けいおん! 〜大切な事は君が教えてくれた〜   作:あいとわ

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今回から学祭編スタートです!
唯達の青春をどうか再び見届けてください~!

尾形は一応仮想上の主人公ですが、当時のファンの気持ちとか、時々我々サイドの気持ちを反映してるとこもありますので、そこも懐かしいと思っていただければ幸いです!

それでは学祭編どうぞ~!


#12 顧問!

 

爽やかな日差しが差し込む。

とても心地よい。

そんな気分を堪能しながら、教室の窓側の席に座る俺は、校庭で生徒が体育の授業を受けているのをボーと見つめていた。

 

後ろでスースーと寝息を立てている奴もいるが・・・。

 

確認するまでもなく誰だか分かる。

唯だ。

授業中寝るのが趣味なのだろうか。

1限からずっとこの調子だ。

また中間テストで泣くことになるぞ・・・。

 

二学期が始まった。

すっかり夏休みボケが執着してしまったせいで、勉強などやる気が起こるはずもない。

しかもお昼ご飯の後に古文の授業って・・・。

寝ろって言ってるのと同じだろう。

しかし和はしっかりと受けているので意識の問題かな、うん。

 

 

そういえば、そろそろ文化祭シーズンか。

 

お昼の時間もあちらこちらで実行委員や生徒会が忙しそうに動き回っていた。

・・・うちの部は大丈夫なんだろうな。

うちのクラスは模擬店とかやるのかな?

この後のホームルームの時間で話し合うのかな?

 

それにしても中学の頃の文化祭は、とてもつまらなかった。

女子がとにかく仕切り、男子はボロ雑巾のように扱われただけで終わった。

結局女子の自己満足なのだ。

変なことを思い出してしまった・・・。

 

今年の文化祭は、楽しめるかな?

 

否。

 

主役は俺じゃない。

 

唯達が主役だ。

 

俺は傍で応援してやるとしよう―――。

 

*************************************

 

「うーす~」

 

音楽準備室の扉を開け、中に入る。

俺は一応軽音部だ。

楽器は弾かずとも、彼女らと駄弁りに行く。

 

「おっ!来たか!相馬!」

「久々にこの部屋で皆と会った気がするな」

「夏休み以来だからね~」

 

中には唯と律がいた。

澪とムギはいないのだろうか。

 

「二人は?」

「今ね・・・部活申請用紙を出しに行ってるの・・・」

「え?」

 

「実はまだ軽音部はちゃんとした部活って認められてなかったみたい・・・」

 

「・・・はい?」

「部活申請用紙って言うのを提出しなきゃいけなかったらしいよ~」

「律、書いてなかったのか?」

「えぇーと、そんなもの貰ったかなぁ~・・・?」

 

 

 

「貰っただろぉおおぉーーーッッッ!!!」

 

 

 

どこともなく現れた澪がどす黒いオーラを纏い、律に襲い掛かった!

うぅ、怖ぇ・・・。

頭にタンコブが出来た律は泣きながら生徒会室へと向かっていった。

 

「うーん、まぁこれは律が悪いな。」

「文化祭出れるよね・・・?」

「そういえばさ、軽音部って顧問とかっていねーの?」

「顧問?」

 

唯は不思議そうにこちらを見る。

いや待て、俺は別にそんな特別なことは言っておらん。

「いや、普通部活っていったら顧問はいるだろ」

「そっか・・・そうだよね・・・!いない!」

「マジかよ・・・」

「でも部活って認められてなかったのに、こんなに音楽室自由に独占して良かったのかな・・・?」

「・・・俺は知らないYO」

「私も知らないYO」

 

「・・・。冗談は置いといて、顧問にするとしたら候補とかいるのか?」

「うーん、山中先生かなぁ・・・」

「やまなか先生?」

「うん!山中さわ子先生!すっごく美人でね、優しいの!」

「へ~。ってあぁ、あの人か。音楽の先生だろ?」

「そう、でも吹奏楽部も受け持ってるから、兼任出来るのかなぁ」

「聞いてみるかないな」

「でも、私思うことあるんだけど」

「なに?」

 

「山中先生ね、ここの卒業生なんだって!でね、澪ちゃんが見つけた昔の軽音部のアルバム見てたんだけど・・・」

 

「え、もしかして・・・」

「そう!山中先生らしき人がいたの!私ビックリしちゃって!顔そのまんまなんだもん!」

「マジかよ・・・」

夏合宿に聞いたあのロックバンドを思い出す。

確か、"お前らが来るのを待っていた・・・!"とか言ってなかったっけ・・・?

あれ、山中先生が言ってんの・・・?

 

人って外見じゃ何も分からないもんだな・・・。

 

「じゃ、あとで聞いてみるか。それもついでに・・・」

 

*************************************

 

 

「先生、バラされたくなかったら顧問やってください」

 

 

「「「りっちゃん、たくましい子ッッ!!!」」」

 

 

一連の流れで見事部長の律が山中さわ子先生を引きずり込むことに成功した。

なんか俺もあんな感じで入部したのかな。

りっちゃん、怖すぎる。

 

「じゃあ、文化祭でどの曲やるか、私に見せてごらんなさい!」

「おぉ!さわ子先生やる気だ!」

「別にやる気って訳じゃないわよ!あなた達の勧誘が凄いから、あなた達がどれくらい上手いのか見せてもらおうって思ってんの!」

「なんか・・・イメージ崩れたな~」

それは言うな律、みんな思ってる。

 

皆が楽器を取り出し、シールドを差し込み、アンプに繋いでいく。

唯は勘でチューニングを行い、アンプのボリュームを調節している。

あの子、実は凄いんだよな。

絶対音感持ってるし。

 

「・・・ところで貴方は何をしてる人なの?」

 

うぅ、それを言われると困るわ・・・。

「一応唯の先生役・・・まぁマネージャーです」

「軽音部にマネねぇ・・・」

「嘘です、雑談要員ですすいません」

「ハァ・・・こんな緩い軽音部で大丈夫かしら?」

 

「準備出来ました~!」

「はーい。じゃあ聞かせてもらえる?」

「はいっ」

 

律がドラムの椅子に座りながら全員を見渡す。

ムギ、澪、唯。

四人は頷き合い、律の掛け声から唯のソロが始まった。

「・・・この曲―――」

俺はこの曲を知っていた。

夏合宿で練習していた曲だ。

こんなに上手になっていたなんて。

練習してないように見えても、しっかり上達しているんだ―――。

 

何故かこの曲を聴いていると、胸が苦しくなった。

 

何故かは分からない。

別に思い入れがあるわけでもないし、特別なわけでもない。

でも彼女達の結束が垣間見え、俺の居場所を失うような気がするからであろうか―――。

分からない。

 

 

そんなことを考えていると、演奏が終了していた。

澪が声を発す。

 

「前振り後振りとか、リズムセクションがバラバラとか・・・色々気になることはあったけど・・・」

 

顔を顰めながら、さわ子先生は言う。

 

 

「まずボーカルはいないの?」

 

 

あ、それ俺も思ってた。

「えぇーと・・・」

「じゃあ、ひょっとして歌詞もまだとか・・・?」

「・・・・・。」

澪、マジか。

ん?

一瞬で俺はさわ子先生の豹変さを見抜いた。

空気感が読める俺には分かる。

「あなた達音楽室占拠して一体何をしてたの!?此処はお茶を飲む場所じゃないのよ!?」

「お、怒られた・・・」

「大体な―――」

 

「先生ッ!」

 

思わず俺が声をあげていた。

「なに?マネージャーさん」

「彼女らは確かにノロノロやっていたのは事実です、でも彼女達は本気でいつも音楽と向き合ってました」

「そんなこと誰が証明できるの?」

「俺です」

「それでこのクォリティー?」

棘のあること言うな・・・。

 

「唯は初心者でした、それでここまで頑張ってきたんです!それは評価されてもいいと思います・・・!」

 

「まぁ確かに高校から初めてスキルは大したもんだとは思うけど・・・」

「でしょ!だからこいつ等なら本番までに完成させて、いいライブにします!」

「うーん、そこまで言われると弱っちゃうわね、私が意地悪みたいじゃない!」

「いや、そういう訳じゃ・・・」

「とりあえず明日までに歌詞を考えてくること!いいわね!?もう文化祭まで一週間切ったわよ!?」

「「「はーい」」」

 

*************************************

 

 

翌日のことだ。

文化祭まであと五日という日まできた。

委員会と生徒会がものすごく忙しそうにしてる。

俺らは四日前から準備日となる。

つまり、明日からだ。

 

高校最初の学園祭が始まろうとしていることに気分があがる。

 

こんなにも青春を感じたことはない。

恐らく、人生においてもう経験のすることのない貴重な時間だ。

大切にしないと。

 

 

**

 

「歌詞が出来た~!?」

「あぁ、うん・・・」

「見せて!」

澪がものすごく恥ずかしそうにしながら一枚の紙を握り締めていた。

昨日の曲の歌詞が出来たのだ。

俺も興味がある。

だがなかなか見せない澪にさわ子先生は時期に苛立ちを覚え始めていたのが見せたので、強引に俺が見ることにした。

「おらよっと!」

「あぁ、相馬!」

 

「うーんと、なになに?」

隣でさわ子先生と律が紙を覗き込んできた。

 

 

"君を見てると、いつもハートDOKI☆DOKI☆"

 

"揺れる想いはマシュマロみたいにフワフワ"

 

 

なんていうか、とてもメルヘンだったのであった。

 

「破り捨てたい・・・ッ!!」

「背中が痒い・・・ッ!!」

 

どうやら律とさわ子先生には合わなかったようである。

まぁ無理もない。

俺は別に嫌じゃないが・・・。

「唯は?唯はどう思う?」

「すごくいい・・・」

「マジで!?」

「澪ちゃん、私はこの歌詞、すっごく好きだよ!」

「ほんと?」

唯ちゃんもメルヘンなのね。

どうやらムギも良いと思ってるらしい。

 

「ねぇ、さわちゃんはこの歌詞ないと思うよね!?」

「さわちゃん!?」

「どうですか・・・?」

「そ、そうn―――」

と言い掛けたところで。

 

「わ、私もぉ~この歌詞・・・好きかもぉ~?」

 

「えぇええぇえ!?」

 

というわけで、澪の歌詞が採用されることとなりました。

これをメロディーに合わせるとどうなるんだろ。

 

「じゃあ澪がボーカルってことで」

「いや、無理だよ!こんな恥ずかしい歌詞・・・歌えないよーー!」

「おい作者・・・」

「じゃあ、唯ちゃんやってみれば?」

「え、いいの!?」

「ま、まぁ」

「え~でもぉ~私で務めるかどうかぁ~分かんないっていうか~」

「ふーん、じゃあいいやっ」

「ごめんなさい!歌いたい!歌いたいです!」

 

なんの茶番劇を見てるんだ、俺は・・・。

唯がボーカルか。

なかなか新鮮だな。

そして大出世じゃないか。

一番新人だった唯、君が一番のスポットを浴びることになるなんて―――。

 

 

こうして俺らの最初の学祭は幕を上げた―――。

 




運命が動き出す―――。
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