馬鹿と気が合うお調子者   作:末吉

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五巻の始まりです。


期末テストの話
急に真面目になると不審がられる


 次の日。

 本当に何事もなく玲さんは荷物を持って出ていってしまった。感謝されたが、正直そのまま行けばよかったのではと言いたくなった。

 

 因みに。勘付いてるかもしれないが、玲さんは俺が大学に飛び級で入学した時の同級生だ。あと、大学では最終学年――つまり、卒論を書く――まで飛んだ。それまでの単位とかは学校側が不要だといったから(まぁ憶えてるし)。

 

 まぁそんなこんなでその時研究テーマをやるメンバーの一人が彼女ってわけ。

 

「分かった?」

「さらっと言われたインパクトのせいでかすんだ気がするけど……まぁ分かったよ」

 

 彼女が出ていった後にしょうがないから夏木さんに説明したところ、げんなりした様子だが納得してくれた。

 

 それからまぁ、一般人として必要な知識をその日は教えた。

 

 

 

 次の日。

 いつも通りに登校してメンテナンス状況を確認して報告書をババアに提出して教室に一番乗りしたので、暇潰しに教科書を読んでテスト勉強する。

 する必要があるのかって? 気分だよ、気分。ここのところ色々あったし、これからも色々あるだろうから息抜き。

 そんな感じで適当に捲って読み返して、ふと玲さんのことを思い出す。

 

 あの人なんで戻ってきたんだろうか、と。

 

 十中八九明久が原因なんだろうが、それだったらさっさと来てもおかしくはないはずなのに。あの人の性格からして。

 ひょっとして会社の異動のついでか? 可能性としてはあり得るのがなぁそれくらいか。

 

 まさか自分から会社に進言したわけじゃないだろうな……なんて嫌な想像をしていたら教科書を読み終えたので閉じて腕を伸ばす。

 

「しっかし、なにもテストに戻ってくることはなかろうに」

「誰のことだ?」

「お、雄二」

 

 声がした方に体を向けてみたところ、なぜかズボンが体育の半ズボンだった。

 笑いをこらえながら「どうしたんだよそれ?」と訊ねると、「あのバカから送られてきたメールのせいで翔子に持ってかれた」とイライラした声で答えが返ってきた。

 それだけで明久が置かれている状況が推測できたので、「お前ら本当に仲良しだな」とからかう。

 

「仲が良かったら問答無用で寝込み襲うとか絶対ねぇよ!!」

「俺一言も霧島のことなんて言ってないけど」

「!? は、嵌めやがったな!!」

「おはようございます……坂本代表、ズボンはどうしたんですか?」

 

 俺の胸ぐらをつかもうと近づいてきたときにアデールが入って来たと同時に質問してきたので固まった。

 

「よっ」

「おはようございます。ところで、なぜ固まってしまったのでしょう?」

「あ、羞恥心の限界だからじゃね?」

「ああ、なるほど」

 

 納得して自分の席に座る彼女。

 その後も続々と登校し、そのすべてが雄二の珍妙な格好に触れそのたびに雄二のいら立ちが募っていた。

 

 そして、明久が登校してきた。

 

「おはようみんな」

『??』

 

 俺以外は明久の挨拶に疑問符を浮かべていた。

 まぁ無理もないだろう。何せ、

 

 いつも遅刻するかしないかの境界線で来ているのにそれなりに余裕の時間で、

 

 いつもしわくちゃな制服がアイロンでもかけたのか綺麗になっており、

 

 いつも寝ぐせとかがひどいのに、きちんと整えられているのだから。

 

 そしてその変化に気付いたのは俺達だけではない。

 

「どうしたんですか吉井君。急に真人間になったりして」

「どうしたのよアキ!? いつもだらしない顔なのに」

「明久君!? な、何か悪いものでも食べたんですか!?」

「明久様が自立しようとしている!? 大丈夫です! それでも明久様の根本的な部分は変わりませんから!」

「明久様……いつもよりかっこいいです!」

「ちょっと待ってちょっと待って! 僕がまじめになったらおかしいの!?」

「「「「「うん」」」」」

「明久ぁぁぁぁぁぁぁ!! テメェ朝からなんてメール送ってきやがった!!」

 

 大体の人が頷いたと同時に雄二がついに暴発。その恰好のまま明久の胸ぐらをつかみ揺らし始めた。

 

 そろそろ霧島の愛情表現矯正した方がいいな……マジで。




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