休み時間になったので教室に戻る。そして荷物を置いてさっさとAクラスに移動しようとしたところ……
「助けて流!」
「何デレデレしちゃってんのよアキのくせに!!」
「やめなさいよ明久様が壊れるでしょ!?」
関節技決められた明久を挟みながら島田さんと明美が口論をしている現場に遭遇した。長浜はおらず、姫路はオロオロしていた。
で、雄二以下その他はというと。
「全く懲りねぇなあいつらも」
『全くだ』
「……武装してるお前らも人のこと言えねぇけどな」
スタンバっていた。雄二以外。
俺は荷物を置いてから退屈そうに外を眺めている雄二に声をかけた。
「よぉ」
「何だ流来ていたのか?」
「まぁな。授業さぼってたけど」
「すげぇなおい」
「そういう雄二は何で退屈そうなんだ?」
「あ?……次の期末テストまでやることねぇからな。やる気が出ねぇんだよ」
「霧島いなくて寂しいのかと思ってた」
「ばっ、だ、誰が寂しいんだよ!?」
顔を赤くして否定する雄二の姿に俺は笑って「全く素直じゃねぇんだから」と言っておく。
それで何かに気付いた雄二が「ねぇ助けてよ!!」口角を吊り上げ悪役の笑いのそれで「……昔に戻っただろ?」と確信を持って聞いてきたので、「あ、戻っていいのか?」と俺も真似していう。
「戻ったら最後、お前の隠していることなんてお見通しだ!!」
「やめろ! やっぱり戻らなくていい!!」
「つぅか昔の俺ってどんなのだっけ?」
「今よりも手に負えない上、優等生の皮被った悪魔だったぜお前は!! 何度お前の掌で踊らされたか……!」
「ちょっとそんなこと言ってないで助けてよ!」
「「お前は自業自得だろうが!」」
「そんぎゃっ!!」
明久が悲鳴を上げているが俺達は関係なくヒートアップする。
「大体、何の別れも告げずにアメリカに留学したとかどうかしてるんじゃねぇか!?」
「うっせぇ! ありゃあの野郎が『もうお前があの学校に行く必要はない』とか言いやがったからだ! 俺だってもう行きたいなんて思ってなかったけどな!!」
「それに、お前自分がどれだけ周りに被害出してたのか分かるか!? 俺や翔子はともかく、お前自分の家標的にし過ぎだろ! 親戚何人飛ばした?」
「あれは犯罪してる向こうが悪い! そしてそれを俺に見つかったのが悪い!! 悪いことしてる奴は通報するのが俺の正義だったからなあの頃!」
「子供の遊びでも何でもねぇだろ。……つぅか、マジでお前の家あんなに立て続けに晒されたのにビクともしなかったよな。すげぇとしか思わなかったわ」
「あのせいで俺完全に恨まれて勘当されたんだよ渡米言い渡されたあたりで」
「原因それかやっぱり! 完全な自業自得じゃねぇか!!」
「……もう、む…………」
「明久様!?」
「アキ!?」
「明久君!?」
二人の悲鳴で何事かと雄二と一緒に振り返ったところ、明久がぐったりとしていた。おそらく島田さんの関節技で締め落とされたんだな……じゃなくて。
「ちょっと島田さんどいてくれ!」
その言葉にどいてくれた島田さんをしり目に俺は明久の胸ぐらをつかみ、揺さぶりながら叫んだ。
「おい起きろよ明久! お前の女装が高く売れているんだぞ!!」
「(ガバッ!)何それどういうこと!?」
「ふぅ。手間かけさせやがって」
俺はそのまま手を放す。たたみに頭を打った明久はしかし、「ねぇだからどういうことなの!?」とすぐさま起き上がって俺にしがみつきながら叫んだ。
が、俺はそれ以上言う気はないので「起きたならいいか」と引きはがして教室を出ることにした。
ちなみにそれは本当のことで、一部生徒の間で需要がありすぎ……て主力商品に食い込んでいる。一番はやはり秀吉だろう。康太の盗撮レベルも上がっているし。
Aクラスまで鼻歌歌いながら歩いてそのまま教室に入る。
「やっほー」
「!?」
驚き固まるAクラスの生徒たち。特に留学組は目を見開いて呆けている。
なんとなく言われそうな言葉を、先んじて否定することにした。
「言っとくが、グレイとかじゃないからな?」
「ではなんだというんですの? 昨日までの態度を百八十度ひっくり返した今日のあなたは」
「少しハードルを下げただけ。お前らとつるむくらいなら別にいいかなってね」
「なん……だと…!?」
一同に激震が走ったらしい。すぐさま全員が少し離れた場所に移動してしまったので、「そんじゃ」と言ってAクラスから戻った。
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