地獄を歩いた。地獄に嘆く人を見た。手を伸ばし助けを求める人を見た。
全てを見捨てて、『生きている』
耳を塞ぎながら誰かの助けを求めても真っ赤な世界を、歩き続ける。
空を見上げると漆黒の太陽が、『死』を吐き続けていた。
ただ純粋な絶望が街を、命を、願いを、星を。
真っ黒な泥が飲み込んでいた。
幼い自分は瓦礫の中を歩き続きるのは無理があった。こと切れた人形の様に地面に倒れる。
命が、魂が少しずつ蝕まれていくのがなんとなくだがわかっていた。
死は近い。
死神が嗤った。
『良かった、良かった。生きてた、生きていてくれた!!』
そんな自分を瓦礫の中から見つけ出してくれた
『ありがとう、ありがとう。』
その人は泣きながら俺に感謝していた。なんでた助けてくれたのはアンタなのになんでアンタが感謝してるんだ?
その人はただ泣きながら感謝をしていたのだ。
そのあり方に、その思いに、俺は………。
『憧れ』を抱いていた。
そんな俺の希望を嘲笑うように真っ黒の太陽が俺ら目掛けて死の泥を吐いてきた。それに気づいたその人は俺をその泥から守るように抱きしめた。
その人の肩から見える迫る来る死は頼もしいこの人の背中を容易く打ち砕くのが直感で分かった。
だからまた、祈った。
物語のような御都合主義の塊
そう『ヒーロー』の登場を。
そして、それは叶った。
『Slot Charge』
瞬間、七色の閃光が世界を叩き切った。
その一閃は泥を吹き飛ばしたのにとどまらず、真っ黒な太陽さえも消滅させた。
衝撃は程々な領域であったが、周囲の煙や炎を掻き消した。一瞬にして街はいつも通りの夜の帳を取り戻していた。
そんなだからか、星が点々輝いている夜空に負けないようにその人は立っていた。
黄金のライダースーツに走るように引かれる白銀の装飾。首には真っ赤なマフラー、振り向いて見せてくれた七色の複眼を持ったバッタのような仮面。
俺は……………。
『ヒーロー?』
『…………違う、【仮面ライダー】だ』
その日俺は、《運命》に出会った。
夜を通り過ぎたあと、俺は切嗣の爺さんの元に転がってきた。あの夜を超えて人々は復興へと踏み出していた、その中にあのRIDERがいた。
最初、俺が誰なのかわからなかったようで少し困惑したように頭を掻くのをよく覚えていた。俺もどう説明したものか分からず二人であたふたしていると爺さんが助けに来てくれた。
『爺さん、この人だよ。俺たちを泥から助けてくれた人!』
『士郎………、それは本当かい?この人なのかい、そのRIDERって人は?』
『ちょっと待てよ、疑問がいくつかある。なんでお前仮面を付けてた奴が俺だって言い切れるんだ?それに…』
二人の質問合戦が俺を止めどなく襲いかかる、だってあの時の光が、厳密にはベルトだけどこの人の懐から光が、溢れ出てるんだよって答えたら苦笑いされた。どうして?
でもそれをきっかけに兄さん、九条誠一とのくらしが始まったんだ
裏話
『君がどういう存在で、どうしてその力を行使するかなんて興味ない。』
『だったら夜中に呼び出して、背後から銃を突きつけてんじゃねぇよ切嗣』
『…………ハハ、君の言動には興味はないけど。それは信用しているって訳ではないからね。用心だよ、用心』
『…………士郎のことか?』
『分かっているようで話が早い、あの子の特異性は正直言って危うい。あの子の力が教会の奴らに知られたら間違いなくホルマリン漬け待ったなしだ。』
『それで?俺にその教会をぶっ潰して来いってことか?』
『そういう事じゃない、士郎の事を頼みたいんだ』
『…………、てめぇがやればいいじゃないか?人に押し付けんな』
『……、僕はもうそろそろ死ぬ。』
『…………泥か』
『多分もう長くない、士郎にまだ魔術のまの字も教えられていない事とか色々と心残りがあるけど、でももう僕は死ぬんだ』
『ふざけやがって、あいつはもう家族はいねぇんだぞ!!お前が死んだあとアイツは誰に頼るんだ!!』
『それを!……………それを、君に託したいんだよ。』
『………俺には決着の付けなくてはならないことがある。ずっと士郎の世話は出来ない。』
『それでもいい、少しの間だけでもいい。一緒にいてあげて欲しいんだ』
『…………アイツはお前の後ろを追っている、あの時お前が士郎を助けたお前を理想にしている。その代わりを俺にしろっていうのか?』
『フッ、よく言うよ。君こそ"その力"にあの子は理想を抱いている、僕もこう思うくらいだよ。あれこそ全てを救済する力だって。』
『………、俺たちって、駄目な大人だな。ガキに力でなす救済は本物だって思わせちまった。』
『あぁ……、ほんとに最低だよ。正義も希望も。』