そして、何気に最新話。
『ぎゃぁぁぁぁ‼』
Chacu Challhuaの叫び声が、教室全体に響き渡る。Chacu Challhuaは、海野の身体から離れ、もがき苦しむ。
遊一はそれを見ながら、片ひざをついた。もう、限界だった。
ただでさえ、出血多量で死にそうなのに、無理をして、力を使い、地縛神のみを攻撃できるようにしたのだ。かなりの力を消耗しており、遊一はかなり危険な状態だった。
『小波遊一ィィィィ!』
Chacu Challhuaは弱った遊一を見逃すはずがなかった。
遊一の力がなければ、遊一の精霊達はこの世界に留まることができない。故に遊一を亡き者にするには、今が一番のチャンスだと思ったChacu Challhuaはその巨大な口を開き、遊一に食らいつこうとしていた。
「っ⁉」
「「「遊一⁉」」」
十代達が助けようとしたが、結界に遮られ、遊一に元に行けなかった。
Chacu Challhuaが遊一に迫る。誰もが、もうダメだと目をつむる、遊一は最後の抵抗にカードを持とうとしたが、力が入らず、カードは遊一の手から滑り落ちた。
その瞬間、遊一の頭の中に今までの人生が浮かび上がる、走馬灯だ。最悪だと遊一は呟いた。
「マシニクル……」
『任せろ』
バリィン!と何かが砕ける音が鳴り、次の瞬間にはバキィ!と何かが殴られた音がした。
『ぐがぁ⁉』
そして、ドゴォン!と何かが倒れる音がした。遊一はただ、それを呆然と見て、驚いていた。
遊一の目の前まで、迫っていたChacu Challhuaは乱入しま何者かに殴られ、吹き飛ばされていた。
遊一はその乱入者を知っていた。
「え、なんで、いんの?」
『久しいな、小波遊一』
本来なら、まだいるはずがない存在が、遊一の目の前に堂々と佇んでいた。その乱入者は久しぶりに再会した遊一との再会を楽しんでいるように見えた。
「なんでいるんだよ、機皇神マシニクル∞」
『訳ありだ』
遊一の目の前には巨大なロボット、かつて、遊一と遊星達を苦しめた存在……機皇神マシニクル∞が佇んでいた。
遊一が、驚いていると誰が遊一の肩を叩いた。遊一が振り向くと、そこにはレイン恵が座っていた。
「レ、レイン?」
「これ」
レインが四枚のカードを遊一に差し出した。遊一は一瞬、は?と思ったが、レインが差し出したカードを見て、混乱した。
……レインが差し出したカード四枚は、機皇帝の三体と今遊一の前にいる機皇神マシニクル∞のカードだった。
「彼ら、アポリア達が貴方に渡しそびれたって……だから」
「な、なんで⁉」
遊一はさらに混乱した。何故、こちらの世界のレイン恵があの四人を知っているわけがないのに、何故このカードとアポリア達のことを知っているのか、訳がわからなかった。
「理由は簡単……私は貴方を知っている、貴方も私を知っている。
私も貴方も本来なら、存在していない」
「⁉」
「今度は私達が貴方を助ける」
レインはそう言うと遊一の手を握った。すると、レインの手から温かい何かが流れ込んでくるのを感じた。
「私には貴方ほどの力はない……でも、貴方に力を貸すことはできる……」
「レイン」
レインは悔しそうな顔をしながら、握っている手を見つめ、遊一に目を向ける。
「勝って、小波遊一」
「……あぁ」
「後、不動遊星から伝言……例え、未来だろうが過去だろうが、俺達の絆は永遠だ……そうよ」
「はは、やっぱ、かっこいいわ、あいつ」
「貴方も十分かっこいい」
遊一はレインに支えられながら、立ち上がる。それと同時にChacu Challhuaも起き上がる。
「サンキュー……マシニクル!」
遊一が叫ぶとマシニクルは一気にChacu Challhuaに近付き、腹を蹴り上げる。
腹を蹴り上げられたChacu Challhuaは苦悶の声をあげ、身体が宙に浮く。すかさず、マシニクルが追撃をかけるために近付き、露わになった腹に拳のラッシュを叩き込む。
Chacu Challhuaは声に鳴らない悲鳴をあげる。そして、マシニクルは苦悶の声を出すChacu Challhuaの背中に回り込み、かかと落としのように足をChacu Challhuaの無防備な背中に叩き込み、落とす。
Chacu Challhuaは連続の攻撃に苦しみながら、落下地点を見ると、レインに支えられた遊一がカードを一枚持ち、構えていた。
ーーー瞬間、Chacu Challhuaは理解した。
……また封印されると。
ーーー嫌だ。
ーーー嫌だ、またあの寒い世界に
ーーーまた、あの孤独の世界に
ーーー戻されるのは
『いやだぁぁぁぁぁぁ‼』
「断る、あるべき場所に帰れ、地縛神Chacu Challhua!」
遊一が構えたカードから光が溢れ、Chacu Challhuaを吸い込む、必死に抵抗をするがマシニクルがChacu Challhuaの背中に砲撃を叩き込む、残っていたゴギガ・ガガギゴとダイダロスも攻撃に参加する。
Chacu Challhuaは泣き叫びながら、遊一が構えたカードに吸い込まれていく。
そして、断末魔をあげ、Chacu Challhuaは完全にカードの中に吸い込まれた。
それと同時に遊一は意識を失った。
目を開くと見慣れない天井……なわけがなかった。
「知らない天井だ……と思ったか、たわけめ」
「何を言ってるんだ、遊一?」
聞き慣れた声がしたので、横を見ると栗饅頭の袋を片手に椅子に座っている準がいた。
「栗饅頭」
「食うか?」
「食う」
俺がそう言うと、準は袋から栗饅頭を一つ取り出し、俺に手渡してくれた。
……ん、準?
「あれ、なんでいんの?」
「お前を助けに来た……だが、一足遅かったようだな」
「お、おう、ありがとう」
そんなに露骨に落ち込まれたら、困るだが……。
「やっぱり、俺は駄目なんだ。何もやっても、うまくいかないんだ……どーせ、天上院君と結婚出来ないんだ」
まー、確かに最終的には十代と結婚しますけど。
大丈夫だ、万丈目準。
お前は結婚できる、何せあのクズ眼鏡が一番最初に結婚したんだからな!
……まぁ、結婚詐欺だったけど。
「生きている価値は無いんだ。師匠が言うとおり、俺は死んだ方がいいんだ……死のう」
「まてまてまて、その縄はいつ天井につけた、つか、死ぬなよ」
いつの間にか、ぶら下がっていた輪をつくっている荒縄に首を通そうとする万丈目を必死に説得しながら、遊一は疑問に思った。
(こいつって、こんなに豆腐メンタルだっけ?)
遊一の記憶にある万丈目準という男は、豆腐メンタルというよりも、蒟蒻メンタルだ。簡単に心が揺れ、クネクネと女々しいとがあったり、簡単に染まったり、挑発に簡単に乗ったりと要するに馬鹿だった。
遊一には豆腐メンタルは、丸藤翔か斎王琢磨の二人ぐらしいか、思い当たらなかった……後、ピエロ。
「……すまない、遊一。師匠の特訓が厳し過ぎて、少し陰鬱になってしまった」
「(少しって、レベルじゃねーよ)で、他に用とかあるのか?」
「あぁ、実は俺は今ノース校の生徒代表なんだ」
「へぇー(うん、知ってた)」
「それで、俺の師匠が俺と遊一のデュエルが見たいと言ったんだ」
「へぇー(あれ、嫌な予感が)」
「だから、鮫島校長を説得しに言ったんだ」
遊一がまたへぇーと言おうとしたときである。
「ごめなさいぃぃぃぃ、もう、もう、逆らうなんて、しませんからぁぁぁぁ!
永久脱毛剤だけは、永久脱毛剤だけはぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
デュエルアカデミア全体に鮫島校長の悲鳴が響き渡った。
「説得……?」
「脅迫(説得)だ」
「おい、逆だぞ、逆」
遊一は今までにあった。
凄まじい嫌な予感がした。
「そういや、準の師匠って、どんな人?」
「遊一の母親だ」
「……ふぁ?」
「だから、お前の母親小波三神だ」
「ふぁ?」
「……現実逃避をするな」
「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ‼
俺の母親がお前の師匠をぉぉ⁉」
「成り行きで」
「成り行きって……うんな、阿保な」
わ、訳がわからないよ。
君達はいつもそうだ、人知を超えたことばかりしやがって、人様のことも考えろや。
……あー、なるほど、準が何故陰鬱になったのかがわかった。あの人の特訓っていうか、修行はまずはメンタルから鍛えるから、相手をコテンパンにして、さらにその度に陰鬱や根暗になるぐらいに罵ったり、罵声を浴びさせたりするからなー。
おかげで、何度五階から飛び降りたか……まぁ、毎度何故か無事でしたけどねー、最終的には東京タワーから飛び降りようとしたら、さすがに止められたが……その自殺未遂のせいで、俺、タワー系に入れなくなったんだよなー。
ブラックリストに登録されたんだよなー。
「俺、寝るわ」
「む、そうか……なら、俺も帰るか、師匠に一度起きたら、帰れと言われたしな」
帰ってもいいという言葉ではなく、帰れという命令に母らしさを感じてしまう俺はもうダメなのかもしれない。
「お休み、準」
「お休み、遊一」
薄暗い保健室の中、誰かが何を手に持っていた。
「いやはや、さすがは別世界の私の子供ね」
何者かはニヤニヤと笑いながら、手に持った何か……一枚のカードと遊一を見比べた。
「うふふ、あの子が生きていれば、貴方のようになっていたかしら?
それとも、違うのかしら?
まぁ、それはどうでもいい、需要なことじゃない……。
……そう、そんなことはどうでもいい、貴方があの子の代わりになるもの……貴方が“私“達の子供になれば……いえ、なるのよ。」
何者か……はニヤニヤと笑いながら、手に持ったカードを懐にしまう。
「貴方は“小波遊奈“になるのよ……私達の娘として。
あの日、失った娘として、貴方は生まれ変わる」
保健室に月明かりが射し込む。
「そう……全ての力が集まったときに……貴方は私達の子供に娘になるのよ」
何者か……小波三神は妖しく怪しく笑う。
その笑う彼女の影が一瞬だけ、蠢いた。
祝、TF6DL版配信決定!
中古は馬鹿みたいに高いから、皆さん、ぜひDL版を!
……カード追加されてるかなー。