うん。
第一廻 激動
私、藤丸立香は平凡な女子高校生である。
学校の成績は平均のちょっと上くらい、友人関係はあまり多い方ではないが親友と言える存在は居る。家族構成も両親と私だけという平凡的な一世帯である………
しかし、その私には『夢』と言える物は無かった。
なにも変わらない日常、段々と過ぎていく時間。無性に『抜け出したい』と思っていた。そして私の元に転機が訪れた。
『…………藤丸立香。はじめまして、だな』
そこに立っていた。夕焼けが昇り空に星空を魅せる誰も知らない場所で、彼に出会った。
『………あなたは?』
『それは後で、教えてやる。今はもっと大切な話をしよう』
彼は草原に腰を掛け、私に隣に座るように催促していた。断る理由が無いので彼の隣に座る。
『……………なあ、お前って【夢】はあるか?』
唐突に彼が聞いてきた。
『…………………ない、かな』
苦笑を浮かべている自分は彼にどう写ったのだろうか、彼は私の瞳をじっと見つめていた。
『そうか、……実はさ俺も無いんだわ、【夢】。』
驚いた、彼にそれが無いってのはありえないそう思っていたからだ……………でもなんで私はそう思っていたのだろうか?
『なんでだろうな、夢は昔あったんだ。でも何かの拍子で壊れたんだ』
彼の表情には哀しみが感じられた、それでも彼は笑っている。ーーーなんで、なんで?あなたはいつも無茶して傷ついている、それなのになんで『笑って前に進める』の?
『…………難しいことじゃ無いんだわ、これが。俺はただ単に俺を支えてくれた《仲間》がいただけなんだ、だから怖くない、だから笑える。大切なのは《自分の道》を信じるだけなんだ』
彼はそんな風に穏やかな笑顔で私を見つめた。彼の瞳は真っ直ぐに私だけを見ていた。どれだけの時間が流れたかは分からない、彼は一息付けて立ち上がった。
『お前は、お前の信じる道を行け………立香。』
『待って!?行かないで!!』
彼の身体が段々と薄くなって消えかけている、手を伸ばせば届く距離なのに身体がその場に固定されたかのように動けない。
『カルデア、そこにお前の進むべき道がある。けど気をつけろ、お前が進む道は茨の道。ずっと戦い続けるだろう』
『待って、私を置いて行かないで!!■■!!』
『それでも、お前は戦い、勝利しなきゃならない。でも大丈夫。お前は諦めずに誰かの為に戦うやつだからな』
彼は今にも消えそうなのに未だに笑顔を耐えさない、駄目なの、私は、貴方を、まだ知らない!!
『ん?俺が誰かって?』
彼は私の様子から私の意図に察したようだ。彼は私に向かって、何かを差し出した。
「ーーー通りすがりの仮面ライダーだ、よーく覚えておけよ!!」
そこで私は目を覚ました。
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なんで、私はそんな事を思い出したのだろうか。なんでこんな燃え盛る街に立っているのだろうか?
人類史の観測・保持を使命とする『人理継続保障機関』、カルデア。
2015年、何の前触れもなく観測されていた未来領域が消失。計算の結果、人類は2016年で絶滅する事が判明―――いや、証明されてしまう。
そこで集めたのがサーバントを使役するマスター資格を持ち、特異点へレイシフトできる四十八人のマスター候補生達、その中に藤丸立香はいた。
彼女は「素質」だけの素人だったが、数合わせの一般公募によってカルデアにやって来た。
初日にして所長オルガマリー·アニムスフィアの演説中に居眠りしてしまって、ファストミッションから外されてしまった。
しかし、そこが運命の分け目であった………
レイシフトの実験中に原因不明の爆発事故が起きる。立香は自分の事を先輩と呼ぶ、少女マシュのことが頭を過る。彼女を探しに燃え盛る炎と瓦礫を乗り越えて、そして見つけたーーーいや、遅かった。彼女の身体半分は瓦礫に埋まって、血の湖の上に横たわっていた。
ーーーあれは、もう助からない。
直感的にそれを理解した。立香は運命を恨んだ、この少女は青空も見たことも無いのに死んでしまうことが立香には許せなかった、でもそれと同時に自分の無力感を叩きつけられた。だがら、少女の弱々しい手を握るしかできなかった。そして、次の瞬間光に呑まれた………
目が醒めるとそこは燃え盛る街のど真ん中であった。そして、死んだと思っていた彼女マシュが巨大な縦を携えていた、とうやら『ナニカ』と契約して英霊の力を手に入れ《デミ·サーバント》になったらしい。
ーーー良かった、生きてた
安堵もした束の間、遠くに叫び声が聞こえた。助けに行かないと私たちは走り出した。そこにいたのは竜牙兵と呼ばれる魔物に襲われかけているオルガマリーだった。
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ーーー何故こんな、記憶が私の頭の中を行き交うのだろうか?
藤丸立香の世界にはあまりにもスローな時間が流れていた。眼前に迫る鋼の刃が自身の首元に伸びている、横目で見ると必死な形相で手をこちらに伸ばすマシュの姿。
ーーーあ、いまのが走馬灯って奴か……………
理解は早かった、後ろに迫るサーバントに気付かなかった自分の落ち度をただ嘲笑った。諦める事しかできなかった。ここで都合よく誰かが助けてくれるわけがない、これで終わり、心残りはマシュが自分が死んでしまったことで泣いてしまうだろうということだけ。
『お前は、お前の信じた道を行け…………立香。』
………………それでも、助けて欲しいのだ。
「たす、けて………!!」
ブゥゥゥゥゥンッ!!轟音と共に現れたのは一つのバイク《サクラハリケーン》だった。敵サーヴァントを吹き飛ばし、それは私達の前に舞い降りた。
「な、バイクッ!?」
私の後ろで所長が驚いた声で叫んだ。それは私も同じであった。でも、私は彼を知っている。
「………………おい、お前らか?この街を壊したのは」
バイクから一人の青年が飛び降り、青年は先程の吹き飛ばした長椀のサーヴァントを睨みつける。
「…………ダトシタラ、ドウスル」
「………………………ぶっ潰す!!」
青年は黒いバックルを腰の真ん中に当てる、バックルはベルトとして自動的に腰に巻きつけられた。そして、右手にオレンジの形を模した錠前を構えた。
「変身ッ!!」
《オレンジ!!》
謎の電子音が鳴り響くと共に青年の頭上から空間が裂け、オレンジの鉄鋼物が現れる。青年はベルトに錠前をロックオンする。
《ロックオン!!》
それと同時に辺りに法螺貝の壮大な音楽が鳴り響き、そしてベルトに付属されている小刀を下に振り下ろす。
《ソイヤッ!!》
《オレンジアームズ!花道オンステージ!!》
次の瞬間、オレンジの鉄鋼物がライダースーツの頭部にオレンジ色の果汁を撒き散らしながら収まり、花が開くように鎧が展開されていく。
かの戦国武将をモチーフとした仮面のフルーツ鎧武者。
ーーーその名は!!
《仮面ライダー鎧武·オレンジアームズ》
「こっからは、俺のステージだッ!!」
今、カチドキが鳴り響く…………………!!
次回、鎧武。
運命は廻り始めた………。