『吉井、保健室へ行ってきなさい』
康太が抱き枕を堂々と持参したり、明久が雄二に送ったメールを読み上げたせいでホモ疑惑が加速したHRが終わり、授業が始まったのだが、先生達にそう言われるくらい明久が授業を真面目に受けていた。
いきなりの豹変だから戸惑うだろうが、普通は喜ぶんじゃないだろうか。……そういや普通じゃないな。うちの学校。
何て感想を抱きながら明久が急に真面目になった理由を考えてみた。
玲さんが原因なのは断言できる。あの人のことだ、理不尽なことでも問答無用、容赦のないことをするだろう。明久を愛するがゆえに。
と、なると。
明久にとって真面目に受けざるを得ない状況になった理由が原因か。ひょっとして一人暮らし禁止とかか?
あいつの生活おおよそ一人暮らし出来てるとは言えないし。
話聞いてても呆れるぐらいだからなぁと思っていたら昼休みになった。
最近の昼食は弁当が主だ。居候が自炊するために食材を買う都合上、色々まとめて買った方がお得なのだ。
と、言うわけでいつも通りFクラスでいつも通りの奴らと食べるために弁当をもって集まると、明久も弁当をもって来た。
最近バカ専が餌付けするように弁当を持ってくるのが日常になりつつあるなかで、本人が持参してきた。
まぁ本来なら普通のことなので驚くことではないんだが、明久が持ってきている事が周囲を驚かせた。
というか、普段やらないことをやるから怪しまれるんだよな……その事に気付かないのかね。いや、玲さんの理不尽でそこまで気が回らないのか。
「いただきます」
まぁそんなことどうでもいいので俺は弁当を食べ始めると、明久と雄二が逃げ出した。
ここまで息ぴったりだからホモ疑惑が定着するんじゃないだろうかと思いながら食べ進めていると、「流は動じないのぉ」と秀吉が弁当を食べ始めながら言ってきた。
「慣れたからな、流石に」
「まぁそうじゃの……ところで、流は驚かなかったのかの? 明久が料理できること」
「別に? 驚くことでも無くね?」
「そうですか? 明久様を見ているとそんなことでも驚くのですが鉄仮面」
「そんなの只の思い込みだろ頭でっかち。現実を柔軟に受け止めろ」
「そうでなければ瑞希も美波も驚きませんわ」
まぁそうだろうけど。そう思いながら食べ進めていると、「お兄さま、そちらのトンカツをひと切れ交換しませんか?」といつの間にか隣にいる留美がそんな提案をしてきたので「いやだよ」と即答して弁当を食べ終える。
「ごちそうさま」
「というより、留美が来ていたことに驚かないのですね」
「だって霧島と来てただろ」
「よく見ておるのぉ……」
「ああ、お兄さまのいけず!」
叫んでいるが、俺は当然無視した。
と、ここで俺は話題をこれからについて変えた。
「召喚獣のメンテ、ありゃ一筋縄じゃ行かねぇな、やっぱり」
「? 留学期間ではもうすでに始めておったのに、まだ終わらぬのか?」
「というより、そんな簡単にばらしてもよろしいの災厄?」
「お兄様は災厄ではありませんわ明美さん!」
「まぁ別に。どうせ分かることだし」
「それで、原因は判明しているのですか?」
アデールが訊いてきたので「まぁシステム構造上の問題」とだけ答えてから「テスト終了までかかると思ってたけど、もっと延びるかもしれん」と付け足す。
それに秀吉と康太が反応した。
「なんじゃと!?」
「……理不尽!」
「しょうがないだろ。あんなブラックボックス」
と言ってから俺はババアが呟いてたことを思い出した。
「そういやその詫びで今回のテスト結果が反映されるとか言ってたな。装備とか」
「「!?」」
「どういうことですかお兄様?」
「最初から在学してる奴らは蓄積データをもとに装備品が決まってるんだよ。俺達みたいな編入組と違って」
「なるほど。それをリセットすればもとより豪華になる可能性もあるわけですか」
「そういうこと」
「それはありがたいことじゃな。テストに対するモチベーションが高まるわい」
「……(コクコク)」
何やら納得してくれたようなので、俺はホッとする。
実際は雄二達の召喚獣の使い方が学校の理念と大幅にずれているのを矯正する為の延長である。遊び半分で使われている現状を鑑みた場合、学力向上のためのモチベーション維持としての役割を果たしていないのだから。
ババアがぼやいてくるから軽く「延長させれば?」と提案したら本当に延長してるからなぁ、メンテ。
まぁしばらく使えない代わりに今後自分の召喚獣が強化されることを考えれば我慢できる範囲だと思うけど。
問題は明久と雄二の反応だなぁと思いながら、FFF団の襲撃を容赦なく叩きのめして教室の隅に積み上げた。
西村先生はそんなクラスメイト達を一瞥したが、特に何も言わなかった。
と、以上が原作より長いメンテナンス理由になります。
ご愛読ありがとうございます。