ハデスの砂時計   作:アリス・リリス

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第十話~対峙~

―魚族長の部屋―

 

「ラルツォーネ!」

 

響古(キョーコ)は、扉を勢いよく開けた。

 

「よく来たわね、響古(キョーコ)姫」

 

 

ラルツォーネは、のんびりと答えた。

 

 

「さあ、村を返してもらうぞ!」

 

水乃(みずの)は、アクア・リリエカを構えた。

 

「私を傷つけたら、時空が持たないわよ。ねぇ、久々に話しましょうよ?」

 

しぶしぶアクア・リリエカをおろした水乃(みずの)

 

しかし、次の瞬間!

 

 

 

「どういうことじゃ?」

 

 

周囲を操られた大臣達が武器を持って取り囲んだ。

 

「ふふふ、私が本当のことを話すと思う?さあ、サタン様の所へ来るのよ!」

 

 

捕獲用のネットが発射された。

異邦人(ストレンジャー)を覆い被さる瞬間。

 

 

聖光降臨(セイントウェルフィ)!」

 

 

星奈(せいな)神光錦(しんこうにしき)を高々と掲げた。

 

 

聖なる光が周囲を包む!

ネットは、光の中に溶けた。

 

「「「「「「はっ、われわれは何を!?」」」」」」

 

大臣達が武器をおろした。

 

「たこどん、エイウド、たいフォン、ー!」

 

「くそっ、よくも…」

 

ラルツォーネが闇の力を込め始めた。

 

「お前たちも終わりだ!」

「動くな!」

 

 

杖ちょんが一回転して、人の姿をとった。

 

「…クロノス…」

 

ラルツォーネがぼそりと言った。

 

 

「ラルツォーネ、時の神たる私がお前に『時の烙印』を刻もう」

「ふん、ルキフェル様に呼び出されるだけだ!」

 

 

クロノスが手を掲げた。

 

 

「我が権能をもって、ラルツォーネに『時の烙印』を刻む」

 

クロノスは、手のひらをラルツォーネに向けた。

光がラルツォーネを包む。

 

「クッ、アアアー!」

 

ラルツォーネの肌に黒い烙印が現れた。

 

光がやんだ。

 

烙印は、しばらくして消えた。

 

「さあ、どうするの?」

「汝のあるべき時間軸へ戻れ」

 

「きゃっ!何するの?」

 

ラルツォーネがフワリと浮いた。

 

時空の狭間が現れた。

 

 

 

「ルキフェル様が再び呼び出すわよ!」

「『時の烙印』は、本来存在するべき時間軸に縛りつけるもの。他の時間軸へ移ろうとしても、次元転移魔法を無効化する。お前は、二度と時空を越えることは出来ぬ」

「…!?」

「さらばだ、未来からの魔族よ」

 

 

ゆっくりとラルツォーネは、狭間に吸い込まれていった。

 

 

 

同じ頃、魔族の村では

 

 

「ルキフェル様!ラルツォーネがこの時間軸から消えました!」

「サーチして、召喚し直せ!」

「…できません!」

 

 

ルキフェルは、頭を抱えた。

 

「ラルツォーネは、どういたしましょう?」

「…ラルツォーネは、諦める…。次の計画(オペレーション)を開始せよ」

「はっ」


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