だからキリがいい所で切り上げたので、少し短く読みにくい所があります
お気に入り100突破したからノリでかけるとおもったんだけどなぁ
冥界にある白玉楼、そこに新しく加わったのは人間であった。その素性を知る者は誰もいないにも関わらず、人間、元小間使いは厚く歓迎された。というのも、元々意思を持っているのが幽々子と妖夢の二人だけであり、それぞれ従者がほしい、話し相手が欲しい思っていたので、元小間使いが加わるのに何も抵抗はなかった。
素性が分からないというのも、小間使い自身が話すことができないためだ。無理矢理生き返ったための弊害か、身体に残る紅い染みの障害かは定かではないが、おおよそ染みが身体にできるより前の記憶が、所々思い出せない。妖夢の事は覚えているのだが、自分が以前何をしていたかなどが、靄がかかったかのように、見えなかった。
一時錯乱したが、妖夢がそばに付き支えることで落ち着きを取り戻した小間使いは、行く当てもなく、白玉楼へ住み着くことになった。
「幽々子様、妖夢さん、お食事ができましたよ」
「あ、すいません。ありがとうございます」
その後の生活は特に何か起きたわけでもなかった。小間使いは元々家事などを仕事としていたため、白玉楼の間取りに少し戸惑ったものの、特に問題ない。幽々子も従者が増えたことと、小間使いが来てから妖夢がより張り切って仕事をするため、半人前と妖夢をからかうこともなくなった。その際妖夢の様子に察するものがあったり。
「ふっ! はっ!」
そして妖夢自身、自身に磨きがかかっていくことを感じていた。家事も小間使いと協力して早く終えるし、本業の庭師にも、見れば見事と呼べるほどに仕上げている。剣の鋭さも一段と増しているように思える。以前からその兆候はあったが、最近になってより顕著になってきた。
その傍らで幽々子と小間使いと共に、茶を楽しむような時間も増えた。話す内容は他愛のないものばかりだが、それでも小間使いが隣にいるだけで、とても楽しく感じられた。望むなら、ずっとこのまま一緒にいられたらな、と思いながら、その原因である男を見つめる。その眼には、まだ熱っぽさは見当たらない。
妖夢は、ハッキリと自分の気持ちに気付いているわけではない。
しかし、いずれはその気持ちにも整理がつき、想いを確信することができるだろう。
そして、今を充実している妖夢がそれに気づくまで、およそ八か月後となる。
春が来なくなる、その日に。
小間使いがいなくなってから、どれだけの月日がたっただろうか。もう梅雨入りの前だというのに止まない雪を見ながら、霊夢はそう考えていた。霊夢自身、小間使いの事を忘れたことはない。当然、生きているとはもう思ってはいないが、当然姿を消してしまったことに思う所がないわけではなく、ふと考えてしまう時がある。こんな日にアイツだったら温かい飲み物を用意したり、自分を省みず上着を渡してきたり、健康にいい食事を作ったりしてくれたことだろう。
そういえばここ三年、風邪なんか引いたことなかったなぁ、と半纏を羽織り炬燵に入りながら熱いお茶を啜る。
──そういえば、小間使いに一度だけ聞いたことがあった。他の質問などはすぐに答えてくれるが、その時だけは曖昧にはぐらかされたが。あの時の答えは一体何だったんだろうか。
(何で私の小間使いなんてしようと思ったんでしょうね)
今となっては、もう聞くことすら叶わないが。
思いふける霊夢は、だらけ切った生活をしていた。雪が降りやまない、冬が終わらないという異常に、何もする気はない様子だ。というのも、そもそも霊夢に仕事が来ないのに理由がある。妖怪が活動を停止するからだ。
妖怪にもいくつかおり、霊夢が退治をするその大半が、瘴気か何かにやられたか、獣が妖怪化したものだ。元が獣のせいか、冬には冬眠をするなど、活動をするものが少なくなる。わざわざ人里まで移動するよりも、今までに蓄えた食物を食べ、冬を越そうとするのが多い。まぁこれだけ冬が長引くと、そろそろ備蓄が尽きて人里を狙う輩がでるかもしれないが、それでもまだ積極的に動こうとは思えなかった。
わざわざ動かなくても、お節介な奴がやってくるから。
「よう霊夢。遊びに来たぜ」
「あぁ魔理沙いらっしゃい。なんでもいいから障子閉めて、寒いから」
本来、魔理沙は博麗の巫女でもないのに異変解決に乗り出すほど積極的だ。霊夢より早く異変解決しようと奮闘するほど、異変には煩い。しかし、あの頃から魔理沙は、そこまで霊夢にうるさく異変異変と言うことはなくなった。霊夢がじっくりと異変解決のために準備をするのを待つようになる。
「まだ、準備は終わらないのか?」
「まだよ」
「そうか。今回の異変の黒幕はどの辺だと思う?」
「少なくとも、氷の妖精なんかじゃないわね。あの程度じゃこの規模は無理」
異変への準備は抜かりないが、如何せん黒幕の正体が掴めない。冬か雪か、それに関係する妖怪か何かだとは思うが。今回の異変も、幻想郷全体を冬にしたままにするほどの強力なものだ。妖力の少ない妖怪や、妖精程度じゃ、この規模の異変は起こせない。精々湖を凍らせる程度。曇天が覆っていることから、日光に弱いと考え、レミリアを一度あたったこともあるが、今回は関与していないとのこと。レミリア自身、寒いのは好きではないようだ。
となると冬、もしくは春の妖怪、精霊か。前者はともかく後者はどうだろう? 普通、その季節の妖怪、妖精、神などは、その季節を待ち遠しくするものだ。ほぼありえない。
「冬の妖怪も違ったぜ? レティとかいう奴ぶっ倒したけど、この冬は終わらなかったし」
「……いよいよ手詰ってきたわね」
この異変が起きてから、霊夢と魔理沙は協力して異変の黒幕を追っていた。異変の黒幕がわかれば、それなりの対策ができるからだ。自分のためではない、どんな状況に陥っても、人里も守れるように。
しかし空振りしてばかりである。数日に一度集まるのだが、中々情報が揃わない。
「そもそも、考え方が違うのかしら」
「? どういうことだ?」
「冬を長引かせてるんじゃなくて、春を遅くしているってこと。もしくは、春をどうにかしている、とか」
「ふーん、えらく抽象的だな。で、それだと何が違うんだ?」
そういわれると特に考えがあるわけでもない霊夢は黙ってしまう。
「ま、ここで考えてても仕方ない。私はまたなんか情報さがしてくるぜ」
「頼んだわよ」
魔理沙は昔、霊夢をライバル視していたのだが、それは少し憧れも含んでいた。いつか肩を並べて異変を解決したいとも思っていた。それが今、成り行きはどうあれ叶っているからこそ、協力を惜しまないのかもしれない。
魔理沙が博麗神社を去ったのを見届け、霊夢は一人嘆息する。
「冬の寒さより、案外一人の寒さの方が堪えるのよねぇ」
そんなことは魔理沙には言わないが、以前ここにいた男を思い浮かべ、そう愚痴る。人の温かさを教えてくれた小間使いはもういない。それでもしっかりと、あの心地よさは覚えている。
少し前まで感じなかった寒さは、いくら着込んでも治まらなかった。
次回予告
妖夢VS魔理沙&霊夢
幽々子VS魔理沙&霊夢
西行妖VS霊夢&魔理沙&紫&幽々子&妖夢
西行妖VS小間使い