川神学園グラウンドには2人ずつ向かい合う形で対峙しており、またその周囲を同じ制服を着た生徒いわば野次馬だが、何十人という数の人間が囲っている。その中から聞こえてくる声は、どちらが勝つか、誰がタイプか、等々様々な話題が耳に入る。そしてこれから決闘を行う白鳥雪、霙の後方には当然主の天羽煌が立っており、逆に川神一子、椎名京側にはリーダーのキャップこと風間翔一、3ーFの川神百代を除く風間ファミリーの面々が応援しているという形になっている。そして今決闘が始まろうとしている。
「うむ、揃ったの。それではこれより白鳥雪、霙と川神一子、椎名京のタッグマッチによる決闘をこの川神鉄心が執り行う。まずはそこに用意してあるレプリカの武器の中から好きなのを選ぶのじゃ。」
川神学園における決闘制度の原則として武器の使用は認められているが、刃を取り除いていたり、先をわずかに丸めていたりするレプリカ武器を使用することとなっている。一子、京は迷うことなくそれぞれ薙刀、弓を選択し対する白鳥姉妹は雪が刀を、霙が手甲を選択した。雪の持つ刀は普通の日本刀のような形状ではなく一回り二回りも大きい巨大な太刀であった。
「双方準備は良いようじゃの。それでは西方、白鳥雪、霙!」
「はい」「はーい」
「東方、川神一子、椎名京」
「はい!」「......」
「これより決闘をする。......はじめ!」
たった今各ペアによる決闘が始まった。学長の号令と同時に雪と一子が前へ出て攻撃を開始する。雪は一子の大振りな攻撃を難なく躱し右手の大太刀でその大きさ、重量からは想像できない速度で一子の脇腹、側頭部へと二段切りを放つ。それを一子は薙刀を立てに持つようにしてガードするが衝撃を受け流し切れず後方へと飛ばされる。雪はあえて追撃はしなかったため間が生まれた。
「イタタタ......まさかあんなに速いとは思わなかったわ......」
「ワン子、相手を見る前に突っ込んじゃだめだよ。でも、あの雪って人相当な使い手だね。そもそもあの刀を片手で振り回す時点でどうかと思う。」
「そういえばもう一人の方は一歩も動いてないわね。武器は手甲みたいだけど。」
「うーん、正直あの太刀の方に勝てる気がしないんだけど......。よし、二人で手甲の方を叩こう、いつものやつねワン子。」
「分かったわ!」
そう言いうやいなや京と一子は霙に向かって攻撃を仕掛ける。一子は先ほどと同様に薙刀での上段斬り。京は遠距離からの弓による射撃。2つの攻撃が霙に迫るがその攻撃はまさに息がピッタリで全くの同じタイミングで決まろうとしていた。もちろん周囲を囲っている生徒達は一部を除いて息を飲んでその軌道を見つめていた。そしてその結果は誰もが予想しない結果となった。
一瞬の出来事だった。霙は迫り来る2つの攻撃に焦ることなく開いた左手を前に向ける。左腕を伸ばし、そして強く握った右手を引く。半身の状態になり、武道を嗜んでいないものには感じ取れない時間、わずか瞬き一回ほどの時間、溜めの時間を作る。。そうして一瞬で溜めた力を右拳に込め一気に突く。しかし、その拳は迫り来る攻撃に届くことはなかった。否、拳は届かなかったが攻撃は届いたのだろう。その瞬間、その場にいるもの全員が視覚によって感じ取った。霙のその小さな拳から放たれたとても巨大な拳の形をした青白い気の塊を。
「......うむ、川神、椎名両名戦闘不能! 勝者、白鳥雪、霙!」
side 大和
「なんだ今の......」
ワン子も京も今の攻撃を受けて吹き飛ばされたが少しして起き上がった。なんとか大丈夫そうだな。それにしてもこの場にいる誰もが驚いているだろう。あのワン子と京を触れずに倒してしまった。2人共この学園じゃあかなり強い方なのにな。こんな試合姉さんが見ていたら......。
side 百代
ふと窓を見ると見たこと無いかわゆい女の子が妹と京を吹き飛ばしていた。あれがジジイの言っていた転校生か? なかなかの実力じゃないか。しかもあの最後の技、波動とは違うみたいだな。それこそジジイのあの技みたいな......。ちょっと違う気もするが本質は一緒なのか? うーん、戦ってみたいことにはわからんな。よし、今日の放課後でもちょーっと絡んでみるかなー♪
side 煌
あれ、やりすぎじゃね? もうちょっと相手に降参を促すような戦い方期待してたのにな。まあでもこれくらい実力を見せておけば誰も決闘なんか挑んでこなくなるかな。それにしても霙のあの技久々に見たな。なんでも昔読んだ漫画に出てきた技を参考に練習したらしいが結局黒くも龍の形にもならなかったそうだ。俺としてはそんな禍々しい見た目の技は使ってほしくないのだが。
「煌、どうだったー?」
「ああ、よかったんじゃないか? まあ、随分と派手な技を使ったが。」
「いやー、途中でなんかめんどくさくなっちゃったからさー」
霙は笑いながらそういう。こいつはそういうやつだ。昔から集中力のムラが激しい。おそらく序盤一歩の動かなかったのはただぼーっとしてただけだろう。まあそれほど雪に信頼を寄せているとも言えるが。
「雪、あなたはもっと戦いに集中してください。相手にも失礼ですよ。」
「はーい」
「もう......。それより煌様、そろそろ教室に戻りましょう。次の授業が始まってしまいます。」
「ん、それもそうだな。」
こうしてグラウンドをあとにした。
side 一子
うーん、悔しいわー。最後のあたしと京の攻撃、すごくよかったと思ったのに。
それにしてもあの二人やるわね。特にあの霙って子。どうやったらあんなに上手く気を操れるのかしら。爺ちゃんも気をあんなふうに使うことがあるけどやっぱりあたしにはできそうにないわー。......あれくらい強くなればお姉さまの気を引けるのかしら。
「こら、川神! ちゃんと聞いているのか! ここの答えを言ってみろ!」
わわ! どうしよう、全然聞いてなかったわ! え、えっとこういう時は大和にー......って席遠いんだったわ。京も遠いし......。
一子が助けを求めて周りを見回していると偶然雪と目があった。
あ、さっき戦った人ね。えっと名前は、霙って言ったかしら。ん? ピース? あ、もしかして答えを教えてくれてるのかしら! 答えは2なのね!
「はい! 2番だと思います!」
「違うぞ川神! さっき説明しただろう、ここの答えは4番だ!」
あれ!? うぅ......霙、騙したわねー。一生恨むわー。
side 霙
あー、授業暇だなぁ。雪も煌もまじめに勉強してるなー。真面目だねー。さて、他の人はー......あ、目があった。さっき戦った子だね。うん? なんかやけに見つめてくるな。はい、ピース! あ、笑顔になった。やっぱりピースってすごいんだねー。あ、ちなみにここの答えは4だよー。ってもうこっち見てないし......。
でも、仲良くなれそうな子だな!
side 雪
ホームルーム含め4時間の授業を終えた主従3人は屋上へと来ていた。
「煌様、ここでよろしいですか?」
「ああ、いいぞー。」
その言葉を聞いて私は朝煌様のために作ったお弁当を広げる。実は煌様にお弁当をお作りするのは初めてなので私は今とても緊張しています。おいしいと言っていただけるでしょうか......。
「よし、じゃあいただきます。」
「いただきまーす!」
ドキドキ。
「雪姉、これ美味しいよー!」
正直妹の声はどうでもいいと思ったのは内緒。
「うん、うまいなこれ」
!
「特にこの煮物が好きかな。」
!!
「これからも頼むな」
!!!
「は、はい! ありがとうございます!」
私は今、とても幸せです。これから毎朝煌様にお弁当をお作りすることができるんです! これからも煌様に喜んでいただけるように日々(ry
「あ、雪姉が別の世界に行っちゃった。」
「ん、次の授業までには戻ってこいよー」
side 百代
私は耐えた! この休み明けの長い長い一日を! さーて、さっきの可愛い可愛い女の子2人に絡みに行くかなー!
従者に危険が迫ろうとしていた。
やっぱり戦闘描写は苦手です。臨場感というものが全くありませんね。