昼休み。
その日によって弁当だったり学食だったりする俺だが、会いたくもない奴らと遭遇する確率を少しでも下げるため、今週を弁当にすることに決めていた。
そのため、Fクラスで秀吉たちと食べるいつもの日常になるはずだったんだが、そうは問屋が卸さなかった。
「留学生としてきたのは誰じゃったかの?」
「俺より流のほうが詳しいぞ秀吉」
「……嫌だ口にしたくない」
「どれだけ嫌っておるんじゃ!?」
昼食。いつもなら明久と康太もいるのだが、生憎あいつらに入ってもらっているので俺と秀吉と雄二のみ。
女子三人はAクラスへ行き、由美たちと食べている…………って。
「あ」
「どうした流。ついに自己破産したか」
「お前が霧島の告白を断る確率より低い戯言をありがとう。いや、姫路さんたちAクラスに行ったからそのうち留学生の奴らもこっちに来そうだなと思った次第。だから、さらばだぁ!」
「逃がすかぁ! 秀吉!!」
弁当を瞬時に片づけた俺はそれをもってそのまま教室を出て、一目散に駆け出した。
「いやぁ、わしは流石に……流には世話になっておるから遠慮するぞい」
「なら……須川!」
「どうしたぁ?」
「クラス全員に通達しろ。『豊橋流は留学生の女子と知り合いだ』と」
「殺して来ればいいんだな?」
「いや、捕まえてFクラスに縛り付けておく。ただし、相手は天災級の天才だ。人海戦術である程度視認できる距離を保てるように指示しろ」
「了解」
指示を受けた須川はすぐさまクラスメイト達に雄二の指示を伝え、それを聞いた彼らは無言で教室を出て行った。
残ったのは雄二と秀吉。
秀吉はにやけている雄二に懸念していることを聞いた。
「のぅ雄二」
「なんだ」
「もし雄二の考えていることを流が考えておったら、どうする気じゃ?」
「追手が来るぐらい予想してるだろあいつのことだから。だから深追いさせないである程度距離を保たせているんだよ。そうすれば疑心暗鬼になって行動しづらくなる」
「絶対にバレない場所に隠れでもされたら終わりではないかの?」
「そんな場所あるわ……」
秀吉の指摘を否定しようとした雄二だったが、記憶している校舎の構造を思い出していくうちに言葉を失った。
「どうしたんじゃ?」
「……俺達が絶対に入りたくない場所と教員じゃないと入れない場所。もしその二つのどちらかで籠城された場合勝ち目はない!」
「あったではないか。これでは流を出し抜くことなんてできなさそうじゃの」
「……いや! あいつはFクラス男子だけで捜索してると考えているはずだ。そこに盲点があるぞ」
「……」
急に勝ち誇ったように言い出した雄二に秀吉は、どう転んだところで流に逆手に取られて終わりのような気がした。
「……というわけで、ババア。ちょっと研究室籠ってるわ」
「あ? ふざけたこと抜かすんじゃないよくそじゃり。学生だろ普通に授業でな」
「嘘だっ!!」
「遊んでるんじゃないよ! ……まったく、この学校がつぶれる瀬戸際だって知ってるくせに」
「俺関係ないし」
「大ありだろ! あんたが恨まれてるのが原因なんだろ?」
「知らない! 俺は本当に何も知らないんだ!!」
とかやっていた始業のチャイムが鳴った。
学園長室で熱弁をふるった俺は冷静になり、「んじゃ、そういうことで」と出ていこうとする。
ババアは書類を見ながら「待ちなクソジャリ」と呼び止めてきたので「断る!」と胸を張って叫んでおく。
「まだ何も言ってないさね!」
「はん! ババアの頼み事で面倒ごとにならないことなんてなかったんだ!! 頼まれたことホイホイかなえると思うなよ!!」
「別に頼み事するわけじゃないさね。ただ、Aクラス行って留学生達と交流及び案内をしろと命令するだけさね」
「死ねっ! そんなもんAクラスに任せておけや!!」
「生憎と、向こう側からのご指名さね。さんざん派手に暴れまわったんだからしょうがないと言ったらしょうがないと諦めな」
「おうそうか。今すぐ突っぱねなければこの学園つぶしてもらうぞ」
「シャレにならなすぎさね! あんた、本当にこの学園がつぶれてほしいのかい?」
「どっちでもいいんだよ俺は。ただ、Fクラスの奴らが面白いから残したいと思っただけ」
「……ふーん。そうかい」
それ以降何も言わなくなったので、俺はとりあえず雄二に対する報復を決めてから息を吐いて部屋を出た。
ではまた次回をご期待ください。