馬鹿と気が合うお調子者   作:末吉

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お久し振りです。この後の展開がオリジナルになるので難産です。


罰ゲーム(眺めるだけ)

 ババアのところで話をしてから注文したものが特急便で届いたので作業し、それが終わったので今度はポスターと言う名の予告を簡素に書いて張り出し、終えたのが午後六時。

 

 覗き犯と言うと、なんかすぐにぼろを出した。

 

 当然、清水美春である。

 

 あいつ風呂場前で必死に何かを探してたようで西村先生が強制的に連行してカメラ見せたら食いついた。

 今はその西村先生のところで一人正座しているとのこと。

 まったくバカだよなと思った俺は面倒だなぁと今後を考えつつ現在――

 

「はいあがり」

「強すぎるよ流……」

「……大富豪十連勝」

「引きもそうだがハッタリにポーカーフェイスが尋常じゃねぇぞ。さすがは社長やってるだけあるな」

「これでまたわしらだけかの」

 

 ――明久たちとトランプに興じていた。

 

「っていうかいきなりバトルロワイヤルってババアも何考えてるんだろうね」

 

 ハートの七を場に出しながら早速その話題を出したのは明久。

 それに対し少し考えてから「パス」と言った雄二は「だな。その割にトップテンにランクインした景品が意外としっかりしてるんだよな」と言った。

 

「そうじゃの。最新映画の試写会に食事券、その上旅行券まであるというのじゃから……これじゃな」

 

 続く形でスペードの九を出しながら言う秀吉。次の番の康太はクローバーのキングを出して「ただし教師や流が参加する」と言った。

 

「いや、俺も生徒だしさ。参加したっていいだろ?」

「まぁどうせこれ考えたのお前だろ?」

「あ、ばれた?」

 

 あっさりと言うと予想していたのか全員がため息をついた。

 

「まぁお主以外こんなこと考えるのはおらんじゃろなと」

「ああそうなんだ……」

「なんで元気なくすのさ?」

「え……だってサプライズ的な?」

「……流の性格を知ってる人は気付いていた」

「な、なんだってー」

「棒読みじゃねぇか……っと、俺あがりな」

「あ、雄二!」

 

 気が付けば雄二が二番目にあがっていた。それを見た明久たちは驚く。

 

「ほらさっさとやれよ。明久は罰ゲームリーチだからな」

「分かってるよ」

「次はわしじゃな」

「…負けない」

 

 そう。この大富豪、罰ゲームがある。俺の話で有耶無耶になりそうだったが、雄二は確実に覚えていた。どれだけやらせたいんだよ。

 

 ま、それも仕方ないか。五回負けたら罰ゲームというルールで最初の被害者が雄二なのだから。

 次は誰だろうなと思っていると「これでどうじゃ」とクローバーの九を出す。

 

「……イレブンバック」

「えぇー……パス」

「なら三じゃな」

「……パス」

 

 淡々と行われているゲームを尻目に、雄二は俺に耳打ちして聞いてきた。

 

「犯人は?」

「…ああ。簡単にぼろ出して西村先生の部屋で正座中」

「そうか……これで解決したわけか」

「ま、誤解は解かれてないけどな」

「そりゃそうだが……まぁその際それは気にしない」

「あぁー!! また負けたーー!!」

 

 明久がトランプを放り投げてそう宣言したのを聞いた俺達。

 なんというか予想通りだなと思いつつ「さ、雄二と明久の罰ゲームどうするよ?」と訊ねる。

 

「うむそうじゃの……」

「……中々面白いものが浮かばない」

「だよな……雄二には霧島当てれば十分だって感じでネタが「おい! それ本当に罰ゲームじゃないか!?」一本しかないし、明久は常日頃から自分で罰ゲーム受けてるみたいだし」

「ねぇ流。その発言の意図を詳しく聞いていい?」

「そうだ! 意味深なメールを送ってやればいいんだ!!」

「え!?」「おい!」

 

 俺の提案が不満なのか抗議をする二人。だがお前らに拒否権などない!

 

「俺が勝者だ! 負けたお前らの羞恥心や外聞などを考慮する必要はない!!」

「清々しく言い切ったの」

「……でも事実。一度も大富豪から落ちてない」

「いや本当に待って! 雄二は別に変らないからいいとして、僕なんかがそんなの送ったら迷惑だって!!」

「ん? ああ大丈夫。メールを送る相手は男だから」

「外道だ!! 本物の外道がここにいる! 雄二なんかよりよっぽどたちが悪い!!」

「やめろ! それをされたら本物だと学園で認識される!!」

 

 絶叫にも似た叫び声で懇願してくる雄二と明久。

 さすがに可哀想だと……

 

「思うわけないだろ携帯出せ携帯」

「おい荷物持って逃げるぞ明久!」

「うん!」

 

 

 ダッ!(二人が駆け出す音)

 ビタン!(二人同時に顔面から倒れ込む音)

 

「甘いなー。湯煎したホワイトチョコレートに砂糖混ぜて飲んだ時ぐらい甘いなー」

「流よ。いつの間に二人の足に手錠をかけておったんじゃ?」

「荷物取りに行ったとき。足に注意がいってないから簡単だった」

「……というより、なんでそんなもの」

「何かあった時の犯人拘束するために持ってた。必要なかったから今使った」

「くそっ! これも流の計算の内か!」

「ヒドイや流! それでも人間なの!?」

「だったら五回負けたお前らが悪い。……ま、流石に男相手にメールを送るのは可哀想なので冗談だが」

「「冗談だったらいうな(言わないで)!」」

「一応明久は今から始めるつもり」

 

 そう言うと同時にコンコンと控えめなノックの音が聞こえたので「どうぞ勝手に入って。鍵はかかってないから」と部屋の外に聞こえる様に言う。

 するとガチャリと扉が開いてから「お、お邪魔します」とこれまた控えめな声が。

 

 その声を聞いてるうちにおとなしくなった二人の手錠を外さずに立ち上がった俺が襖を開けると、来たのはなんと姫路さん。

 

 もちろんこれには明久も驚いた。

 

「姫路さん!? ど、どうしてここに!?」

「あ、あの…豊橋君がカメラ騒動の犯人をメールで送ってくれたので皆さんに謝りに来たんです」

「なっ! テメェ流! 俺達に教えないのはどういう事だ!!」

「そうだよ!」

 

 噛みつかんばかりの勢いで抗議してくるので、俺は頭を掻きながら訊いてみた。

 

「いや……お前ら犯人分かったら分かったで覗きしそうだなと思ったんだが……違うか?」

「「「(スッ)」」」

 

 俺の質問に視線を逸らす二人+一人。

 案の定だったのでため息をついた俺は、「だから教えないんだよ」と締めた。

 それを見ていたかどうか知らないが姫路さんは寝そべっている明久に向かって謝ろうとしたので、とりあえず一旦姫路さんを止め、明久の手錠を外して立ち上がらせてから再開させた。

 

「さ、どうぞ」

「あの……坂本君はいいんですか?」

「ん? 逃亡されても困るからこのまま」

「豊橋君も結構ですね……」

 

 苦笑しながらそう言った姫路さんは改めて明久に面と向かって頭を下げ、「ごめんなさい!」と謝った。

 

「明久君たちと一緒に来たのに疑ってごめんなさい!!」

「あ、うん。大丈夫だよ」

「でも、ひどい仕打ちをしてしまいましたし……」

「大丈夫大丈夫。いつもと変わらないから」

 

 笑って誤魔化せるって本当にすごい気がするんだが……数々の死地へ向かわせる所業を見てきた俺はそんなことを思いながら、パンパンと手を打って二人の視線をこちらに向ける。

 

「はいはいそこまで。謝って許されたのならもう謝ることないよ姫路さん」

「そ、それはそうですけど…」

 

 まぁ納得はいかないわな、姫路さんの性格じゃ。

 そう思った俺は話題を変える様に「そう言えばメールに書いたもの、持ってきた?」と訊ねる。

 突如として変えられた話題に戸惑いながらも姫路さんは両手で持ってきた箱を持ち上げてこう言った。

 

「一応自前の化粧箱を持ってきましたが……一体何をする気ですか?」

「! さらばだぁ!」

 

 ダッ!(危機感を覚えた明久が逃げ出そうとする音)

 ビタン!(再び顔面からダイブする音)

 

「学習しないな、本当」

「あの、大丈夫ですか明久君?」

「うん大丈夫……って流! 君は僕に恨みでもあるの!?」

「え? 記念だよ、記念」

 

 そう言うと俺は指を鳴らして「さ、秀吉準備」と言う。

 

「やれやれ……ま、これも学園生活を円滑に過ごすためじゃ。悪いの明久」

「秀吉まで! 僕は秀吉にもひどい事なんてしてないじゃないか!!」

「わしの性別は男だというのを一切信じてないのが酷い事じゃが……それはまぁ良しとするかの。姫路よ、その化粧箱を貸してくれぬか?」

 

 そう聞かれてやっと意味が理解できた姫路さんは「え、えっと……」と尻すぼみする。

 すかさず俺は勧誘する。

 

「姫路さんも一緒にどう? 謝罪の形としてさ」

「え、で、でも……」

 

 少し頬を赤らめている。

 もう少しかなと思った俺は彼女に耳打ちした。

 

「撮った写真焼き増しして全種類タダであげる」

「!」

「それじゃぁ足りないというのなら寝顔付きでどう?」

「――分かりました! やります!!」

「え、姫路さん!? い、いいの!?」

「はい! どんなポーズでも大丈夫です!!」

 

 自信満々に即答する姫路さん。

 これで何とか無駄にならなそうだと思った俺は康太に「さ、撮影会準備するか」と言って明久と雄二の手錠を外してテーブルなどを移動する。

 自力で立ち上がった雄二は、秀吉に連行された明久を見送りながら「やっぱりお前すごいな」と呟いた。

 

「別にすごくねぇ……なんて言わないが、俺よりお前達の方がすごいと思うけどな」

「そうか? お前みたいに人を思い通りにコントロールできるのは充分だと思うぞ?」

「だからできないっての。俺は、お前達があんな仕打ち受けても普通に接することができることにすごいと思ってるんだよ」

「ああ……」

 

 受けてきた所業を思い出したのか急に遠い目をし出す雄二。康太の邪魔にならない様に移動しながら雄二のバックから携帯をとった俺は、明久の携帯と同時操作でメールを打つ。

 

 送る相手は霧島と島田さん。一応島田さんの方は自習中に謝ったようだが、まぁサプライズと言ったところ。

 どちらかを応援するわけじゃないので均等にチャンスをやるという考えで行動してるので傍迷惑とか考えていない。

 

 手早くメールを打ち終えた俺は両方のメールを送信して電源を切ってバックの中に携帯を戻した。

 で、隣を見たら未だに戻ってこない雄二が。

 

「って、おい雄二!!」

「よく考えたら俺何も悪いことしてないんだったよな……なのになんであいつは……」

「くそっ! こんな時に!!」

「すまぬな姫路」

「い、いえ大丈夫です! ありがとうございます!!」

「? なぜ礼を言われるのか分からぬが……と、流。一体何をやっておるんじゃ?」

「正気に戻らすためにジャーマンスープレックスを」

「それをやったらただじゃ済まぬぞ!?」

「うぅ……ヒドイや秀吉」

「……準備完了」

「せいっ!」

「ぐあぁぁ! あ、頭がぁぁぁぁ!!」

 

 写真撮影前に軽いカオスとなった。まぁ、先生こなかったからマシだな、うん。

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