お久し振りです
で、島田さんの家に到着した。
「ただいま~。葉月、いる~?」
玄関を開けて中に呼び掛けたところ、少しして駆けてきた。
「お帰りなさいお姉ちゃん! ……って、いっぱいです!」
彼女が後ろを見たらしく驚いたので、「ちょっと勉強するの」と事情を説明する。
それを聞いて葉月ちゃんは一転して落ち込んでしまった。
まぁ、それをめざとく見つけるのが明久《バカ》なんだが。
「良かったら一緒に勉強しない?」
「大丈夫なの?」
明久が提案するとは思わなかったのか島田さんが確認してきたので「大丈夫だろ。元からいるし」と言ったら「それもそうね」と納得した。
「ちょっと待ってよ! それって僕の学力小学生並みってこと!?」
「否定できるのかよ」
「うっ」
とりあえず黙らせたので、そのまま入ることにした。
リビングに通された俺達は、余計なことをせずに勉強しようという事となり、葉月ちゃんを交えて(明久の膝に座り)始めた。夕食は宅配ピザとか言ってるので、そこらの支払いはしておいた。
んで、払ってやったというのに雄二からは怪訝な表情を向けられた。そこまで器量が低いわけじゃないんだがなぁ。おちょくるときに吹っ掛けるだけなのに。
まぁ当然と言えば当然で、俺は康太と秀吉と雄二という男たちの勉強を見ていた。時折冗談を混ぜながら、基本的に分からない問題に対してヒントを与えるだけにとどめた。勉強というのは一から十まで教えるんじゃなくて、五ぐらいまで教えて残りは考えてやった方が身に着くと思っているし。
というか雄二の奴、なんだかんだ神童って言われていた頃みたいに問題解くスピード上がってるんだよな。ちょくちょく間違ってるけど。
姫路さんは島田さんと明久相手に勉強中。康太が殺意の波動に目覚めた視線を時折向けているみたいだが、それぐらいご愛嬌だと思いスルーしておく。段々染まってる気がしないでもないが俺自身も。
感染力高過ぎ……なんて思いながらも勉強を教えて時間が過ぎていった。
で、二時間が経過した。
適宜休憩をいれてやって、現在時刻は午後九時くらい。雄二の学力も少しは戻ってきた気がしなくもない。
他の奴らも地力はついてきたんじゃないだろうかと思いながら時計を見たところ九時半頃を指していた。
「今日はもうお開きだな」
「何? ……マジか。結構集中できてたな」
「続きはまた今度、じゃな」
秀吉がそういって片付け始めたのに合わせてみんな片付け始める。が一人だけ――明久だけ叶わなかった。それは何でかというと――。
「Zzz……」
「……寝てる」
「そうですね」
「こら葉月、起きなさい」
明久の膝の上で葉月ちゃんが寝てしまっているからだ。
島田さんはそんな彼女を注意したところ、タイミングよく寝言でこんなことを言った。
「……いつもバカなお兄ちゃんと一緒にいるお姉ちゃんには分からないです」
『……』
ここは慕われていると考えておこう。うん。
実際には関係ないので対して気にならないので俺は立ち上がり、「ま、明久残るのか?」と質問する。
「うん。まぁね」
「え、いいの?」
「まぁこれくらいなら」
本当、器でかいよなぁと思いながら「そんじゃ、お暇しますか」と声をかける。
「だな。ムッツリーニは秀吉を送って……俺が姫路か?」
「お、霧島に追われる覚悟があるのかお前」
「…………」
予想できる言葉を口にしたところ、彼は無表情で沈黙する。
俺もあまり信じたくないが昔から大分変貌しているようなので。
トラウマのような怯え方をしているので頭を掻いて「ま、俺と雄二と一緒ならあいつも大丈夫だろ」と助け船を出す。
「……ああ、そうだな」
「え、でも」
珍しいことに姫路さんが心配そうな表情をしている。
いやまぁ、理由は分かるが。
「大丈夫だろ姫路さん。明久のバカが気付くはずがないし。ご両親も心配しているんじゃないか?」
「ちょっと流!? どういうことさ!!」
「確かにそうかもしれませんけど、それでも」
こうして頑固なところはみんな同じなのかと考察しながらも、「時間も時間。島田さんの両親もそろそろ戻ってくるだろうし、明日もあるから帰ろうぜ?」と説得しつつ彼女の背を押す。
「え、ちょ、豊橋君!?」
「じゃ、帰るわ俺達。また明日な」
「お、そうだな。明久、島田。またな」
「うむ。また明日なのじゃ」
「……また明日」
こうして俺達は島田さんの家から出て行った。
こんな拙作ですが、もう少しお付き合いください