馬鹿と気が合うお調子者   作:末吉

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短いです。


大丈夫だろうか……

「よう。遅かったなうじ虫やろ…………」

 

 入ったらいきなり罵倒されかけたんだが。

 

 まぁそんなことは置いといて。

 とりあえず教室内を見てみよう!

 

 ふむふむ……亀裂の入った壁……埃の出る畳……かび臭い空気……そして一人だけしか存在しない女子……

 

「って、女子一人だけかよ!? どんだけこの学園の女子は才女だらけなんだ!」

「うちは帰国子女だから字が読めないだけなのよ!!」

「うおっ!」

 

 いきなり飛んでくるシャーペンを何とか払い落とす。……怖っ

 

「今度言ったらその腕折るわよ」

「悪かった悪かった。転校したばっかだから分かんなかったんだ」

「……そうなの? ならそう言いなさいよ」

 

 そう言って席に座る女子。ポニーテールの。胸が残念n……

 

 シュッ、パシッ

 

「折ってほしいのかしら?」

「反応速度に感心すればいいのか驚けばいいのか分からんな」

 

 もう一度飛んできたのでまた払い落とす。

 冷静なようでいきなり二度も攻撃された上に心を読まれたのでぱにくっている俺だが、一回咳払いしたうえで先程罵倒してきた教壇を陣取っている赤髪の男に向き直る。

 

「さっきはよくも罵倒したな、初対面の俺に向かって」

「悪かった。こんな時間に来るなんて明久ぐらいだったから」

 

 つまり、俺はその明久ってやつの代わりに罵声を受けたのか。

 

「はぁ。ついてねぇ」

「ていうか、見たことない顔だと思ったら転校生なのか」

「おう。豊橋流だ」

「豊橋……? まさか」

 

 俺の名前を聞いた瞬間に思案顔になる赤髪の男。ひょっとするとこいつ……知ってるのか?

 だとしたら厄介だと考え、俺はすぐさま笑顔で否定する。

 

 

「お前が想像してるのと違うと思うぞ」

 

 そう言うと何やら納得した顔でうなずきやがった。

 

「……だよな。お前みたいなにやけ顔、あそこの家系なわけないよな」

「だろ~?」

 

 そう言っておおらかに頷く。が、内心は冷や汗だらだらだった。

 

 この学校なら大丈夫だと思ったが……くそっ。知ってる奴は知ってたか。

 どこまでついて回るんだと思いながら、俺は赤髪に質問する。

 

「って、名前は?」

「俺か? 俺は坂本雄二。このクラスの代表様だ」

 

 代表……ということは、一番頭がいいってことか(このクラス内で)。

 ……ん? まてよ、坂本雄二だと?

 俺は先ほど紹介された名前を思い出して過去の記憶と照合し始める。

 

 脳内でヒットしたその名前は、前に『神童』とか大仰な二つ名が存在し、あの霧島と幼少時代を過ごしたというものだった。

 

 前にあったときはかなり細かった気がしたんだが……いったい過去に何があったのだろうか。

 少し気になったが掘り返すこともないだろうと思い「よろしく、代表」と言って握手した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいません遅刻しました……って、雄二!?」

「やっと来たかバカ久」

「貴様、言うに事欠いてバカさとはなんだ!」

「お前は自分の名前も満足に聞こえないのか!?」

 

 自由席だというので適当な場所(窓側の奥のひとつ前)へ座ると同時、先ほどAクラスを羨ましそうな眼で眺めていた奴が来て、さっそく坂本と漫才を繰り広げていた。

 あいつが明久なのか……印象だけはよさそうな感じするんだが、今の発言を聞くと残念さがぬぐえないな……。

 

 これからこのクラスでやっていけるかなぁと疑問に思いながら窓を見ていると、先生が来た。

 

「どうも。Fクラス担任の福原慎です」

 

 その声で教壇に視線を向けると、チョークを使おうとして諦めた福原先生の姿が。

 このクラス、本当に大丈夫なんだろうか?

 

「では、自己紹介と行きましょう」

 

 数々の愚痴をスルーした後に言った一言。ていうか、自分から振っておいて『我慢してください』か『自分で何とかしてください』っておかしくないか?

 なんて思っていると自己紹介が始まったのか一人ひとり立ち上がって話し始めた。

 

 …………。

 

 う~ん。話聞いてる限りじゃこの学園、はっきり言って無法地帯じゃね?

 

 まぁ演劇にのめりこんでいる木下秀吉って女みたいな男はいいとして、だ。

 趣味や特技で「盗聴」や「盗撮」を言いかけた土屋康太、先ほどシャーペンを投げてきたポニーテールの島田美波。お前らは平然となんてこと言いやがる!

 あれか? 俺がこの学園じゃ浮くのか!? それともこの学園はそういう空気なのか!?

 

 一瞬でも気を抜いたら終わりそうだと思った瞬間、『ダァリーーン!!』という大合唱。

 

「失礼。忘れてください」

 

 明久だった。

 

 本当残念な奴だなぁと思っていると、俺の前のやつの自己紹介が終わった。

 別にいつもどおりでいいかと思い、俺は立ち上がっていった。

 

「オッス、俺、流! 基本的にテンション高い転校生だぜ!!」

 

 びしっと親指を突き立てて止まったが、誰も反応してくれなかった。

 ……心に刺さる。

 

「……よろしく」

 

 最後にそう言って、俺は席に座った。

 

「彼は家庭の事情で転校してきたので試験を受けていないそうです。みなさん仲良くしましょう」

 

 そのあとの先生のフォローがあったが、今の俺はそれに喜ぶことが出来ず、ただたださっさと終われとしか思えなかった。

 

「では最後に坂本君。お願いします」

「ういっす」

 

 そういって立ち上がった坂本が口を開こうとした瞬間、ドアが壊れそうな勢いで開き、一人の生徒が入ってきた。

 急いできたのか肩で息をしているその女生徒を見た福原先生は、「では瑞希さん、お願いします」と言って紹介を先に促した。

 

 うっわ。恐ろしいな、色々な意味で。

 彼女の姿を見た俺はそんな感想を抱き、周りを見渡した。

 

 あー、島田の方はショックで放心してらぁ。

 土屋は写真撮ってやがるが……鼻血が出てるのは気のせいか?

 明久は……驚いてるな。普通に。

 ほんで坂本は……何考えてるんだ?

 

 などと観察していると、一人の生徒が手を挙げてどうしてここにいるのか尋ねた。

 頭いいのかこの女生徒と推測していると、「熱を出して途中退席しまして……」と言うと、明らかにこの話題とは違う話で盛り上がるクラスメイト。

 

 あー、うん。お前らがここにいる理由、なんとなくわかったわ。

 頭痛がしそうな会話を聞いていると、福原先生が叩いたせいで教壇が壊れた。

 

「……替えを持ってきますので、それまで自習してください」

 

 脆いなっ! とツッコミをしたかったが、そこはスルーして窓の外を見る。

 

 周囲が何やら騒いでるけど気にせず、さりげなく窓の外を観察。

 

 まぁここまで見晴らしがいいと問題ないと思うが……なんだかなぁ。

 と、今後起こりうるケースについて頭を働かせていると。

 

「「「大有りじゃぁ!」」」

 

 突如として聞こえた野郎の合唱。

 一体なんだと思い教壇の方へ視線を向けると、不敵な笑みを浮かべる坂本がいた。

 

 あいつ……一体全体何をしでかす気なんだ?

 

 そんな不安をよそに、坂本は決定的な言葉を放った。

 

「そこでだ、俺達FクラスはAクラスへ試召戦争を仕掛けようと思う」

 

 ……何とかなるのかね?

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