今回は夏休み、最後のイベントをお話にしてみました!
完全オリジナルですので、どうぞお楽しみください!
次回から本当に学祭編突入です~!
「じゃ!相馬!そういうことだから!今日の5時に唯ん家に集合なッ!約束だぞ~!」
「えっ、いや待て―――」
半強制的に電話を切られる。
律はいつもこうだ。
何か提案をしては皆を巻き込む。
なんていうか・・・簡単にいうならトラブルメーカー?
まぁ、慣れたもんである。
気付けば、夏も終わりに近づいていた。
日が落ちるのが早くなってきた気もする。
振り返ってみると、充実した夏だったなと思う。
いつも男だらけだった中学生活と比較してみると少し恥ずかしい気もするが、女子という点を除いても、一緒に居て楽しい連中だった。
最高に楽しい友達だった。
そんな夏ももう終わりを迎える。
早いもんだな・・・。
それにしても、一時間前になって急に誘うアホな話があるだろうか。
まぁ、暇だったからいいけど。
俺は仕方なく、重い腰をあげ、支度を始めた。
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カナカナカナ・・・。
ひぐらしが鳴く音だけが聞こえる静かな場所。
そんな中を歩く。
何故か唯ん家の隣には神社があり、その周りにあるちょっとした木々を横手に通り過ぎる。
そうして唯ん家に到着する。
「おーーい!相馬!遅いぞー!!」
「一時間前に誘われて来たことをまず評価してくれ部長・・・」
「うむ!よくやった!」
「ごめんな、相馬」
「いや、暇だったし大丈夫だよ。ん・・・?」
さりげない優しさ澪ちゃん。
「どうした?」
・・・というか大事なことを見落としていた。
「なんで皆浴衣・・・ッ!?」
なんてことだ・・・!
水着の次は浴衣かよ・・・!
最高かよ夏!!
「これからお祭りに行くんだよ~!」
「私、皆でお祭りに行くの・・・夢だったの~!」
「やった!じゃあまた一つ叶ったね!」
「うん!」
「律、相馬に言ってなかったのか?」
「相馬は浴衣持ってないだろうな~って思って。悪い悪い!」
「いや、いいけど、どこでお祭りやるんだ?」
「少し歩いた所にデカい公園があるだろ~?そこでやってるんだとさ!」
「毎年行ってるんだ~!」
「へ~。じゃ、行くか」
冷静を装い、歩き始める。
みんな・・・どうしたってんだ。
浴衣は人を輝かせる効果でもあるのだろうか?
唯は髪を上げ、触覚(というのだろうか?)を内側に巻いており、いつものピンで前髪を留めている。
律はカチューシャがいつもと違い、花がついた可愛らしいものになっていた。
ムギはお嬢様感漂うピンクと白の浴衣を着ており、ポニーテールにまとめていた。
澪も同じくポニーテールで、綺麗に前髪が整えられていた。
甲乙つけがたいくらい皆可愛かった。
「着いた!」
「お~。でかいな!」
公園というよりも、もう広場に近いくらいの大きさだった。
芝生やアスレチックなど子供が遊びまわったり、ハイキングをしたりするのに持ってこいな場所だった。
既に屋台はいくつも並べられており、射的やくじ、金魚すくいなど様々なものがあった。
あまりこういうところに来ない俺からしたら、かなり新鮮だ。
少しテンションがあがる。
しかもこんな美女達と一緒に来れたのだから尚更だった。
「りっちゃん隊長!かき氷がありまする!」
「なんだと!行くぞ!」
「了解~!」
「私も~!」
ムギまでついて行ってしまう。
「おーい、ちょっと!お前らー!」
澪が声を掛けるも、3人はグイグイと行ってしまう。
なんかもういつものパターンだった。
「射的でもするか?澪」
適当に誘ってみる。
そうだな、と言わんばかりに苦笑し、彼女は頷いた。
「何が欲しい?」
何やらカッコイイ台詞を言ってみる。
少し頬を赤らめながら、彼女は指をさす。
「あ・・・あれ・・・」
なんというか、ウサギさんの人形だった。
しかもでっかい。
あんなの獲れる訳がないし、店員も絶対罠を張っていた。
「うーん・・・アレか~。難しそうだな~」
「大丈夫だよ!嘘だから嘘!あのブレスレットがいいかな!」
「ふーん」
このままじゃ男の名が廃る・・・!
なんとしてもウサギの人形を取る!
神様、俺に力をくれ!!
今だけゴ〇ゴサー〇ィーンにしてくれッ!!!
震える手で銃を構える。
照準を定め、俺は―――!
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「おーい、澪~!」
「律!探したんだぞ!」
「いや~唯が金魚すくいに夢中になっちゃって!」
「小学生か・・・」
「そっちのおデートはどうだったんでちゅかぁ~?」
カァ~と顔を真っ赤にする澪。
何もそんな恥ずかしがらんでも・・・。
「なぁーにぃー!で・・・デートじゃない!」
「はいはい。んで何してたの?」
「射的をやってたんだ~」
澪が笑顔で腕にはめてあるブレスレットを律に見せた。
「お~それ獲ったの!?」
「うん!相馬が獲ってくれたんだ!」
「へ~!澪ちゃんいいな~!」
やめて、人形獲れなかったっていう話の下りになるからその話やめてー!
「私も射的やってみたいわ~!」
「じゃあ、やりに行こうぜぃ!」
「うん!」
「え・・・また行くの・・・」
絶対そういう話になる気がする。
という俺の声は誰にも届かない。
やれやれ、と再び向かい始めた。
・・・が、刹那、空に大きな花火が打ちあがった―――。
ドン!という心臓が揺れるような爆音が耳を劈く。
それでも、それが夏っぽかった。
とても大きな花火。
それは俺ら5人の足を止め、見惚れさせた。
「あ!いい場所あるんだ~!みんなついて来て!」
唯が爆音に負けじと叫ぶと、俺らはその後を追った。
誰も行かなそうな森へと入り、しばらく歩く。
その森を抜けた先には、誰もいない小さな芝生のスペースがあった。
それにベンチもある。
「お~!秘密基地っぽい!」
「律は小学生か・・・。でも凄いな!花火がよく見える~!」
「すげぇ・・・!」
「綺麗ね・・・」
「でしょ~!?」
唯は誇らしげな顔をし、ニコニコと笑っていた。
ドキッと胸が高鳴る音がしたが、それは俺以外誰にも聞こえない。
こんな夏が送れるなんて―――。
最高だ。
百点満点・・・なんてな。
こんな時間がいつまでも、いつまでも続けばいいと思った。
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時間が過ぎ、日も暮れ、祭りも終盤に差し掛かっている頃であった。
「もう10時回ってるなー、そろそろ帰ろうか」
「そうだな」
「あれ?相馬くんは?」
「あら、さっきまではいたのだけど・・・」
「どっかで女の子ナンパしてるんじゃないの~?」
「それはないだろ・・・」
「あ!あそこに相馬くんいたよ!」
唯が不意に指を指す。
皆の視線がそちらへと向かう。
そこには尾形と女の子の姿があった。
何やら会話をしているようだ。
やけに親しげであった。
「やーだ、澪ちゃ~ん。嫉妬とかしちゃったりしちゃっ・・・グホォ!。」
澪の痛恨の一撃を喰らう律。
お約束である。
「あの人、バスケの試合のとき居た人だよ!」
「か、彼女なのかな・・・!?」
「え・・・てことは・・・今日キ・・・キスとかしちゃったりしてるのかな・・・キャッーー!!」
「ないない」
「澪ちゃんメルヘンだね~」
「そ、そんなことないもん!」
つまりは尾形の幼馴染の茜であった。
軽音部のメンバーはなんだかんだで初対面である。
「邪魔しない方がいいだろ、帰るか?」
「そうね―――」
「それもそうだな―――」
全員が背を向け、歩き始めたその時である。
「おーい、澪~!」
ふと声を掛けられる。
その声は尾形のものであった。
全員が後ろを振り向き、尾形を見る。
「これ!欲しがってたろ?」
尾形が手に出したものは、"大きなウサギのぬいぐるみ"。
先ほど、尾形が獲り損ねたものであった。
「俺が実力で獲ったもんじゃないけどさ・・・幼馴染の父親があの店やっててさ・・・貰ったんだけど・・・」
「・・・・・」
「そんなんで良ければ・・・あげるよ―――」
「・・・ありがと」
少し照れくさそうな二人。
律は何かを察したのか、ニヤニヤしていた。
唯は目を輝かせながら羨ましがっている。
大きなウサギのぬいぐるみを抱き締め、澪はそれに顔を埋めている。
それが今後、彼女らが生み出す歌の歌詞になることなど・・・誰も知らなかった―――。
恋に堕ちる、音がした―――