真・女神転生X   作:QV

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ようやく初バトルです

……主人公以外が


5:女神転生

 『女神転生』

 通称メガテン。

 和製RPGの代表格であるDQやFFと同様、ファミコン時代から続くロングランシリーズだ。

 王道的ファンタジーのDQ・FFに対し、ある伝奇SF小説を元にしていたコレは独自の路線を展開、現代を舞台にしたオカルトと科学の入り混じるダークなストーリーに当時のユーザーは衝撃を受けた。

 ユーザーを更に惹きつけたのが「悪魔」たちの存在だった。

 「悪魔」と言ってもコウモリの翼に山羊の頭のアレではない。いやアレ(バフォメット)もいるにはいるのだが。

 メガテンでいう「悪魔」とは、古今東西あらゆる神話・伝承・物語に登場する神や妖精、神獣や魔龍といった幻想の存在のことだ。

 メガテンには敵として登場する「悪魔」達を交渉で仲「魔」にするという、独特のシステムが採用されていた。

 加えて名だたる絵師たちによって従来のイメージを払拭された「悪魔」達の斬新なデザインもまた、ユーザーの関心を集めた。

 ダークなストーリーと「悪魔」。

 この二つによって『女神転生』は、誕生以来数十年に渡り支持を受け続ける傑作シリーズとなったのである。

 

「何だよコレ……?どうなってるんだよ!?」

 

 ……そして今、俺達の目の前で「悪魔」……ガキが生徒達を襲っていた。

 幻想(ゲーム)の存在が現実(リアル)に現れる。

 その事実が俺を大いに混乱させた。

 

「に、逃げろ!逃げるんだ!!」

「痛ぇ……。痛ぇよぉ……」

「み、みんな落ち着いて!校舎の中は安全だから!」

 

 グラウンドから校舎へと逃げこむ者、「悪魔」に傷を負わされ泣き叫ぶ者、何とかして皆を落ち着かせようとする者、混沌とした状況に俺の混乱が更に深まる。

 

 ――ド ク ン――

 

「う、ああ?」

 

 汗が止まらない。頭の中は真っ白だ。

 何をどうすればいいのか、全く分からなかった。

 ――なぜ?なぜこんなことが?やつらはどこからきた?あれはほんものなのか?――。

 空回りする思考に意識を持って行かれそうになった、その時、

 

「っ!?」

 

 耳に飛び込んできた音にふと我に返った。

 顔を上げ音の源を探る。

 グラウンドの真ん中……、四匹のガキがいる辺りに……、髪の短い女の子が!それにあれは!

 

 

 

 

「この!」

「ッ!」

 

 ガキの身体が吹き飛ばされ、その身体が激しく地面に叩きつけられる。

 それを成した者……透明な羽を持つ妖精の少女は標的が動かないのを見て、後ろにかばっていた少女に叫んだ。

 

「早く逃げて!」

「ひゃっ、ひゃい!」

 

 怯えていた少女はその声で正気に戻ったのか、リボンを揺らしながら校舎へと駆けていった。

 少女が逃げていったのを確かめ、妖精の少女は改めて目の前のガキ達に向き直る。

 

「あの子も逃げたし、あとは……!」

「キキキッ」

「グゲゲゲッ」

 

 残るガキに視線を向ける妖精の少女。

 こっちは一人だが問題ない。遠くから狙えば楽勝で勝てる。

 背中の羽をはためかせ距離を取ろうとした少女だったが、ふと目の前の光景に疑問を覚える。

 二匹しかいない?さっきまで四匹いた。一匹は仕留めた。残りは三匹のハズ。

 ……もう一匹はどこへ?

 

「ひゃあああああああああっ!」

「ケーッケッケッ!」

「っ!さっきの子っ!」

 

 後ろから聞こえてきた悲鳴に反射的に振り向く。

 ……それが失策だったと気付いたのは、背中に焼けるような痛みを感じた瞬間だった。

 

「っ!しまっ……た……」

 

 背中にガキの爪を受け、地面に落ちる妖精の少女。

 一方、逃げた少女も一匹のガキに追い詰められていた。

 

「来ないでぇ……。あっちに行ってよぉ……」

「キ、キ、キ」

 

 奇声を上げて迫るガキの姿に、恐怖のあまり後退る少女。

 

「よせ!危ない!」

「離してよ!急がないと妹が!」

「だ、ダメです!危険です!」

「はーなーしーてー!」

 

 少女の姉と友人が助けに行こうとして、周りに止められていた。

 

「キッ!」

「きゃあっ!」

 

 ラベンダーを思わせる綺麗な髪が一筋、振り下ろされる爪に持っていかれる。

 

「あ、あ、あ」

 

 観念したのかへたり込む少女。

 ガキは値踏みするかのように目の前の獲物を見下ろした。

 

「だ……」

 

 妖精の少女は意識を失ったのか、起き上がる様子はない。

 

「誰か……」

 

 姉も友人も周りの制止を振りきれない。

 

「誰か……、お願い……」

 

 もう少女を助けられる者は、誰もいない。

 

「お願いだから……」

 

 目の前の獲物を仕留めるべく、ガキがゆっくりと腕を振りかざす。

 

「助けて…!」

 

 呆然と見上げる少女の瑠璃色の瞳に、振り下ろされるガキの爪が映った。

 

「イヤァァァァァァァァっ!」

 

 

 

 

 ――その時だった――。

 

「だあらっしゃああああああああああああっ!」

「ギヒィッ!」

 

 少女の頭にガキの爪が届く寸前、目の前からその姿が消えた。

 呆気にとられる少女に声が掛かる。

 

「おい!大丈夫か!」

「へ?」

 

 その声に不思議な暖かさを感じ、見上げていた顔を元に戻す。

 その瞳に映ったのは、

 左手に細長い包みを持った、見知らぬ少年の背中であった。




次回、ヒーロー見参!?
今度こそ主人公が戦います


いや、マジで
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