仮面ライダースロットル〜転移ノ章〜   作:菊川 数時

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遅れました、多分これからもっと遅くなります!!


救国を駆けるが竜騎士
第五廻 旅の始まり


 彼との出会いはとある国の紛争地域で彼が一人で子どもたちの服を洗濯していた時だった。

 

 彼の眼つきは何というかそこら辺にいるような不良みたいに鋭く、怪しさ満点だったというのがはじめての印象だった………。

 

『…………お前誰だ』

 

 ふと彼が話しかけてきた。警戒しこちらを睨んでくる。俺はちょっとした自己紹介とここに来た経緯を掻い摘んで話した。

 

『……………お前、物好きだな。まぁ俺も言えたことじゃないけど』

 

 

 彼は自嘲するように言ってみせた、もしかして彼も同じように『人助け』をしに来ているのだろうかと思い質問する。

 

『そんな大層なもんじゃねぇよ』

 

 じゃあ、何のためにここに来た。

 

『………………夢なんだよ』

 

 夢?

 

『そう、夢だ。俺は世界中の洗濯物を真っ白にするのが夢なんだよ、笑いたきゃ笑え。バカにしたけりゃバカにしてろ』

 

 馬鹿になんてできるわけが無かった。彼の瞳は覚悟に燃えている目をしていた。そんな瞳をしている人物を笑うことなんて許されないと自分の中で理解されていた。それ以前に俺も同じような『夢』を抱えている。

 

 そんな彼の風貌に共感してか俺は彼に手を前に出していた。

 

 君の名前は?

 

『…………乾巧だ』

 

 愛想も無い声音で手を握る彼の様子はなんというか少し可笑しかった。

 

 

 彼との邂逅こんなものだった……………。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 ソニックアローの斜線上に一瞬重なるアーチャーを見逃さず矢を放つ。しかし、アーチャーも同じように宝具を投影し、向かい撃つ。

 

 このような攻防がかれこれ十分以上は続いている。これでは埒が明かない、そう判断した九条は足早にアーチャーの元へと走り出す。木々を掻き分けてアーチャーへとソニックアローの刃の部分を叩き込む。

 

「ぐっ!?」

 

 しかし、アーチャーとてやられっぱなっしではない。弓を捨てどこからか白黒の双剣でソニックアローの刃を凌ぎ、その勢いを利用し広々とした空間へと吹き飛ぶ。

 

 アーチャーが双剣を握りしめ九条を見据えて、微笑う。

 

「ーーー誘ってるのか、まどろっこしいことは無しですか」

 

 九条にはわかっていたアーチャーが誘っていることに。だからこそ行く、九条には時間が無い早く藤丸のもとへも行かねばならないのだから。

 

《チェリーエナジー!!》

 

 九条はレモンエナジーを外し入れ替えるようにチェリーエナジーロックシードに切り替える。

 

《ソイヤッ!!ジンバーチェリー!!ハハッハー!!》

 

 その風貌は戦国時代の副将のような袴で、チェリーの文様が刻まれていた。

 

「………………近接攻撃型か、高速移動型か。まぁどっちにしろ倒すがね」

 

 見破られていた。ジンバーチェリーは高速戦闘型のフォーム。しかし、動揺はしない。相手は『仮面ライダー』に出会った存在だ。その程度は予想はできるだろう。

 

「ーーーなぁ、アーチャー」

 

「何かね、辞世の句なら聞く気は無いが」

 

 皮肉タップリの言葉を吐き出すアーチャー、九条は構わず言葉を続ける。

 

 

 

 

 

 

「ーーーお前何が、『怖く』て『悲しい』んだ?」

 

 

「ーーー……………………何?」

 

 突然の言葉に混乱するアーチャー。

 

「俺にはわからないんだ、お前がどうしてそこまで敵対してくるのかわからないんだ。だってお前は出会ったんだろ『本物の仮面ライダー』に」

 

「…。貴様何を言ってーーー」

 

「はぐらかすなよ。『正義の味方』さん?」

 

「…………」

 

「あの人たちは、俺が知っているあの人たちはお前にとって大きいものだ。それは絶対だ。それなのにお前は矛盾してるんだ、さっきだって藤丸たちを先に行かせる満々だったろ、なのに俺だけは絶対通さないそれどころか殺す気。訳がわからねぇ」

 

「俺が『異物』で世界に害悪を齎す。しかしそれだけじゃ殺す意味にはならない、それに『仮面ライダー』は害悪を齎すが同時に世界を救い出してきた」

 

「それはお前にとって都合が良いものだろ。なのに狙ってくる。」

 

「お前は『世界』が救われるのを望んでないのか?」

 

 決定的な言葉、確信と言っていい真実。九条はそれを既に持ち合わせていた。アーチャーが自嘲する、自身の矛盾に嗤っている今更気がついた意志。それはアーチャーの表情を苦しめるものに変える。

 

「ーーーそうだ、そうなんだよ。ほんとに訳がわからなくなる、矛盾だらけではないか!!」

 

 瞬間、アーチャーの姿がぶれる。九条は咄嗟にソニックアローを構えるがアーチャーの夫婦剣によって弾き飛ばされ、九条は腹部を切り裂かれた。

 

「ぐっ!?」

 

「『理想』を再び誓ったのに、それに反する事をしている自分が情けない、情けなくって堪らないっ!!」

 

 それだけでは終わらない。双剣の追撃は留まることを知らず。連撃の如く叩きつけられる。さすがのアームドでもこの攻撃は耐え難い痛みを通していた。

 

「なぜなんだ、ナセなんだ!!なぜ彼が死ななければならなかった!!なぜ…………『世界』は彼に残酷なんだ?」

 

 悲痛の表情を見せるアーチャー、《正義》を持ちながら《世界》を憎む彼の姿はとても痛々しいものだった。九条は八つ当たりにも近いその行為を甘んじて受けていた。変身は解け地面を転がる。

 

「…………なぁ『仮面ライダー』、何故、ナゼ彼は『乾巧』は死ななければならなかった?彼はナゼ自分の為に生きてはならなかった。」

 

「彼は世界を幾度も救った《正義のヒーロー》だろ、その彼がナゼ、何故ーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『あんな、悲劇があっていいのか?』とか言うんじゃねぇぞアーチャーッ!!」 

 

 

 

 アーチャーはハッと九条を見る、九条の表情は怒りに狂った表情をしていた。怪我を庇いながら九条はアーチャーを睨みつける。

 

「…………あの人は、『オルフェノク』だ。いつかは死ななければならなかった「ならっ」黙れ。それ以上は許されないぞ、憐れむことはあの人の遺志を貶す事になる」

 

 ぐっと息を呑むアーチャー。

 

「『四号事件』あれは誰の記憶にも残らず忘れ去られてしまった戦い。でもあれは、あの戦いを悲劇とは言わせない。いや言えない!!」

 

「あの人は、変えたんだよ。ハッピーエンドにやってのけたんだよ!!自分の命を投げうっても、消えてしまう《正義》だとしても、アイツは、乾巧は戦って勝ったんだ!!『死という現実』にッ!!」

 

 たとえ何度時間を繰り返そうと乾巧達は戦った。残ることはない歴史だとしても、ただ……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰かの祈り、夢を護る為に……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーアァ、そうか俺は、『怖かった』のか」

 

 

 アーチャーの瞳から哀しみの雨が流れ落ちる。

彼は何度も立ち上がって行くうちに恐れたのだ。

 

 

ーーーいつか、自分のしたことが意味のないものに変わっていくのが。

 

 

 

 

 

 

 正義の味方は所詮人間、《正義》は誰の心に存在するが《彼自身の正義》があるわけではない。それはとても恐ろしく忌々しい。

 

 

 

 

 

 

 

だがーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーそれでもあの人の意志は受け継がられている。」

 

 

 いずれ平成は終わるだろう。『仮面ライダー』はいつかは消えていくだろう。しかし忘れてはいけない………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー《正義の心》は永遠に受け継がれていくことを!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー覚悟は決まったよ巧」

 

 アーチャーの表情にはもうすでに迷いはなかった、双剣を構えると『ウジウジしてんじゃねぇぞ』と乾の声が聞こえた気がした。

 

 

「…………そうか、でまだ戦うか?」

 

「ああ、彼女の命令でね。簡単にはいかないのさ」

 

「めんどくせぇな」

 

「そう言ってくれるな、彼女にも考えがあっての事だ」

 

「そうかい、なら本気でやらせてもらう!」

 

 すると、九条は巨大な橙色のロックシードを掲げる。

 

「『変身ッ!!』」

 

《カチドキッ!!》

 

 空間を裂き現れたのは今までとは規模が違う大きさの橙色の物体だった。

 

《ソイヤッ!!カチドキアームズ!!いざ、出陣!!エイ!エイ!オッー!!》

 

 勝鬨が流れ現れたのは重装の鎧武者。背中には二振りのカチドキ旗、その手にはDJディスクが搭載された火縄DJ銃。

 

ーーー仮面ライダー鎧武·カチドキアームズ

 

 

 

 

 

「行くぞぉッ!!アーチャー!!」

 

「ウォッツーーーー!!」

 

 

 

 双剣を構え突撃するアーチャーに応戦するように九条は背中のカチドキ旗を抜き、奔る!!

 

「くっ!!力が段違いだ!!」

 

「当たり前だ、馬鹿野郎!!」

 

 カキンッ!!と二人の獲物が空中に吹き飛ぶ。アーチャーは弓を、九条は火縄DJ銃を構えた。

 

 双方の吹き飛ぶ。相討ちに近いだろう。

 

ーーーしかし…。

 

《カチドキチャージ!!》

 

「なっ!?」

 

 砂埃の中から九条が火縄DJ銃大剣モードを振りかざしながら現れた。

 

 咄嗟の状況にアーチャーは追いつけず迫る九条を眺めることしかできなかった。橙色の濃いエネルギーが一閃を描き、アーチャーを振り切る。

 

 二人は背をお互いに向けながら立つ、すると九条は変身を解いた。それと同時にアーチャーが地面に膝を付く、そして身体から光の粒子が溢れ出ていた。

 

 勝ったのは九条だった。

 

 二人は無言のままお互い背を向け続けた。そこには語る言葉を無かった。二人にしか分かり合えない思いが伝えあっていた。

 

 

「ーーーありがとう、『仮面ライダー』」

 

 アーチャーのか細い声が風とともに聞こえた。

それ以上はただ寂しい風の音が聞こえるだけだった。

 

「……………」

 

 そして、九条は何も言わず振り返ることもなく藤丸の元へと走り出した。

 

 

 

 真っ暗な空に青いモルフォン蝶が飛んでいた……。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 一方、藤丸たちは墜ちたアーサー王に苦戦を強いられていた。

 

「……………どうした?貴様の『護る力』とやらはその程度か?」

 

「クッ!!?」

 

 何度目かの暴力、吹き飛ばされては立ち上がりまた吹き飛ばされるの繰り返し。既にキャスターはやられボロボロのマシュだけが戦っていた。藤丸は唇を強く悔しく噛む。何もできない、ただマシュがボロボロになっていくのを見てるしかできなかった。

 

ーーーマシュの『夢』を護ると誓ったじゃないか!!

共に背負うと誓ったではないか!!それなのに何だこの体たらくは!!無力感は!!

 

 

「フンッ、遊びはもう終わりだ」

 

 冷血な表情のままセイバーは黒き聖剣を掲げ、漆黒の力を満たす。

 

ーーーあれは駄目だ!!

 

「マシュ!!逃げてッ!!」

 

 藤丸が叫ぶ。しかし、マシュにはもう既に攻撃を回避するのも盾で防御する力さえなかった。

 

「『約束された勝利のーーー(エクスカリ)

 

《カチドキスカッシュ!!》

「ムッ!?」

 

 そこへ間を割るように橙色のエネルギーがセイバーに直撃する。

 

「遅れたなッ!藤丸!」

 

「ッ!?遅いょぉッ!」

 

 カチドキアームズを身に纏った九条が倒れているマシュを抱えあげようとしたとき。

 

「背中がガラ空きだぞっ!!」

 

「なっ!?ウグぁッ!!」

 

 飛んできたセイバーの聖剣を背中から直撃してしまう。背中の厚い鎧がいとも容易く剥がれ破壊されてしまった。

 

「クソッ!!」

 

 しかし、九条だってやられぱなしではない。火縄DJ銃の引き金を引く、弾はセイバーを一直線に飛んでいくがセイバーはそれらを聖剣で切り裂いていく

 

 次の瞬間には九条の目の前までに迫っていた。なりふり構ってはいられない、九条は火縄銃を捨て腰の無双セイバーで応戦する。

 

「………………温いッ!!」

 

 しかし、しかし。聖剣の刃は無双セイバーをたたっ斬られてしまう、唖然もする余裕を許さずセイバーの剣は九条の鎧を容赦なく斬り伏せる。

 

「その程度か『仮面ライダー』。」

 

 セイバーは嘲笑う様に九条を踏み付ける。その行為に満足したのか藤丸たちに狙いを付ける。

 

「次は貴様らだ」

 

「ヒィッ!?た、助けてレフゥッ!!」

 

 圧倒的な力量の差。藤丸は蛇に睨まれた蛙の気持ちを初めて理解した。ヒョロヒョロのマシュがなんとか盾を持ちながら藤丸たちの前に立つが頼りない。

 

 一歩、また一歩。死が近づいてくる…………。

 

 死を覚悟した。いや、覚悟なんてできてるわけがなかった、どうにもならない一般人な私はこうして叩きつけられている理不尽な現実に抗えず怯えているだけなのだから。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 『THE END?BADEND?HAPPYEND?』

 

 選択肢が俺の頭の中で展開されていた。

 

 いつかだったか、こんなことがあったか。

 

 

 

 『THE END?BADEND?HAPPYEND?』

 

 同じ選択肢だ、あの時と。

 

 END、とか言うならこれを乗り切れば終わりなのか。

 

 

 

  

 『THE END?BADEND?HAPPYEND?』

 

 ーーー違う。これは只の幻にしか過ぎない。

 

 俺の戦いに終わりはない。あってはいけない。

 

 

 

 『THE END?BADEND?HAPPYEND?』

 

 うざったい、この声も。結果も。未来も。

 

 大丈夫だ、まだ立てる。

 

 

 

 

 『THE END?BADEND?HAPPYEND?』

 

 そうだ大丈夫だ。なんたって俺を今まで支えてくたのは《拾八の道の人》なのだから。

 

 『護るのも壊すのもお前次第だ』

 

 「だったら、ぶっ壊して繋いで見せる《未来》を」

 

 「旅の始まりだ。気をつけろよ」

 

 

 《フルーツバスケットッッッッッ!!!!!》

 

 

 黄金の鍵は握られた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

《フルーツバスケットッッッッッ!!!!!》  

 

 

 甲高い音声が洞窟中に響き渡る。セイバーは咄嗟に九条の方へと振り返ろうとするがセイバーに何かが衝突する。それはやむなく毎に行くども幾度も繰り返される。

 

 藤丸たちはその何かを目撃していたと同時に唖然していた。先程の音声とともに十一個のフルーツがセイバーを襲っているのだから。

 

 九条は黄金の鍵《極ロックシード》をカチドキロックシードに接続する。そして、勢いよく下へと捻る!!

 

《ロック·オープン!》

 

 十一個のフルーツ、オレンジ、バナナ、ブドウ、マツボックリ、ドングリ、ドリアン、クルミ、レモンエナジー、チェリーエナジー、ピーチエナジー、メロンエナジーが九条を中心に集まり、そして虹色の果汁と共に合体する。

 

 

《極アームズ!大·大·大·大·大将軍!!》

 

 

 大鎧をモチーフとしたカチドキアームズから一変し、西洋様式の鎧を思わせる白銀色の姿となった。

 兜飾りは鎧武のシンボルマークの形、複眼は虹色。

胸部にはオレンジ、バナナ、ブドウ、メロン、イチゴ、スイカが描かれている。

 

 

ーーー仮面ライダー鎧武·極アームズ!

 

 いま禁断の力が開放された………!!

 

 

 

 

「大将軍!?」

 

「な、なんなのよアレは………?」

 

 

『な、何だ何なんだコレ!?九条君が大将軍になった瞬間彼の体中から神代レベルの神秘が満ち溢れている!計器がイカれちゃうよ!!』

 

 

 困惑と驚愕が入り混ざった感じが中々抜けない、でも私には分かっていることがあった。

 

 

ーーーもう、セイバーは勝てない。と

 

 

 

 九条は威風堂々と立ち振る舞う様に極ロックシードを捻る。

 

《大橙丸!》

 

 すると、九条の手元にオレンジアームズのアームズウェポンの大橙丸が現れる。

 

「見せかけだ!」

 

 セイバーが地面を強く踏む。勢いに乗り聖剣で九条の首を狙う。しかしヒラリと躱すと同時にセイバーに一太刀、川の流れのごとく斬りつける。

 

「グワハァッ!?ーーーまだまだぁっ!!」

 

《マンゴーパニッシャー!》  

 

 次の瞬間、セイバーの顔面にマンゴー型の重量型メイスに吹き飛ばされる。しかし、これは転機と思ったセイバーは魔力を噴出し、体制を立て直そうとするが。

 

 

「そんな時間がやると思うか?」

 

《影松!影松!影松!影松!影松!》

 

 空中に現れる五本の黒い槍。それはセイバーの四肢を貫き地面に縫い付けられてしまった。

 

「ーーーまだ、やれんだろ?」

 

 九条の挑発するような表情が手に取るように分かった。だからこそセイバーの騎士の魂を貶されたと理解していた。静かに怒る、一瞬に感覚を研ぎ澄ます。武器を一つも持っていない九条を見て、さらに怒りを増す。

 

 

ーーーそして、銃弾のように放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念だったな、詰みだ」

 

《極スカッシュ!》

 

 次の瞬間には手遅れだった。バナナの形をしたエネルギーが地面から生えセイバーを拘束した、セイバーはその時見た。九条の手元にバナスピアーが召喚されたことに。

 

 

《火縄DJ銃!無双セイバー!》

 

「ッ!?」

 

 九条が大剣を携えて、セイバーの元に一歩また一歩と、近づく。セイバーは何とか拘束から逃れようと藻掻く。しかし、エネルギーは絶えなくセイバーを捕える。

 

 近づく、藻掻く。

 近づく、藻掻く。

 近づく、藻掻く。

 近づく、藻掻く。

 近づく、藻掻く。 

 近づく、藻掻く。

 近づく、藻掻く。 

 近づく、藻掻く。

 

 

 

そしてーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーこれで終わりだ!!」

 

《極オーレ!!》

 

 虹色の光が闇を切り裂いた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「聖杯、確保しました。ミッション達成!」

 

『やったね!!いや、ホントに!!まさかアーサー王に勝つなんて!!すごかったなぁ極アームズ!!』

 

「疲れた」

 

「大丈夫?肩揉む?」

 

「頼む」

 

 各々が勝利の美酒に酔いしれていた。絶望的状況から大逆転というのはとても気分が良いものだろう。ただ一人オルガマリーは不穏な表情で居た。

 

「ーーー何してんの?」

 

「ヒャッ!?ちょ、びっくりさせないでちょうだい!只考え事をしていたのよ!!」

 

 ヒステリックに喚き散らすオルガマリー、九条には少し引っかかってあることがあった。それはセイバーが消えるときに言った。

 

「『グランドオーダー』」

 

 その言葉が何を指すのかまだ分からない、いずれ分かることだと納得させた。今はただこの状況に浸かりたいそんな気分だった。

 

ーーーしかし、それは容易く打ち砕かれた。

 

 

 パチパチパチパチパチパチパチパチ  

 

「ッ!?」

 

 突如聞こえた拍手の音皆が警戒した、音の発生源にはーーー。

 

 

「ーーーレフ?レフなの?」

 

 

 生存の望みが薄いとされていたレフ·ライノールその人がいた。オルガマリーは感極まった、頼れる人に。依存している存在に。再び出会って嬉しくないものはいない。

 

 

 すぐさま駆け寄ろうとした時、九条に手首を強く握られ阻止される。

 

「ちょっと!何すんのよ!!」

 

「行くんじゃねえぞ、アレは人間じゃねえぞ」

 

「はあっ?何言ってのアンタ。ほらレフ何とか言ってよこのバカに」

 

「…………………。」

 

「ーーーレフ?どうしたのレフ?何とか言ってよ。」

 

 

「ーーー全くどうしてこんなにイレギュラーのことが起きる。とても腹ただしい」

 

 

 見えた。奴の本性が、獣のように鋭く憎しみが込められた姿が。オルガマリーは変わり変わってしまった想い人を見て子鹿のように震えていた。

 

「ーーーそれがお前の本性か?」

 

「それを見破ったところでどうする?私がカルデアを爆破した真実は変わらんぞ」

 

『「「は?」」』

 

 誰もが息を忘れた。飲み暇など衝撃によって阻害されてしまうばかり。今、今やつはなんと言った?カルデアを爆破しただと?

 

「う、嘘よねレフ?」

 

「オルガ、そのうるさい口を閉じとけ。今私はそこのやつと話している」

 

 理想と儚い恋心が粉微塵となった瞬間だった。

 

「さて、要らない邪魔が入ったところでーーー、貴様何者だ?」

 

 レフが九条だけを見据えて睨みつける。

 

「ーーー意味によるな、またはどんな『ライダー』にもよるが」

 

「ふん、答える気はないという訳か。まぁ良いだろうそこまでの脅威ではない、さて諸君改めて自己紹介しょう。私はレフ·フラウロウス二千年担当だ。」

 

「何言ってるの?何言ってるのかワカラナイヨォッ!!!」

 

 オルガマリーが膝を抱え倒れ込む、その様子を見てレフは卑しそうに嗤う。

 

「オルガ、何苦しむことはない貴様は既に死んでいるのだからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ?」

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーまさか、気づかなかったのか?これは滑稽だ!私が爆弾を仕掛けたのなオルガ、君の足元なんだよ。君は以前からレイシフトの資格を持っていなかっただろう?それが死んで霊体というちっぽけな残りカスになったおかげで君は今ここにいる」

 

 

「いやぁ、いやぁ、いやぁ。」

 

 

「そう何度も言ってやろう!!オルガマリー·アムにスフィア、貴様はとっくの等に死んでいる!!」

 

「イヤァーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

「テメェェェェェェ!!!!!!!!」

 

《フルーツバスケットッッッッッ!!!!》

 

《ロックオープン!!極アームズ!!大·大·大·大·大将軍!!》

 

《大橙丸!バナスピアー!》

 

「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 怒りに身を任せて突進する、なりふり構っていられないこのクソ野郎をこの世から消さなければならない!!

 

 

 

ーーーーしかし。

 

 

 

 

 

 

 

「下賤な、これだから人類は愚かなのだ」

 

「ぐっ!!!」

 

 見えない力が突如として九条を襲う、一瞬にして壁にめり込まされる。

 

「誠一!!」

 

「さて、オルガ。せっかくの別れだ、最後に君が愛したカルデアスを見せてやろう」

 

 パチンっと指を鳴らすと同時に空間に大きな穴が開く、空けた空間の先には真っ赤に染まったカルデアスがあった。

 

「カルデアスが…………。」

 

「これが指す意味共に学を学んだロマニ·アーキマン分かるであろう。人類は文明の衰退や戦争によって終わったのではない、焼却されたのだ!!我が王の寵愛を受けられずに貴様らは自らの無力を思い知り絶えるのだ!!」

 

『ーーーーレフ教授、これらの所業全て貴方の仕業だったか!?今外部と連絡がつかないのも応答がないのでなく応答する相手がいないそういうことなのですね!!』

 

「くどい、何度も言わせるな。オルガ、君のカルデアスだろ?最後のお別れをするが良い」

 

 スイっとレフが指を振るう。するとオルガマリー見えない力で持ち上げカルデアスに近づけさせようとする。

 

「所長ッ!?」

 

「駄目です、先輩!!」

 

「やめてレフ!カルデアスなのよ触れたらどうなるか!!」

 

「ああ、太陽と変わらない出力をもつ物質の塊だ。触れれば体は一瞬にして分解され永遠の苦しみを味わうことになろう」

 

 なんて素っ気ない態度で話すレフ、恐怖で顔が歪んでいるオルガ。この状況は良いものでない、悪魔のようなあの男にとっても彼にしても。

 

「させるかァァァァァァァァァァァァッッッッ!!」

 

 そこに勢い良く飛び手を伸ばす九条の姿があった。

 

 

 ただ、ダダ必死に手を伸ばす。泣いている彼女を救うために、飛ぶ。飛ぶ。

 

 

 

ーーー届け、届け、届け!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、その思いは届かなかった。

 

 

 

「キァッアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 

 オルガマリーの断末魔が響き渡る。なす術なく地面に墜落する九条、オルガの涙が九条の頬に触れた。それと同時に、地面が激しく動き出す。天井から瓦礫が幾つも落ちてくる。

 

「む?そろそろこの特異点も限界か、さてカルデアの諸君残りの時間を怯えながら暮らし給え!!」

 

 そう言うとレフは光とともに消えていった。

 

『ヤバイ!もうこの空間が崩壊を始めてる。ギリギリのレイシフトになるかもしれないッ!!』

 

「誠一!!」

 

 

 九条は只項垂れめいた。脳裏にオルガマリーの悲痛な表情がこびりついていた。まただ、また救えなかった。また、届かなかった。

 

 降り積もる後悔の中、次第に怒りが湧いてきた。

 

ーーーレフ·ライノール。奴は俺が殺す!!

 

 殺意が絶え間なくその身を駆け巡る。

 

 

そしてーーー!!

 

 

 

「ぜってぇー、許さねぇぞ!!レフ·ライノールゥゥゥッッッッッ!!!!!!!」

 

 

 怒号ともに九条達は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーさぁ、旅の始まりだ。存分に掬うが良い

 

 

 

        『仮面ライダー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次章『救国を駆けるが竜騎士』

運命は廻り始めた!!
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