な、何を(ry
※今回、今作の世界観について多少触れています
学校へは余裕をもって着いた。
教室にはもう何人かクラスメートの姿が見える。
余談だが桜と同じクラスだ。
「よう、宗司」
桜と別れて自分の席に着くと、小太りでボサボサ頭の男が話しかけてきた。
コイツの名前は
いわゆるオタクであり、特にゲームはレトロからパソゲーまで幅広く網羅している。
俺もゲームは好きなので、コイツとはよくつるんでいる。
昨日ゲーセンで一緒に遊んだのもコイツだ。
「おう、お早う」
「アレどこまで進んだ?」
いきなり何だ?
「何だよ、アレって?」
「アレだよ、『メガテンⅣ』」
あー、あれか。
『メガテンⅣ』正しくは『真・女神転生Ⅳ』。
最近3DSで発売されたRPGだ。
「昨日と同じ。まだオープニング終わったとこだよ」
「何だ?昨日はやらなかったのか?」
買ったのが一昨日で、昨日はネトゲの特殊イベントに参加してたからな。
昨日話した所から進んでない。
「いーよなー、3DS持ってる奴は。俺『ソルハカ』もやってないんだぜ」
「お前も買えばいいじゃん」
「ソフト買ったんで金が無い」
「胸張って言うことかよ」
そうやってソフトにつぎ込むから、ハード買えるほど金が貯まらないんだよ。
「で?今度は何を買ったんだ?」
「『東方紅魔郷』と『メルブラAC(PS2)』」
二つも買ってやがった。
「今はフランちゃんを攻略中だぜ!」
「聞いてないっつーの」
コイツが言うと危ない意味にしか聞こえないから不思議だ。
念の為に言うが、コイツは決して悪いヤツじゃない。
じゃなかったら友達付き合いなんかしていないからな。
「『メルブラ』は?」
「白レンが倒せねえ……」
あー、強いもんな。
「お早うございます」
孝と二人、そんな話をしてたら別のヤツが声をかけてきた。
名前は
孝とは正反対に、整った顔にメガネを掛け知的な印象を受ける。
さぞ女どもが放って置かないだろう。
「お早う。眠そうだな」
「ええ、昨夜は遅くまでDVDを見てましたから」
「……何を見たんだ?」
「『リリなのA's』全巻です」
……黙っていれば、だが。
そう、コイツは見た目に似合わず、孝同様の重度のオタクなのだ。
アニメ・マンガ・ラノベ方面を特に好み、その知識は孝すら上回る。
俺も多少知っているが、コイツには絶対敵わない。
こいつの言ってる『リリなの』――確か『リリカルなのは』だったか?――もほとんど知らないくらいだ。
結構なイケメンだし頭もいいのだが、これが理由で女子からは敬遠されている残念なヤツだ。
「やはりアレはいい。特にフェイト君のソニックフォームは素晴らしい」
とウットリさせながら語る。
……俺はそのフェイト君とやらも素晴らしいソニックフォームとやらも知らないが、コイツがいいというのだからいいものなのだろう。どういう意味でかはともかく。
「フェイトちゃんを幻想入りさせたらどこまでイケると思う?」
「彼女の持ち味はスピードを活かした接近戦ですからね。弾幕ごっこでは実力を発揮できないかもしれません」
「お前らは何の話をしてるんだ……」
三人で馬鹿な話をしてるうちに担任がやって来たので、二人共席に戻った。
今日もいつも通りの一日が始まる。
「あ、そうだ」
授業を受けたり、昼飯を食ったり、桜ファンクラブに追い掛け回されたりしながら時間が過ぎ、気付けば放課後。
今日は他に約束もないので桜と一緒に帰ろうと、準備をしていて思い出した。
同じく帰る準備をしていた桜に話しかける。
「悪い。田所先生の所に用があるの忘れてた」
「田所先生?ひょっとして前に言ってたアレ?」
「そ、アレ」
田所先生というのはこの学校の歴史の先生だ。
元々は考古学の優秀な研究者だったらしい。
有名大学から招待を受ける程だったが、それを断って子供の頃からの夢だった教師の道を選んだという変わり者である。
……まあ、田所先生に限らずこの学校は変わり者ぞろいなのだが……。
「そんな訳だから先に帰っててくれるか?そんなにかからないと思うし」
「それなら私も行っていい?ちょっと興味あるし」
まあ、構わないけど。
桜があんなものに興味を持つなんて珍しいな。
「あんまり面白くないと思うぞ?」
「いいからいいから」
桜を連れて田所先生の所へ向かう事になった。
というわけで職員室まで来たんだが、
「何でお前らまで……」
「ただの好奇心だ、気にすんな」
「そういうことです」
何故か孝と彰まで付いて来た。
お前らよっぽど暇なのか?
「失礼します」
中に入って先生を探す。
白衣を着た長い黒髪の女性教師が目に入り、声をかけた。
「田所先生」
「おお、河原か。ちょうど呼びに行こうと思っていたところだ」
彼女が田所先生だ。
見た目に似合わない男っぽい喋り方だが、教え方が上手く生徒の話を親身に聞いてくれるので人気が高い。
挨拶をしながら先生の方に向かうと、机の下から細長い包みを取り出した。
「ほら、預かってたものだ」
と言って包みを渡してきた。
礼を言って受け取り、包みを開けた。
出てきたのは一本の剣だ。
古びたボロボロの鞘に入っている。
ざっと眺めてからゆっくりと鞘から引き抜く。
――鞘の中からサビ一つ無い綺麗な刀身が現れた。
日本刀のように見えるが、反りの無い片刃の直刀である。
「これが宗司の家の家宝の剣……」
「すっげー、ホンモノの剣だぜ!ホンモノ!」
桜の言うとおり、これは我が家に伝わる家宝の剣だ。
かなり古いものらしく、由来などは全く伝わっていない。
先生はこの剣の事を聞きつけ興味を持ったらしく、四ヶ月程前に調べさせてくれないかとウチまで頼みに来た。
この剣については分からない事が多かったので、
その調査のために先生の元に貸し出されていたんだが、今日調査結果が出るらしいので剣と一緒に引き取りに来たというわけだ。
「それでどうでした?」
「まあ、そう慌てるな。今説明する」
いかん、焦りすぎたか。ちょっと落ち着こう。
「すいません。お願いします」
「うむ。まず由来についてだが……、正直に言って何も分からなかった」
先生の答えに一瞬呆気にとられる。
「……分からなかった?」
「どの文献にも該当する記述がない。知り合いの歴史家にも見せたのだが、結局何一つ分からなかった。形状から奈良時代以前の刀剣であると推測出来るのだが、それも確かではない」
……そりゃ無いよ。
ようやく長年の謎が解けるかもって期待してたのに……。
ガックリと肩を落とす俺だったが、
「おっと、がっかりするのは早いぞ」
面白いのはここからだ、と言って先生は続けた。
「剣の組成や製作技術から何か掴めないかと思ってな。昔居た大学の研究室に持ち込んで調べてもらった。驚くべき結果が出たよ」
おお!何か分かったのか?
先生の口ぶりに期待が高まる。
だが、次に先生が口にした内容は俺の想像の斜め上を行っていた。
「この剣に使われている金属は、現在知られているどの金属とも合致しない」
「へ?」
思わず変な声を漏らす。
どの金属とも違うって、それってつまり……、
「未知の金属……?」
「ああ、その可能性が高い」
先生の話に思わず手の中の剣をまじまじと見つめる。
ただの古い剣かと思ったら、まさかのオーパーツ?
何でそんなモンがウチに……?
「伝説の
「ヒヒイロカネ……?」
「日本神話に登場する金属ですよ。三種の神器を始めとする、神々の武具の材料だと言われています」
俺の疑問に彰が答えた。
神々の武具、か。更に話がデカくなってきた。
「今はこれ以上のことは分からん。専門の研究施設なら何か分かるかもしれんが」
「いえ、ありがとうございました」
とりあえずただの古い剣じゃなく、ワケの分からない古い剣だってことは分かったんだ。
何か謎が増えただけの気もするが……、まあ、いいか。
「まさかこの目でリアルロストロギアにお目にかかるとは!貴方には感謝してもしきれません!」
「神話の剣なんてすげーよな!ひょっとしてクサナギノツルギとかフツノミタマとかなんじゃね!?」
お前らちょっと落ち着け。何だよロストなんちゃらとかフツノなんちゃらって。
「そろそろ帰る?」
「そうだな……」
用事も済んだし、長居してもしょうがないよな。
じゃ、帰ろうか、と答えようと口を開く。
――その時だった――。
「うわああああああああああああっ!」
――ド ク ン――
「っ!?」
い、今の悲鳴は……?
それに、この嫌な感じは一体……。
「な、何だよ!アイツら!」
「バ、バケモンだ!」
続く悲鳴に思わず職員室を飛び出す。
悲鳴は職員室に面したグラウンドから聞こえてくる。
上履きのまま外に飛び出し、辺りを見回す。
――ド ク ン――
「なっ!?」
グラウンドの真ん中にソイツらはいた。
ギョロリとデカい、白く濁った目。
ヒョロリと長い手足。
アバラが見えそうな痩せた胸。
それとはアンバランスに膨れ上がった腹。
見るもおぞましい怪物達がそこにいた。
「な、何で……?」
だが、俺が驚いたのはヤツラが醜いからじゃない。
「何でアイツらがいるんだよ!?」
その姿に見覚えがあったからだ。
だが、アイツらがココにいる筈がない。
何故なら、アイツらは……、
「な、何、アレ!?」
「お、おい宗司!アイツらって!?」
「そんな、そんな馬鹿な!?」
アイツらの名は「ガキ」。
――『
空想の世界の悪夢が、現実の世界に姿を現した瞬間だった。
新登場の三人はサブキャラです
この先出番はあまりないかも……
皆様、長らくお待たせしました!
次回初戦闘です!