヤケにリアルだったんだよなぁ……」

 

 今でもハッキリ思い出せる。

 バケモノに喉を犯される苦しみ。

 身体がバラバラになりそうな痛み。

 どれもが夢とは思えない、リアルな感覚だった。

 

「けど、なんともないってことはやっぱり夢だったって事、だよな?」

 

 半ば自分に言い聞かせるように結論付け、部屋を出た。

 

 

 

 

 朝飯を食べ終わり、桜と一緒に家を出る。

 今日も太陽は絶好調。朝だというのにご苦労なことだ。

 

「おじさん達はもう出たのか?」

「うん、私がこっちに来る前に出た」

 

 桜の両親は今日から長期の旅行に出かけるらしい。

 世界一周旅行だか何だかって言ってたな(ホントか冗談かは知らんが)。

 

「しっかし、年頃の娘を残して行くか、フツー?」

「あははは……」

 

 俺のボヤきに苦笑で返す桜。

 親父達も大概だが、おじさん達も相当なもんだよな。

 おばさんなんか、(さくら)をよろしくってニヤニヤしながら言ってきたぞ。

 いくら幼馴染だからって、娘と同い年の男に言っていいことじゃないだろ……。

 

「いいよ。たまには夫婦水入らずで過ごさせてあげたかったし」

「……そういう問題かぁ?」

 

 などと喋りながら桜と一緒に登校した。

 いつもと何も変わらない、平和な一日の始まり。

 

 

 

 

 ――この時は、まだそう思っていた――。




3話まで書いたのに、まだ日常パートだよorz
血沸き肉踊る大冒険&バトルを期待してる人
他作品とのクロスオーバーを心待ちにしてる人
大変申し訳無い
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