サタンは、目を閉じて話始めた。
ー原初は
神話には語られぬことがあるのだ。
それがこの私…。
かつてお前達の世界で暮らしていたのだ。
しかし、神はこの私の存在を否定し、滅しようとした。
私を滅すべく神は、戦いを始めた。ー
「た…た…かい…?」
ルキフェルが尋ねた。
「ああ、『ゾルフェリーの戦い』と呼ばれている。巨人と神の戦い…、『ティラナの戦い』よりも遥か前だ…」
ー私は、神と戦った。
神が率いる軍は、お前達の世界に生きとし生けるもの全て、
私の率いる軍は、禍々しい魔物だった。
永い永い戦いだった。
初め、私が優勢だった。
しかし、次第に私は押され始めた。
それは、神がキリトを生み出していたからだ。
ほとんど力を使い果たした私は、神の前に敗れる前に自らの分身たるキリトを生み出そうと考えた。
それがお前達、魔族だ。ー
「私たちがサタン様の分身なのですか…?」
「ああ、そうだ」
ーやっとのことで魔族を生み出し、彼らを神の知らない間にあの世界に送り込んだ。
その後、私は、敗北し、この世界に追放された。ー
「神は、私という存在を抹消するのに成功したと思い、あの世界を統治した…」
モレクが続けるように言った。
「そういうことだな。しかし、神は愚かなものさ」
ーこの世界は、闇の力に溢れていた。
そして、私と共に追放された魔物とは異なる魔物が暮らしていた。
私は、かつて追われたあの世界を手にするべく、この世界を支配する王―すなわち、魔王となった。
しかし、私は、大昔に時空を移動する力を奪われていた。
唯一残されていた時空を越える力は、私の分身にテレパシーを送ることだけだった。
幸運だったのは、魔族が神によって滅ぼされていなかったことだ。ー
「それで…なぜ
バアルが恐る恐る言った。
ー時空を移動する力を取り戻すためには、16の欠片―神の石が必要だったのだ。
それを守るのは、キリトの族長、つまり、
「しかし、我らの長・ルキフェル様には…」
「神のいたずらと言うべきものだろう…。だが、魔族に与えられた神の石は、確かに存在する」
ー神の石が私の元へ戻れば、失った力を取り戻し、完全体となって、奴らの世界へ戦いをするために降臨する。
平和ボケな奴らを滅ぼし、私の悲願―魔界とあの世界を繋ぐ『次元の回廊』を生み出し、二つの世界の支配者となることができるのだ。