ハデスの砂時計   作:アリス・リリス

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第八話~乗っ取られた村~

「ルキフェル…一体何が目的なの…?」

「まさか、ラルツォーネが戻っていたとはな…」

 

黒い魚が消滅したあと、しばらく動けなかった。

 

「やはり、ラルツォーネもリ・ナイトで倒すべきでは…」

 

氷月(ひづき)響古(キョーコ)に尋ねた。

 

「ダメよ、だって、杖ちょんが…」

 

響古(キョーコ)の言う通りだ。過去で未来から来た者を殺したりなどすると、時空が持たぬ…。やはり、未来から来た者は未来に帰せねば…」

 

杖ちょんが困ったように言った。

 

「…じゃが、普通に帰したら、またルキフェルに召喚されるのではないのか?」

 

「心配はいらぬ。時の神たるこの私が『時の烙印』を未来に帰すときにラルツォーネに刻む…。そうすれば、本来存在すべき時間軸から移動できなくなる」

 

「でも、杖ちょん。それは、神としての本来の姿にならないとできないんでしょ?」

 

「ラルツォーネにあったら、すぐに本来の姿に戻るから心配するな」

 

 

同じ頃、魚族族長の館

 

大鏡の前に膝まつく長い黒髪の人魚の姿をした女性がいた。

鏡に映し出されていたのは、暗がりのなか、机に座る女性の姿。

 

『ラルツォーネ、流水異邦人(アクアストレンジャー)を取り逃がしただと?』

 

「申し訳ありません、ルキフェル様」

 

『あれほど取り逃がすなと言ったのに…』

 

ラルツォーネは、ルキフェルに自信ありげに言った。

 

「でも、ご安心を!あの水乃(みずの)は、他の異邦人(ストレンジャー)を連れて戻ってくるはずです!」

 

『そのなかに、時空異邦人(タイムストレンジャー)もいるのかね?』

 

「わかりませんが、きっといるはずです」

 

すると、鏡の向こうから別の声がした。

 

『ルキフェル様、そろそろサタン様とコンタクトの時間です』

 

『そうか…。ラルツォーネ、お前の報告を楽しみにしているぞ』

 

「ルキフェル様、このラルツォーネにお任せください!必ずや、異邦人(ストレンジャー)達の体を手に入れてみせましょう!」

 

その言葉にルキフェルが満足そうに微笑み、次の瞬間、鏡がくもり、くもりがはれると、ルキフェルの姿は消えていた。

 

 

「さて、ルキフェル様の願いを叶えて差し上げなければな…」

 

ラルツォーネは、ある者を呼び出した。

 

「ナンデショウカ?()()ツォ()()()サマ」

 

前に進み出た者の目は、人形のように、虚ろになっていた。

 

「魚族の大臣とやら、あらゆる手を使って構わない、異邦人(ストレンジャー)を捕獲せよ」

 

「ワカリマシタ、()()ツォ()()()サマ…」

 

 

 

 

響古(キョーコ)達は、海の底にある魚族の村に着地した。

 

「人ッ子一人いないわね…」

響古(キョーコ)様、この場合は、魚ッ子一匹いないって言うんですよ」

氷月(ひづき)、今はそんなのんきなこと言ってられないぜ!」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

気がつくと、周りを取り囲まれていた。

 

「言ってるそばから、じゃな…」

「この中には、ただ操られている罪なき魚族の人もいるのよね…」

 

よく見ると、胸にあの小さなネックレスをかけている者もいた。

 

「ここは、二手に別れた方がいいわ!砂来(さらい)氷月(ひづき)は、魔族をお願い!私と水乃(みずの)星奈(せいな)は、魚族の相手をする!」

 

「「「「了解!!!」」」」

 

 

異邦人(ストレンジャー)達は、二手に別れた。

 

 

「じゃあ、俺たちが魔族を引き付けるぜ!」

 

砂来(さらい)は、敵に突っ込んでいった。

 

 

次第に魔族と操られた魚族とが離れていった。

 

そして、

 

 

雷降臨(らいこうりん)!」

 

砂来(さらい)は、雷光剣(らいこうけん)を高々と掲げた。

 

魔族の群れに雷が!

 

 

命の危険が迫った魔族達は、次々と石化していった。

 

すべての魔族が石化したのを確認して、

 

氷月(ひづき)がリ・ナイトを片手に石の魔族に突っ込んだ。

 

「ハァァッ!」

 

次々と断末魔をあげてなぎ倒される魔族。

 

氷月(ひづき)が魔族討伐を開始したのと同時に

 

星奈(せいな)、お願い!」

 

「わかりましたわ!浄光祓穢(セント・キュアリング)!」

 

人形のような虚ろな目にだんだん光が戻っていく…。

 

 

「…はっ、私たちは何を…」

「…皆さんを攻撃しようとして…」

 

 

魚族族長たる水乃(みずの)が困惑する同胞の前に立った。

 

「これは、お前たちの責任じゃない!魔族の仕業じゃ!妾たちが魔族を倒すまで、どこか安全な場所へ避難するのじゃ!」

 

水乃(みずの)様、わかりました!」

 

村人は、一斉に逃げていった。

 

「これであとは、ラルツォーネ達魔族だけですわね」

 

星奈(せいな)は、安心したように言った。

 

 

「…安心するのはまだじゃ…」

 

「「「「…えっ…」」」」

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