更新遅くなって申し訳ありません。
これからはなるべく頑張りたいと思います。
お気に入り130越え、嬉しいです!
今回はオリジナルの話で、球技大会が行われます。
次は夏か~!
それぞれの恋路をお楽しみに!
「えー、皆さん。明日は球技大会ですので、朝に体温測ってきてくださいね~」
新歓が終わり、6月に突入した。
梅雨の時期だが、こんな時に我が桜ヶ丘高等学校全体で行われる行事がある。
・・・そう、球技大会!
1年生~3年生全員が参加する生徒会が主催するものである。
今年の競技は恐らくバスケ。
和が仕切っている為、俺がお願いしといたのだ。
やったぜ!
「なぁ、相馬。去年はバレーボールだったけど、今年は何するか分かる?」
「あぁ、バスケだよ」
「え!?やったじゃん!」
ニコリと微笑む澪。
その妖艶な顔立ちに思わず顔を背けてしまう。
め、目が合わせられない―――。
「今日は練習あるのか?」
「あるよ。来ないのか?」
「んー、考え中」
「だったら来なさい」
「はい」
軽く微笑みながら叱られる。
もうすぐ放課後だ。
今日も軽音部に行くか。
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翌日。
キチンと体温を測り、ジャージに着替え、学校に向かった。
今日だけはジャージ登校を許されるので嬉しい。
清々しい気分で歩いていると、ふと声を掛けられる。
「おはようございます!」
「ん?おぉ、梓か。おはよう!」
元気よく挨拶してくれたのは軽音部期待の新入部員、中野梓ちゃんだ。
ツインテールと黒髪が良く似合う女の子。
赤いジャージを着て登校していた。
ちなみに俺らの代は青色だ。
「今日はバスケですよねー・・・、嫌だなぁ」
「バスケ嫌いなのか?」
「いえっ、見るのは好きなんですけどやるとなると・・・」
あからさまに嫌そうな顔をしている。
「私、スポーツ全般ダメなんですよね」
「俺もダメなんだよなぁ」
・・・と軽く嘘をついてみる。
「文化部って運動苦手多いですよね・・・」
「そういうもんかねぇ」
チラリと梓の方を見ると、彼女は本気で信じているようだ。
顎に手を当てながら何か考えている。
こう見ると俺と梓の身長差って結構あるんだな。
「二人とも~!」
はたまた背後から声が聞こえる。
後ろには、唯がジャージ姿で走ってくる姿があった。
「おはよ~!」
「おはよう」
「おはようございますっ!唯先輩!」
「あずにゃん~!今日も可愛いね!」
「や、やめてください・・・」
「嫌がんないでよ~!」
梓が入部してもう一か月か。
・・・入部してくれて良かった。
その楽しげそうな顔を見ると、そう思う。
これで良かったのだ。
新入生は一人しか入らなかったけど、これでいい。
そんな事を考えながら、三人で学校へと向かっていく。
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朝から一斉に体育館に集められる。
周りを見渡す限り、女子は本当に眠そうだった。
やる気を一切感じられない。
まぁ、そういうもんか。
そこで生徒会副会長である和がステージの上にマイクを持ちながら立つ。
「おはようございます。今日は球技大会ですが、競技はバスケで、クラス対抗になっています。女子と男子は交代ずつで行います。」
クラス対抗・・・か。
そこから導き出されるのは茨の道だ。
"あいつ"がいる。
まさか新歓以来であいつとまた戦う時がくるなんて。
バスケ部のエース、仙崎だ。
正直勝てる要素がない。
チラリと仙崎を横目で見る。
かつて仙崎が俺に言った一言。
そう、唯の存在。
この気持ちはなんだろう。
・・・負けたくない。
「相馬、おはよう!」
「ん、おぉ!澪」
「今日はバスケだな、見せ場じゃん!」
笑顔でそう告げる澪。
恐らく本当にそう思って言っているのだろう。
「そうだな、俺のファンが増えなければいいが―――――」
「なんだそれ」
白い目で見られその場から立ち去られる。
・・・なんか怒ってる?
そんな感じの印象が残る。
すると遠くの方で笛の鳴る音が聞こえてきた。
恐らく、試合開始の時間なのだろう。
クラスの男子が手招きをして呼んでいる。
よし、向かうか。
始まる――――!
~第一戦目~
相手は三組。
・・・ということは次が二組か四組か。
二組が一番厄介だ。
となると、ギアをもう入れておく必要があるな。
このチームにはバスケ部の奴が二人いるが、実力は仙崎ほどではない。
・・・いける!
ジャンプボールは背が高いバレー部の男子が担当し、皆が配置についた。
出場者以外の男子は横のベンチに座っており、クラスの女子は男子の試合の見学をステージの上でしている。
・・・意外と人数が多く、歓声がすごい。
体育館では2面でしか試合を行わない為、かなり休憩するクラスが多く注目度が高い。
やりづれぇ。
瞬間、ボールは審判の手から高く舞い上がる。
と同時にゲームスタート!
最初は俺らボールだ。
クラスの奴がボールを確保し、すぐさま俺に渡す。
ほとんどが初心者でドリブルが少し出来る程度なので、うまいことパスを回して、簡単なシュートを打たせるしかないな。
「さ、行こうかッ!!!」
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(SIDE:梓)
「すごい――――」
何が起こったかというと。
尾形先輩がものすごい勢いで点数を取っていた。
一人で今10点くらい取ってる。
え、何・・・あの人運動めっちゃ出来るじゃん!
昨日と言ってたことと違う・・・。
「ねぇ、憂。尾形先輩ってバスケやってたの?」
隣にいる憂に話し掛ける。
憂は全く持って意外そうにせず。
「うん!相馬くんね、中学生のときMVPだったんだって~!」
「えっ!?すごっ!」
じゃあ昨日のはからかわれたんだ・・・。
「なんでそんな梓ちゃんむすくれるの?」
「なんでもなーい!」
本当に上手いな。
ボールが手に吸い付くようにドリブルしてる。
あんまり詳しいルールとかは分からないけど、上手いっていうのは私にも分かる。
あんな簡単に人をドリブルで抜けるってすごい。
そしてディフェンスが何人も飛んでるのに、片手で放ってシュートを決めるって・・・。
外す気配がない・・・。
そして決める度に湧き上がる黄色い歓声。
人気だなぁ・・・。
「あ、澪先輩!」
「澪さん?あ、本当だ!」
コートの脇でクラスの女子が応援してる中、そこに澪先輩もいた。
結構熱くなって叫んだり、ピョンピョン跳ねてる。
・・・可愛いなぁ。
なんかいいな、先輩達って。
仲良くて羨ましい。
「キャ――!相馬くん、また決めた!カッコイイ~!!」
憂が目を輝かせながら叫ぶ。
正直、カッコイイ。
誰がどう見てもカッコよく見えるだろうな。
先輩ってすごいんだな~。
私も応援しよっと!
「尾形先輩!!!頑張れ~!」
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(SIDE:尾形)
「ハァ―――ハァ・・・」
だいぶ息があがってきた。
あまりバスケ部に顔を出していなかったからだろうか。
もう息が切れる。
とりあえず第一戦は乗り越えた。
大差で勝つことができたけど・・・問題は次だ。
二組も順当に勝ち上がってきている。
唯や律、ムギも仙崎を全力で応援している。
・・・何故かモヤモヤする。
別に当たり前のことなのに・・・何故だ。
そんなことを考えながら、時間は過ぎていく。
そして・・・迎える事実上の決勝戦――――。
「よう、尾形」
「おう」
「覚悟は出来てるかァ?」
ニヤニヤしながら煽ってくる。
まぁ冗談なのは分かっているが、練習をあまり出ていない俺には負けたくないのだろう。
負けたくねーのは一緒って訳か。
やってやるよ、仙崎。
ジャンプボールが始まる。
最初は相手ボール。
すぐさま仙崎にボールは渡り、マッチアップはもちろん俺だ。
「オッ・・・ラァァァッ!!!!!」
ものすごい勢いでドリブルして突進してくる。
もう体格の違いか俺は強引に外に押し出される。
所謂、体格負けだ。
バスケほど身体能力の差が出るスポーツはない。
コートは狭く、ゴール下では激しくぶつかり合うスポーツだ。
身長が高い奴がいれば、それだけで有利になり。
シュートが上手い奴がいれば、とことん点が入る。
だからこそ、それらを両方兼ね備える仙崎を完璧にディフェンスするのは至難の業だった。
成す術なくリングにボールを捻じ込まれる。
勝利の雄叫びと共に、次は仙崎が俺をディフェンスする。
試合の流れは一気に二組だ。
・・・だが負けられない!
頭はクールに、心は熱く。
「行くぞ・・・仙崎!」
ドリブルを開始し、左右に仙崎を揺さぶりながら、自陣のコートへとボールを運ぶ。
そして――――。
「スリー!!」
一瞬のスキをついて、スリーポイントを放つ。
仙崎のディフェンスはそれに追いついてはいたが、俺のシュートの方が速かった。
ボールの軌道は綺麗な弧を描き、シュパ!とネットを潜る音が聞こえる。
そしてワッ!とうちのクラスと周りから歓声が上がった。
思わず拳を握りしめる。
「相馬!!ナイスッシュー!!」
ディフェンスに戻る途中で声が聞こえる。
その方へ顔を向けると、そこには顔を赤くして応援してる澪がいた。
俺は軽く澪に微笑むと再びディフェンスに専念する。
この試合は澪や和が見てる。
一組が優勝する為には俺が全力を費やさなければならない。
そして何より。
唯や律、ムギのクラスにはなんとしてでも勝ちたかった。
試合時間は10分。
残り時間は1分を切った。
両者息が上がり始める。
辛いのはここからだ。
そして勝負のここから。
点数は同点で、お互いが取った点数も同じくらいか。
あの仙崎相手によく喰らいついているもんだ。
我ながら誇らしい。
だが、日頃の運動不足と、格上の相手をし続けることで体中が悲鳴をあげている。
少し足の動かし方を誤れば、すぐさま攣るだろう。
足が攣ってしまえば、もう敗北も同然。
ここからはミスれない。
一回でもミスれば、それがゲームオーバーだ。
実質上の決勝戦。
この上なく熱く、盛り上がる。
そんな舞台に立ったのは久々だ―――。
一瞬、澪と目が合う。
彼女もまた緊張してる顔で見守っていた。
「尾形、大丈夫か?疲れてねーか?」
「うるせーぞ、仙崎。さっさとかかってこい!」
「じゃ、遠慮なく―――――!」
仙崎はドリブルで突進してくる・・・と思いきやその体を宙に浮かせた。
勢いよく手を伸ばし、シュート態勢に入る。
「ジャンプシュートか・・・!」
かろうじて見えた予備動作に反応するも、向こうとの身長差でボールに手が届かない。
「あめぇよ・・・」
残酷にも背後からネットをボールが潜る音が聞こえた。
会場がワッ!と盛り上がる。
もうみんながどっちを応援しているのか分からない。
「くそ・・・!」
「チェックメイトだよ、尾形。」
「まだ・・・これからよ。あと一分もあるしな」
そんなことを言いながら、体はもう既に限界を迎えようとしていた。
鍛錬の量なら遥かに仙崎が上にも関わらず、身体能力もアイツの方が上だ。
そんな状態で今までどうにか食らいついたものの・・・どうする・・・?
「相馬!頑張れ!!!」
「え?」
真横から澪の声が聞こえた。
こんな大勢から声援を浴びせられていても、澪の声だけはやけにハッキリ聞こえる。
「まだ逆転できるよ!ファイト!」
「澪・・・」
再び前を見る。
女の子に気づかされちゃ・・・俺もまだまだだな。
・・・弦結。
お前の分も、俺はここで全ての力を出し切る―――!
残り20秒。
全神経を集中させディフェンスをする仙崎の前で。
落ち着いて。
そして。
「ウッッ!!!ラァァ!!!」
ダックイン。
アヒルの如く、背を低くし中にドリブルで切れ込む技。
体格差で負けているなら、スピードで勝負するしかない。
仙崎の右脇目掛け、飛び込む。
だが、その動きは仙崎に読まれ、すぐさま封じられることは分かっていた。
「そう、来ると思っていた・・・よ」
俺の得意分野はスリーポイント。
勝負するなら、そこだ―――――!
前に飛んだ反動を使い、後ろへステップバックする。
仙崎はしまった、と言わんばかりに後退する。
俺と仙崎の距離はほんの体一つ分。
でも、俺がシュートを打つには十分すぎるほど空いていた。
シュート態勢に入り、ボールを放る。
誰しもが息を飲んだ瞬間だった。
ボールがリングに届くまでわずか一秒ほどであったが、更にもっと長く感じた。
そして―――――。
「入った――――――!!よっしゃぁ!!!!」
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球技大会の帰り道のことであった。
俺は軽音部と合流して近くの楽器屋に寄ることになった。
「律!!またレフティーフェアやってるよ!!見てもいい!?」
「行ってくればいいじゃん・・・」
「うん!!」
澪が目を輝かせながら走り出す。
本当に左利き用ベースに目がないんだな。
一方、俺はもう足が痛い。
立ってることさえ苦痛だった。
俺はどうにか仙崎率いる二組には勝利したものの、全てを出し切ったせいか、その後の四組に惨敗したのだ。
それで元気がある方がどうかしてると思う。
脹脛も痛くなってきたな・・・。
「私もスティック見てこよーと。」
「じゃあ私はスコア見てくるわ~」
律とムギも各々どこかへ去ってしまう。
どちらかと言えば、もう俺は動きたくなかった。
「じゃあ私はここで待ってる!」
「唯は何か見なくていいのか?」
「うん!相馬くん一人じゃ可哀想だし」
唯はギターを下し、椅子に座った。
「こんな時でもギターは持ってきてんだな・・・」
俺も続いて座る。
「梓も座りなよ、ほら」
「あ、ありがとうございますっ」
梓は軽くお辞儀をして俺の左に座る。
「今日は先輩凄かったですね」
席に座るや、言葉を発す彼女。
「いやー、まぁその・・・一応経験者だからな」
「ズルいですよ、嘘つき」
「え?」
「バスケ出来ないって、運動音痴だからって言ってたじゃないですか!」
「あぁ、アレか・・・。ごめん。」
軽く頬を膨らませながら俺を睨みつけてくる。
・・・かわいい。
怒ってるけど。
「でも、本当に相馬くん凄かったよ!参りやした・・・」
「たまたまだよ。本来の実力なら、仙崎の方が上だったさ。」
「そうかなぁ・・・。」
「え?」
唯はどこを見るわけでもなく、告げた。
「私は相馬くんを応援してたけど。」
「え――――。」
一瞬だが、頭が真っ白になる。
こんなにも熱く、そして耳が赤くなっているのが分かる。
いや、待て待て。
唯はそういう事を平気で言えちゃう子なんだって・・・。
「そういえば、もうそろそろ夏休みですね!」
何か気まずい空気を察したのか、梓が話題を変えた。
そうか、もうすぐ夏休みか。
「今年も夏合宿やんのか?」
「やりたいね!また花火したい!」
「もう合宿っていうか、遊びに近い感じなんですかね・・・」
「梓、もう何も言うな・・・」
「でも去年はちゃんと練習もしたよ!」
「まぁな、二日目はちゃんとしたか。」
もうあれから一年が経つのか。
早いもんだな。
もう高校生活も折り返し地点にいるのか。
ふと切なくなる。
彼女達との学生生活が終焉に向かっていることに。
考えてみれば、高校2年が最後の学生といっても過言ではないだろう。
3年は受験がある為、遊ぶことは出来ないはずだ。
何も考えずに遊ぶことが出来るのは・・・今年が最後だ。
これが最後。
澪が目を輝かせながらベースを眺めている。
律が悩みながらスティックを見物している。
ムギが右手でキーボードを弾きながらスコアを眺めている。
唯と梓が仲良く会話している。
そんな姿を見ながら、俺は再び、思う。
これが最後なんだ―――――。
ふと、想う―――。